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この章で選ぶ作用:Ginzburg–Landau 汎関数は Euclid の ϕ4\phi^4 理論

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第11章 くりこみ群
目次
  1. 2つの出発点
  2. 同じものであること
  3. 次元を数える
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第11章 §5.11.1 ★★★ βFL\beta F_{\mathrm L} を場 ϕ=βκ m\phi=\sqrt{\beta\kappa}\,m で書き直すと SE=∫[12(∇ϕ)2+12rϕ2+λ4!ϕ4]S_{\mathrm E}=\int[\frac12(\nabla\phi)^2+\frac12r\phi^2+\frac{\lambda}{4!}\phi^4]。次元を数えると d=4d=4 が境目になる理由が見える

第3部第10章では、相転移の近くの自由エネルギーを秩序変数 m(r)m(\bm{r}) の汎関数 FL[m]F_{\mathrm L}[m] とみなし、その最小点だけを取る Landau 理論で臨界指数を出した。同じ章の最後で、Ginzburg の判定条件から、空間の次元が d<4d<4 のとき臨界点のごく近くでこの近似は必ず破れることが分かった。正しい指数を得るには、e−βFL[m]\mathrm{e}^{-\beta F_{\mathrm L}[m]} を最小点だけでなく、すべての m(r)m(\bm{r}) について積分しなければならない。一方、第5部第8章から第5部第10章では、ϕ4\phi^4 理論のループ積分が発散すること、それを正則化して裸の結合と物理的な結合を分けると、結合定数がエネルギーの尺度 μ\mu によって変わるように見えることを見た。

この章では、この2つが同じ問題であることを示す。選ぶものは ϕ4\phi^4 理論の Euclid 作用で、これは FLF_{\mathrm L} を kBTk_{\mathrm B} T で割ったものと文字どおり一致する。当てる道具は Wilson の粗視化で、短い波長の揺らぎだけを積分して消し、長さの尺度を戻す操作である。この操作を繰り返すと、作用の結合定数が流れを作る。出てくるものは3つある。1つ目は、d=4−ϵd=4-\epsilon 次元で現れる Wilson–Fisher 不動点と、そこでの相関長の指数 ν=12+ϵ12\nu=\frac12+\frac{\epsilon}{12} である。2つ目は、場の量子論の β\beta 関数 β(λ)=−ϵλ+3λ2/(16π2)\beta(\lambda)=-\epsilon\lambda+3\lambda^2/(16\pi^2) で、これが Wilson の流れと同じ係数を持つことを確かめる。3つ目は、臨界指数どうしの関係(スケーリング則)と普遍性で、平均場の指数・ϵ\epsilon 展開・3次元 Ising の値を並べる。

この章では ℏ=c=1\hbar=c=1 とし、演算子の帽子を省く(演算子はほとんど出てこない)。統計力学の側では kBTk_{\mathrm B} T は重みの中にくくり込み、Euclid 作用は無次元の量として書く。空間(Euclid 時空)の次元を dd とし、ϵ≔4−d\epsilon\coloneqq4-d と書く(記法の正本で ϵ\epsilon 展開に取ってある字である)。臨界指数 β\beta は逆温度 β\beta と β\beta 関数 β(λ)\beta(\lambda) に重なるので、第3部第7章と同じく βexp\beta_{\mathrm{exp}} と書く。

この節では ℏ=c=1\hbar=c=1 とする。

2つの出発点

第3部第10章の Ginzburg–Landau 汎関数は、外場 h=0h=0 で

FL[m]=∫ddx [κ2(∇m)2+a2m2+b4m4],a=a0(T−Tc(0))(5.11.1)F_{\mathrm L}[m]=\int\mathrm{d}^dx\,\Bigl[\frac{\kappa}{2}(\nabla m)^2+\frac a2m^2+\frac b4m^4\Bigr],\qquad a=a_0(T-T_{\mathrm c}^{(0)})\tag{5.11.1}

であった。ここで Tc(0)T_{\mathrm c}^{(0)} は Landau 理論での転移温度で、揺らぎを入れると本当の転移温度 TcT_{\mathrm c} はこれから少しずれる(5.11.3節)。分配関数は Z=∫Dm e−βFL[m]Z=\int\mathcal Dm\,\mathrm{e}^{-\beta F_{\mathrm L}[m]} で、∫Dm\int\mathcal Dm は各点の m(x)m(\bm{x}) についての積分を表す。

他方、第5部第1章では、実時間の作用に t=−iτt=-\mathrm{i}\tau を入れると iS→−IE\mathrm{i} S\to-I_{\mathrm E} となり、量子統計の分配関数が虚時間の経路積分 ∫Dq e−IE/ℏ\int\mathcal Dq\,\mathrm{e}^{-I_{\mathrm E}/\hbar} になることを見た。同じ置き換えを1成分のスカラー場の Lagrangian 密度L=12∂μϕ∂μϕ−12m02ϕ2−λ4!ϕ4\mathcal L=\frac12\partial_\mu\phi\partial^\mu\phi-\frac12m_0^2\phi^2-\frac{\lambda}{4!}\phi^4 に当てると、∂μϕ∂μϕ=(∂tϕ)2−(∇ϕ)2\partial_\mu\phi\partial^\mu\phi=(\partial_t\phi)^2-(\nabla\phi)^2 の時間微分の符号が反転し、

SE[ϕ]=∫ddx [12(∇ϕ)2+r2ϕ2+λ4!ϕ4],Z=∫Dϕ e−SE[ϕ](5.11.2)S_{\mathrm E}[\phi]=\int\mathrm{d}^dx\,\Bigl[\frac12(\nabla\phi)^2+\frac r2\phi^2+\frac{\lambda}{4!}\phi^4\Bigr],\qquad Z=\int\mathcal D\phi\,\mathrm{e}^{-S_{\mathrm E}[\phi]}\tag{5.11.2}

を得る。ここで ∇\nabla は dd 次元の Euclid 空間(時間を含む)の勾配、r=m02r=m_0^2 である。ZZ は場の量子論では真空の生成汎関数(外から源を入れて微分すると相関関数が出るもの)の源を 00 にしたものである。この作用は、Minkowski 時空では L\mathcal L の運動項から質量 m0m_0 の粒子の伝播を表し、Euclid 空間では各点の ϕ\phi の値の重みを表す。

同じものであること

式 (5.11.1) の βFL\beta F_{\mathrm L} で ϕ≔βκ m\phi\coloneqq\sqrt{\beta\kappa}\,m と置くと、勾配の項は βκ2(∇m)2=12(∇ϕ)2\frac{\beta\kappa}{2}(\nabla m)^2=\frac12(\nabla\phi)^2、2次の項は βa2m2=a2κϕ2\frac{\beta a}{2}m^2=\frac{a}{2\kappa}\phi^2、4次の項は βb4m4=b4βκ2ϕ4\frac{\beta b}{4}m^4=\frac{b}{4\beta\kappa^2}\phi^4 になる。したがって

βFL[m]=SE[ϕ],r=aκ,λ=6b kBTκ2(5.11.3)\beta F_{\mathrm L}[m]=S_{\mathrm E}[\phi],\qquad r=\frac{a}{\kappa},\qquad \lambda=\frac{6b\, k_{\mathrm B} T}{\kappa^2}\tag{5.11.3}

である。2つの理論は、場の規格化と係数の名前を除いて同じ作用を選んでいる。表 5.11.1 に対応をまとめる。

表 5.11.1 統計力学の言葉と場の量子論の言葉
統計力学(第3部第10章)場の量子論(Euclid 化した第5部)
秩序変数 m(x)m(\bm{x})、dd 次元の空間場 ϕ(x)\phi(x)、dd 次元の Euclid 時空
重み e−βFL\mathrm{e}^{-\beta F_{\mathrm L}}重み e−SE\mathrm{e}^{-S_{\mathrm E}}(ℏ\hbar が kBTk_{\mathrm B} T の役)
a/κ=1/ξ2a/\kappa=1/\xi^2(T>TcT>T_{\mathrm c}、相関長 ξ\xi)r=m02r=m_0^2(質量の2乗。1/m01/m_0 は Compton 波長)
bb(4次の係数)結合定数 λ\lambda
格子間隔 alata_{\mathrm{lat}}、Λ∼π/alat\Lambda\sim\pi/a_{\mathrm{lat}}正則化の切断 Λ\Lambda(第5部第9章)
相関関数 ⟨m(x)m(0)⟩\langle m(\bm{x})m(0) \rangle伝播関数 ⟨ϕ(x)ϕ(0)⟩\langle \phi(x)\phi(0) \rangle
臨界点 T→TcT\to T_{\mathrm c}(ξ→∞\xi\to\infty)質量 00 の極限

統計力学の側の Λ\Lambda は、格子があるために短い波長の揺らぎが存在しないことを表す物理的な量である。場の量子論の側の Λ\Lambda は、第5部第9章で導入した正則化のために入れた仮の量で、最後に物理量から消えなければならない。この章で見るとおり、2つの読み方は「Λ\Lambda に比べてずっと長い距離で何が見えるか」という同じ問いに行き着く。

次元を数える

SES_{\mathrm E} は e−SE\mathrm{e}^{-S_{\mathrm E}} の肩に乗るので無次元である。長さの次元を −1-1、運動量(波数)の次元を +1+1 と数えると、ddx\mathrm{d}^dx の次元は −d-d、∇\nabla は +1+1 である。勾配の項 ∫ddx (∇ϕ)2\int\mathrm{d}^dx\,(\nabla\phi)^2 が無次元であることから [ϕ]=(d−2)/2[\phi]=(d-2)/2、そこから

[r]=2,[λ]=4−d=ϵ,[gn]=d−n d−22(ϕn の係数 gn)(5.11.4)[r]=2,\qquad [\lambda]=4-d=\epsilon,\qquad [g_n]=d-n\,\frac{d-2}{2}\quad({\phi^n}\text{ の係数 }{g_n})\tag{5.11.4}

を得る。d=4d=4 では λ\lambda は無次元で、d<4d<4 では λ\lambda は正の次元を持つ。正の次元を持つ結合は、長さ ξ\xi で測った無次元の組み合わせλξ4−d\lambda\xi^{4-d} が ξ\xi とともに大きくなる。臨界点に近づいて ξ→∞\xi\to\infty になると、どれほど小さな λ\lambda も無次元の強さとしては大きくなる。これが、第3部第10章の Ginzburg の判定条件を次元だけで言い直したものである。ξ=κ/∣a∣∝∣t∣−1/2\xi=\sqrt{\kappa/\lvert a\rvert }\propto\lvert t\rvert ^{-1/2}(t=(T−Tc)/Tct=(T-T_{\mathrm c})/T_{\mathrm c})なので

λ ξ4−d∝∣t∣−(4−d)/2(5.11.5)\lambda\,\xi^{4-d}\propto\lvert t\rvert ^{-(4-d)/2}\tag{5.11.5}

で、d<4d<4 では t→0t\to0 で発散し、d>4d>4 では 00 に向かう。d=4d=4 は境目で、そこでは次元の数え方だけでは決まらず、ループの補正が向きを決める(5.11.4節)。

例題 5.11.1 Ginzburg–Landau の係数を ϕ4\phi^4 の言葉に直す ★★★

オリジナル

  1. (1) T>TcT>T_{\mathrm c} で、式 (5.11.3) の rr が相関長 ξ=κ/a\xi=\sqrt{\kappa/a} を使って r=1/ξ2r=1/\xi^2 と書けることを確かめよ。
  2. (2) d=3d=3 で無次元の結合 λξ\lambda\xi を a,b,κ,kBTa,b,\kappa, k_{\mathrm B} T で書け。a=a0Tc∣t∣a=a_0T_{\mathrm c}\lvert t\rvert として、λξ=1\lambda\xi=1 となる ∣t∣\lvert t\rvert を、第3部第10章の Ginzburg 数 Gi=(kBTcb)2/(a0Tcκ3)\mathrm{Gi}=( k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}b)^2/(a_0T_{\mathrm c}\kappa^3) で表せ(T≈TcT\approx T_{\mathrm c} とする)。
  3. (3) d=3d=3 と d=4d=4 で、ϕ2,ϕ4,ϕ6,ϕ8\phi^2,\phi^4,\phi^6,\phi^8 の係数と (∇ϕ)2ϕ2(\nabla\phi)^2\phi^2 の係数の次元を求めよ。
解答

(1) 式 (5.11.3) から r=a/κr=a/\kappa で、ξ2=κ/a\xi^2=\kappa/a なので r=1/ξ2r=1/\xi^2。質量 m0m_0 の場の伝播関数が e−m0∣x∣\mathrm{e}^{-m_0\lvert x\rvert } で減衰することと、第3部第10章の Ornstein–Zernike の相関関数が e−∣x∣/ξ\mathrm{e}^{-\lvert x\rvert /\xi} で減衰することが、m0=1/ξm_0=1/\xi で対応する。

(2) λξ=6bkBTκ2κa=6b kBTκ3/2a1/2\lambda\xi=\dfrac{6b k_{\mathrm B} T}{\kappa^2}\sqrt{\dfrac{\kappa}{a}}=\dfrac{6b\, k_{\mathrm B} T}{\kappa^{3/2}a^{1/2}}。これを 1 と置いて2乗すると 36b2(kBT)2=κ3a0Tc∣t∣36b^2( k_{\mathrm B} T)^2=\kappa^3a_0T_{\mathrm c}\lvert t\rvert、すなわち

∣t∣=36 (kBTcb)2a0Tcκ3=36 Gi.\lvert t\rvert =\frac{36\,( k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}b)^2}{a_0T_{\mathrm c}\kappa^3}=36\,\mathrm{Gi}.

第3部第10章で揺らぎを無視できる条件として出した ∣t∣≫Gi\lvert t\rvert \gg\mathrm{Gi} は、数の因子を除いて「無次元の結合が 1 より小さい」という条件と同じである。

(3) 式 (5.11.4) の [gn]=d−n(d−2)/2[g_n]=d-n(d-2)/2 から、d=3d=3 では ϕ2,ϕ4,ϕ6,ϕ8\phi^2,\phi^4,\phi^6,\phi^8 の順に 2,1,0,−12,1,0,-1、d=4d=4 では 2,0,−2,−42,0,-2,-4。(∇ϕ)2ϕ2(\nabla\phi)^2\phi^2 は ϕ\phi が4つと微分が2つなので、係数の次元は d−2−4(d−2)/2=2−dd-2-4(d-2)/2=2-d で、d=3d=3 で −1-1、d=4d=4 で −2-2 である。次の節で見るとおり、次元が正の係数は粗視化で大きくなり、負の係数は小さくなる。d=3d=3 で ϕ6\phi^6 がちょうど 00 になるのは、3次元の三重臨界点で ϕ6\phi^6 の項が臨界の振る舞いを決めることに対応している。

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