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出てくるもの3:空間に広がる秩序変数と揺らぎ

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第10章 相転移と Landau 理論
目次
  1. 磁壁:力学の軌道として解く
  2. 停留点のまわりの揺らぎ
  3. Landau 理論が成り立つ条件
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部 第10章 §3.10.5 ★★★ FL[m]F_{\mathrm L}[m] の Euler–Lagrange 方程式は「空間を時刻とする力学」で、磁壁は山から山へ転がる軌道。停留点のまわりの揺らぎが Landau 理論の限界を決める

磁壁:力学の軌道として解く

T<TcT<T_{\mathrm c}, h=0h=0 で、1次元の方向 xx に沿って x→−∞x\to-\infty で m=−m0m=-m_0、x→+∞x\to+\infty で m=+m0m=+m_0 になる配置を考える。式 (3.10.5) は κm′′=f′(m)\kappa m''=f'(m) で、3.10.1節の読み替えによれば、質量 κ\kappa の粒子がポテンシャル −f(m)-f(m) の中を「時刻」xx で動く Newton の運動方程式である。−f-f は m=±m0m=\pm m_0 に同じ高さの山を持つので、求める解は、左の山の頂上から無限の過去に転がり始め、右の山の頂上に無限の未来に着く軌道に当たる。

Lagrangian が xx を含まないので、エネルギーに当たる量 E=κ2m′2−[f(m)−f(m0)]\mathcal E=\frac{\kappa}{2}m'^2-\bigl[f(m)-f(m_0)\bigr] が保存する(第1部第10章)。頂上では m′=0m'=0 なので E=0\mathcal E=0 で、f(m)−f(m0)=b4(m2−m02)2f(m)-f(m_0)=\frac b4(m^2-m_0^2)^2 を使うと

dmdx=b2κ (m02−m2)(3.10.24)\frac{\mathrm{d} m}{\mathrm{d} x}=\sqrt{\frac{b}{2\kappa}}\,(m_0^2-m^2)\tag{3.10.24}

となる。変数分離して積分すると

m(x)=m0tanh⁡x2ξ,ξ=κ2∣a∣(3.10.25)m(x)=m_0\tanh\frac{x}{2\xi},\qquad \xi=\sqrt{\frac{\kappa}{2\lvert a\rvert }}\tag{3.10.25}

を得る(x=0x=0 を壁の中心に選んだ)。ξ\xi は、最小点 m0m_0 のまわりで ff の曲率 f′′(m0)=2∣a∣f''(m_0)=2\lvert a\rvert を使って定めた相関長で、壁の厚さは ξ\xi の数倍である(図 3.10.3)。

壁の単位面積あたりの余分な自由エネルギー(壁の張力)σ\sigma は、E=0\mathcal E=0 から勾配の項と局所の項が各点で等しいことを使えば

σ=∫−∞∞κm′2 dx=∫−m0m02κ[f(m)−f(m0)] dm=223κb m03(3.10.26)\sigma=\int_{-\infty}^{\infty}\kappa m'^2\,\mathrm{d} x=\int_{-m_0}^{m_0}\sqrt{2\kappa\bigl[f(m)-f(m_0)\bigr]}\,\mathrm{d} m=\frac{2\sqrt2}{3}\sqrt{\kappa b}\,m_0^3\tag{3.10.26}

となる。2つ目の等号の形は、第1部第14章の作用変数 ∮p dq\oint p\,\mathrm{d} q(第1部第14章)と同じく、運動量に当たる κm′\kappa m' を座標 mm で積分したものである。m03∝(Tc−T)3/2m_0^3\propto(T_{\mathrm c}-T)^{3/2} なので、張力は TcT_{\mathrm c} で 00 になる。

図

図 3.10.3 磁壁の解 (3.10.25)。黒の線は秩序変数、赤の線は余分の自由エネルギー密度 κm′2∝cosh⁡−4(x/2ξ)\kappa m'^2\propto\cosh^{-4}(x/2\xi) で、壁の中心の幅数 ξ\xi の範囲に集まっている。

停留点のまわりの揺らぎ

Landau 理論は e−βFL[m]\mathrm{e}^{-\beta F_{\mathrm L}[m]} の最大点だけを残す近似だった。最大点のまわりの揺らぎがどれだけあるかを、T>TcT>T_{\mathrm c}, h=0h=0 で調べる。最小点は m=0m=0 で、m=δm(r)m=\delta m(\bm{r}) の2次まで残すと

FL≈12∫ddr [κ∣∇δm∣2+a δm2]=12V∑k(κk2+a)∣δm~k∣2(3.10.27)F_{\mathrm L}\approx\frac12\int\mathrm{d}^dr\,\bigl[\kappa\lvert \nabla\delta m\rvert ^2+a\,\delta m^2\bigr]=\frac{1}{2V}\sum_{\bm{k}}(\kappa k^2+a)\lvert \widetilde{\delta m}_{\bm{k}}\rvert ^2\tag{3.10.27}

となる(体積 VV の箱で Fourier 級数に分けた。δm~k=∫ddr δm e−ik⋅r\widetilde{\delta m}_{\bm{k}}=\int\mathrm{d}^dr\,\delta m\,\mathrm{e}^{-\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}})。各 k\bm{k} の成分は独立な2次の自由度なので、等分配則(第3部第6章)から ⟨∣δm~k∣2⟩=VkBT/(κk2+a)\langle \lvert \widetilde{\delta m}_{\bm{k}}\rvert ^2 \rangle =V k_{\mathrm B} T/(\kappa k^2+a) である。これを逆変換すると、2点の相関関数は

G(r)=⟨δm(r) δm(0)⟩=∫ddk(2π)dkBTκk2+aeik⋅r=d=3kBT4πκre−r/ξ,ξ=κa(3.10.28)G(\bm{r})=\langle \delta m(\bm{r})\,\delta m(\bm{0}) \rangle =\int\frac{\mathrm{d}^dk}{(2\pi)^d}\frac{ k_{\mathrm B} T}{\kappa k^2+a}\mathrm{e}^{\mathrm{i}\bm{k}\cdot\bm{r}} \overset{d=3}{=}\frac{ k_{\mathrm B} T}{4\pi\kappa r}\mathrm{e}^{-r/\xi},\qquad \xi=\sqrt{\frac{\kappa}{a}}\tag{3.10.28}

となる。これを Ornstein–Zernike の形と呼ぶ。相関長 ξ∝(T−Tc)−1/2\xi\propto(T-T_{\mathrm c})^{-1/2} から ν=1/2\nu=1/2、TcT_{\mathrm c} で G∝1/rG\propto1/r となることから η=0\eta=0 が出る(表 3.10.1)。k=0\bm{k}=0 の成分は kBT/ak_{\mathrm B} T/a で、β\beta を掛けた β∫G ddr=1/a\beta\int G\,\mathrm{d}^dr=1/a は式 (3.10.20) の磁化率に一致する。応答(磁化率)が揺らぎ(相関関数の積分)で書けるというこの関係は、揺らぎと線形応答の関係(第3部第9章)の1つの例である。

Landau 理論が成り立つ条件

揺らぎを無視してよいのは、長さ ξ\xi の領域で平均した秩序変数の揺らぎが、秩序変数そのものより小さいときである。TcT_{\mathrm c} の両側で大きさは同じなので、∣a∣\lvert a\rvert で書いた大きさの見積もりで比べる(数の因子は省く)。体積 ξd\xi^d で平均した揺らぎの2乗は kBTcχ/ξd=kBTc/(∣a∣ξd)k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}\chi/\xi^d= k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}/(\lvert a\rvert \xi^d)、秩序変数の2乗は m02=∣a∣/bm_0^2=\lvert a\rvert /b なので、条件は

kBTc b∣a∣2 ξd=kBTc b ∣a∣d2−2κ−d2≪1(3.10.29)\frac{ k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}\,b}{\lvert a\rvert ^2\,\xi^d}= k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}\,b\,\lvert a\rvert ^{\frac d2-2}\kappa^{-\frac d2}\ll1\tag{3.10.29}

になる(ξ=κ/∣a∣\xi=\sqrt{\kappa/\lvert a\rvert } を入れた)。これを Ginzburg の判定条件と呼ぶ。T→TcT\to T_{\mathrm c} で ∣a∣→0\lvert a\rvert \to0 なので、d>4d>4 なら左辺は 00 に近づき、Landau 理論は TcT_{\mathrm c} に近づくほど良くなる。d<4d<4 では左辺は発散し、TcT_{\mathrm c} のごく近くで Landau 理論は必ず成り立たなくなる。d=3d=3 では t=(T−Tc)/Tct=(T-T_{\mathrm c})/T_{\mathrm c} を使って条件は∣t∣≫(kBTcb)2/(a0Tcκ3)\lvert t\rvert \gg( k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}b)^2/(a_0T_{\mathrm c}\kappa^3) と書ける。右辺(Ginzburg 数)は、相互作用の届く距離が長いほど(κ\kappa が大きいほど)小さい。相互作用が無限に遠くまで届く Curie–Weiss 模型で Landau 理論が厳密だったのは、この極端な場合に当たる。従来型の超伝導体はコヒーレンス長が長いので Ginzburg 数が非常に小さく、平均場の指数がよく合う。逆に、短距離の相互作用の3次元の系(一軸の磁性体・液体と気体)の指数は表 3.10.1 の右の列になる13次元 Ising 普遍性クラスの値は、共形ブートストラップで得られたスケーリング次元 Δσ=0.5181489(10)\Delta_\sigma=0.5181489(10), Δϵ=1.412625(10)\Delta_\epsilon=1.412625(10)(F. Kos, D. Poland, D. Simmons-Duffin, A. Vichi (2016), J. High Energy Phys. 2016(08), 036)から、ν=1/(3−Δϵ)\nu=1/(3-\Delta_\epsilon), η=2Δσ−1\eta=2\Delta_\sigma-1, β=νΔσ\beta=\nu\Delta_\sigma, γ=ν(2−η)\gamma=\nu(2-\eta), δ=(3−Δσ)/Δσ\delta=(3-\Delta_\sigma)/\Delta_\sigma, α=2−3ν\alpha=2-3\nu で計算した。下の脚注へ。

d=4d=4 が境目になることには意味がある。平均場の指数は、Rushbrooke の関係 α+2β+γ=2\alpha+2\beta+\gamma=2 を満たすが、空間の次元を含む関係 2−α=dν2-\alpha=d\nu は d=4d=4 でだけ満たす。d<4d<4 で正しい指数を得るには、e−βFL[m]\mathrm{e}^{-\beta F_{\mathrm L}[m]} を最大点だけでなく全部の m(r)m(\bm{r}) について積分する必要がある。これは場の経路積分そのもので、短い波長の揺らぎから順に積分していく Wilson の粗視化(くりこみ群)で扱う(第5部第11章)。この章の FL[m]F_{\mathrm L}[m] は、そこでは場の量子論の ϕ4\phi^4 理論の Euclid 作用と同じものとして現れる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 揺らぎの相対的な大きさ(式 (3.10.29) の左辺。Ginzburg 数/∣t∣/\lvert t\rvert)→0\to0 | 証明 要確認(相互作用が無限に遠くまで届く極限では3.10.2節で示したとおり成り立つ。短距離の系で d>4d>4 のとき平均場の臨界指数になることの証明の前提は原論文で確かめていない。d=3d=3 の臨界点の近くでは成り立たない) | 行き先 近似の数理 第13章

例題 3.10.5 磁壁の幅と張力 ★★

オリジナルκ=1\kappa=1, a=−1a=-1, b=1b=1, h=0h=0 の1次元の FL[m]F_{\mathrm L}[m] を考える(長さと自由エネルギーの単位を適当に選んだ)。

  1. (1) m0m_0 と ξ\xi を求め、磁壁の解を書け。
  2. (2) mm が −0.9m0-0.9m_0 から 0.9m00.9m_0 まで変わる区間の長さを求めよ。
  3. (3) 張力 σ\sigma を求め、勾配の項 ∫κ2m′2dx\int\frac{\kappa}{2}m'^2\mathrm{d} x と局所の項 ∫[f(m)−f(m0)]dx\int[f(m)-f(m_0)]\mathrm{d} x がそれぞれ σ/2\sigma/2 であることを確かめよ。
  4. (4) 力学の言葉で、壁の中心 x=0x=0 での「速度」m′(0)m'(0) を求め、そこから打ち出した軌道が確かに右の山の頂上に向かうことを説明せよ。
解答

(1) m0=∣a∣/b=1m_0=\sqrt{\lvert a\rvert /b}=1, ξ=κ/(2∣a∣)=1/2\xi=\sqrt{\kappa/(2\lvert a\rvert )}=1/\sqrt2。m(x)=tanh⁡(x/2)m(x)=\tanh(x/\sqrt2)。

(2) tanh⁡(x/(2ξ))=±0.9\tanh(x/(2\xi))=\pm0.9 から x=±2ξartanh⁡0.9x=\pm2\xi\operatorname{artanh}0.9 で、長さは 4ξartanh⁡0.9=22×1.472=4.164\xi\operatorname{artanh}0.9=2\sqrt2\times1.472=4.16。

(3) 式 (3.10.26) から σ=223=0.943\sigma=\frac{2\sqrt2}{3}=0.943。E=0\mathcal E=0 なので各点で κ2m′2=f(m)−f(m0)\frac{\kappa}{2}m'^2=f(m)-f(m_0) が成り立ち、2つの積分は等しい。数値で積分しても、どちらも 0.4710.471 になる。

(4) 式 (3.10.24) で m=0m=0 と置くと m′(0)=b/(2κ) m02=1/2m'(0)=\sqrt{b/(2\kappa)}\,m_0^2=1/\sqrt2。ポテンシャル −f(m)-f(m) の谷の底(m=0m=0)をこの速さで通過した粒子は、運動エネルギー κ2m′(0)2=14\frac{\kappa}{2}m'(0)^2=\frac14 を持ち、これは谷の底と山の頂上の高さの差 f(0)−f(m0)=bm04/4=14f(0)-f(m_0)=b m_0^4/4=\frac14 にちょうど等しい。したがって粒子は頂上 m=1m=1 に近づくほど遅くなり、無限の時刻をかけて頂上に止まる。数値で κm′′=−m+m3\kappa m''=-m+m^3 を m(0)=0m(0)=0, m′(0)=1/2m'(0)=1/\sqrt2 から積分すると、m(6)=0.9996=tanh⁡(6/2)m(6)=0.9996=\tanh(6/\sqrt2) となる。

1 3次元 Ising 普遍性クラスの値は、共形ブートストラップで得られたスケーリング次元 Δσ=0.5181489(10)\Delta_\sigma=0.5181489(10), Δϵ=1.412625(10)\Delta_\epsilon=1.412625(10)(F. Kos, D. Poland, D. Simmons-Duffin, A. Vichi (2016), J. High Energy Phys. 2016(08), 036)から、ν=1/(3−Δϵ)\nu=1/(3-\Delta_\epsilon), η=2Δσ−1\eta=2\Delta_\sigma-1, β=νΔσ\beta=\nu\Delta_\sigma, γ=ν(2−η)\gamma=\nu(2-\eta), δ=(3−Δσ)/Δσ\delta=(3-\Delta_\sigma)/\Delta_\sigma, α=2−3ν\alpha=2-3\nu で計算した。

木下の勉強ステータス

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