解答
(1) 例題 1.2.6(1) と同じく ∣ψ(t)⟩=cos(Ωt/2)∣g⟩+isin(Ωt/2)∣e⟩。Pe=sin2(Ωt/2)=1/2 になる最初の時刻は Ωt=π/2 で、
∣ψ1⟩=21(∣g⟩+i∣e⟩).
(2) 基底 (∣e⟩,∣g⟩) で ∣ψ1⟩=21(i,1)T。σx∣ψ1⟩=21(1,i)T なので ⟨σx⟩=21(−i⋅1+1⋅i)=0。σy∣ψ1⟩=21(−i,−1)T=−∣ψ1⟩ なので ⟨σy⟩=−1(∣ψ1⟩ は σy の固有値 −1 の固有状態)。σz∣ψ1⟩=21(i,−1)T なので ⟨σz⟩=21(1−1)=0。σx2=σz2=1^ なので (Δσx)2=1−0=1、(Δσz)2=1、積は 1。右辺は [σx,σz]=−2iσy から21∣⟨−2iσy⟩∣=21⋅2=1。両辺が 1 で等号である。
(3) ∣ψ1⟩ は σy=−1 の固有状態なので、Q3 から確率 1 で −1 が出る。先に σz を測ると、Q4 により確率 21 ずつで ∣e⟩ か ∣g⟩ になる。どちらからでも σy=−1 の確率は ∣⟨y−∣e⟩∣2=∣⟨y−∣g⟩∣2=21 なので、全体でも 21。途中の σz の測定で σy の確定した値が失われる。
(4) σz⊗σz は積基底で対角で、∣↑↑⟩・∣↓↓⟩ で +1、∣↑↓⟩・∣↓↑⟩ で −1。∣+⟩∣+⟩=21∑i,j∣ij⟩ なので、各成分に e∓iθ が掛かって
C=21(e−iθeiθeiθe−iθ),detC=41(e−2iθ−e2iθ)=−2isin2θ.
detC=0、すなわち積状態に戻るのは θ=Jt=kπ/2(k は整数)。∣detC∣ は θ=π/4+kπ/2 で最大値 1/2 を取り、これは例題 1.2.5 の ∣Φ+⟩ と同じ大きさ(∣detC∣=1/2 は2量子ビットの最大値で、そのとき Schmidt 係数が 1/2 ずつにそろう)。
(5) θ=π/4 の状態を ∣Ψ1⟩ とする。σzB は H^ と交換するので ⟨σzB⟩=⟨+∣σz∣+⟩=0。σxB は (6) の結果を先取りすると⟨σxB⟩=cos(π/2)=0。σyB は、(6) と同じ計算で U^†σyBU^=σyBcos2θ+σzAσxBsin2θ となり、∣+⟩∣+⟩ での期待値は ⟨σy⟩+cos2θ+⟨σz⟩+⟨σx⟩+sin2θ=0⋅cos2θ+0⋅1⋅sin2θ=0。3つとも 0 である。1量子ビットの単位ベクトル ∣ϕ⟩ は 1.2.1 節の Bloch 球の点 (θϕ,φϕ) で書け、その向き nϕ では⟨ϕ∣nϕ⋅σ∣ϕ⟩=1 になるので、(⟨σx⟩,⟨σy⟩,⟨σz⟩) の長さは必ず 1 である。長さが 0 になる ∣ϕ⟩ は無い。A で何を測っても B のこの統計は変わらない((1.2.14))。
(6) U^=e−iθσz⊗σz は、A が ∣↑⟩ の部分では B に e−iθσz、∣↓⟩ の部分では e+iθσz として作用する。eiθσzσxe−iθσz=σxcos2θ−σysin2θ(σzσx=iσy を使って (2) の例題と同じ展開をする)なので、A の値 ±1 をまとめて σzA と書けば
U^†(1^⊗σx)U^=1^⊗σxcos2Jt−σz⊗σysin2Jt.
Heisenberg 描像では ∣+⟩∣+⟩ で期待値を取り、⟨σx⟩+=1、⟨σz⟩+=0 から ⟨σxB⟩=cos2Jt。Schrödinger 描像では (4) の係数を使い、σxB は B の添字を入れ替えるので ⟨σxB⟩=∑i(Ci↑∗Ci↓+Ci↓∗Ci↑)=41(2e2iθ+2e−2iθ)=cos2θ。両者は一致し、命題 1.2.10(a) の例になっている。θ=π/4 では3成分がすべて 0 なので、B の統計は Tr(ρ^Bn⋅σ)=0 を満たす ρ^B=211^ で書ける。実際 (ρ^B)jj′=∑iCijCij′∗ を計算すると211^ になる。ρ^B2=411^=ρ^B なので、命題 1.2.10(b) の逆向きは使えず、ベクトルには戻らない。この ρ^B が、第1部第1章の地図で「状態ベクトル → 密度行列」の橋を渡った先の対象で、第4部第2章で部分トレースとして定義し直す。