物理のための微分幾何入門 第14章 §14.8
- 14.1-1 V=a∂q+b∂p とすると、次のとおりである。
ω(V,V)=dp(V)dq(V)−dq(V)dp(V)=ba−ab=0
n=1 の行列は次のとおりで、行列式は1である。したがって正則である。
Ω=(01−10)
2. 14.1-2 q=eq′ なので ∂q/∂q′=q である。(14.2) から p′=qp となる。dq′=dq/q なので、p′dq′=pdq となる。2形式は次のとおりである。
dp′∧dq′=(pdq+qdp)∧qdq=qpdq∧dq+dp∧dq=dp∧dq
3. 14.1-3 σi=dpi∧dqi とすると σi∧σi=0 である。2形式どうしは可換なので、次を得る。
ω∧ω=σ1∧σ2+σ2∧σ1=2dp1∧dq1∧dp2∧dq2
4つの1形式 dp1,dq1,dp2,dq2 は1次独立なので、これは0でない。補題 14.17 の n=2 の場合である。4. 14.1-4 2つの外微分は次のとおりで、等しい。
dθ1=dp∧dq,dθ2=−dq∧dp=dp∧dq
差は θ1−θ2=pdq+qdp=d(pq) で、関数 pq の外微分である。正準2形式を与える1形式は、完全形式を足す自由度を除いてしか決まらない。5. 14.2-1 qi は運動量によらないので、(14.11) の第2項は0である。
{qi,pj}=k∑∂qk∂qi∂pk∂pj=k∑δikδjk=δij
{qi,qj} の各項は、位置の運動量による微分を含むので0である。同様に {pi,pj} の各項は、運動量の位置による微分を含むので0である。6. 14.2-2 (14.9) から XH=(p/m)∂q−mg∂p である。方程式 q˙=p/m、p˙=−mg を解いて、次を得る。
q(t)=q0+mp0t−21gt2,p(t)=p0−mgt
Hamiltonian に代入して展開すると、時刻を含む項は打ち消し合う。
2m(p0−mgt)2+mg(q0+mp0t−21gt2)=2mp02+mgq0
7. 14.2-3 0でない偏微分は次のとおりである。
∂y∂Lx=pz,∂z∂Lx=−py,∂py∂Lx=−z,∂pz∂Lx=y,∂x∂Ly=−pz,∂z∂Ly=px,∂px∂Ly=z,∂pz∂Ly=−x
(14.11) の和では、x と y の項は0になる。残るのは3つ目の座標の項だけである。
{Lx,Ly}=∂z∂Lx∂pz∂Ly−∂pz∂Lx∂z∂Ly=(−py)(−x)−ypx=xpy−ypx=Lz
8. 14.2-4 Jacobi 恒等式 (14.13) で、3つの関数を F,G,H とする。
{{F,G},H}=−{{G,H},F}−{{H,F},G}
仮定から {G,H}=0 で、{H,F}=−{F,H}=0 である。右辺の2項はどちらも0との括弧なので0で、{F,G} は保存量である。9. 14.2-5 X=a∂q+b∂p とすると ιX(dq∧dp)=adp−bdq である。これを −dH と比べると、次の方程式になる。
q˙=−∂p∂H,p˙=∂q∂H
これは Hamilton 方程式の時間を逆にしたものである。調和振動子では q˙=−p/m、p˙=mω02q である。q 軸の正の側から出ると運動量が正の側へ進むので、反時計回りに回る。10. 14.3-1 XH=(p/m)∂q−V′(q)∂p である。第1成分は位置によらず、第2成分は運動量によらない。したがって、発散は次のとおり0である。
divXH=∂q∂mp+∂p∂(−V′(q))=0
11. 14.3-2 方程式は q˙=∂H/∂p=q と p˙=−∂H/∂q=−p である。解は q=q0et、p=p0e−t である。正方形は、次の長方形に移る。
et≤q≤2et,e−t≤p≤2e−t
面積は et×e−t=1 で変わらない。位置の方向に伸びた分だけ、運動量の方向に縮む。12. 14.3-3 変数を ui=pi/2m、vi=m/2ω0qi に取り替える。すると H=∑i(ui2+vi2) となる。エネルギーが E 以下の領域は、新しい変数で4次元の球である。体積要素は次のように変わる。
d2qd2p=(2m)⋅mω022d2ud2v=ω024d2ud2v
したがって、領域の体積とその微分は次のとおりである。
V(E)=ω024⋅2π2E2=ω022π2E2,V(E+ΔE)−V(E)≈ω024π2EΔE
13. 14.3-4 平衡点 x0 が漸近安定だとする。平衡点を中心とする小さな閉球 B を、吸引域の中にとる。半径 ϵ の球を、体積が B より小さくなるようにとる。安定性から、ある半径 δ の球から出た軌道は、半径 ϵ の球を出ない。 B の各点は、いつか δ の球に入る。連続性から、近くの点も同じ時刻に入る。B はコンパクトなので有限個の近傍で覆える。したがってある時刻 T 以後は、像 ΦT(B) 全体が小さい方の球に入る。すると、像 ΦT(B) の体積は元の閉球の体積より小さい。これは Liouville の定理 (14.16) に反する。したがって、Hamilton 系に漸近安定な平衡点は無い。14. 14.3-5 正準分布の偏微分は、次のとおりである。
∂qe−βH=−βHqe−βH,∂pe−βH=−βHpe−βH
括弧を計算すると0になる。
{H,e−βH}=Hq(−βHpe−βH)−Hp(−βHqe−βH)=0
したがって (14.17) の右辺は0で、正準分布は時間によらない解である。15. 14.4-1 新しい変数の微分は dQ=2qdq と dP=dp/(2q)−pdq/(2q2) である。
dP∧dQ=2qdp∧2qdq−2q2pdq∧2qdq=dp∧dq
したがって正準変換である。16. 14.4-2 F2=(q+a)(P−b) とする。(14.20) から、次の2式を得る。
Q=∂P∂F2=q+a,p=∂q∂F2=P−b
後者から P=p+b で、求める平行移動になる。17. 14.4-3 (14.19) から、次のとおりである。
p=∂q∂F1=τm(q−Q),P=−∂Q∂F1=τm(q−Q)
したがって P=p と Q=q−pτ/m を得る。混合2階微分は −m/τ=0 なので、定理 14.22 の条件を満たす。
自由粒子の時間 τ の流れは (q,p)↦(q+pτ/m,p) である。得た写像はその逆で、運動を時間 τ だけ逆にたどる。18. 14.4-4 2つの正準変換 F,G の合成については、次が成り立つ。
(G∘F)∗ω=F∗G∗ω=F∗ω=ω
逆写像については、F∗ω=ω の両辺を逆写像で引き戻す。左辺は (F−1)∗F∗ω=(F∘F−1)∗ω=ω になるので、ω=(F−1)∗ω を得る。19. 14.4-5 新しい変数で dP∧dQ=dp∧dq なので、正準変換である。F∗θ=(p+1)dq なので、F∗θ−θ=dq である。円柱の上の1価の関数 f で df=dq となるものがあったとする。運動量を一定にして角度を1周する閉曲線に沿って積分すると、次の矛盾が出る。
0=∮df=∮dq=2π
したがって dq は閉だが完全でない(第12章 §12.5 の角度の微分と同じ)。この写像は、円柱全体で定義された第1種や第2種の母関数を持たない。20. 14.5-1 p=(y,x) では、次のとおり命題 14.24 の (b) を満たす。
∂y∂Px=1=∂x∂Py
したがって Lagrange である。S=xy とすると、勾配は (y,x) になる。p=(−y,x) では2つの偏微分が −1 と1で異なり、Lagrange でない。21. 14.5-2 原点から運動量 p0 で出る解は、次のとおりである。
q=mω0p0sinω0t,p=p0cosω0t
0<t<π/ω0 では正弦が正なので、初めの運動量について解ける。その結果、場は p(q,t)=mω0qcotω0t となる。
与えられた作用の偏微分は、次のとおりである。
∂q∂S=mω0qcotω0t,∂t∂S=−2sin2ω0tmω02q2
1つ目は場に一致する。Hamiltonian に代入すると、次のようになる。
H=2mω02q2(cot2ω0t+1)=2sin2ω0tmω02q2=−∂t∂S
したがって (14.22) が成り立つ。
t=π/ω0 では、すべての解が再び原点に戻る。このとき族は運動量の軸になり、原点が焦点(焦線)になる。余接関数が発散するので、場も作用も特異になる。22. 14.5-3 原点から運動量 p0 で出る解は、次のとおりである。
q=mp0t−2gt2,p=p0−mgt
1つ目から p0=m(q+gt2/2)/t で、場は次のとおりである。
p(q,t)=tmq−2mgt
点 (q,t) に着く解の初速度は v0=q/t+gt/2 である。Lagrangian を時刻 s について0から t まで積分する。
S=∫0t[2m(v0−gs)2−mg(v0s−21gs2)]ds=2mv02t−mgv0t2+3mg2t3
初速度を代入して整理すると、次を得る。
S=2tmq2−2mgqt−24mg2t3
確かめると、∂S/∂q は場に一致する。さらに次が成り立つ。
∂t∂S=−2t2mq2−2mgq−8mg2t2,H=2m1(tmq−2mgt)2+mgq=2t2mq2+2mgq+8mg2t2
和は0で、(14.22) を満たす。23. 14.5-4 解 q=q0(1−kt/m) から初めの位置を解き、運動量 −kq0 に入れる。
p(q,t)=−1−kt/mkq
作用を次のように置くと、t=0 で −kq2/2 になり、勾配は上の場に一致する。
S=−2(1−kt/m)kq2
時間微分と Hamiltonian は次のとおりで、和は0である。
∂t∂S=−2m(1−kt/m)2k2q2,H=2mp2=2m(1−kt/m)2k2q2
24. 14.6-1 H1 は1つ目の振動子の変数だけ、H2 は2つ目の変数だけの関数である。(14.11) の各項は、片方の関数を相手の変数で微分したものを含むので0である。したがって {H1,H2}=0 である。
2つの微分は、次のとおり別々の座標の微分で書かれている。
dH1=mω12q1dq1+mp1dp1,dH2=mω22q2dq2+mp2dp2
したがって2つは、どちらの振動子も静止していない点で1次独立である。どちらかの振動子が原点に静止している点では、独立でなくなる。25. 14.6-2 壁の間では運動量の大きさが 2mE で一定である。軌道は相空間の長方形の周で、壁で運動量の符号が変わる。囲む面積と作用変数は、次のとおりである。
A=2a2mE,I=2πA=πa2mE,E=2ma2π2I2
角振動数は次のとおりである。
ν=dIdE=ma2π2I=maπ2mE=aπv
周期は 2π/ν=2a/v で、往復の距離を速さで割ったものに一致する。26. 14.6-3 角運動量の偏微分は、次のとおりである。
∂q1∂Lz=p2,∂q2∂Lz=−p1,∂p1∂Lz=−q2,∂p2∂Lz=q1
これを (14.11) に入れる。
{Lz,H}=p2p1+(−p1)p2−(−q2)ω12q1−q1ω22q2=(ω12−ω22)q1q2
これがすべての点で0になるのは、ω12=ω22 のときに限る。27. 14.6-4 無理数 α について、番号が違えば nα の小数部分は異なる。自然数 N をとり、n=0,1,…,N の小数部分を考える。区間を長さ 1/N の N 個に分けると、どれかの区間に2つが入る。その2つの番号の差を d とする。円周の上で、dα は0から距離 δ の点である。この距離は 1/N より小さい正の数である。 dα を繰り返し足すと、軌道は刻み幅 δ で円周を一方向に回る。したがって、長さ 1/N のどの区間にも軌道の点が入り、軌道は稠密である。トーラスでは、軌道が円 φ2≡0 を通るたびの1つ目の角度を調べる。通る時刻の間隔は 2π/ω2 で、その間に1つ目の角度は 2πω1/ω2 だけ進む。これは α=ω1/ω2 の回転なので、上の結果からこの円の上で稠密である。円の各点を流れで時間 [0,2π/ω2) だけ進めるとトーラス全体を覆い、流れは連続なので軌道はトーラスで稠密である。28. 14.6-5 ϵ=mgl/E と置くと p=2ml2E1+ϵcosq である。これを小さな比について展開する。
p=2ml2E(1+2ϵcosq−8ϵ2cos2q+⋯)
余弦の1周の積分は0、その2乗の積分は π である。したがって作用変数は次のとおりで、主要項は 2ml2E である。
I=2ml2E(1−16ϵ2+⋯)
主要項では E=I2/(2ml2) なので、角振動数は次のとおりである。
ν=dIdE=ml2I=ml22E
一方、角速度は q˙=p/ml2≈2E/ml2 で、同じ値になる。厳密には命題 14.32 から ν=2π/T で、1周の角度を周期で割った平均の角速度に等しい。
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