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光の曲がり:曲がった時空の Fermat の原理

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第16章 Schwarzschild 解と太陽系の検証
目次
  1. 光の軌道の式を摂動で解く
  2. Fermat の原理で読む
  3. 観測
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第16章 §2.16.4 ★★★ 光の軌道の式から曲がり角 4GM/(c2b)4GM/(c^2b) を出し、同じ値を屈折率 n=1+2GM/(c2r)n=1+2GM/(c^2r) の Fermat の原理からも出す。太陽の縁で 1.75′′1.75''

光の軌道の式を摂動で解く

光の軌道 (2.16.17) で右辺を 0 とおくと、解は u0=sin⁡φ/bu_0=\sin\varphi/b、つまり rsin⁡φ=br\sin\varphi=b の直線である。bb は直線と中心との距離(衝突径数)で、(2.16.15) の定数との関係は 1/b2=E~2/(c2ℓ2)1/b^2=\tilde E^2/(c^2\ell^2) である。光は φ=0\varphi=0 の方向の無限遠から来て、φ=π\varphi=\pi の方向の無限遠へ去る。

右辺 3GMu2/c23GMu^2/c^2 に u0u_0 を入れた1次の補正 u1u_1 は

d2u1dφ2+u1=3GMc2b2sin⁡2φ=3GM2c2b2(1−cos⁡2φ)\frac{\mathrm{d}^2u_1}{\mathrm{d}\varphi^2}+u_1=\frac{3GM}{c^2b^2}\sin^2\varphi=\frac{3GM}{2c^2b^2}(1-\cos2\varphi)

を満たす。今度は右辺に cos⁡φ\cos\varphi が無いので永年項は出ず、特解は定数と cos⁡2φ\cos2\varphi の和で

u1=GMc2b2(1+cos⁡2φ)(2.16.22)u_1=\frac{GM}{c^2b^2}\bigl(1+\cos^2\varphi\bigr)\tag{2.16.22}

である(A+Bcos⁡2φA+B\cos2\varphi とおいて A=3GM/(2c2b2)A=3GM/(2c^2b^2)、−3B=−3GM/(2c2b2)-3B=-3GM/(2c^2b^2) から B=GM/(2c2b2)B=GM/(2c^2b^2)。32+12cos⁡2φ=1+cos⁡2φ\frac32+\frac12\cos2\varphi=1+\cos^2\varphi)。

光が無限遠へ去る方向は u=0u=0 で決まる。補正があると u=0u=0 の点は φ=0\varphi=0 と π\pi からずれ、φ=−ϑ1\varphi=-\vartheta_1(ϑ1\vartheta_1 は小さい)で

0=u0+u1≈−ϑ1b+2GMc2b2⟹ϑ1=2GMc2b0=u_0+u_1\approx-\frac{\vartheta_1}{b}+\frac{2GM}{c^2b^2}\quad\Longrightarrow\quad\vartheta_1=\frac{2GM}{c^2b}

となる。φ=π+ϑ1\varphi=\pi+\vartheta_1 の側も対称に同じだけずれる。入ってくる向きと出ていく向きのなす角、つまり光の曲がり角は

ϑ=2ϑ1=4GMc2b=2rsb(2.16.23)\vartheta=2\vartheta_1=\frac{4GM}{c^2b}=\frac{2r_{\mathrm s}}{b}\tag{2.16.23}

である。光は質量の側へ曲がる。

Fermat の原理で読む

同じ結果を、第2部第10章の光線の解析力学から出す。弱い場では、記法の正本の式g00≈1+2Φ/c2g_{00}\approx1+2\Phi/c^2、gij≈−(1−2Φ/c2)δijg_{ij}\approx-(1-2\Phi/c^2)\delta_{ij} が使える(Φ=−GM/r\Phi=-GM/r)。Schwarzschild 計量 (2.16.10) の rr を r=ρ(1+rs/(4ρ))2r=\rho(1+r_{\mathrm s}/(4\rho))^2 と取り直すと、空間部分が dρ\mathrm{d}\rho の向きによらない形になり、rs/ρr_{\mathrm s}/\rho の1次でこの弱い場の式に一致する(等方座標)。光は ds2=0\mathrm{d} s^2=0 を満たすので、

(1+2Φc2)c2dt2=(1−2Φc2)∣dx∣2⟹c dt≈(1−2Φc2)∣dx∣\Bigl(1+\frac{2\Phi}{c^2}\Bigr)c^2\mathrm{d} t^2=\Bigl(1-\frac{2\Phi}{c^2}\Bigr)\lvert \mathrm{d}\bm{x}\rvert ^2 \quad\Longrightarrow\quad c\,\mathrm{d} t\approx\Bigl(1-\frac{2\Phi}{c^2}\Bigr)\lvert \mathrm{d}\bm{x}\rvert

である。座標時で測った光の速さは c/nc/n で、

n(x)=1−2Φ(x)c2=1+2GMc2r(2.16.24)n(\bm{x})=1-\frac{2\Phi(\bm{x})}{c^2}=1+\frac{2GM}{c^2r}\tag{2.16.24}

の屈折率を持つ媒質と同じになる。光の進路は Fermat の原理、つまり ∫n ds\int n\,\mathrm{d} s の停留で決まる(第2部第10章)。屈折率がゆっくり変わる媒質を直線に近い経路で進む光線は、経路に垂直な屈折率の勾配の向きに曲がり、その角度はϑ≈∫∇⊥n dz\vartheta\approx\int\nabla_\perp n\,\mathrm{d} z である。直線 x=bx=b に沿って zz で積分すると

ϑ=∫−∞∞2GMc2b(b2+z2)3/2 dz=2GMc2⋅2b=4GMc2b(2.16.25)\vartheta=\int_{-\infty}^{\infty}\frac{2GM}{c^2}\frac{b}{(b^2+z^2)^{3/2}}\,\mathrm{d} z=\frac{2GM}{c^2}\cdot\frac{2}{b}=\frac{4GM}{c^2b}\tag{2.16.25}

となり、(2.16.23) と一致する。

この書き方では、(2.16.24) の 2Φ/c22\Phi/c^2 のうち半分が g00g_{00}(時計の進み方の違い。第2部第11章の重力赤方偏移と同じもの)から、残りの半分が gijg_{ij}(空間の曲がり)から出ている。光の速さを持つ Newton の粒子を太陽のそばで曲げても、g00g_{00} の半分しか出ない(2.16.6 節)。光の曲がりを測ることは、空間部分の計量 gijg_{ij} を直接測ることに当たる。

観測

太陽の縁をかすめる光(b=R⊙b=R_\odot)では (2.16.23) は 1.75′′1.75'' になる。最初の観測は 1919 年5月の皆既日食で、Sobral(ブラジル)の 4 インチ望遠鏡の乾板から 1.98′′1.98''、Príncipe 島の乾板から 1.61′′1.61'' が得られた1F. W. Dyson, A. S. Eddington, C. Davidson (1920), Philosophical Transactions of the Royal Society of London A 220, 291–333.下の脚注へ。いまの精度は電波干渉計(VLBI)による。遠方の電波源(クエーサー)の見かけの位置が太陽に近づくにつれてずれる量を全天で測り、後で述べる係数 γ\gamma(一般相対論で 1)を γ=0.99983±0.00045\gamma=0.99983\pm0.00045 と決めている2S. S. Shapiro, J. L. Davis, D. E. Lebach, J. S. Gregory (2004), Physical Review Letters 92, 121101.下の脚注へ。

例題 2.16.4 太陽の縁と、太陽から 90° 離れた星 ★★★

オリジナルGM⊙=1.32712440018×1020 m3 s−2GM_\odot=1.32712440018\times10^{20}\,\mathrm{m^3\,s^{-2}}、R⊙=6.957×108 mR_\odot=6.957\times10^8\,\mathrm m、1 au=1.495978707×1011 m1\,\mathrm{au}=1.495978707\times10^{11}\,\mathrm m、木星は GMJ=1.26686534×1017 m3 s−2GM_{\mathrm J}=1.26686534\times10^{17}\,\mathrm{m^3\,s^{-2}}、半径 7.1492×107 m7.1492\times10^7\,\mathrm m とする。

  1. (1) 太陽の縁と木星の縁をかすめる光の曲がり角を秒角で求めよ。
  2. (2) 地球(太陽から r⊕=1 aur_\oplus=1\,\mathrm{au})で見て、太陽から角度 χ\chi だけ離れた方向にある遠い星の光は、地球に届くまでにどれだけ曲がるか。(2.16.25) の積分を観測者の位置で打ち切って求め、χ=90∘\chi=90^\circ の値をミリ秒角で出せ。
解答

(1) ϑ=4GM/(c2b)\vartheta=4GM/(c^2b)。太陽は 4×1476.6/6.957×108=8.490×10−6 rad=1.751′′4\times1476.6/6.957\times10^8=8.490\times10^{-6}\,\mathrm{rad}=1.751''。木星は 4×1.26687×1017/[(2.99792×108)2×7.1492×107]=7.89×10−8 rad=0.0163′′4\times1.26687\times10^{17}/[(2.99792\times10^8)^2\times7.1492\times10^7]=7.89\times10^{-8}\,\mathrm{rad}=0.0163'' である。

(2) 星からの光は z=−∞z=-\infty から来て、太陽に最も近づく点を z=0z=0 とする。地球はその光線上の z⊕z_\oplus にあり、太陽からの距離は r⊕r_\oplus、太陽と星の方向のなす角が χ\chi なので、b=r⊕sin⁡χb=r_\oplus\sin\chi、z⊕=r⊕cos⁡χz_\oplus=r_\oplus\cos\chi である(χ<90∘\chi<90^\circ なら地球は最接近点を過ぎた側にいる)。地球に届くまでに曲がる角度は

ϑ(χ)=∫−∞z⊕2GMc2b(b2+z2)3/2 dz=2GMc2b(1+z⊕b2+z⊕2)=2GMc2r⊕ 1+cos⁡χsin⁡χ.\vartheta(\chi)=\int_{-\infty}^{z_\oplus}\frac{2GM}{c^2}\frac{b}{(b^2+z^2)^{3/2}}\,\mathrm{d} z =\frac{2GM}{c^2b}\Bigl(1+\frac{z_\oplus}{\sqrt{b^2+z_\oplus^2}}\Bigr) =\frac{2GM}{c^2r_\oplus}\,\frac{1+\cos\chi}{\sin\chi}.

χ→0\chi\to0(b→0b\to0 の極限)では b=r⊕sin⁡χb=r_\oplus\sin\chi として (1) の式に戻る。χ=90∘\chi=90^\circ では 2GM/(c2r⊕)=rs/r⊕=1.97×10−8 rad=4.072GM/(c^2r_\oplus)=r_{\mathrm s}/r_\oplus=1.97\times10^{-8}\,\mathrm{rad}=4.07 ミリ秒角である。

太陽から 90° も離れた星でも数ミリ秒角ずれる。星の位置をミリ秒角より細かく測る位置天文衛星では、空のどの方向の星にもこの補正を入れる必要がある。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの rs/b→0r_{\mathrm s}/b\to0(太陽の縁で 4×10−64\times10^{-6}) | 証明 条件付き(厳密な曲がり角の積分を rs/br_{\mathrm s}/b で展開した主要項。次の項は (rs/b)2(r_{\mathrm s}/b)^2 の大きさで、数値積分と比べて確かめた) | 行き先 近似の数理 第7章

1 F. W. Dyson, A. S. Eddington, C. Davidson (1920), Philosophical Transactions of the Royal Society of London A 220, 291–333.

2 S. S. Shapiro, J. L. Davis, D. E. Lebach, J. S. Gregory (2004), Physical Review Letters 92, 121101.

木下の勉強ステータス

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