tecktom.com

この章で選ぶ HH:外から動かすパラメータを含む Hamiltonian

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第5章 断熱不変量とエントロピー
目次
  1. パラメータを含む
  2. 一般化された力
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部 第5章 §3.5.1 ★★★ パラメータ λ\lambda を含む H(q,p;λ)H(q,p;\lambda) を選ぶ。λ\lambda を動かすとエネルギーは ∂H/∂λ\partial H/\partial\lambda を通してだけ変わり、それが仕事になる

第1部第14章では、自由度1の周期運動で、外から変えるパラメータ λ\lambda を周期に比べてゆっくり変えると作用変数 J=12π∮p dqJ=\frac{1}{2\pi}\oint p\,\mathrm{d} q が保たれることを示した(第1部第14章)。2πJ2\pi J はエネルギー EE 以下の状態が相空間で占める面積である。同じ章の終わりで、箱の中の粒子の JJ が保たれることから単原子理想気体の断熱変化の式 PV5/3=PV^{5/3}= 一定を出し、「JJ が保たれることは、統計力学の言葉ではエントロピーが変わらないことにあたる」と予告した。この章はその予告を回収する。

気体の粒子は互いに衝突してエネルギーをやり取りするので、粒子1つ1つの作用変数は保たれない。それでも保たれる量が1つあり、それはNN 粒子の相空間全体で「エネルギー EE 以下の領域」が占める体積 Φ(E,λ)\Phi(E,\lambda) である(P. Hertz の定理)。この章で選ぶのは、外から動かせるパラメータ λ\lambda(体積・ばね定数・磁場)を含む Hamiltonian H(q,p;λ)H(q,p;\lambda) である(3.5.1節)。当てる道具は第1部第14章の断熱不変性と第3部第1章の Liouville の定理で、作用変数を相空間の体積に広げる(3.5.2節)。出てくるものは3つある。第一に、S=kBln⁡ΦS= k_{\mathrm B}\ln\Phi と置くと温度・圧力・第一法則 dE=T dS−P dV\mathrm{d} E=T\,\mathrm{d} S-P\,\mathrm{d} V がそのまま出て、ゆっくりした変化ではエントロピーが一定になる(3.5.3節)。第二に、パラメータを速く変えるとエントロピーが増える(3.5.4節)。第三に、量子力学では断熱定理が量子数を保つので、状態の数を数えるエントロピーが同じ理由で保たれる(3.5.5節)。最後に、熱力学の授業で習う準静的断熱変化・Poisson の式・断熱消磁と並べ(3.5.6節)、まとめと総合問題で終える。

記号は記法の正本に従う。この章には温度 TT が出てくるので、周期・時間の長さに TT を使わない。運動エネルギーは ∑a∣pa∣2/(2m)\sum_a\lvert \bm{p}_a\rvert ^2/(2m) と書き、エントロピー SS は熱力学のエントロピー(kBk_{\mathrm B} 込み)だけに使う。この章では作用 S[q]S[q] を使わない。

パラメータを含む HH

ピストンのついたシリンダーに入った気体を考える。粒子の Hamiltonian は

H(q,p;V)=∑a=1N∣pa∣22m+∑a<bu(∣ra−rb∣)+∑a=1NUwall(ra;V)(3.5.1)H(q,p;V)=\sum_{a=1}^{N}\frac{\lvert \bm{p}_a\rvert ^2}{2m}+\sum_{a<b}u(\lvert \bm{r}_a-\bm{r}_b\rvert )+\sum_{a=1}^{N}U_{\mathrm{wall}}(\bm{r}_a;V)\tag{3.5.1}

で、最後の項は容器の壁のポテンシャルである。ピストンの位置、すなわち体積 VV を動かすと壁のポテンシャルが動き、Hamiltonian が変わる。同じように、ばね定数を変えられる調和振動子の集まりでは角振動数 ω\omega が、磁場の中のスピンの集まりでは磁場の強さ BB が、外から動かすパラメータである。これらをまとめて λ\lambda と書き、Hamiltonian を H(q,p;λ)H(q,p;\lambda) とする。λ\lambda は系の外の誰かが時刻の関数 λ(t)\lambda(t) として決め、系の運動方程式を解いて決まるものではない。

λ\lambda が時刻によって変わると、HH は時刻を陽に含む。Hamilton 方程式に従う軌道に沿った HH の変化は、第1部第8章のとおり

ddtH(q(t),p(t);λ(t))=∑i(∂H∂qiq˙i+∂H∂pip˙i)+∂H∂λλ˙=∂H∂λλ˙(3.5.2)\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}H\bigl(q(t),p(t);\lambda(t)\bigr)=\sum_i\Bigl(\frac{\partial H}{\partial q_i}\dot q_i+\frac{\partial H}{\partial p_i}\dot p_i\Bigr)+\frac{\partial H}{\partial \lambda}\dot\lambda=\frac{\partial H}{\partial \lambda}\dot\lambda\tag{3.5.2}

である(第1部第8章)。括弧の中は Hamilton 方程式を代入すると打ち消し合う。系のエネルギーは、パラメータを動かしたときだけ、∂H/∂λ\partial H/\partial\lambda を通して変わる。λ\lambda を λ0\lambda_0 から λ1\lambda_1 まで動かすあいだに系がされる仕事は

W=∫t0t1∂H∂λ(q(t),p(t);λ(t)) λ˙ dt(3.5.3)W=\int_{t_0}^{t_1}\frac{\partial H}{\partial \lambda}\bigl(q(t),p(t);\lambda(t)\bigr)\,\dot\lambda\,\mathrm{d} t\tag{3.5.3}

で、エネルギーの変化 H(t1)−H(t0)H(t_1)-H(t_0) に等しい(記法の正本のとおり、系がされる仕事を正とする)。この仕事は軌道の上の値 ∂H/∂λ\partial H/\partial\lambda を積分したものなので、同じ λ(t)\lambda(t) でも初期値ごとに違う値になる。

一般化された力

−∂H/∂λ-\partial H/\partial\lambda は、系がパラメータを押し返す力の大きさを表す。λ\lambda が体積 VV なら、−∂H/∂V-\partial H/\partial V は粒子が壁を押す力を壁の面積で割ったもの、すなわちその瞬間に壁が受ける圧力である。λ\lambda がばねの角振動数 ω\omega なら −∂H/∂ω=−∑imωqi2-\partial H/\partial\omega=-\sum_im\omega q_i^2、λ\lambda が磁場なら −∂H/∂B-\partial H/\partial B は磁気モーメントになる。どれも軌道に沿って時々刻々と変わり、粒子が壁に当たった瞬間だけ値を持つ圧力のように激しく揺れる。熱力学の圧力は、この揺れる量を長い時間で平均したものである。どの平均をとればよいかが、次の節の主題になる。

例題 3.5.1 動く壁で跳ね返る粒子 ★★

オリジナル1次元の区間 0<x<L0<x<L に質量 mm の粒子が1つあり、両端の壁で弾性的に跳ね返る。左の壁は止まっていて、右の壁を一定の速さ uu で外向きに動かす(L˙=u>0\dot L=u>0)。粒子の速さは v≫∣u∣v\gg\lvert u\rvert とする。

  1. (1) 速度 v>0v>0 で右の壁に当たった粒子の、跳ね返った後の速度を求め、1回の衝突でのエネルギーの変化を m,u,vm,u,v で表せ。
  2. (2) 右の壁に当たる頻度は v/(2L)v/(2L) である。uu の1次までで、エネルギーの変化率 dE/dt\mathrm{d} E/\mathrm{d} t を EE, LL, uu で表せ。EL2EL^2 が一定に保たれることを示せ。
  3. (3) m=1m=1, v=10v=10, L=1L=1, u=0.1u=0.1 のとき、(1) の1回の変化と (2) の変化率を数で求め、−2ELu-\frac{2E}{L}u と比べよ。
解答

(1) 壁と一緒に動く座標では粒子の速度は v−uv-u で、弾性衝突で −(v−u)-(v-u) になる。元の座標に戻すと v′=−(v−u)+u=2u−vv'=-(v-u)+u=2u-v。エネルギーの変化は 12m(2u−v)2−12mv2=2mu(u−v)\frac12m(2u-v)^2-\frac12mv^2=2mu(u-v) で、u>0u>0(壁が逃げる)なら負である。

(2) uu の1次では1回の変化は −2muv-2muv。頻度 v/(2L)v/(2L) を掛けて dEdt=−2muv⋅v2L=−mv2Lu=−2ELu\frac{\mathrm{d} E}{\mathrm{d} t}=-2muv\cdot\frac{v}{2L}=-\frac{mv^2}{L}u=-\frac{2E}{L}u。u=L˙u=\dot L なので dEdt=−2ELdLdt\frac{\mathrm{d} E}{\mathrm{d} t}=-\frac{2E}{L}\frac{\mathrm{d} L}{\mathrm{d} t}、すなわち ddtln⁡(EL2)=0\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} t}\ln(EL^2)=0 で、EL2EL^2 が一定になる。これは第1部第14章の箱の作用変数 J=L2mE/πJ=L\sqrt{2mE}/\pi が一定であることと同じ式である。式 (3.5.2) の言葉では、壁が受ける平均の力が −∂H/∂L-\partial H/\partial L の時間平均 2E/L2E/L で、それと壁の速さ uu の積がエネルギーの減り方になっている。

(3) 1回の変化は 2⋅1⋅0.1⋅(0.1−10)=−1.982\cdot1\cdot0.1\cdot(0.1-10)=-1.98。頻度は 10/2=510/2=5 で、変化率は −9.90-9.90。E=50E=50 なので −2ELu=−10.0-\frac{2E}{L}u=-10.0 で、差の 0.10.1 は u2u^2 の項 2mu2×52mu^2\times5 である。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ