この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部 第2章 §3.2.7 ★★ 等重率=相空間の体積で一様、状態数=体積を で割った数、エントロピー=その対数、温度=そのエネルギー微分の逆数
孤立系について分かっているのはエネルギー (と , )だけで、相空間のどの点にいるかは分からない。その分からなさを、エネルギーの殻 の中で相空間の体積 について一様な分布(ミクロカノニカル分布)で表すのが等重率の原理である。 で一様に選ぶ理由は Liouville の定理で、 が流れで保たれるので、殻の中で一様な分布は時間で変わらない。自由度1では殻の上の測度が に一致し、殻の平均は時間平均と厳密に等しい。自由度が2以上では、これはエルゴード性という力学の性質にかかっていて、一般には示されていないので、統計力学は等重率を原理として置く。
数えるます目の大きさは、1つの量子状態が相空間で占める体積 (自由度あたり)で、同じ種類の粒子を入れ替えた状態を数え直さないために で割る。こうして数えた状態数の対数に を掛けたものがエントロピー で、2つの系を触れさせると状態数の積を最大にするエネルギーの分け方がほぼ確実に実現し、 がそろう。これを と定め、体積についても同じ論法で を得た。理想気体では から と が出る。高次元の体積は表面に集まるので、殻で数えても球で数えても、殻の厚みをどう選んでも、エントロピーは しか変わらない。球の体積 は自由度1では作用変数そのもので、断熱変化で変わらない。
次の章(第3部第3章)では、大きな系の一部分を取り出し、残りを熱浴とみなすことで、ミクロカノニカル分布からカノニカル分布 を導く。下の総合問題の (3) が、その最初の一歩になっている。
総合問題 独立な調和振動子の集まりを数える ★★★
オリジナル質量 、角振動数 の1次元調和振動子が 個あり、格子点ごとに置かれていて互いに区別できる(、 で割らない)。振動子どうしはエネルギーをやり取りできる程度に弱く結合しているが、全エネルギーへの結合の寄与は無視する。全エネルギーを とする。
- (1) 1つの振動子を作用角変数 で書くと である。これを使って を示せ。また、ミクロカノニカル分布が時間で変わらないことを Poisson 括弧で示せ。(使う道具:第1部第14章の作用角変数・第3部第1章の Liouville 方程式・3.2.2節)
- (2) が大きいとして を Stirling の公式で整理し、温度とエネルギーの関係を求めよ。(使う道具:3.2.3節・3.2.4節)
- (3) 1つの振動子のエネルギー の分布 を求め、平均が であることを示せ。 で となる確率を求めよ。また、 を保ったまま とすると が に近づくことを示せ。(使う道具:3.2.4節)
- (4) すべての振動子の角振動数を から へ、振動の周期に比べてゆっくり変える。、、 はそれぞれ何倍になるか。(使う道具:第1部第14章の断熱不変量・3.2.5節)
- (5) 量子力学では の振動子に 個のエネルギー量子を分ける方法の数が である。 のときの と、古典の ()を比べ、差が によらないことを示せ。(使う道具:3.2.6節)
解答
(1) 作用角変数への変換は正準変換なので体積を保ち、 である。 の積分は を与えるので、 と置くと
最後の は 次元の単体 の体積である( で , , )。ミクロカノニカル分布は の関数 なので、 で、Liouville 方程式 (3.2.8) から である。
(2) 。 を で微分して 、すなわち 。1つの振動子に (運動エネルギーと位置エネルギーに ずつ)が割り当てられる。
(3) 式 (3.2.15) で、系1を振動子1つ(、一定)、系2を残りの 個()とすると
で、平均は である。 で となる確率は 。(同じ で次の章の Boltzmann 因子を使うと の裾は で、 ではまだ違う。) と置いて とすると
である。全体がミクロカノニカル分布でも、大きな系の中の1つの振動子のエネルギーは Boltzmann 因子 に従って分布する。これがカノニカル分布(第3部第3章)の出どころである。
(4) 各振動子の作用変数 は断熱不変量なので、ゆっくり変える間 は変わらない。弱い結合でエネルギーが振動子の間を行き来する場合にも全体の が断熱不変量になること(3.2.5節で予告した P. Hertz の定理)を使う。その証明は第3部第5章で行う。 が一定なので が一定で、 は 倍になる。 から も 倍、 は変わらない( 倍)。これは1つの振動子で が に比例して増えること(第1部第14章)を 個に広げたものである。
(5) 。古典では なので 。一般の では
で、 によらない。状態の数そのものは で増えるので、相対的な差は が大きいほど小さくなる。零点エネルギー を に含めて数えたことで、差が でなく定数に収まっている。
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