解答
(1) r=x2+y2 は p を含まないので {r,pr}=∂x∂r∂px∂pr+∂y∂r∂py∂pr=rxrx+ryry=1。また pr2+pφ2/r2=r2(xpx+ypy)2+(xpy−ypx)2=r2(x2+y2)(px2+py2)=px2+py2(交差項 2xypxpy が打ち消し合う)なので、H=(px2+py2)/(2m)+V は与えられた形になる。
(2) 部分積分すると
∫0∞ϕ∗(−iℏψ′)rdr=∫0∞(−iℏϕ′)∗ψrdr+iℏ∫0∞ϕ∗ψdr
(境界項は r=0 で r が、r→∞ で関数が0にするので消える)。右辺の最後の項は一般に0でないので、−iℏ∂r は対称でない。古典の qp を q^p^ と量子化したときと同じく、片側に寄せた順序が自己共役性を壊している。対称化すると、p^⋅n^ψ=−iℏ∇⋅(nψ)=−iℏ(n⋅∇ψ+(∇⋅n)ψ) で、2次元では ∇⋅n=1/r、n⋅∇=∂r なので
p^r=21(−iℏ∂r−iℏ∂r−iℏ/r)=−iℏ(∂r+2r1).
同じ部分積分で、余分な項 iℏ∫ϕ∗ψdr が −iℏ/(2r) の寄与で打ち消され、p^r は対称になる。
(3) p^r2R=−ℏ2(∂r+2r1)2R=−ℏ2(R′′+r1R′−2r21R+4r21R)=−ℏ2(R′′+r1R′)+4r2ℏ2R。2次元の Laplacian は ∇2=∂r2+r1∂r+r21∂φ2 で、p^φ=−iℏ∂φ だから
−2mℏ2∇2=2mp^r2−8mr2ℏ2+2mr2p^φ2,
すなわち与えられた形になる。−ℏ2/(8mr2) は、デカルト座標で量子化した演算子を極座標の演算子 p^r で書き直したときに、p^r と 1/r が交換しないために残った項で、古典の極限 ℏ→0 で消える。極座標で処方を直接当てると、この項は出てこない。
(4) p^φ2 の固有値 ℓ2ℏ2 を入れると、(3) の H^ の遠心力の項は ℏ2(ℓ2−1/4)/(2mr2) になる。u=rR と置くと r(∂r+2r1)(u/r)=u′ なので、p^r は u の上で −iℏ∂r と働き、p^r2/(2m) は −2mℏ2u′′ になる。したがって u の方程式の遠心力の項は 2mr2ℏ2(ℓ2−41) のままで、与えられた形と比べて ν2=ℓ2、ν=∣ℓ∣。エネルギーは E=ℏω(2nr+∣ℓ∣+1) である。N=2nr+∣ℓ∣ を固定すると、(nr,ℓ) の組は ℓ=N,N−2,…,−N の N+1 個あり、デカルト座標の nx+ny=N を満たす (nx,ny) の数 N+1 と一致する。基底は N=0 の E=ℏω、E=3ℏω は (nr,ℓ)=(1,0),(0,±2) の3重である。
(5) H^′ では遠心力の項が ℏ2ℓ2/(2mr2)=ℏ2((ℓ2+41)−41)/(2mr2) になるので、ν=ℓ2+1/4。ℓ=0 の基底は E=ℏω(21+1)=1.5ℏω で、正しい値 ℏω より 0.5ℏω 高い。E=3ℏω の3重の準位は、(nr,ℓ)=(1,0) が ℏω(2+21+1)=3.5ℏω、(0,±2) が ℏω(17/2+1)=3.06ℏω に分かれ、デカルト座標の答えにある縮退が壊れる。∣ℓ∣ が大きいと ℓ2+1/4−∣ℓ∣≈1/(8∣ℓ∣) で(ℓ=10 で 0.0125)、角運動量が ℏ に比べて大きい古典的な状態ほど誤差は小さい。順序(座標の選び方)の違いが ℏ2 の項として現れ、ℏ→0 では消えるという2.2.4 節と同じ構造である。正しい答えはデカルト座標で量子化した方で、位相空間の言葉では Weyl の順序で px2+py2 を量子化したもの(2次式なので曖昧さが無い)に当たる。