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この章のまとめ

2026年10月17日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第10部 第1章 Dirac の夢と Groenewold–van Hove の定理

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第10部 第1章 §10.1.7 ★★★ 要請 (Q1)〜(Q4) は2次まではかない、3次で矛盾する。どれを外すかで第10部の残りと第5部が決まる

この章では、量子化を「古典の関数から演算子への写像 Q\mathcal Q」と見て、線形性 (Q1)・実はエルミートへ (Q2)・括弧の保存 (Q3)・既約性 (Q4) を課した。q,pq,p の2次以下の多項式では、Weyl 順序がこの4つを厳密に満たし、しかも要請を満たす写像は Weyl 順序ただ1つである(命題 10.1.2、補題 10.1.3)。3次の多項式を含めると、(Q3) と (Q4) によって qnq^n, pnp^n, q2pq^2p, qp2qp^2 の量子化が順に決まり、q2p2q^2p^2 の量子化が2通りに決まって定数 ℏ2/3\hbar^2/3 だけ食い違う。これが Groenewold の定理で、van Hove は滑らかな関数全体に、Gotay らは球面の相空間に同じ型の主張を広げた。

食い違いの大きさは ℏ2\hbar^2 に比例する。Weyl 順序の交換子は Poisson 括弧でなく Moyal 括弧を厳密に写し、Moyal 括弧の ℏ2\hbar^2 の項は両方の関数を3階ずつ微分するので、2次以下では消える。同じ古典の関数に対する順序の違いも ℏ2\hbar^2 の項として現れ、有効質量が位置で変わる構造では meV の大きさの有効ポテンシャルになる。

定理のあとに残る道は3つある。(Q4) を外せば前量子化がすべての関数で (Q1)〜(Q3) を満たし、写す関数を pp について1次以下に絞れば偏極で既約性を取り戻せる。この2つを順に組み合わせるのが幾何学的量子化で、第10部第2章で道具(微分形式とシンプレクティック形式)を準備し、第3章で前量子化、第4章で偏極を組み立てる。もう1つの道は (Q3) の括弧を Moyal 括弧に変形するもので、第5部と第10部第6章で扱う。

総合問題 3次の多項式を3つの道で量子化する ★★★

オリジナル1自由度の相空間 (q,p)(q,p) で、q2pq^2p, qp2qp^2, q2p2q^2p^2 の量子化を、Weyl 順序・Moyal 括弧・前量子化の3つの道で比べる。

  1. (1) (使う道具:10.1.2節・10.1.3節)要請 (Q1)〜(Q4) から Q(q2p)\mathcal Q(q^2p) を求め、エルミートであることと、Weyl 順序の公式 (10.1.4) で a=2,b=1a=2,b=1 としたものに一致することを確かめよ。
  2. (2) (使う道具:10.1.5節)展開 (10.1.14) を使って { ⁣{q3,p3} ⁣}\{\!\{q^3,p^3\}\!\} と { ⁣{q2p,qp2} ⁣}\{\!\{q^2p,qp^2\}\!\} を求め、19{ ⁣{q3,p3} ⁣}−13{ ⁣{q2p,qp2} ⁣}\frac19\{\!\{q^3,p^3\}\!\}-\frac13\{\!\{q^2p,qp^2\}\!\} が Groenewold の食い違い −ℏ2/3-\hbar^2/3 に一致することを示せ。
  3. (3) (使う道具:10.1.4節/第10部第3章)前量子化の式 (10.1.11) で Qpre(q2)\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q^2) を求め、Qpre(q)2\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q)^2 との差を求めよ。その差が Qpre(q)\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q), Qpre(p)\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(p) の両方と交換することを確かめ、補題 10.1.3 の証明が前量子化では成り立たない理由を述べよ。
  4. (4) (使う道具:10.1.3節/共通例題①・第5部第2章)調和振動子の基底状態 ψ0(x)=(πℏ)−1/4e−x2/(2ℏ)\psi_0(x)=(\pi\hbar)^{-1/4}\mathrm{e}^{-x^2/(2\hbar)}(m=ω=1m=\omega=1 となる単位)で、Groenewold の2つの候補 (10.1.9)・(10.1.10) と QW[q2p2]\mathcal Q_{\mathrm W}[q^2p^2] の期待値を求めよ。また Wigner 関数 W0(q,p)=1πℏe−(q2+p2)/ℏW_0(q,p)=\frac{1}{\pi\hbar}\mathrm{e}^{-(q^2+p^2)/\hbar} で古典の関数 q2p2q^2p^2 を平均した値と比べ、どれと一致するか答えよ。
解答

(1) {q3,p2}=6q2p\{q^3,p^2\}=6q^2p に (Q3) を当て、補題 10.1.5 の Q(q3)=q^3\mathcal Q(q^3)=\hat q^3, Q(p2)=p^2\mathcal Q(p^2)=\hat p^2 を使うとQ(q2p)=[q^3, p^2]/(6iℏ)=12(q^2p^+p^q^2)\mathcal Q(q^2p)=\left[\hat q^3,\,\hat p^2\right]/(6\mathrm{i}\hbar)=\frac12(\hat q^2\hat p+\hat p\hat q^2)(補題 10.1.6)。エルミート共役を取ると q^2p^\hat q^2\hat p と p^q^2\hat p\hat q^2 が入れ替わるだけなので、エルミートである。公式 (10.1.4) で a=2,b=1a=2,b=1 とすると 14(p^q^2+2q^p^q^+q^2p^)\frac14(\hat p\hat q^2+2\hat q\hat p\hat q+\hat q^2\hat p) で、q^p^q^=q^2p^−iℏq^\hat q\hat p\hat q=\hat q^2\hat p-\mathrm{i}\hbar\hat q, p^q^2=q^2p^−2iℏq^\hat p\hat q^2=\hat q^2\hat p-2\mathrm{i}\hbar\hat q を代入すると q^2p^−iℏq^\hat q^2\hat p-\mathrm{i}\hbar\hat q となり、Q(q2p)\mathcal Q(q^2p) の標準の順序の形 (10.1.7) と一致する。

(2) f=q3f=q^3, g=p3g=p^3 では fqqq=6f_{qqq}=6, gppp=6g_{ppp}=6 だけが残り、{ ⁣{q3,p3} ⁣}=9q2p2−ℏ224⋅36=9q2p2−32ℏ2\{\!\{q^3,p^3\}\!\}=9q^2p^2-\frac{\hbar^2}{24}\cdot36=9q^2p^2-\frac32\hbar^2。f=q2pf=q^2p, g=qp2g=qp^2 では fqqp=2f_{qqp}=2, gqpp=2g_{qpp}=2 だけが残り、{ ⁣{q2p,qp2} ⁣}=3q2p2−ℏ224(−3⋅2⋅2)=3q2p2+12ℏ2\{\!\{q^2p,qp^2\}\!\}=3q^2p^2-\frac{\hbar^2}{24}(-3\cdot2\cdot2)=3q^2p^2+\frac12\hbar^2。したがって 19{ ⁣{q3,p3} ⁣}−13{ ⁣{q2p,qp2} ⁣}=(q2p2−ℏ26)−(q2p2+ℏ26)=−ℏ23\frac19\{\!\{q^3,p^3\}\!\}-\frac13\{\!\{q^2p,qp^2\}\!\}=\bigl(q^2p^2-\frac{\hbar^2}{6}\bigr)-\bigl(q^2p^2+\frac{\hbar^2}{6}\bigr)=-\frac{\hbar^2}{3}。式 (10.1.13) から、これを Weyl 順序で写したものが式 (10.1.9) と (10.1.10) の差 −23ℏ2+13ℏ2=−13ℏ2-\frac23\hbar^2+\frac13\hbar^2=-\frac13\hbar^2 に一致する。

(3) f=q2f=q^2 では ∂pf=0\partial_pf=0, ∂qf=2q\partial_qf=2q なので Xq2=−2q ∂pX_{q^2}=-2q\,\partial_p、θ(Xq2)=0\theta(X_{q^2})=0 で、Qpre(q2)=q2+2iℏ q ∂p\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q^2)=q^2+2\mathrm{i}\hbar\,q\,\partial_p。一方 Qpre(q)2=(q+iℏ∂p)2=q2+2iℏ q ∂p−ℏ2∂p2\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q)^2=(q+\mathrm{i}\hbar\partial_p)^2=q^2+2\mathrm{i}\hbar\,q\,\partial_p-\hbar^2\partial_p^2(qq と ∂p\partial_p は交換する)。差は Qpre(q2)−Qpre(q)2=ℏ2∂p2\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q^2)-\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q)^2=\hbar^2\partial_p^2。[∂p2, q+iℏ∂p]=0\left[\partial_p^2,\,q+\mathrm{i}\hbar\partial_p\right]=0 と [∂p2, −iℏ∂q]=0\left[\partial_p^2,\,-\mathrm{i}\hbar\partial_q\right]=0 なので、差は q^\hat q, p^\hat p の両方と交換する。補題 10.1.3 の証明は「両方と交換するので定数」という (Q4) の推論を使うが、前量子化では ℏ2∂p2\hbar^2\partial_p^2 のように定数でない演算子が両方と交換するので、この推論が使えない。そのため Qpre(q2)\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q^2) は Qpre(q)2\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q)^2 と一致しなくてよく、Groenewold の議論は第1段で止まる。前量子化では [Qpre(q3), Qpre(p3)]=9iℏ Qpre(q2p2)\left[\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q^3),\,\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(p^3)\right]=9\mathrm{i}\hbar\,\mathcal Q_{\mathrm{pre}}(q^2p^2) が厳密に成り立つ(検算で確かめた)。

(4) 式 (10.1.9)・(10.1.10) と QW[q2p2]\mathcal Q_{\mathrm W}[q^2p^2] はどれも q^2p^2−2iℏq^p^\hat q^2\hat p^2-2\mathrm{i}\hbar\hat q\hat p に定数を足した形なので、⟨q^2p^2−2iℏq^p^⟩0\langle \hat q^2\hat p^2-2\mathrm{i}\hbar\hat q\hat p \rangle _0 を求めればよい。ψ0′=−xψ0/ℏ\psi_0'=-x\psi_0/\hbar, ψ0′′=(x2/ℏ2−1/ℏ)ψ0\psi_0''=(x^2/\hbar^2-1/\hbar)\psi_0 からp^2ψ0=(ℏ−x2)ψ0\hat p^2\psi_0=(\hbar-x^2)\psi_0, q^p^ψ0=ix2ψ0\hat q\hat p\psi_0=\mathrm{i} x^2\psi_0 で、⟨x2⟩0=ℏ/2\langle x^2 \rangle _0=\hbar/2, ⟨x4⟩0=3ℏ2/4\langle x^4 \rangle _0=3\hbar^2/4 を使うと

⟨q^2p^2⟩0=ℏ⟨x2⟩0−⟨x4⟩0=−ℏ24,⟨−2iℏq^p^⟩0=−2iℏ⋅iℏ2=ℏ2.\langle \hat q^2\hat p^2 \rangle _0=\hbar\langle x^2 \rangle _0-\langle x^4 \rangle _0=-\frac{\hbar^2}{4},\qquad \langle -2\mathrm{i}\hbar\hat q\hat p \rangle _0=-2\mathrm{i}\hbar\cdot\mathrm{i}\frac{\hbar}{2}=\hbar^2.

和は 34ℏ2\frac34\hbar^2。したがって ⟨QW[q2p2]⟩0=34ℏ2−12ℏ2=ℏ24\langle \mathcal Q_{\mathrm W}[q^2p^2] \rangle _0=\frac34\hbar^2-\frac12\hbar^2=\frac{\hbar^2}{4}、1つ目の道は 34ℏ2−23ℏ2=ℏ212\frac34\hbar^2-\frac23\hbar^2=\frac{\hbar^2}{12}、2つ目の道は 34ℏ2−13ℏ2=5ℏ212\frac34\hbar^2-\frac13\hbar^2=\frac{5\hbar^2}{12}。Wigner 関数での平均は W0W_0 が qq と pp の独立な Gauss 分布の積なので ⟨q2⟩⟨p2⟩=ℏ2⋅ℏ2=ℏ24\langle q^2 \rangle \langle p^2 \rangle =\frac{\hbar}{2}\cdot\frac{\hbar}{2}=\frac{\hbar^2}{4} で、Weyl 順序の期待値と一致する。Wigner 関数による位相空間の平均が Weyl 順序の期待値に等しいこと(この巻の補足の表の ⟨A^⟩=∫WAW dx dp\langle \hat A \rangle =\int WA_{\mathrm W}\,\mathrm{d} x\,\mathrm{d} p)の例であり、Groenewold の2つの候補は Weyl 順序から ±ℏ2/6\pm\hbar^2/6 ずれている。

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