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何の実験の量で確かめるか・授業で習った形との対応

2026年10月15日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第1章 つなぎ:原子の列の L から基準振動へ
目次
  1. 長波長の傾き:音速と弾性定数
  2. の光学モード:赤外吸収と Raman 散乱
  3. Brillouin 域全体:中性子の非弾性散乱
  4. 模型が合わなくなる条件
  5. 授業で習った形との対応
  6. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第3部 第1章 §3.1.6 ★★★ 分散 ωs(k)\omega_s(\bm{k}) は、k→0k\to0 の傾きを超音波、k≈0\bm{k}\approx0 の光学モードを赤外吸収と Raman 散乱、Brillouin 域全体を中性子の非弾性散乱で測る

長波長の傾き:音速と弾性定数

k→0\bm{k}\to0 の音響の枝の傾きは音速そのものである。超音波のパルスを結晶に通して往復の時間を測れば、方向ごと・偏りごとの音速が分かり、式 (3.1.12) から弾性定数が決まる。これは分散の原点のすぐ近くだけを見る測り方で、Brillouin 域の大部分は見えない。

k≈0\bm{k}\approx0 の光学モード:赤外吸収と Raman 散乱

光で振動を測ると、光の波数が格子の逆格子に比べて非常に小さいので、運動量の保存から k≈0\bm{k}\approx0 のモードしか見えない(例題 3.1.6)。k≈0\bm{k}\approx0 で振動数が 00 でないのは光学モードだけなので、光で見えるのは光学モードの Γ\Gamma 点(k=0\bm{k}=0)の振動数である。赤外吸収では、単位胞の双極子を振動させる TO モードが同じ振動数の光を吸収する。イオン結晶では TO と LO の間の振動数の光が結晶の中を伝われず、強く反射される。Raman 散乱では、入射光が振動で変調された分極率に散乱され、振動数が ωs(0)\omega_s(0) だけずれた光が出てくる。どのモードが赤外と Raman のどちらで見えるかは、モードの振れ方の対称性で決まる。光での測定の詳細は 第3部第3章で扱う。

Brillouin 域全体:中性子の非弾性散乱

分散を Brillouin 域の全体で測れるのは、熱中性子の非弾性散乱である。入射中性子の波数を ki\bm{k}_{\mathrm i}・エネルギーを EiE_{\mathrm i}、散乱後を kf\bm{k}_{\mathrm f}・EfE_{\mathrm f} とすると、フォノンを1つ作る散乱では

Ei−Ef=ℏωs(q),ki−kf=q+G(3.1.16)E_{\mathrm i}-E_{\mathrm f}=\hbar\omega_s(\bm{q}),\qquad \bm{k}_{\mathrm i}-\bm{k}_{\mathrm f}=\bm{q}+\bm{G}\tag{3.1.16}

が成り立つ。2つ目の式は 第1部第3章の Laue 条件に、フォノンの結晶運動量 q\bm{q} を足したものである。逆格子ベクトル G\bm{G} の分だけの不定性は、q\bm{q} を Brillouin 域に戻すことで取り除く。散乱の前後の波数とエネルギーを測れば、1回の測定で分散の上の点 (q,ωs(q))(\bm{q},\omega_s(\bm{q})) が1つ決まる。熱中性子は、波長が格子間隔と同じ程度で、エネルギーがフォノンと同じ程度(数十 meV)なので、波数の変化とエネルギーの変化の両方を同時に精度よく測れる。X 線は同じ波長で keV のエネルギーを持つので、meV のエネルギーの変化を測るには非常に高い分解能が要る。

模型が合わなくなる条件

測った分散がこの章の調和の模型からずれる典型は、3.1.5 節で削ったものに対応して3つある。温度を上げると振動数が下がり、ピークの幅が広がる(非調和性。フォノンの寿命が有限になる)。金属では 2kF2k_{\mathrm F} で分散に折れ目が入る(Kohn 異常。Born–Oppenheimer 近似の下で電子の遮蔽が Φ\Phi に入れたもの)。イオン結晶では k→0\bm{k}\to0 で LO と TO が分かれる(長距離の Coulomb 力)。

例題 3.1.6 光・中性子・X 線の波数とエネルギー ★★

オリジナル格子定数 a=0.5 nma=0.5\,\mathrm{nm} の結晶の Brillouin 域の端 π/a\pi/a と、振動数 ν=10 THz\nu=10\,\mathrm{THz} のフォノンを考える。

  1. (1) 波長 500 nm500\,\mathrm{nm} の可視光の波数は π/a\pi/a の何倍か。
  2. (2) エネルギー 25 meV25\,\mathrm{meV} の中性子の波長と波数を求め、π/a\pi/a と比べよ(中性子の質量 1.675×10−27 kg1.675\times10^{-27}\,\mathrm{kg})。
  3. (3) フォノンのエネルギー hνh\nu を meV で、Raman 分光で使う波数の単位 ν/c\nu/c を cm−1\mathrm{cm^{-1}} で求めよ。(2) と同じ波長の X 線のエネルギーとも比べよ。
解答

(1) (2π/λ)/(π/a)=2a/λ=2×0.5/500=2.0×10−3(2\pi/\lambda)/(\pi/a)=2a/\lambda=2\times0.5/500=2.0\times10^{-3}。光の波数は Brillouin 域の幅の千分の1ほどしかなく、光が作るか消すフォノンは k≈0\bm{k}\approx0 に限られる。

(2) λ=h/2mnE=6.626×10−34/2×1.675×10−27×4.01×10−21=0.181 nm\lambda=h/\sqrt{2m_{\mathrm n}E}=6.626\times10^{-34}/\sqrt{2\times1.675\times10^{-27}\times4.01\times10^{-21}}=0.181\,\mathrm{nm}、波数 2π/λ=34.7 nm−12\pi/\lambda=34.7\,\mathrm{nm^{-1}}。π/a=6.28 nm−1\pi/a=6.28\,\mathrm{nm^{-1}} の5倍ほどで、散乱の角度を選べば Brillouin 域のどこの q\bm{q} にも届く。

(3) hν=6.626×10−34×1013/1.602×10−19 J eV−1=41.4 meVh\nu=6.626\times10^{-34}\times10^{13}/1.602\times10^{-19}\,\mathrm J\,\mathrm{eV^{-1}}=41.4\,\mathrm{meV}、ν/c=333.6 cm−1\nu/c=333.6\,\mathrm{cm^{-1}}。25 meV の中性子がこのフォノンを吸収すると、エネルギーは 66.4 meV66.4\,\mathrm{meV} になり、始めの 2.65 倍に変わる。一方、波長 0.181 nm0.181\,\mathrm{nm} の X 線のエネルギーは hc/λ=6.85 keVhc/\lambda=6.85\,\mathrm{keV} で、フォノンのエネルギーはその 6.0×10−66.0\times10^{-6} にすぎない。中性子が分散の測定に向くのは、波数とエネルギーの両方がフォノンと同じ尺度にあるからである。

授業で習った形との対応

学部の固体物理の授業では、格子振動を Lagrangian を経ずに Newton の運動方程式から始めることが多い。1原子の列なら、ばね定数を CC として

Md2usdt2=C(us+1+us−1−2us),us=u ei(ska−ωt) ⇒ ω2=4CMsin⁡2ka2M\frac{\mathrm{d}^2u_s}{\mathrm{d} t^2}=C(u_{s+1}+u_{s-1}-2u_s),\qquad u_s=u\,\mathrm{e}^{\mathrm{i}(ska-\omega t)}\ \Rightarrow\ \omega^2=\frac{4C}{M}\sin^2\frac{ka}{2}

と書く。この章の形との対応は次のとおりである。Newton の運動方程式は式 (3.1.1) の Euler–Lagrange 方程式そのもので、ばね定数 CC はこの章の KK である。平面波を仮定することは、この章では「番号ずらしで LL が変わらないので、ずらしの固有状態に選べる」という対称性の議論で正当化した。授業では仮定として置き、解が見つかることで事後に確かめる。2原子の列も、授業では

M1u¨s=C(vs+vs−1−2us),M2v¨s=C(us+1+us−2vs),ω2=C(1M1+1M2)±C(1M1+1M2)2−4sin⁡2(ka/2)M1M2\begin{gathered}M_1\ddot u_s=C(v_s+v_{s-1}-2u_s),\qquad M_2\ddot v_s=C(u_{s+1}+u_s-2v_s),\\ \omega^2=C\Bigl(\frac{1}{M_1}+\frac{1}{M_2}\Bigr)\pm C\sqrt{\Bigl(\frac{1}{M_1}+\frac{1}{M_2}\Bigr)^2-\frac{4\sin^2(ka/2)}{M_1M_2}}\end{gathered}

の形で習う。これは式 (3.1.7)・(3.1.9) と同じ式で、違いは振幅を 1/M1/\sqrt{M} で割って動的行列 (3.1.8) をエルミートにしたかどうかだけである。エルミートにしておくと、固有値 ω2\omega^2 が実数であること、固有ベクトルが直交して基準座標になること、3次元・多原子への一般化 (3.1.6) が、行列の一般論からそのまま従う。3次元の格子振動は授業では弾性波の式 ρu¨=⋯\rho\ddot{\bm{u}}=\cdots から音速 C11/ρ\sqrt{C_{11}/\rho} を出す形で習うことが多く、これは 3.1.3 節の長波長の極限 (3.1.12) に当たる。

ほかの巻では

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