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授業で習った形との対応

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第11章 Berry 曲率と異常速度
目次
  1. 半古典運動の式
  2. Hall 効果
  3. 実空間と 空間の対応表
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部 第11章 §4.11.6 ★★ 授業の半古典運動の式は Ωn=0\bm{\Omega}_n=0 の場合。時間反転と空間反転が両方あれば Ωn=0\bm{\Omega}_n=0 なので、多くの物質で Berry 項を落としてよい

半古典運動の式

固体物理の授業では、バンドの電子の運動を

r˙=1ℏ∇kεn(k),ℏk˙=−e(E+r˙×B)\dot{\bm{r}}=\frac1\hbar\nabla_{\bm{k}}\varepsilon _n(\bm{k}),\qquad\hbar\dot{\bm{k}}=-e(\bm{E}+\dot{\bm{r}}\times\bm{B})

の2本で教える。この章の式 (4.11.12) との違いは異常速度 −k˙×Ωn-\dot{\bm{k}}\times\bm{\Omega}_n だけで、授業の式は Ωn=0\bm{\Omega}_n=0 の場合に当たる。解析力学の言葉では、授業の式は (r,ℏk)(\bm{r},\hbar\bm{k}) を正準変数とみなした式であり、この章の式は1階の Lagrangian (4.11.3) から出した式である。多くの物質で授業の式が問題なく使えるのは、次の対称性の制約があるためである。

命題 4.11.3(対称性と Berry 曲率)

スピンを考えない電子について、

  1. 時間反転対称性(H^(−k)=H^(k)∗\hat H(-\bm{k})=\hat H(\bm{k})^*)があれば Ωn(−k)=−Ωn(k)\bm{\Omega}_n(-\bm{k})=-\bm{\Omega}_n(\bm{k})。
  2. 空間反転対称性(H^(−k)=PH^(k)P−1\hat H(-\bm{k})=P\hat H(\bm{k})P^{-1}、PP はユニタリ)があれば Ωn(−k)=Ωn(k)\bm{\Omega}_n(-\bm{k})=\bm{\Omega}_n(\bm{k})。

両方あれば Ωn≡0\bm{\Omega}_n\equiv0 である。時間反転だけでも、式 (4.11.15) の積分は打ち消し合って σxy=0\sigma_{xy}=0 になる。

証明は例題 4.11.6 で行う。異常 Hall 効果が強磁性体(時間反転が破れている)で見つかり、量子異常 Hall 効果に磁性が必要なのはこのためである。時間反転を保ったまま空間反転を破った物質(六方晶の窒化ホウ素のような副格子の異なる2次元結晶)では、Ωn\bm{\Omega}_n は 00 でないが k\bm{k} について奇関数で、全体の Hall 伝導度は 00 になる。それでも k\bm{k} 空間の一部(谷)だけを取り出すと横向きの運動が残る。これが総合問題の主題である。

Hall 効果

授業の Hall 効果は Drude 模型で、Hall 係数 RH=−1/(nee)R_{\mathrm H}=-1/(n_{\mathrm e}e)(電子の場合)を出す。Hall 抵抗率 ρxy=RHB\rho_{xy}=R_{\mathrm H}B は磁場に比例する。ハミルトニアンの選び方で固体を考える(ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部第4章・第5部第5章)では電流を xx 向きに流して yy 向きの電場を測る量を ρyx=Ey/jx\rho_{yx}=E_y/j_x と書き、ρyx=RHB\rho_{yx}=R_{\mathrm H}B となる。この節の ρxy\rho_{xy} はその ρyx\rho_{yx} と同じ量である(伝導度 σxy\sigma_{xy} の定義 jx=σxyEyj_x=\sigma_{xy}E_y は両巻で同じ)。強磁性体では、これに磁化 M\bm{M} に比例する項が加わり、ρxy=R0B+Rsμ0∣M∣\rho_{xy}=R_0B+R_{\mathrm s}\mu_0\lvert \bm{M}\rvert の形に整理されることが多い(R0R_0 が普通の Hall 係数、RsR_{\mathrm s} が異常 Hall 係数)。この章の式 (4.11.15) は、第2項のうち散乱によらない部分を Berry 曲率で与える。磁化が Berry 曲率に入るのは、スピンと軌道の結合を通して、磁化の向きがバンドの unku_{n\bm{k}} の形を変えるためである。散乱を伴う寄与(散乱の非対称性による skew 散乱、散乱の瞬間の横ずれによる side jump)は、この章の半古典の Lagrangian だけでは出ず、第3部第8章の衝突の項に Berry 位相を入れた扱いが要る(ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部第5章、ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部第5章)。

授業の量子 Hall 効果は、Landau 準位を ν\nu 本詰めたときの σxy=−νe2/h\sigma_{xy}=-\nu e^2/h(符号の流儀は上と同じ)で教える。この章の式 (4.11.17) は、Landau 準位に限らず、ギャップのある任意のバンド絶縁体の Hall 伝導度を Chern 数で与える。Landau 準位も(磁場の中の周期系として見ると)Chern 数 11 のバンドで、例題 4.11.5 (1) の一致はその一例である。磁場の無い格子の模型でも Chern 数が 00 でないバンドは作れて、図 4.11.2 はその例である(最初の例は F. D. M. Haldane (1988), Phys. Rev. Lett. 61, 2015 の六方格子の模型)。

実空間と k\bm{k} 空間の対応表

この章の式は、第2部第2章の磁場の中の粒子と、r↔k\bm{r}\leftrightarrow\bm{k} を入れ替えた対応になっている。

実空間の磁場(第2部第2章)k\bm{k} 空間の Berry 曲率(この章)
ポテンシャルA(r)\bm{A}(\bm{r})An(k)=i⟨unk∣∇kunk⟩\bm{A}_n(\bm{k})=\mathrm{i}\langle u_{n\bm{k}} | \nabla_{\bm{k}}u_{n\bm{k}} \rangle
Lagrangian の項−er˙⋅A(r)-e\dot{\bm{r}}\cdot\bm{A}(\bm{r})ℏk˙⋅An(k)\hbar\dot{\bm{k}}\cdot\bm{A}_n(\bm{k})
場B=∇×A\bm{B}=\nabla\times\bm{A}Ωn=∇k×An\bm{\Omega}_n=\nabla_{\bm{k}}\times\bm{A}_n
運動方程式の項ℏk˙∋−er˙×B\hbar\dot{\bm{k}}\ni-e\dot{\bm{r}}\times\bm{B}r˙∋−k˙×Ωn\dot{\bm{r}}\ni-\dot{\bm{k}}\times\bm{\Omega}_n
交換しない量{kx,ky}=−eB/ℏ2\{k_x,k_y\}=-eB/\hbar^2{x,y}=Ωn/ℏ\{x,y\}=\Omega_n/\hbar
ゲージ変換A→A+∇Λ\bm{A}\to\bm{A}+\nabla\LambdaAn→An+∇kχ\bm{A}_n\to\bm{A}_n+\nabla_{\bm{k}}\chi
閉じた道の位相Aharonov–Bohm 位相Berry 位相
湧き出し無い(∇⋅B=0\nabla\cdot\bm{B}=0)縮退点(±12\pm\frac12 の流束を出す Dirac 点)

最後の行は、例題 4.11.1 と例題 4.11.4 で見たように、バンドが縮退する点が Berry 曲率の湧き出し(k\bm{k} 空間の磁気単極子)として振る舞うことを指す。ギャップが開いている限り湧き出しはバンドの中に無く、Chern 数は変わらない。

例題 4.11.6 時間反転と空間反転が Berry 曲率に課す制約 ★★

オリジナル命題 4.11.3 を証明せよ。バンドは縮退していないとし、ゲージは都合よく選んでよい(Ωn\bm{\Omega}_n はゲージによらないので)。

解答

(1) H^(k)unk=εn(k)unk\hat H(\bm{k})u_{n\bm{k}}=\varepsilon _n(\bm{k})u_{n\bm{k}} の複素共役をとると H^(k)∗unk∗=εnunk∗\hat H(\bm{k})^*u_{n\bm{k}}^*=\varepsilon _nu_{n\bm{k}}^*、すなわち H^(−k)unk∗=εn(k)unk∗\hat H(-\bm{k})u_{n\bm{k}}^*=\varepsilon _n(\bm{k})u_{n\bm{k}}^*。縮退が無いので un,−ku_{n,-\bm{k}} は unk∗u_{n\bm{k}}^* に比例し、ゲージを選んで un,−k=unk∗u_{n,-\bm{k}}=u_{n\bm{k}}^* とすることができる。このとき

An(−k)=i⟨un,−k∣(∇un)(−k)⟩.\bm{A}_n(-\bm{k})=\mathrm{i}\langle u_{n,-\bm{k}} | (\nabla u_n)(-\bm{k}) \rangle .

(∇un)(−k)(\nabla u_n)(-\bm{k}) は unu_n の勾配を −k-\bm{k} で評価したもので、un(k′)=un(−k′)∗u_n(\bm{k}')=u_n(-\bm{k}')^* を k′\bm{k}' で微分して k′=−k\bm{k}'=-\bm{k} とおくと(∇un)(−k)=−[(∇un)(k)]∗(\nabla u_n)(-\bm{k})=-\bigl[(\nabla u_n)(\bm{k})\bigr]^*。よって An(−k)=−i⟨unk∗∣(∇unk)∗⟩=−i⟨unk∣∇unk⟩∗\bm{A}_n(-\bm{k})=-\mathrm{i}\langle u_{n\bm{k}}^* | (\nabla u_{n\bm{k}})^* \rangle =-\mathrm{i}\langle u_{n\bm{k}} | \nabla u_{n\bm{k}} \rangle ^*。⟨u∣∇u⟩=−iAn\langle u | \nabla u \rangle =-\mathrm{i}\bm{A}_n は純虚数なので、その共役は iAn\mathrm{i}\bm{A}_n で、An(−k)=−i⋅iAn(k)=An(k)\bm{A}_n(-\bm{k})=-\mathrm{i}\cdot\mathrm{i}\bm{A}_n(\bm{k})=\bm{A}_n(\bm{k}) となる。An\bm{A}_n が偶関数なら、その回転は奇関数である(k→−k\bm{k}\to-\bm{k} で微分の向きが反転する)。よって Ωn(−k)=−Ωn(k)\bm{\Omega}_n(-\bm{k})=-\bm{\Omega}_n(\bm{k})。Brillouin 域は k→−k\bm{k}\to-\bm{k} で自分自身に移るので、奇関数の積分は 00、したがって Cn=0C_n=0 で、f0(εn(k))=f0(εn(−k))f_0(\varepsilon _n(\bm{k}))=f_0(\varepsilon _n(-\bm{k}))(同じ計算で εn\varepsilon _n は偶関数)から σxy=0\sigma_{xy}=0 も従う。

(2) 同様に H^(−k)Punk=PH^(k)unk=εnPunk\hat H(-\bm{k})Pu_{n\bm{k}}=P\hat H(\bm{k})u_{n\bm{k}}=\varepsilon _nPu_{n\bm{k}} なので、ゲージを選んで un,−k=Punku_{n,-\bm{k}}=Pu_{n\bm{k}}。PP はユニタリで k\bm{k} によらないからAn(−k)=i⟨Pu∣(∇un)(−k)⟩\bm{A}_n(-\bm{k})=\mathrm{i}\langle Pu | (\nabla u_n)(-\bm{k}) \rangle で、un(k′)=Pun(−k′)u_n(\bm{k}')=Pu_n(-\bm{k}') を微分すると (∇un)(−k)=−P(∇un)(k)(\nabla u_n)(-\bm{k})=-P(\nabla u_n)(\bm{k})。よって An(−k)=−i⟨Pu∣P∇u⟩=−An(k)\bm{A}_n(-\bm{k})=-\mathrm{i}\langle Pu | P\nabla u \rangle =-\bm{A}_n(\bm{k})(奇関数)、その回転は偶関数で Ωn(−k)=Ωn(k)\bm{\Omega}_n(-\bm{k})=\bm{\Omega}_n(\bm{k})。

両方あれば Ωn(k)=−Ωn(−k)=−Ωn(k)\bm{\Omega}_n(\bm{k})=-\bm{\Omega}_n(-\bm{k})=-\bm{\Omega}_n(\bm{k}) なので Ωn=0\bm{\Omega}_n=0 である。数値でも確かめられる。図 4.11.2 の Qi–Wu–Zhang 模型は P=σzP=\sigma_z について空間反転対称で時間反転対称でなく、Ω(−k)=Ω(k)\Omega(-\bm{k})=\Omega(\bm{k}) を満たす。副格子の段差のある六方格子の模型(時間反転対称・空間反転なし)では Ω(−k)=−Ω(k)\Omega(-\bm{k})=-\Omega(\bm{k}) で、Chern 数は 00 になる。

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