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この章で選ぶ HH:2次式の Hamiltonian と基準振動

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第6章 等分配則と調和振動子の集まり
目次
  1. 平衡の近くで2次まで展開する
  2. 線形の正準変換で振動子に分ける
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部 第6章 §3.6.1 ★★★ 平衡の近くの HH は pp と qq の2次式で、線形の正準変換で独立な調和振動子の和 ∑k(Pk2+ωk2Qk2)/2\sum_k(P_k^2+\omega_k^2Q_k^2)/2 に分かれる

この章では、運動量についても座標についても2次式で書ける Hamiltonian を選ぶ。固体の中の原子、分子の中の原子核、空洞の中の電磁場は、平衡の位置からのずれが小さい範囲で、どれもこの形の HH で表される。2次式の HH は、第1部の正準変換で互いに独立な調和振動子の和に書き直すことができる(3.6.1節)。

当てる道具は、第3部第3章のカノニカル分布 ρ=e−βH/Z\rho=\mathrm{e}^{-\beta H}/Z と、相空間での部分積分である。部分積分を1回行うと、HH の形によらずに成り立つ一般化された等分配定理⟨za ∂H/∂zb⟩=δabkBT\langle z_a\,\partial H/\partial z_b \rangle =\delta_{ab} k_{\mathrm B} T が出る(3.6.2節)。出てくるものは3つある。第一は、2次の項1つあたり平均 12kBT\frac12 k_{\mathrm B} T のエネルギーが入るという等分配則と、そこから出る気体・分子・固体の比熱である(3.6.3節)。第二は、個々の振動子の座標とエネルギーの揺らぎの大きさで、静的な揺らぎが質量によらないことと、揺らぎが比熱で決まることを示す(3.6.4節)。第三は、振動子を量子力学で扱ったときに等分配則が成り立たなくなることで、低温で比熱が 00 へ下がる理由と、空洞の放射で古典論が発散する理由がここで分かる(3.6.5節)。最後に、気体分子運動論・熱力学の比熱・力学のビリアル定理と並べ(3.6.6節)、まとめと総合問題で終える。

記号は記法の正本に従う。自由度を ff、相空間の点を z=(q1,…,qf,p1,…,pf)z=(q_1,\dots,q_f,p_1,\dots,p_f) と書く。この章には温度 TT が出てくるので、運動エネルギーには TT を使わず、∑ipi2/(2mi)\sum_ip_i^2/(2m_i) と書くか EkinE_{\mathrm{kin}} と書く。振動の周期にも TT を使わない。基準座標には QkQ_k, PkP_k を使う。この章には熱 QQ が出てこないので、字が重なっても紛れない。

平衡の近くで2次まで展開する

ff 自由度の系で、座標 qiq_i を平衡の位置からのずれに取る。Hamiltonian が

H(q,p)=∑i=1fpi22mi+V(q)(3.6.1)H(q,p)=\sum_{i=1}^{f}\frac{p_i^2}{2m_i}+V(q)\tag{3.6.1}

の形で、VV が q=0q=0 で極小を持つとする。VV を q=0q=0 のまわりで展開すると、1次の項は極小の条件 ∂V/∂qi=0\partial V/\partial q_i=0 で消えるので、

V(q)=V(0)+12∑i,jKij qiqj+O(q3),Kij=∂2V∂qi∂qj∣q=0(3.6.2)V(q)=V(0)+\frac12\sum_{i,j}K_{ij}\,q_iq_j+\mathcal{O}(q^3),\qquad K_{ij}=\frac{\partial^2V}{\partial q_i\partial q_j}\Big|_{q=0}\tag{3.6.2}

である。行列 KK はばね定数を並べたもので、対称で、極小なので固有値は負にならない。V(0)=0V(0)=0 とし、3次以上の項を捨てる。熱運動の振幅が VV の形の変わる長さに比べて小さいとき、つまり温度が十分低いとき、捨てた項は小さい。この章で選ぶ Hamiltonian は、運動エネルギーと KK の2次形式の和

H=∑i=1fpi22mi+12∑i,jKij qiqj(3.6.3)H=\sum_{i=1}^{f}\frac{p_i^2}{2m_i}+\frac12\sum_{i,j}K_{ij}\,q_iq_j\tag{3.6.3}

である。固体の原子の振動(第2部第4章)、分子の振動(第2部第1章 の小振動と基準振動)、空洞の電磁場の各モード(第2部第6章)は、どれもこの形になる。

線形の正準変換で振動子に分ける

式 (3.6.3) は、KK の非対角成分があるために振動子どうしが結合している。結合を外すには2段の変数の取り替えを行う。1段目は質量で重みを付けた変数

yi=mi qi,πi=pimi(3.6.4)y_i=\sqrt{m_i}\,q_i,\qquad \pi_i=\frac{p_i}{\sqrt{m_i}}\tag{3.6.4}

で、{yi,πj}=mi δij/mj=δij\{y_i,\pi_j\}=\sqrt{m_i}\,\delta_{ij}/\sqrt{m_j}=\delta_{ij} なので正準変換である(第1部第12章)。この変数で H=12∑iπi2+12∑i,jDijyiyjH=\frac12\sum_i\pi_i^2+\frac12\sum_{i,j}D_{ij}y_iy_j、Dij=Kij/mimjD_{ij}=K_{ij}/\sqrt{m_im_j} となる。DD は実対称行列なので、直交行列 OO(OTO=1O^{\mathsf T}O=1)でOTDO=diag(ω12,…,ωf2)O^{\mathsf T}DO=\mathrm{diag}(\omega_1^2,\dots,\omega_f^2) と対角化することができる。2段目は

Qk=∑iOik yi,Pk=∑iOik πi(3.6.5)Q_k=\sum_iO_{ik}\,y_i,\qquad P_k=\sum_iO_{ik}\,\pi_i\tag{3.6.5}

で、座標と運動量に同じ直交行列を当てる。{Qk,Pl}=∑iOikOil=δkl\{Q_k,P_l\}=\sum_iO_{ik}O_{il}=\delta_{kl}、{Qk,Ql}={Pk,Pl}=0\{Q_k,Q_l\}=\{P_k,P_l\}=0 なので、これも正準変換である。運動エネルギーは直交変換で形を変えず 12∑iπi2=12∑kPk2\frac12\sum_i\pi_i^2=\frac12\sum_kP_k^2、位置エネルギーは対角化されて、

H=∑k=1f(Pk22+ωk2Qk22)(3.6.6)H=\sum_{k=1}^{f}\Bigl(\frac{P_k^2}{2}+\frac{\omega_k^2Q_k^2}{2}\Bigr)\tag{3.6.6}

を得る。QkQ_k を基準座標、ωk\omega_k を基準角振動数と呼ぶ。ff 自由度の結合した系が、互いに独立な ff 個の調和振動子の集まりになった。並進や回転のように VV が変わらない動きには ωk=0\omega_k=0 が対応し、その QkQ_k については HH に運動量の項だけが残る。

この変換は線形で、Jacobi 行列式は1段目が ∏imi⋅∏i(1/mi)=1\prod_i\sqrt{m_i}\cdot\prod_i(1/\sqrt{m_i})=1、2段目が (det⁡O)2=1(\det O)^2=1 である。したがって相空間の体積要素は dfq dfp=dfQ dfP\mathrm{d}^fq\,\mathrm{d}^fp=\mathrm{d}^fQ\,\mathrm{d}^fP で、どちらの変数で数えても同じである(第3部第1章 の Liouville の定理と同じく、正準変換は体積を保つ)。統計力学の積分を基準座標で行ってよいのはこのためである。

例題 3.6.1 2つの振動子をばねでつなぐ ★★

オリジナル質量 mm の2つの物体が、それぞればね定数 kk のばねで壁につながれ、互いにばね定数 kck_{\mathrm c} のばねでつながっている。平衡からのずれを q1q_1, q2q_2 とする。

  1. (1) HH を書き、行列 KK と基準角振動数 ω±\omega_\pm を求めよ。
  2. (2) 基準座標 Q±Q_\pm を q1q_1, q2q_2 で表し、HH が式 (3.6.6) の形になることを確かめよ。
  3. (3) kc=k/2k_{\mathrm c}=k/2 のとき ω±\omega_\pm を k/m\sqrt{k/m} で表せ。
解答

(1) H=p12+p222m+k2q12+k2q22+kc2(q1−q2)2H=\dfrac{p_1^2+p_2^2}{2m}+\dfrac k2q_1^2+\dfrac k2q_2^2+\dfrac{k_{\mathrm c}}2(q_1-q_2)^2 で、2次形式を読み取るとK=(k+kc−kc−kck+kc)K=\begin{pmatrix}k+k_{\mathrm c}&-k_{\mathrm c}\\-k_{\mathrm c}&k+k_{\mathrm c}\end{pmatrix}。D=K/mD=K/m の固有値は、固有ベクトル (1,1)/2(1,1)/\sqrt2 に対して k/mk/m、(1,−1)/2(1,-1)/\sqrt2 に対して (k+2kc)/m(k+2k_{\mathrm c})/m なので、ω+=k/m\omega_+=\sqrt{k/m}、ω−=(k+2kc)/m\omega_-=\sqrt{(k+2k_{\mathrm c})/m}。

(2) OO の列が上の2つの固有ベクトルなので、Q±=m (q1±q2)/2Q_\pm=\sqrt{m}\,(q_1\pm q_2)/\sqrt2、P±=(p1±p2)/2mP_\pm=(p_1\pm p_2)/\sqrt{2m}。逆に解いて q1,2=(Q+±Q−)/2mq_{1,2}=(Q_+\pm Q_-)/\sqrt{2m} を入れると、k2(q12+q22)=k2m(Q+2+Q−2)\frac k2(q_1^2+q_2^2)=\frac{k}{2m}(Q_+^2+Q_-^2)、kc2(q1−q2)2=kcmQ−2\frac{k_{\mathrm c}}2(q_1-q_2)^2=\frac{k_{\mathrm c}}{m}Q_-^2 で、運動エネルギーは 12(P+2+P−2)\frac12(P_+^2+P_-^2) になる。合わせて H=12(P+2+ω+2Q+2)+12(P−2+ω−2Q−2)H=\frac12(P_+^2+\omega_+^2Q_+^2)+\frac12(P_-^2+\omega_-^2Q_-^2)。Q+Q_+ は2つが同じ向きに動く振動で間のばねが伸び縮みせず、Q−Q_- は逆向きに動く振動で間のばねも縮むので振動数が高い。

(3) ω+=k/m\omega_+=\sqrt{k/m}、ω−=2k/m=1.41k/m\omega_-=\sqrt{2k/m}=1.41\sqrt{k/m}。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの kBT/ΔV→0k_{\mathrm B} T/\Delta V\to0(熱のエネルギーが、VV が2次式から外れはじめるエネルギーの幅 ΔV\Delta V に比べて小さい) | 証明 条件付き(VV の極小が孤立していて非退化 det⁡K>0\det K>0〔ωk=0\omega_k=0 の方向は別に扱う〕。熱平均の主要項が2次の項で決まることは Laplace の方法の漸近展開。次の補正は kBTk_{\mathrm B} T の1次) | 行き先 近似の数理 第2章

木下の勉強ステータス

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