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出てくるもの(3):相空間の粒子の平均場と van der Waals

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第7章 平均場
目次
  1. 1体の Hamiltonian と Vlasov 方程式
  2. 剛体の芯と引力の尾:van der Waals の状態方程式
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部 第7章 §3.7.5 ★★ 気体の粒子は他の粒子の密度が作るポテンシャル U(r)U(\bm{r}) の中を動く。1体の HH の Liouville 方程式が Vlasov 方程式、平衡では van der Waals の状態方程式

1体の Hamiltonian と Vlasov 方程式

3.7.2節の手続きを、相空間の粒子の気体 (3.7.3) に当てる。Γi=(ri,pi)\Gamma_i=(\bm{r}_i,\bm{p}_i)、v1=∣p∣2/(2m)v_1=\lvert \bm{p}\rvert ^2/(2m)、v2=u(∣ri−rj∣)v_2=u(\lvert \bm{r}_i-\bm{r}_j\rvert ) である。全部の粒子が同じ1体の分布をとる解を探し、数密度を n(r)=N∫ρ1(r,p) d3pn(\bm{r})=N\int\rho_1(\bm{r},\bm{p})\,\mathrm{d}^3p(ρ1\rho_1 は d3r d3p\mathrm{d}^3r\,\mathrm{d}^3p に関する1粒子の確率密度)とおくと、式 (3.7.8) は(N−1≈NN-1\approx N として)

heff(r,p)=∣p∣22m+U(r),U(r)=∫u(∣r−r′∣) n(r′) d3r′(3.7.20)h^{\mathrm{eff}}(\bm{r},\bm{p})=\frac{\lvert \bm{p}\rvert ^2}{2m}+U(\bm{r}),\qquad U(\bm{r})=\int u(\lvert \bm{r}-\bm{r}'\rvert )\,n(\bm{r}')\,\mathrm{d}^3r'\tag{3.7.20}

になる。粒子は、ほかの粒子の密度 nn を相互作用 uu でならしたポテンシャル UU の中を動く。式 (3.7.9) はρ1∝e−βheff\rho_1\propto\mathrm{e}^{-\beta h^{\mathrm{eff}}}、すなわち運動量は Maxwell 分布、密度は n(r)∝e−βU(r)n(\bm{r})\propto\mathrm{e}^{-\beta U(\bm{r})} で、UU がまた nn で決まる自己無撞着方程式である。

heffh^{\mathrm{eff}} は通常の1粒子の Hamiltonian の形をしているので、第1部の力学をそのまま当てることができる。1粒子の分布関数 f(r,p,t)f(\bm{r},\bm{p},t) がこのHamiltonian の流れで運ばれるとすると、Liouville 方程式(第3部第1章)∂f/∂t={heff,f}\partial f/\partial t=\{h^{\mathrm{eff}},f\} は

∂f∂t+pm⋅∇rf−∇rU[f](r,t)⋅∇pf=0,U[f](r,t)=∫u(∣r−r′∣)f(r′,p′,t) d3r′ d3p′(3.7.21)\frac{\partial f}{\partial t}+\frac{\bm{p}}{m}\cdot\nabla_{\bm{r}}f-\nabla_{\bm{r}}U[f](\bm{r},t)\cdot\nabla_{\bm{p}}f=0,\qquad U[f](\bm{r},t)=\int u(\lvert \bm{r}-\bm{r}'\rvert )f(\bm{r}',\bm{p}',t)\,\mathrm{d}^3r'\,\mathrm{d}^3p'\tag{3.7.21}

になる。これが Vlasov 方程式で、プラズマや銀河の力学で使われる。普通の Liouville 方程式と違い、流れを決める UU が ff 自身から決まるので、方程式は ff について非線形である。平衡の平均場の分布 f∝e−βhefff\propto\mathrm{e}^{-\beta h^{\mathrm{eff}}} は heffh^{\mathrm{eff}} の関数なので {heff,f}=0\{h^{\mathrm{eff}},f\}=0 を満たし、Vlasov 方程式の定常解になっている(第3部第1章の「保存量の関数は定常」と同じ理由)。NN 粒子の Hamilton 方程式から Vlasov 方程式が出ることは、相互作用を 1/N1/N 倍して N→∞N\to\infty にする極限で証明されている(Dobrushin の定理、近似の数理 第6章)。衝突を足して Boltzmann 方程式にする話は 第3部第8章で扱う。

剛体の芯と引力の尾:van der Waals の状態方程式

実在の分子の相互作用 u(r)u(r) は、近距離で強く反発し、遠距離で弱く引き合う。式 (3.7.20) を素直に使うと、反発の部分が r→0r\to0 で発散するためUU が無限大になり、近似が成り立たない。反発の芯は、平均でならすことのできない「重なれない」という制約で、相関そのものだからである。そこで uu を、直径 σ\sigma の剛体の芯(r<σr<\sigma で u=+∞u=+\infty)と、r>σr>\sigma の引力の尾 uat(r)<0u_{\mathrm{at}}(r)<0 に分け、扱いを分ける。

引力の尾は平均場で扱う。一様な密度 n=N/Vn=N/V では U=n∫r>σuat d3r=−2anU=n\int_{r>\sigma}u_{\mathrm{at}}\,\mathrm{d}^3r=-2an で、

a≔−12∫r>σuat(r) 4πr2 dr>0.(3.7.22)a\coloneqq-\frac12\int_{r>\sigma}u_{\mathrm{at}}(r)\,4\pi r^2\,\mathrm{d} r>0 .\tag{3.7.22}

全エネルギーへの寄与は、各組を1回ずつ数えるため 12NU=−aN2/V\frac12NU=-aN^2/V である。

剛体の芯は、配置積分で各粒子が使える体積を減らすものとして扱う。2つの粒子の中心は距離 σ\sigma より近づけないので、1組が排除する体積は半径 σ\sigma の球4π3σ3\frac{4\pi}{3}\sigma^3 で、これを組の2粒子で分けると1粒子あたり bv≔2π3σ3b_{\mathrm v}\coloneqq\frac{2\pi}{3}\sigma^3(添字 v は外場の bb と区別するため)。各粒子が使える体積を V−NbvV-Nb_{\mathrm v} とみなすと、配置積分は

QN≈(V−Nbv)Nexp⁡(βaN2V)Q_N\approx(V-Nb_{\mathrm v})^N\exp\Bigl(\beta\frac{aN^2}{V}\Bigr)

になる。これは密度が低い所でだけ正しい近似で、平均場の近似とは別のものである。Z=QN/(N!λT3N)Z=Q_N/(N!\lambda_T^{3N}) と Stirling の公式から

F=−NkBTln⁡V−NbvNλT3−NkBT−aN2V,F=-N k_{\mathrm B} T\ln\frac{V-Nb_{\mathrm v}}{N\lambda_T^3}-N k_{\mathrm B} T-\frac{aN^2}{V},

圧力 P=−∂F/∂VP=-\partial F/\partial V は

P=NkBTV−Nbv−aN2V2(3.7.23)P=\frac{N k_{\mathrm B} T}{V-Nb_{\mathrm v}}-\frac{aN^2}{V^2}\tag{3.7.23}

で、van der Waals の状態方程式になる。引力の尾の平均場は、圧力を aN2/V2aN^2/V^2 だけ下げる。

∂P/∂V=0\partial P/\partial V=0 と ∂2P/∂V2=0\partial^2P/\partial V^2=0 を同時に満たす点が臨界点で、

Vc=3Nbv,kBTc=8a27bv,Pc=a27bv2(3.7.24)V_{\mathrm c}=3Nb_{\mathrm v},\qquad k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}=\frac{8a}{27b_{\mathrm v}},\qquad P_{\mathrm c}=\frac{a}{27b_{\mathrm v}^2}\tag{3.7.24}

である。T<TcT<T_{\mathrm c} の等温線には ∂P/∂V>0\partial P/\partial V>0 の区間があり(図 3.7.3)、そこでは体積を増やすと圧力が上がるので、一様な状態は力学的に不安定になる。Ising 模型の T<TcT<T_{\mathrm c} で m=0m=0 が FMFF_{\mathrm{MF}} の極大になったのと同じ事情で、現実には気体と液体が共存する。共存する圧力を決める Maxwell の等面積の作図は、自由エネルギーの VV についての凸包をとることにあたる。

図

図 3.7.3 van der Waals の等温線(換算した変数。黒い点が臨界点)。T=0.9TcT=0.9T_{\mathrm c} の線は 0.719<V/Vc<1.530.719<V/V_{\mathrm c}<1.53 で右上がりになり、一様な状態が不安定になる。平均場の近似の結果なので実線

例題 3.7.5 換算した状態方程式 ★★

オリジナルvan der Waals の状態方程式 (3.7.23) について次に答えよ。

  1. 臨界点 (3.7.24) を導き、PcVc/(NkBTc)P_{\mathrm c}V_{\mathrm c}/(N k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}) を求めよ。
  2. Pr=P/PcP_{\mathrm r}=P/P_{\mathrm c}、Vr=V/VcV_{\mathrm r}=V/V_{\mathrm c}、Tr=T/TcT_{\mathrm r}=T/T_{\mathrm c} で書き直し、物質によらない形になることを示せ。
  3. 引力の尾が uat(r)=−ε0(σ/r)6u_{\mathrm{at}}(r)=-\varepsilon _0(\sigma/r)^6(r>σr>\sigma)のとき、aa を求めよ。
解答

(1) ∂P/∂V=−NkBT(V−Nbv)2+2aN2V3=0\partial P/\partial V=-\dfrac{N k_{\mathrm B} T}{(V-Nb_{\mathrm v})^2}+\dfrac{2aN^2}{V^3}=0、∂2P/∂V2=2NkBT(V−Nbv)3−6aN2V4=0\partial^2P/\partial V^2=\dfrac{2N k_{\mathrm B} T}{(V-Nb_{\mathrm v})^3}-\dfrac{6aN^2}{V^4}=0。第1式から NkBT=2aN2(V−Nbv)2/V3N k_{\mathrm B} T=2aN^2(V-Nb_{\mathrm v})^2/V^3、第2式から NkBT=3aN2(V−Nbv)3/V4N k_{\mathrm B} T=3aN^2(V-Nb_{\mathrm v})^3/V^4。2つを等しいとおくと 2V=3(V−Nbv)2V=3(V-Nb_{\mathrm v})、すなわち Vc=3NbvV_{\mathrm c}=3Nb_{\mathrm v}。第1式に戻すと NkBTc=2aN2(2Nbv)2/(3Nbv)3=8aN/(27bv)N k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}=2aN^2(2Nb_{\mathrm v})^2/(3Nb_{\mathrm v})^3=8aN/(27b_{\mathrm v})、これを状態方程式に入れてPc=8aN/(27bv)2Nbv−aN29N2bv2=4a27bv2−3a27bv2=a27bv2P_{\mathrm c}=\frac{8aN/(27b_{\mathrm v})}{2Nb_{\mathrm v}}-\frac{aN^2}{9N^2b_{\mathrm v}^2}=\frac{4a}{27b_{\mathrm v}^2}-\frac{3a}{27b_{\mathrm v}^2}=\frac{a}{27b_{\mathrm v}^2}。よって

PcVcNkBTc=a27bv2⋅3Nbv⋅27bv8aN=38.\frac{P_{\mathrm c}V_{\mathrm c}}{N k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}}=\frac{a}{27b_{\mathrm v}^2}\cdot3Nb_{\mathrm v}\cdot\frac{27b_{\mathrm v}}{8aN}=\frac38 .

(2) P=PcPrP=P_{\mathrm c}P_{\mathrm r} などを代入して PcP_{\mathrm c} で割ると

Pr=8Tr3Vr−1−3Vr2.P_{\mathrm r}=\frac{8T_{\mathrm r}}{3V_{\mathrm r}-1}-\frac{3}{V_{\mathrm r}^2}.

aa と bvb_{\mathrm v} は臨界点の値に吸収され、式に残らない(対応状態の法則)。この換算した式で Tr=0.9T_{\mathrm r}=0.9 の等温線が右上がりになる区間 0.719<Vr<1.530.719<V_{\mathrm r}<1.53 と、Maxwell の作図で決まる共存の値は、第3部第4章の例題 3.4.6 で求めた。

(3) 式 (3.7.22) から

a=−12∫σ∞(−ε0σ6r6)4πr2 dr=2πε0σ6∫σ∞drr4=2πε0σ6⋅13σ3=2π3ε0σ3.a=-\frac12\int_\sigma^\infty\Bigl(-\varepsilon _0\frac{\sigma^6}{r^6}\Bigr)4\pi r^2\,\mathrm{d} r=2\pi\varepsilon _0\sigma^6\int_\sigma^\infty\frac{\mathrm{d} r}{r^4}=2\pi\varepsilon _0\sigma^6\cdot\frac{1}{3\sigma^3}=\frac{2\pi}{3}\varepsilon _0\sigma^3 .

a=ε0bva=\varepsilon _0b_{\mathrm v} となり、臨界温度は kBTc=8a/(27bv)=827ε0k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}=8a/(27b_{\mathrm v})=\frac{8}{27}\varepsilon _0 と、引力の深さだけで決まる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの γσ→0\gamma\sigma\to0(引力の尾を uat=γ3φ(γr)u_{\mathrm{at}}=\gamma^3\varphi(\gamma r) と書いたときの、芯の直径と引力の到達距離の比。Kac の極限) | 証明 証明済み(Lebowitz, Penrose(1966)、J. Math. Phys. 7、98:極限の自由エネルギーは、芯だけの系の厳密な自由エネルギーから an2an^2 を引いたものの凸包=Maxwell の作図。V−NbvV-Nb_{\mathrm v} の置き換えはこの極限に含まれない別の近似) | 行き先 近似の数理 第6章

木下の勉強ステータス

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