解答
(1) εm=1−ωp2/(ω2+iγω) の分母を有理化して
Reεm=1−ω2+γ2ωp2,Imεm=ω(ω2+γ2)ωp2γ.
ℏω=1.959eV で εm=−20.10+0.539i(例題 14.6 と同じ)。虚部が正なのは、時間の因子 e−iωt の流儀で吸収を表す符号である。
(2) 式 (14.13) で εr1=1.3332 として ksp/k0=1.3961+1.81×10−3i、伝搬長は 1/(2Imksp)=27.8μm である。空気との境界(例題 14.6 の 70μm)より短いのは、水の側で場が境界に強く貼りつき(κ1 が大きい)、金属の中の場の割合が増えるからである。水の側から来る光は kx=1.333k0sinθ≤1.333k0 で、Reksp=1.396k0 より小さい。kx がそろわないので、位相の一致の条件から両者は結合しない。
(3) 臨界角は sinθc=1.333/1.515 から θc=61.63∘。プリズムの中の光の kx=1.515k0sinθ は θ>θc で 1.333k0 を超え、水の側でエバネッセント波になる。1.515sinθsp=1.3961 から θsp=67.15∘ で、臨界角より大きい全反射の範囲にある。
(4) ガラス・金属・水を媒質1・2・3とし、各境界の p の係数を式 (14.5) で
r12=εmk1z+εr1k2zεmk1z−εr1k2z,r23=εr3k2z+εmk3zεr3k2z−εmk3z
(εr1=1.5152, εr3=1.3332、kjz は式 (14.1) で kx=1.515k0sinθ)とし、R=∣(r12+r23e2ik2zd)/(1+r12r23e2ik2zd)∣2 を θ の関数として数値で計算する。d=50nm では谷は θ=67.19∘ にあり、谷の底の反射率は 0.017 である(図 14.4)。谷の角は (3) の 67.15∘ とほぼ一致し、わずかなずれは膜とプリズムの存在で表面プラズモンの波数が変わることによる。膜が薄い 40nm では谷の底が 0.286、厚い 60nm では 0.102 で、どちらも浅くなる。膜を通り抜けて光が表面プラズモンへ入る割合(膜が薄いほど大きい)と、表面プラズモンが金属の中で失われる割合が釣り合う厚さで、反射光が打ち消し合って谷が最も深くなる。これは第9章の Fabry–Perot の臨界結合と同じ条件である。臨界角 61.63∘ の所の小さな折れ目は、水の側の波が進む波からエバネッセント波に変わる所である。
(5) 損失を無視すると εm<0 を実数として k(ns)=nsεm/(εm+ns2)(k0 を単位)で、微分すると
dnsdk=εm+ns2εm(1−εm+ns2ns2)=εm+ns2εmεm+ns2εm=(nsk)3.
共鳴の条件 npsinθsp=k を微分して npcosθspΔθsp=(k/ns)3Δns なので、
ΔnsΔθsp=1.515cos67.15∘(1.3961/1.333)3=1.95rad=112∘
である。Δns=10−3 で Δθsp=0.112∘(3層の反射率の谷を数値で追うと 0.111∘)。谷の幅(半値の全幅)は 0.8∘ ほどなので、谷の中心を 0.01∘ の精度で読めば、屈折率の 10−4 の変化がわかる。金属の表面に分子が吸着すると表面の近くの屈折率が変わるので、この配置は分子の吸着を標識なしで測るセンサーに使う。