この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部 第11章 §4.11.7 ★★★ 1階の Lagrangian の を読むと、Berry 曲率は磁場と同じ形で に入り、位置の括弧を からずらす。そのずれが異常速度・量子化した Hall 伝導度・状態の数の補正になる
この章では、第10章の Lagrangian に、Bloch 関数の周期部分が運ぶ Berry 位相の項 を足した1階の Lagrangian (4.11.3) を選んだ。1階の Lagrangian では、 の回転 の逆行列が Poisson 括弧になる(命題 4.11.1)。この道具を当てると、位置の成分どうしの括弧が となり、波束の中心 は正準変数でないことが分かる。運動方程式には異常速度 が付き、それは電場に垂直で仕事をしない。占有された状態について足すと Hall 伝導度 が出て、バンドが詰まっていれば Brillouin 域が閉じた面であることから と量子化される。電子1つ1つで見ると、Bloch 振動の1周期ごとに平均 格子間隔だけ横にずれることに当たる。磁場と Berry 曲率がそろうと、Liouville の定理で保たれる体積が になり、そこから Středa の式が出る。授業の半古典運動の式は の場合で、時間反転と空間反転が両方ある物質ではそれで正しい。
総合問題 2つの谷を持つ Dirac 模型と谷 Hall 効果 ★★★
オリジナル副格子の段差のある六方格子(時間反転対称・空間反転なし)の2次元結晶では、Brillouin 域の2つの角(谷 , )の近くでギャップが最も狭く、そこでの有効 Hamiltonian は
と書ける( は谷の中心から測った波数。D. Xiao, W. Yao and Q. Niu (2007), Phys. Rev. Lett. 99, 236809 が谷による Berry 曲率の違いを論じた模型)。 とおく。
- (1) (使う道具:4.11.1節・第4部第9章の Berry 位相)谷 の下のバンドの Berry 曲率が であることを、例題 4.11.1 の結果と、 が平面の向きを反転させることから示せ。
- (2) (使う道具:4.11.4節・4.11.6節)Fermi 準位がギャップの中にあるとき、谷 の下のバンドからの Hall 伝導度 を式 (4.11.15) で求めよ(谷の外の寄与は考えない)。2つの谷の和と差(谷 Hall 伝導度 )を求め、和が命題 4.11.3 と合うことを確かめよ。
- (3) (使う道具:4.11.3節・第4部第10章の半古典運動)伝導帯の底に電子を少し入れ、 方向の電場をかける。谷 の電子の異常速度の向きを求め、試料の両端に何がたまるかを述べよ。
- (4) (使う道具:4.11.5節) 方向の弱い磁場 をかけ、化学ポテンシャルをギャップの中に固定する。谷 の下のバンドの電子の面密度の変化 を求め、2つの谷の和が であることと、(2) の結果が Středa の式を谷ごとに満たすことを確かめよ。
- (5) (使う道具:4.11.4節・第3部第8章の平衡分布)絶対零度で、化学ポテンシャル が伝導帯の中(、エネルギーはギャップの中央から測る)にあるとき、谷 の を求めよ。、 のときの を数値で求めよ。
解答
(1)(4.11.1節・第4部第9章) は例題 4.11.1 の模型そのもので 。 は と置き換えたもので、Berry 接続 は と移り、回転 の符号が反転する。第9章の言葉では、 の向き が 平面の小さな円を回るときに掃く立体角の符号が で変わり、Berry 位相( 囲んだ流束)の符号も変わる。よって 。
(2)(4.11.4節・4.11.6節)例題 4.11.1 (3) から 。式 (4.11.15) に入れて
和は 、差は 。時間反転は谷 を谷 に移し()、命題 4.11.3 (1) の が谷どうしの曲率の符号の違いとして現れている。全体の Hall 伝導度は で命題と合う。
(3)(4.11.3節・第4部第10章)伝導帯は で、底では 。電場 のもとで異常速度は で、谷 の電子は 、谷 の電子は へ流れる(大きさは例題 4.11.3 と同じ)。電荷の流れは打ち消し合うが、試料の の端には谷 の電子、 の端には谷 の電子がたまる(谷 Hall 効果)。電荷はたまらないので普通の Hall 電圧は出ないが、谷の偏りは谷ごとに異なる円偏光の吸収などで見分けられる。
(4)(4.11.5節)式 (4.11.25) の第1式を谷ごとに使うと。和は で、磁場をかけても全電子数は変わらない(片方の谷で増え、他方で減る)。 は (2) の に等しく、谷ごとに Středa の式が成り立つ。
(5)(4.11.4節・第3部第8章)絶対零度の平衡分布 は、下のバンドすべてと、伝導帯のうち 、すなわち の円を占める。下のバンドの寄与は 、伝導帯の寄与は例題 4.11.1 (3) の半径 の円の流束に符号を付けて 。合計は
(バンドの底)で (2) の値に戻り、 を上げると に比例して小さくなる。曲率が集まっている底の近くの状態が、上のバンドの逆符号の曲率で打ち消されるためである。、 では 。金属になると Hall 伝導度は量子化されず、Fermi 準位の位置によって連続的に変わる。
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