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出てくるもの1:2次相転移と平均場の臨界指数

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第10章 相転移と Landau 理論
目次
  1. 最小点の分かれ方
  2. 熱力学量
  3. 臨界指数
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部 第10章 §3.10.3 ★★★ f(m)f(m) の最小点が TcT_{\mathrm c} で 00 から2つに分かれ、m∝(Tc−T)1/2m\propto(T_{\mathrm c}-T)^{1/2}・比熱の跳び・χ∝∣T−Tc∣−1\chi\propto\lvert T-T_{\mathrm c}\rvert ^{-1} が出る

最小点の分かれ方

外場 h=0h=0 の Landau 関数 (3.10.2) の最小点を探す。f′(m)=m(a+bm2)=0f'(m)=m(a+bm^2)=0 の解は m=0m=0 と m2=−a/bm^2=-a/b で、T>TcT>T_{\mathrm c}(a>0a>0)では m=0m=0 だけが最小、T<TcT<T_{\mathrm c}(a<0a<0)では m=0m=0 が極大になり

m0=±a0(Tc−T)b(3.10.17)m_0=\pm\sqrt{\frac{a_0(T_{\mathrm c}-T)}{b}}\tag{3.10.17}

の2点が最小になる(図 3.10.1)。m0m_0 は TcT_{\mathrm c} で 00 から連続に立ち上がり、その傾きは無限大である。2つの最小点のどちらが選ばれるかは ff からは決まらず、わずかに残る外場や履歴で決まる。これが対称性の自発的な破れの、Landau 理論での姿である。

図

図 3.10.1 Curie–Weiss 模型の Landau 関数 f−f0=12T−TcTcm2+112m4f-f_0=\frac12\frac{T-T_{\mathrm c}}{T_{\mathrm c}}m^2+\frac{1}{12}m^4(単位は kBTck_{\mathrm B} T_{\mathrm c}。b=kBTc/3b= k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}/3 とした)。TcT_{\mathrm c} より上では最小点は m=0m=0 の1つ、下では ±m0\pm m_0 の2つに分かれる。

熱力学量

最小点での値は

fmin⁡=f0(T)+{0(T>Tc)−a24b=−a02(T−Tc)24b(T<Tc)(3.10.18)f_{\min}=f_0(T)+\begin{cases}0 & (T>T_{\mathrm c})\\[2pt] -\dfrac{a^2}{4b}=-\dfrac{a_0^2(T-T_{\mathrm c})^2}{4b} & (T<T_{\mathrm c})\end{cases}\tag{3.10.18}

である。fmin⁡f_{\min} そのものと、その TT についての1階微分(エントロピー −∂f/∂T-\partial f/\partial T)は TcT_{\mathrm c} で連続で、2階微分が跳ぶ。比熱は C=−T ∂2f/∂T2C=-T\,\partial^2 f/\partial T^2(第1部第7章・第3部第4章)なので、TcT_{\mathrm c} を下から近づけたときと上から近づけたときの差は

ΔC=C(Tc−0)−C(Tc+0)=Tca022b(3.10.19)\Delta C=C(T_{\mathrm c}-0)-C(T_{\mathrm c}+0)=\frac{T_{\mathrm c}a_0^2}{2b}\tag{3.10.19}

となる。低温側で比熱が大きいのは、温度を上げると秩序が壊れていく分のエントロピーが余分に吸収されるからである。

外場への応答を見る。磁化率 χ=∂m/∂h∣h=0\chi=\partial m/\partial h|_{h=0} は、f′(m)=hf'(m)=h を hh について1次まで解けば得られる。T>TcT>T_{\mathrm c} では am=ham=h からχ=1/a\chi=1/a、T<TcT<T_{\mathrm c} では m=m0+δmm=m_0+\delta m と置いて f′′(m0) δm=hf''(m_0)\,\delta m=h、f′′(m0)=a+3bm02=2∣a∣f''(m_0)=a+3bm_0^2=2\lvert a\rvert から

χ={1a0(T−Tc)(T>Tc)12a0(Tc−T)(T<Tc)(3.10.20)\chi=\begin{cases}\dfrac{1}{a_0(T-T_{\mathrm c})} & (T>T_{\mathrm c})\\[6pt] \dfrac{1}{2a_0(T_{\mathrm c}-T)} & (T<T_{\mathrm c})\end{cases}\tag{3.10.20}

を得る。どちらの側でも ∣T−Tc∣−1\lvert T-T_{\mathrm c}\rvert ^{-1} で発散し、係数の比は2である。T=TcT=T_{\mathrm c} ちょうどでは a=0a=0 で、f′(m)=hf'(m)=h は bm3=hbm^3=h、すなわち m=(h/b)1/3m=(h/b)^{1/3} になる。Curie–Weiss 模型の係数 (3.10.16) を入れた ΔC=32kB\Delta C=\frac32 k_{\mathrm B}(1スピンあたり)と χ=1/(kB(T−Tc))\chi=1/( k_{\mathrm B}(T-T_{\mathrm c})) は、第7章の式 (3.7.17)・(3.7.16) と同じである(第7章の zJzJ をこの章の JJ と読む)。

臨界指数

TcT_{\mathrm c} の近くで物理量が ∣T−Tc∣\lvert T-T_{\mathrm c}\rvert や hh の冪で振る舞うとき、その冪を臨界指数と呼ぶ。Landau 理論の値(平均場の値)を表 3.10.1 にまとめる。相関長の指数 ν\nu と相関関数の指数 η\eta は3.10.5節で出す。

表 3.10.1 臨界指数。t=(T−Tc)/Tct=(T-T_{\mathrm c})/T_{\mathrm c}。3次元 Ising の値は Kos ら(2016)のスケーリング次元から指数の関係式で計算した(3.10.5節の脚注)。
指数定義Landau(平均場)3次元 Ising
α\alphaC∝∣t∣−αC\propto\lvert t\rvert ^{-\alpha}00(跳び)0.1100.110
β\betam0∝(−t)βm_0\propto(-t)^{\beta}1/21/20.3260.326
γ\gammaχ∝∣t∣−γ\chi\propto\lvert t\rvert ^{-\gamma}111.2371.237
δ\deltam∝h1/δm\propto h^{1/\delta}(t=0t=0)334.794.79
ν\nuξ∝∣t∣−ν\xi\propto\lvert t\rvert ^{-\nu}1/21/20.6300.630
η\etaG(r)∝r−(d−2+η)G(r)\propto r^{-(d-2+\eta)}(t=0t=0)000.03630.0363

指数の値は a0a_0, bb によらない。どの物質でも ff が mm の解析的な偶関数であるかぎり同じ値が出るのは、Landau の展開では TcT_{\mathrm c} の近くで m2m^2 と m4m^4 の項しか残らず、物質の違いは係数にしか入らないからである。ただし実際の3次元の物質の指数は表の右の列のように平均場の値からずれる。このずれの原因が3.10.5節の揺らぎである。

図

図 3.10.2 Curie–Weiss 模型の自発磁化。点線は自己無撞着方程式 m=tanh⁡(mTc/T)m=\tanh(mT_{\mathrm c}/T) の厳密解(N→∞N\to\infty)、実線は Landau の展開で4次まで残した m0=3(1−T/Tc)m_0=\sqrt{3(1-T/T_{\mathrm c})}。TcT_{\mathrm c} の近くで2つは接し、離れると Landau の値は大きすぎる(m≤1m\le1 の制約を知らない)。

図 3.10.2 は、Curie–Weiss 模型について厳密な m0m_0 と Landau の値を比べたものである。Landau の展開は mm の小さい所の展開なので、TcT_{\mathrm c} から離れるほど合わなくなる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの ∣T−Tc∣/Tc→0\lvert T-T_{\mathrm c}\rvert /T_{\mathrm c}\to0(mm が小さく、f(m)f(m) の m6m^6 以上の項を落とせる) | 証明 条件付き(ff が m=0m=0 で解析的で b>0b>0。Curie–Weiss 模型では式 (3.10.10) が解析的なので成り立つ。相互作用が短距離の系では揺らぎのために前提が崩れる。3.10.5節) | 行き先 近似の数理 第2章

例題 3.10.3 Curie–Weiss 模型の比熱の跳びと自発磁化 ★★

オリジナルCurie–Weiss 模型の Landau の係数 (3.10.16) を使う。

  1. (1) 1スピンあたりの比熱の跳び ΔC\Delta C を求めよ。スピン 1 mol1\,\mathrm{mol} あたりではいくらか(気体定数 R=8.314 J K−1 mol−1R=8.314\,\mathrm{J\,K^{-1}\,mol^{-1}})。
  2. (2) b=kBTc/3b= k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}/3 として、Landau の m0m_0 を T/TcT/T_{\mathrm c} で表せ。T=0.95 TcT=0.95\,T_{\mathrm c} と 0.8 Tc0.8\,T_{\mathrm c} での値を、厳密な m0m_0(0.3790.379 と 0.7100.710)と比べよ。
  3. (3) 厳密な Curie–Weiss 模型でも T→Tc−0T\to T_{\mathrm c}-0 で比熱が (1) の値に近づくことを、エネルギー U/N=−Jm02/2U/N=-Jm_0^2/2 から説明せよ。
解答

(1) 式 (3.10.19) に a0=kBa_0= k_{\mathrm B}, b=kBTc/3b= k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}/3 を入れて ΔC=TckB2/(2kBTc/3)=32kB\Delta C=T_{\mathrm c} k_{\mathrm B}^2/(2 k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}/3)=\frac32 k_{\mathrm B}。1 mol1\,\mathrm{mol} では 32R=12.5 J K−1 mol−1\frac32R=12.5\,\mathrm{J\,K^{-1}\,mol^{-1}}。TcT_{\mathrm c} より上では m=0m=0 なので、この模型の比熱は 00 で、TcT_{\mathrm c} で 00 から 32kB\frac32 k_{\mathrm B} に跳ぶ。

(2) m02=a0(Tc−T)/b=3(1−T/Tc)m_0^2=a_0(T_{\mathrm c}-T)/b=3(1-T/T_{\mathrm c})。T=0.95 TcT=0.95\,T_{\mathrm c} で m0=0.15=0.387m_0=\sqrt{0.15}=0.387(厳密 0.3790.379、ずれ 2%2\%)、T=0.8 TcT=0.8\,T_{\mathrm c} で 0.6=0.775\sqrt{0.6}=0.775(厳密 0.7100.710、ずれ 9%9\%)。

(3) 自己無撞着方程式 m=tanh⁡(mTc/T)m=\tanh(mT_{\mathrm c}/T) を mm の3次まで展開すると m≈TcTm−13(TcT)3m3m\approx\frac{T_{\mathrm c}}{T}m-\frac13\bigl(\frac{T_{\mathrm c}}{T}\bigr)^3m^3 で、TcT_{\mathrm c} の近くでは m02≈3(1−T/Tc)m_0^2\approx3(1-T/T_{\mathrm c}) となり (2) と一致する。U/N=−J2m02≈−32kB(Tc−T)U/N=-\frac{J}{2}m_0^2\approx-\frac32 k_{\mathrm B}(T_{\mathrm c}-T) を TT で微分すると 32kB\frac32 k_{\mathrm B}。(数値でも T=0.998 TcT=0.998\,T_{\mathrm c}〜0.999 Tc0.999\,T_{\mathrm c} の差分で 1.496 kB1.496\, k_{\mathrm B} になる。)

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