解答
(1) {q3,p2}=6q2p に (Q3) を当て、補題 10.1.5 の Q(q3)=q^3, Q(p2)=p^2 を使うとQ(q2p)=[q^3,p^2]/(6iℏ)=21(q^2p^+p^q^2)(補題 10.1.6)。エルミート共役を取ると q^2p^ と p^q^2 が入れ替わるだけなので、エルミートである。公式 (10.1.4) で a=2,b=1 とすると 41(p^q^2+2q^p^q^+q^2p^) で、q^p^q^=q^2p^−iℏq^, p^q^2=q^2p^−2iℏq^ を代入すると q^2p^−iℏq^ となり、Q(q2p) の標準の順序の形 (10.1.7) と一致する。
(2) f=q3, g=p3 では fqqq=6, gppp=6 だけが残り、{{q3,p3}}=9q2p2−24ℏ2⋅36=9q2p2−23ℏ2。f=q2p, g=qp2 では fqqp=2, gqpp=2 だけが残り、{{q2p,qp2}}=3q2p2−24ℏ2(−3⋅2⋅2)=3q2p2+21ℏ2。したがって 91{{q3,p3}}−31{{q2p,qp2}}=(q2p2−6ℏ2)−(q2p2+6ℏ2)=−3ℏ2。式 (10.1.13) から、これを Weyl 順序で写したものが式 (10.1.9) と (10.1.10) の差 −32ℏ2+31ℏ2=−31ℏ2 に一致する。
(3) f=q2 では ∂pf=0, ∂qf=2q なので Xq2=−2q∂p、θ(Xq2)=0 で、Qpre(q2)=q2+2iℏq∂p。一方 Qpre(q)2=(q+iℏ∂p)2=q2+2iℏq∂p−ℏ2∂p2(q と ∂p は交換する)。差は Qpre(q2)−Qpre(q)2=ℏ2∂p2。[∂p2,q+iℏ∂p]=0 と [∂p2,−iℏ∂q]=0 なので、差は q^, p^ の両方と交換する。補題 10.1.3 の証明は「両方と交換するので定数」という (Q4) の推論を使うが、前量子化では ℏ2∂p2 のように定数でない演算子が両方と交換するので、この推論が使えない。そのため Qpre(q2) は Qpre(q)2 と一致しなくてよく、Groenewold の議論は第1段で止まる。前量子化では [Qpre(q3),Qpre(p3)]=9iℏQpre(q2p2) が厳密に成り立つ(検算で確かめた)。
(4) 式 (10.1.9)・(10.1.10) と QW[q2p2] はどれも q^2p^2−2iℏq^p^ に定数を足した形なので、⟨q^2p^2−2iℏq^p^⟩0 を求めればよい。ψ0′=−xψ0/ℏ, ψ0′′=(x2/ℏ2−1/ℏ)ψ0 からp^2ψ0=(ℏ−x2)ψ0, q^p^ψ0=ix2ψ0 で、⟨x2⟩0=ℏ/2, ⟨x4⟩0=3ℏ2/4 を使うと
⟨q^2p^2⟩0=ℏ⟨x2⟩0−⟨x4⟩0=−4ℏ2,⟨−2iℏq^p^⟩0=−2iℏ⋅i2ℏ=ℏ2.
和は 43ℏ2。したがって ⟨QW[q2p2]⟩0=43ℏ2−21ℏ2=4ℏ2、1つ目の道は 43ℏ2−32ℏ2=12ℏ2、2つ目の道は 43ℏ2−31ℏ2=125ℏ2。Wigner 関数での平均は W0 が q と p の独立な Gauss 分布の積なので ⟨q2⟩⟨p2⟩=2ℏ⋅2ℏ=4ℏ2 で、Weyl 順序の期待値と一致する。Wigner 関数による位相空間の平均が Weyl 順序の期待値に等しいこと(この巻の補足の表の ⟨A^⟩=∫WAWdxdp)の例であり、Groenewold の2つの候補は Weyl 順序から ±ℏ2/6 ずれている。