何の実験の量で確かめるか・授業で習った形との対応
AI 生成・木下が未勉強
ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第3部 第2章 §3.2.6 ★★ 比熱は定圧で、膨張は格子定数で、Grüneisen 定数は圧力をかけた振動数で、熱伝導は試料の太さと同位体を変えて測る
測る量
比熱は、熱量計で定圧比熱 を測る。理論で出しやすいのは定積比熱 で、両者は熱力学の恒等式
で結ばれる(1次元版は 3.2.5 節で使った)。右辺は熱膨張の2乗に比例するので、熱膨張が小さい低温ではほとんど 0 で、高温では数% になる。低温の比熱を と の関係として描くと、絶縁体では原点を通る直線( 則)、金属では切片(電子の比熱の係数)を持つ直線になり、格子と電子の寄与を分けることができる。
熱膨張は、試料の長さを直接測る膨張計か、X 線回折の Bragg 角から格子定数を温度ごとに読む方法(第1部第3章)で測る。後者は結晶の格子定数そのものを測るので、試料の中の空孔の増加など格子定数以外の伸びと区別することができる。
Grüneisen 定数は、Grüneisen の関係 (3.2.16) を逆に使って ・・ から平均の を出すか、圧力をかけたときの振動数の変化をRaman 散乱や中性子の非弾性散乱で測ってモードごとの を出す(第3部第3章)。2つの方法の結果を比べることが、準調和近似の検査になる。
熱伝導率は、試料の一端を温め他端を冷やして温度の勾配と熱流を測る。3.2.4 節の描像の検査になるのは2つで、低温の熱伝導率が試料の太さに比例すること(境界散乱)と、同位体の割合を変えると極大の高さが変わること(質量の違いによる の散乱)である。同位体をそろえた Ge の結晶(T. H. Geballe and G. W. Hull (1958), Phys. Rev. 110, 773)や、 をそろえたダイヤモンド(T. R. Anthony et al. (1990), Phys. Rev. B 42, 1104)で、熱伝導率が天然の組成の結晶より高くなることが測られている。
授業で習った形との対応
学部の固体物理の授業では、この章の内容を次の形で習うことが多い。非調和性は1次元の振動子のポテンシャル で導入し、古典の Boltzmann 分布で平均をとって
を出す( は振動子1つの運動エネルギーを含めた比熱)。この章の係数との対応は 、、 で、代入すると式 (3.2.11) と式 (3.2.9) に一致する。授業の形は「振動子1つ」の計算だが、この章ではそれが「張力 0 の鎖の結合1本」であり、したがって比熱は定圧比熱に当たることを明示した。
熱伝導は、気体の分子運動論の式 をフォノンに当てはめる形で習い、U 過程は「 が Brillouin 域の外に出る過程」として図で説明される。この章では、運動論の式を Boltzmann 方程式の緩和時間近似の1次の解として導き(式 (3.2.20))、U 過程が要る理由を、N 過程がずれた Planck 分布を緩和させないこと(命題 3.2.2)として示した。「結晶運動量が だけずれてよい」ことの根拠は、式 (3.2.5) の 、すなわち離散的な並進対称性である。
例題 3.2.7 実験値の組から Grüneisen 定数を出す ★★
オリジナルある立方晶の金属の格子について、 で体膨張率 、体積弾性率 、モル体積 、格子の定積モル比熱 が得られたとする。
- (1) Grüneisen の関係 (3.2.16) から を求めよ。
- (2) 式 (3.2.26) から をモルあたりで求め、 に対する割合を出せ。
- (3) の測定値が を超えていたとき、その超過を何で説明できるか、この章の結果を使って述べよ。
解答
(1) 。
(2) 。 の である。
(3) 調和近似の は高温で に止まる。 がそれを超える原因は3つある。第一が (2) の で、熱膨張に伴う分である(準調和近似で計算できる部分)。第二が一定体積での非調和性による の に比例する補正(式 (3.2.25)。符号はポテンシャルの形による)。第三は金属なら伝導電子の比熱で、これも に比例する。3つを分けるには、低温の 対 の切片で電子の分を、熱膨張と弾性率の測定で を別に決め、残りを一定体積の非調和性とみなす。
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