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出てくるもの (3):共変微分の交換子と非可換ゲージ場

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第5章 ゲージ原理と QED
目次
  1. 場の強さは共変微分の交換子
  2. 非可換な位相の群:Yang–Mills 場
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第5部 第5章 §5.5.5 ★★ [Dμ, Dν]=iqFμν\left[D_\mu,\,D_\nu\right]=\mathrm{i} qF_{\mu\nu} で場の強さは共変微分の曲率。位相の群を SU(2) などに広げると FF に [A, A]\left[A,\,A\right] の項が加わり、ゲージ場自身が荷を持つ

場の強さは共変微分の交換子

普通の微分は互いに交換するが、共変微分は交換しない。式 (5.5.5) から

[Dμ, Dν]ψ=iq(∂μAν−∂νAμ)ψ=iqFμνψ(5.5.22)\left[D_\mu,\,D_\nu\right]\psi=\mathrm{i} q\bigl(\partial_\mu A_\nu-\partial_\nu A_\mu\bigr)\psi=\mathrm{i} qF_{\mu\nu}\psi\tag{5.5.22}

である。第2部第14章では、曲がった時空の共変微分について [∇μ, ∇ν]Vρ=RρσμνVσ\left[\nabla_\mu,\,\nabla_\nu\right]V^\rho=R^\rho{}_{\sigma\mu\nu}V^\sigma を示し、Riemann テンソルを「共変微分が交換しない度合い」として読んだ。式 (5.5.22) は同じ形で、FμνF_{\mu\nu} は位相の向きについての曲率にあたる。重力では接ベクトルの向きを点から点へ運ぶ規則が Christoffel 記号 Γ\Gamma で、電磁気では位相を点から点へ運ぶ規則が AμA_\mu である。

この「運ぶ」を式にする。点 yy から点 xx へ曲線 CC に沿って

WC(x,y)≔exp⁡(−iq∫C, yxAμ dxμ)(5.5.23)W_C(x,y)\coloneqq\exp\Bigl(-\mathrm{i} q\int_{C,\,y}^{x}A_\mu\,\mathrm{d} x^\mu\Bigr)\tag{5.5.23}

を考えると、ゲージ変換 (5.5.4) で WC→eiqΛ(x)WC e−iqΛ(y)W_C\to\mathrm{e}^{\mathrm{i} q\Lambda(x)}W_C\,\mathrm{e}^{-\mathrm{i} q\Lambda(y)} と変わる。そのため WC(x,y)ψ(y)W_C(x,y)\psi(y) は ψ(x)\psi(x) と同じ形で変わり、2点の場を比べる ψˉ(x)WC(x,y)ψ(y)\bar\psi(x)W_C(x,y)\psi(y) はゲージ不変になる。CC を閉じた曲線にとると、WCW_C そのものがゲージ不変で、空間の閉曲線では Aμdxμ=−A⋅dlA_\mu\mathrm{d} x^\mu=-\bm{A}\cdot\mathrm{d}\bm{l} から

WC=exp⁡(iq∮CA⋅dl)=eiqΦB(5.5.24)W_C=\exp\Bigl(\mathrm{i} q\oint_C\bm{A}\cdot\mathrm{d}\bm{l}\Bigr)=\mathrm{e}^{\mathrm{i} q\Phi_B}\tag{5.5.24}

になる。ΦB\Phi_B は CC を貫く磁束で、これは第2部第8章と第4部第6章の Aharonov–Bohm の位相そのものである。一辺 ε\varepsilon の小さい正方形では ΦB=Bε2\Phi_B=B\varepsilon^2(図 5.5.3)で、一周の位相を面積で割ったものが場の強さになる。これは第2部第14章で、ベクトルを小さいループに沿って一周運んだときのずれが Riemann テンソル×面積になったことと同じ構造である。

図

図 5.5.3 小さい正方形に沿って位相を運ぶ(式 (5.5.23) の WCW_C)。一周で残る位相は貫く磁束 ΦB\Phi_B に qq を掛けたもので、F12=−BzF_{12}=-B_z の約束(記法の正本)により −iqF12ε2=iqBε2-\mathrm{i} qF_{12}\varepsilon^2=\mathrm{i} qB\varepsilon^2 と書ける。B\bm{B} は zz の正の向きで、一周の向き(反時計回り)に右ねじを回して進む向きである。

非可換な位相の群:Yang–Mills 場

ここまでの位相 eiqΛ\mathrm{e}^{\mathrm{i} q\Lambda} は複素数で、2つの変換の順序を入れ替えても結果は変わらない(可換な群 U(1))。場が NN 成分を持ち、成分を混ぜる行列 U(x)U(x) で変換する場合 ψ→U(x)ψ\psi\to U(x)\psi に同じ要請を当てる。UU が SU(2) の元なら、U=exp⁡(i∑aθa(x)Ta)U=\exp(\mathrm{i}\sum_a\theta^a(x)T^a)、Ta=σa/2T^a=\sigma^a/2(a=1,2,3a=1,2,3)、[Ta, Tb]=i∑cϵabcTc\left[T^a,\,T^b\right]=\mathrm{i}\sum_c\epsilon^{abc}T^c と書ける。共変微分を

Dμ=∂μ+igAμ,Aμ≔∑aAμaTa,Aμ→UAμU†+ig(∂μU)U†(5.5.25)D_\mu=\partial_\mu+\mathrm{i} gA_\mu,\qquad A_\mu\coloneqq\sum_aA^a_\mu T^a,\qquad A_\mu\to UA_\mu U^\dagger+\frac{\mathrm{i}} g(\partial_\mu U)U^\dagger\tag{5.5.25}

とすると Dμψ→UDμψD_\mu\psi\to UD_\mu\psi になる。AμA_\mu は行列に値をとる場で、変換則は U(1) の場合に U=eiqΛU=\mathrm{e}^{\mathrm{i} q\Lambda}, g=qg=q とおくと Aμ→Aμ−∂μΛA_\mu\to A_\mu-\partial_\mu\Lambda に戻る。共変微分の交換子は

[Dμ, Dν]=igFμν,Fμν=∂μAν−∂νAμ+ig[Aμ, Aν],Fμνa=∂μAνa−∂νAμa−g∑b,cϵabcAμbAνc(5.5.26)\left[D_\mu,\,D_\nu\right]=\mathrm{i} gF_{\mu\nu},\qquad F_{\mu\nu}=\partial_\mu A_\nu-\partial_\nu A_\mu+\mathrm{i} g\left[A_\mu,\,A_\nu\right],\qquad F^a_{\mu\nu}=\partial_\mu A^a_\nu-\partial_\nu A^a_\mu-g\sum_{b,c}\epsilon^{abc}A^b_\mu A^c_\nu\tag{5.5.26}

になり、変換で Fμν→UFμνU†F_{\mu\nu}\to UF_{\mu\nu}U^\dagger と変わる。FμνF_{\mu\nu} はもはやゲージ不変でないが、トレース Tr⁡(FμνFμν)\operatorname{Tr}(F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}) は不変なので、場の項を

LYM=−12Tr⁡(FμνFμν)=−14∑aFμνaFa μν(5.5.27)\mathcal L_{\mathrm{YM}}=-\frac12\operatorname{Tr}\bigl(F_{\mu\nu}F^{\mu\nu}\bigr)=-\frac14\sum_aF^a_{\mu\nu}F^{a\,\mu\nu}\tag{5.5.27}

と選ぶ(Tr⁡(TaTb)=12δab\operatorname{Tr}(T^aT^b)=\frac12\delta^{ab})。これが Yang–Mills の理論である1C. N. Yang and R. L. Mills (1954), Physical Review 96, 191–195.下の脚注へ。

式 (5.5.26) の [Aμ, Aν]\left[A_\mu,\,A_\nu\right] の項は、第2部第14章の Riemann テンソルの ΓΓ−ΓΓ\Gamma\Gamma-\Gamma\Gamma の項と同じ役割を持つ。LYM\mathcal L_{\mathrm{YM}} を展開すると、AA の3次と4次の項が現れ、ゲージ場どうしが直接相互作用する。光子は電荷を持たないので光どうしは古典的には散乱しないが、非可換なゲージ場は自分自身が荷を持つ。強い相互作用のグルーオン(SU(3))がその例で、この自己相互作用が第5部第11章で結合定数が高エネルギーで弱くなること(漸近的自由性)の原因になる。ゲージ場に質量項を書けないことは U(1) と同じで、弱い相互作用のゲージ場の質量は、第5部第6章で扱う Anderson–Higgs の機構で生じる。

例題 5.5.5 一定のゲージ場でも場の強さが0でない ★★

オリジナルSU(2) のゲージ場で、A1=aT1A_1=aT^1, A2=aT2A_2=aT^2(aa は定数、下付きの空間成分)、ほかの成分を 00 とする。

  1. (1) 式 (5.5.26) から F12F_{12} を求めよ。
  2. (2) U(1) で A1=aA_1=a, A2=a′A_2=a'(定数)とすると F12F_{12} はどうなるか。この AA はどんな Λ\Lambda で 00 にできるか。
  3. (3) (1) の場で、一辺 ε\varepsilon の小さい正方形を一周して戻したときに ψ\psi にかかる行列を ε2\varepsilon^2 の次数まで書き、2つの成分が受ける位相を述べよ。
解答

(1) 定数なので微分の項は 00。F12=ig[aT1, aT2]=iga2⋅iT3=−ga2T3F_{12}=\mathrm{i} g\left[aT^1,\,aT^2\right]=\mathrm{i} ga^2\cdot\mathrm{i} T^3=-ga^2T^3。成分では F123=−ga2F^3_{12}=-ga^2、F121=F122=0F^1_{12}=F^2_{12}=0。

(2) U(1) では [A1, A2]=0\left[A_1,\,A_2\right]=0 なので F12=0F_{12}=0。Aμ=−∂μΛA_\mu=-\partial_\mu\Lambda を満たす Λ=−(ax1+a′x2)\Lambda=-(ax^1+a'x^2) をとってゲージ変換すれば AA は 00 になる。可換な場合、一定の AA は場の強さを持たず、ゲージの取り方だけの違いである。非可換な場合は (1) のとおり、場の強さが 00 でないので、どんなゲージ変換でも 00 にできない。

(3) 本文の U(1) の場合と同じく、一周の行列は 1−igF12ε2+O(ε3)=1+ig2a2ε2T31-\mathrm{i} gF_{12}\varepsilon^2+\mathcal{O}(\varepsilon^3)=1+\mathrm{i} g^2a^2\varepsilon^2T^3。T3=diag(12,−12)T^3=\mathrm{diag}(\frac12,-\frac12) なので、上の成分は位相 +12g2a2ε2+\frac12g^2a^2\varepsilon^2、下の成分は −12g2a2ε2-\frac12g^2a^2\varepsilon^2 を受ける。2つの成分が逆向きの位相を受けるのは、場の強さが T3T^3 の向き(群の中の「向き」)を持つからである。

ほかの巻では

1 C. N. Yang and R. L. Mills (1954), Physical Review 96, 191–195.

木下の勉強ステータス

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