解答
(1) L^z と p^2, x^2+y^2, z^2 はどれも可換なので(スカラーか、z 軸のまわりの回転で変わらない量)、[L^z,H^]=0。L^x=−iℏ(y∂z−z∂y) とポテンシャル V の交換子は −iℏ(y∂zV−z∂yV)=−iℏM(ωz2−ω2)yz なので、トルクの式 (4.5.7) と同じく
dtd⟨L^x⟩=M(ω2−ωz2)⟨y^z^⟩
で、L^y も同様に M(ωz2−ω2)⟨z^x^⟩。ωz=ω なら保存するのは L^z だけである。古典力学では第1部第10章の Noether の恒等式から同じ式が出る。
(2) x^p^y−y^p^x に生成消滅演算子の式を入れると、a^xa^y と a^x†a^y† の項は打ち消し合い、L^z=iℏ(a^y†a^x−a^x†a^y) が残る。一方n^±=21(a^x†±ia^y†)(a^x∓ia^y)=21(n^x+n^y∓ia^x†a^y±ia^y†a^x) なので、和は n^x+n^y、差は i(a^y†a^x−a^x†a^y)=L^z/ℏ である。a^± も [a^±,a^±†]=1 を満たす独立な振動子なので、
H^=ℏω(n^++n^−+1)+ℏωz(n^z+21),E=ℏω(N+1)+ℏωz(nz+21).
N=n++n− を決めると (n+,n−)=(N,0),(N−1,1),…,(0,N) の N+1 通りがあり、縮退は N+1 重、m=n+−n− は N,N−2,…,−N である。
(3) [a^i,a^j†]=δij から、たとえば [K^1,K^2]=41([n^x,a^x†a^y+a^y†a^x]−[n^y,a^x†a^y+a^y†a^x])=41(2a^x†a^y−2a^y†a^x)=iK^3 で([n^x,a^x†]=a^x†, [n^x,a^x]=−a^x を使う)、残りも同じ計算で出る。K^i はどれも「x の量子を1個消して y に1個作る」か数演算子の組で、N^ を変えないので H^ と可換である。K^3 と (2) の L^z の式を比べると L^z=2ℏK^3。K^2 は Fock 空間で直接計算すると 2N^(2N^+1) になる(scripts/verify_ch4-05.py で行列として確かめた)。したがって K^ は(ℏ を 1 とした)角運動量の交換関係を満たし、準位 N では j=N/2 である。定理 4.5.4 から、この準位は K^3 の固有値 −N/2,…,N/2 の N+1 個の状態を含み、K^± がそれらを移り合う。m=2×(K^3 の固有値) で、(2) と合う。K^1=(H^x−H^y)/(2ℏω) は、第1部第11章の総合問題の古典の保存量 A=Hx−Hy を写したもので、そこで示した {A,B}=2ωC の Lie 代数が、ここでは [K^1,K^2]=iK^3 になっている。
(4) ωz=ω なら E=ℏω(Ntot+23) で、nz=0,…,Ntot のそれぞれに (2) の Ntot−nz+1 個があるので、縮退は∑nz=0Ntot(Ntot−nz+1)=2(Ntot+1)(Ntot+2)。L^z=mℏ の状態の数は、N=Ntot−nz≥∣m∣ で N−m が偶数となる N の数なので ⌊(Ntot−∣m∣)/2⌋+1。この準位は回転対称なので、l ごとに ∣m∣≤l の各 m に1個ずつ状態を持つ(4.5.4節)。m と m+1 の状態の数の差が「l=m の組の数」で、それは Ntot−m が偶数なら 1、奇数なら 0。したがって l=Ntot,Ntot−2,…(最後は 1 か 0)。Ntot=2 では縮退 6、l=2,0 で 5+1=6 と合う。l=2 と l=0 が同じエネルギーなのは回転対称性だけでは説明できず、(3) と同じ種類の隠れた対称性(3次元の振動子では3つの a^i を混ぜる変換)による。水素原子の Runge–Lenz ベクトルによる縮退と同じ構造で、ポテンシャルの形が特別なときに回転より大きい対称性が現れ、縮退がそれに応じて大きくなる。