何を近似したか・何の実験の量で確かめるか
AI 生成・木下が未勉強
光学と量子エレクトロニクス 第11章 §11.5 ★★ 連続体の極限・遷移の選択・局所場の閉じ方・現象論的な減衰と線形応答の4つの近似と、Sellmeier の式・分子屈折・残留線・遅い光の測定
置いた近似
1つ目は、原子の間隔 が波長 より十分小さいとして、媒質を連続な分極 を持つ一様な物質とみなしたことである。 と は、 より大きく より小さい範囲の平均である。原子の並びが周期的なら、これは周期構造の均質化の問題で、静的な(楕円型の)問題では平均の極限が証明されている。光の周波数の波へ広げることはその定理の外にあり、 に加えて、構造の共鳴から離れていることが少なくとも要る。
近似の裏付け
型 B(極限) | 小さいもの (原子の間隔と波長の比) | 証明 要確認(周期的な媒質の静的な問題では均質化の定理が第V巻第9章で証明済みだが、光の周波数の波への拡張はその定理の外。構造の共鳴から離れていることが少なくとも要る) | 行き先 近似の数理 第9章
2つ目は、原子の多くの遷移のうち、光の周波数に近い1つ(または数個)だけを残したことである。式 (11.2) の和の残りの項を捨てたもので、量子力学の状態空間を基底と1つの励起状態の部分空間に絞ることに当たる。減衰を落とした分極率は2次の摂動論の結果と一致し、捨てた項の寄与は、振動子強度の和が であること(Thomas–Reiche–Kuhn の総和則)から、捨てた振動子強度を残りの遷移までの の最小値で割った量で上から押さえられる。
近似の裏付け
型 A(射影) | 小さいもの 基底状態と1つの励起状態が張る部分空間(共鳴を1つだけ残す) | 証明 条件付き(弱い光の線形応答で、残した共鳴が他の共鳴から線幅より十分離れている。捨てた寄与は総和則で押さえられる) | 行き先 近似の数理 第4章
3つ目は局所場で、近くの双極子の場 を とおき、残りを巨視的な で書いて方程式を閉じたことである。立方対称の格子の点双極子では命題 11.1 のとおり厳密だが、液体・非晶質・対称性の低い結晶では仮定である。また原子を点双極子とみなしたので、隣の原子の電子雲が重なる密な固体では、この描像自体がずれる。各原子が周りの平均の場の中で応答するとみなす点で、これは平均場の近似と同じ形をしている。
近似の裏付け
型 C(閉じる) | 小さいもの 近くの双極子の場を巨視的な分極 で置き換える(小さいパラメータなし) | 証明 C 型=内部の評価なし(立方対称の格子の点双極子でだけ厳密) | 行き先 近似の数理 第6章
4つ目は、減衰 を現象論的に入れたことと、光が弱い(線形応答)としたことである。 の起源(自然放出・衝突・Doppler 効果)は第24章と第34章で扱う。光が強くなると2準位系は飽和し、Lorentz 振動子の線形の式から外れる(第1章で述べた違い)。飽和は第19章、振動子の非調和性から出る非線形な応答は第17章(第17章)で扱う。
何の実験の量で確かめるか
最も直接の量は、透明な範囲の屈折率の波長依存性である。ガラスのメーカーは各ガラスの屈折率を、減衰を落とした振動子の和
(Sellmeier の式)の係数で与える。 が共鳴の波長、 が振動子の強さで、式 (11.3) の の形と同じである(、。局所場を入れても共鳴が1つなら同じ形になる)。SCHOTT 社のデータシートの N-BK7 の係数は 、 で、共鳴の波長は ・(電子の紫外の共鳴)と (格子振動の赤外の共鳴)になる。この式から が出る。3つの振動子で可視から近赤外の屈折率を表せることが、Lorentz 振動子の和という形の確かめになっている。
局所場の確かめには、密度を変えたときの屈折率を見る。式 (11.8) が正しければ、 は密度に依らず一定で、モル質量を掛けた量(分子屈折)は気体と液体でほぼ同じになる。一方、局所場を入れない式 (11.3) では が一定になる。密度が数百倍違う気体と液体を比べると、2つの予言の違いは大きく、液体の屈折率は Lorentz–Lorenz の式のほうに合う(例題 11.7)。
Clausius–Mossotti の関係が破れる例として、水がある。水の可視光の屈折率は約 (G. M. Hale, M. R. Querry (1973)、Appl. Opt. 12, 555)で、 だが、静電場に対する比誘電率は C で約 (C. G. Malmberg, A. A. Maryott (1956)、J. Res. Natl. Bur. Stand. 56, 1)である。両方に式 (11.8) を当てると、左辺は と で、同じ では説明することができない。水分子は永久双極子を持ち、静電場では分子の向きがそろう分極が加わるが、光の周波数では向きの回転が追いつかないからである。分子の向きの応答は Lorentz 振動子でなく緩和の式(Debye 型)で書かれ、この章のモデルの外にある。
残留線の帯は、イオン結晶の赤外の反射スペクトルで測られ、その両端の周波数と静電場・高周波の比誘電率の関係 (11.12) が、Lyddane, Sachs, Teller (1941) の導出以来、多くのイオン結晶で確かめられている。遅い光は、媒質を通ったパルスの到着の遅れを直接測る。前節で引いた Hau ほか (1999) の はその1つである。
例題 11.7 気体から液体へ:局所場を入れるか入れないか ★★
オリジナルある分子の気体が、1 気圧で を示す。同じ分子の液体は数密度が気体の 倍である。分子の分極率は気体と液体で同じとする。
- (1) 局所場を入れない式()で液体の屈折率を予言せよ。
- (2) Lorentz–Lorenz の式で液体の屈折率を予言せよ。
- (3) 2つの予言の違いを、局所場の言葉で説明せよ。
解答
気体では なので、どちらの式でも である。液体では 。
(1) 。
(2) から 、。
(3) 液体では隣の分子の双極子が近く、各分子は巨視的な場より だけ強い場を感じる。そのため同じ分極率でも分極が大きくなり、屈折率が (1) より 大きくなる。 で比べると (1) の に対して で、局所場は を 押し上げる。気体では なので、この補正は見えない。
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