この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第4部 第1章 §4.1.7 ★★★ 比べるのは今の分布と瞬間の平衡分布。Fokker–Planck の流れは を減らし、減る速さがエントロピー生成。仕事の余分は と に分かれる
この章では、熱浴の中で揺れる粒子を過減衰の Langevin 方程式で書き、比べる2つの分布を今の位置の分布 と今の設定の平衡分布 に取った。その は非平衡の自由エネルギーの余り に等しい(式 (4.1.7))。当てた の性質は、平衡分布を動かさない確率の核は を減らすというデータ処理不等式で、Fokker–Planck 方程式ではその減る速さが確率の流れの2乗の平均、すなわちエントロピー生成の速さ に等しい(定理 4.1.1)。
出てきたものは3つある。第一に、Sekimoto の定義で1本の軌道に熱と仕事を割り当てると、第一法則が軌道ごとに成り立つ。そのためには Stratonovich の積を使う必要がある。第二に、設定を動かす過程でも の帳尻がとれ、余分な仕事はまだ緩和していない分 とすでに失われた分 の和に正確に分かれる(定理 4.1.3)。 は分布のエントロピーと液体のエントロピーの増えの和で、その非負性が Clausius の不等式である。第三に、有限の時間の操作の余分は、急な操作なら 、段に分ければその和で、Fisher 情報の長さ を使って まで下げられ、連続の操作でも時間に反比例して下がる。
1本の軌道のエントロピー生成 は平均すると非負だが、1本ごとには負にもなる。その確率を正確に述べるゆらぎの定理(Jarzynski の等式・Crooks の関係)が第4部第2章 の主題で、 を経路の確率と逆回しの経路の確率の として書き直すことが 第4部第3章 の主題である。総合問題の (5) は、その最初の例を急な操作で計算する。
要点
- 過減衰の Langevin 方程式 、。確率の流れ 。
- 。設定を止めると 、。
- 軌道ごとに 、、(Stratonovich の積)。
- 、。
- 急な操作の余分 。 段で 。ばねを動かす最良の余分 。
総合問題 ばねを強くする操作の帳尻 ★★★
オリジナル温度 の水の中の粒子が調和ばね にとらえられていて、初めは の平衡分布にある。ばねの強さを最後に にする。 とおく。
- (1) 時刻 に から へ一瞬で変える。仕事の平均 、、 を と nat で求め、式 (4.1.20) を確かめよ。(使う道具:4.1.5 節、第2部第2章 の Gibbs の変分原理)
- (2) (1) の後、ばねを に止めて平衡に戻るまで待つ。この間に粒子が受け取る熱 と分布のエントロピーの変化 を求め、 が (1) の に等しいことを確かめよ。(使う道具:4.1.2 節・4.1.4 節)
- (3) 途中の強さ に一瞬で変えて平衡まで待ち、次に に一瞬で変える2段の操作を考える。余分な仕事を最小にする と、そのときの余分を求めよ。(使う道具:4.1.5 節)
- (4) 強さを等比に 段で変えるときの余分を求め、 の値と、 が大きいときの近似 を比べよ。ここで は平衡分布 の についての Fisher 情報で測った長さである。(使う道具:4.1.5 節、第1部第7章 の Fisher 情報)
- (5) (1) の一瞬の操作で、1本の軌道の仕事 は初めの位置 で決まる。 となる確率と、平均 を求め、 と比べよ。(使う道具:4.1.3 節・4.1.4 節、次の 第4部第2章)
解答
(1) 一瞬の操作の仕事は で、 は分散 の正規分布なので である。例題 4.1.6 と同じく である。2つの平衡分布はどちらも平均0なので、式 (4.1.8) は幅の項だけである。比べる相手 の分散を とすると で、 nat である。 で、式 (4.1.20) が成り立つ。
(2) ばねを止めている間は仕事が0なので、熱は平均のエネルギーの変化に等しい。直後の平均のエネルギーは 、緩和した後は等分配で なので、(粒子は液体へ熱を渡す)である。分布の分散は から へ 倍になるので である。したがって nat で、(1) の に等しい。定理 4.1.1 で が から0まで減り、その全部が になったことにあたる。操作全体では式 (4.1.17) が の形で成り立っている。
(3) 式 (4.1.21) から余分は 、 である。 で微分して0とおくと、すなわち で、等比の中間 が最良である。そのとき余分は で、1段の の4割以下になる。
(4) 1段の比は で、余分は である。 では で nat である。Fisher 情報は から で、長さは である。近似は nat で、厳密な と5%ほどの差である。等比の段は Fisher 情報の長さで等間隔になるので、(3) で出た「等比が最良」は式 (4.1.22) の等号の条件と同じことを言っている。
(5) は 、標準正規分布の変数 で書くと である。その確率は で、半分ほどの軌道で仕事が自由エネルギーの差より小さい。平均では が成り立つが、1本ごとには成り立たない。一方
で、 に一致する。仕事の分布の形によらずこの等式が成り立つことが、次の章の Jarzynski の等式である。Jensen の不等式 と組み合わせると が出るので、この等式は第二法則より強い主張になっている。
木下の勉強ステータス
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