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この章のまとめ

2026年10月9日16分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2章 解けない方程式を調べる方法(定性的理論の基礎)

AI 生成・木下が未勉強

近似の数理 第2章 §2.9 ★★★ 4つの道具と、それを使う章の対応表

表 2.1 第2章の道具と、それを使う章
道具中身(この章の該当箇所)主に使う章
誤差評価(Grönwall 型)残差と安定性から真の解と近似解の距離を抑える(定理 2.6、エネルギー法)第6章(平均場極限)、第7章(断熱・特異摂動)、第8章
適切性存在・一意性・連続依存(定理 2.4、2.19)、アプリオリ評価による大域存在(定理 2.9)第3章(自己共役性と時間発展)、第8章(流体方程式)
弱形式と射影弱解・Riesz の表現定理・射影定理(定理 2.13、2.18)、エネルギー誤差の恒等式 (2.7)第4章(Galerkin・Rayleigh–Ritz)
コンパクト性有界列の弱コンパクト性、Rellich の定理(定理 2.21、2.22)、直接法(定理 2.23)第3章、第5章(Hartree–Fock の最小元)、第6章
弱収束平均としての収束、逃げる・振動する・集中する型、非線形項と弱極限の非可換性第5章、第6章(経験分布)、第9章(均質化・乱流の閉じ)

この章の要点

  1. 「解けない」には「閉じた式で書けない」と「解が無い」の二つがあり、近似の正当化に必要なのは後者の否定、すなわち Hadamard の適切性(存在・一意性・連続依存)である。
  2. ODE の解は縮小写像の不動点として作られ(Picard–Lindelöf)、Lipschitz 性が破れると非一意性や有限時間爆発が起こる。
  3. Grönwall の不等式は「真の解と近似解の距離 ≤\le(データの差+残差)×\times 増幅率」という誤差評価の原型を与え、系の構造を使うと増幅率を大きく下げられる。
  4. 保存量・減少するエネルギーによるアプリオリ評価があれば、局所解は大域解に延びる。
  5. 偏微分方程式では関数をノルムで測り、完備な空間(ヒルベルト空間 L2L^2、H1H^1)に置く。完備性は近似列の極限が空間に残ることを保証する。
  6. 弱形式に書き直すと、Riesz の表現定理で弱解の存在・一意性・連続依存が一度に出る。弱形式は Galerkin 近似の出発点である。
  7. 無限次元では有界列から強収束部分列は取れないが、弱収束部分列は取れる。弱収束の失敗には「逃げる」「振動する」「集中する」型があり、有界領域で勾配が有界なら Rellich の定理が強収束を回復する。
  8. 変分法の直接法(最小化列→有界性→弱極限→下半連続性)は、基底状態の存在を問う論法そのものである。

第1章の3型の分類に照らすと、この章で用意したものは次のように働く。A 型(射影)の近似については、射影定理と弱形式が「Galerkin 近似は有限次元部分空間への直交射影であり、その中で最良である」ことを示し、エネルギー誤差の恒等式 (2.7) と直接法が変分原理による上界と最小元の存在を正当化した。具体的な収束の速さは第4章で正則性と結びつける。B 型(極限)の近似については、Grönwall 型の誤差評価が「極限方程式の解と元の方程式の解の距離」を測る標準的な手段であり、コンパクト性と弱収束が「極限が存在するか、どの意味で収束するか」を論じる言葉を与えた。特に、弱極限と非線形項が交換しないことは、極限方程式に新しい項(有効係数)が現れる理由であり、それを閉じた形で書けない場合が C 型(閉じる)の近似の出発点になる。乱流の Reynolds 応力がその典型で、これを弱極限の言葉で述べられるところまでは数学が案内するが、その未知項をどう置き換えるかについては、ここで用意した道具は保証を与えない。

例題 2.9 ロジスティック方程式で適切性の3条件を確かめる ★★

オリジナル初期値問題 y′=y(1−y)y'=y(1-y)、y(0)=y0∈[0,1]y(0)=y_0\in[0,1] を考える。

  1. F(y)=y(1−y)F(y)=y(1-y) は R\mathbb{R} 全体では Lipschitz でないが、解が局所的にただ一つ存在することを示せ。
  2. 解が存在する限り 0≤y(t)≤10\le y(t)\le1 であることを示し、解が全時刻で存在することを結論せよ。
  3. 初期値 y0=0.5y_0=0.5 と z0=0.51z_0=0.51 の二つの解について、Grönwall 型の評価で時刻 t=3t=3 の差を上から抑え、厳密解から求めた実際の差と比べよ。評価が粗くなる理由も述べよ。
解答

(1) ∣F(y)−F(z)∣=∣y−z∣ ∣1−y−z∣\lvert F(y)-F(z)\rvert =\lvert y-z\rvert \,\lvert 1-y-z\rvert なので、∣y∣,∣z∣≤R\lvert y\rvert ,\lvert z\rvert \le R の範囲では Lipschitz 定数 1+2R1+2R がとれる。R\mathbb{R} 全体では ∣1−y−z∣\lvert 1-y-z\rvert に上限が無いので大域的な Lipschitz 定数は無いが、定理 2.4 は初期値のまわりの有界な長方形 RR での Lipschitz 性しか使わないので、局所解はただ一つ存在する。

(2) y≡0y\equiv0 と y≡1y\equiv1 はどちらも解である。y0∈(0,1)y_0\in(0,1) の解がある時刻 t1t_1 で 11 に達したとすると、時刻 t1t_1 を初期時刻とみれば、その解と y≡1y\equiv1 は同じ初期値をもつ二つの解になり、一意性から一致する。すると y0=1y_0=1 となって矛盾する。00 についても同じなので、解は区間 [0,1][0,1] から出られない(y0=0,1y_0=0,1 なら解は定数)。これは解を求めずに得たアプリオリ評価 ∣y(t)∣≤1\lvert y(t)\rvert \le1 であり、FF は各有界集合上で Lipschitz なので、定理 2.9 により解は全時刻で存在する。

(3) 二つの解はどちらも [0,1][0,1] に留まり、そこでは ∣1−y−z∣≤1\lvert 1-y-z\rvert \le1 なので、解の通る範囲に限れば Lipschitz 定数は L=1L=1 である。定理 2.6 の証明は解の通る範囲での Lipschitz 性しか使わないので、δ=0\delta=0 として

∣y(3)−z(3)∣≤∣y0−z0∣ e3=0.01 e3≈0.201\lvert y(3)-z(3)\rvert \le\lvert y_0-z_0\rvert \,\mathrm{e}^{3}=0.01\,\mathrm{e}^3\approx0.201

を得る。一方、変数分離で解くと y(t)=1/(1+(1/y0−1)e−t)y(t)=1/\bigl(1+(1/y_0-1)\mathrm{e}^{-t}\bigr) で、y(3)≈0.952574y(3)\approx0.952574、z(3)≈0.954349z(3)\approx0.954349、差は約 1.77×10−31.77\times10^{-3} である(検算スクリプト)。実際の差は初期の差 0.010.01 より小さくなっており、評価はおよそ 100100 倍粗い。Grönwall 型の評価は ∣F′∣≤1\lvert F'\rvert \le1 という大きさの情報しか使わず、F′F' の符号を見ない。解が近づいていく y=1y=1 では F′(1)=−1<0F'(1)=-1<0 で、近くの解どうしはむしろ縮まる。例題 2.3 で反対称性を使って評価を改善したのと同じく、系の構造(ここでは安定な平衡点への収縮)を使わない限り、評価は指数関数的な増幅を見込んでしまう。この方程式一つで、存在・一意性(Picard–Lindelöf)、大域存在(アプリオリ評価)、連続依存(Grönwall)という表2.1の「適切性」と「誤差評価」の行がすべて使われている。

総合問題 係数つき Poisson 方程式で、射影による近似と極限による近似を比べる ★★★

オリジナル区間 (0,1)(0,1) で、κ≥0\kappa\ge0 を定数として境界値問題

−u′′+κu=1,u(0)=u(1)=0-u''+\kappa u=1,\qquad u(0)=u(1)=0

を考え、その解を uκu_\kappa と書く。κ=0\kappa=0 の解は u0=x(1−x)/2u_0=x(1-x)/2 である(例題 2.8)。∥⋅∥\lVert \cdot\rVert は L2(0,1)L^2(0,1) のノルムとする。

  1. (1) aκ(u,v)=∫01(u′v′+κuv) dxa_\kappa(u,v)=\int_0^1(u'v'+\kappa uv)\,\mathrm{d} x とおく。∥u′∥2≤aκ(u,u)≤(1+κ/π2)∥u′∥2\lVert u'\rVert ^2\le a_\kappa(u,u)\le(1+\kappa/\pi^2)\lVert u'\rVert ^2 を示し、弱形式 aκ(u,v)=∫01v dxa_\kappa(u,v)=\int_0^1v\,\mathrm{d} x(すべての v∈H01(0,1)v\in H^1_0(0,1))の解がただ一つ存在することを示せ。(使う道具:第2章 §弱解とソボレフ空間 の Poincaré 不等式と Riesz の表現定理)
  2. (2) Jκ(v)=12aκ(v,v)−∫01v dxJ_\kappa(v)=\frac12a_\kappa(v,v)-\int_0^1v\,\mathrm{d} x を試行関数 v=asin⁡(πx)v=a\sin(\pi x) に制限して最小化し、最適な aa と最小値を κ\kappa の式で求めよ。(使う道具:第2章 §変分法の直接法、第1章 §近似の3つの型 の A 型)
  3. (3) uκu_\kappa を求め、κ=1\kappa=1 で Jκ(uκ)J_\kappa(u_\kappa) と (2) の最小値を比べよ。差が 12aκ(v−uκ,v−uκ)\frac12a_\kappa(v-u_\kappa,v-u_\kappa) に等しく、したがって正であることを示せ。(使う道具:第2章 §変分法の直接法 のエネルギー誤差の恒等式)
  4. (4) w=uκ−u0w=u_\kappa-u_0 について ∥w′∥≤κ∥u0∥/π=κ/(π120)\lVert w'\rVert \le\kappa\lVert u_0\rVert /\pi=\kappa/(\pi\sqrt{120}) を示し、κ=1\kappa=1 で実際の ∥w′∥\lVert w'\rVert と比べよ。(使う道具:第2章 §Grönwall の不等式とデータへの連続依存 の「残差と安定性」の型、§偏微分方程式へ のエネルギー法)
  5. (5) (2) と (4) の近似は、それぞれ第1章の3つの型のどれに当たるか。誤差を何が保証しているかを比べ、κ=10\kappa=10 では (4) の近似が使えなくなる一方で (2) の近似は使えることを数値で確かめよ。(使う道具:第1章 §近似の3つの型)
解答

(1)(第2章 §弱解とソボレフ空間)aκ(u,u)=∥u′∥2+κ∥u∥2a_\kappa(u,u)=\lVert u'\rVert ^2+\kappa\lVert u\rVert ^2 で、κ≥0\kappa\ge0 から左の不等式が出る。Poincaré 不等式(定理 2.16、L=1L=1)∥u∥≤∥u′∥/π\lVert u\rVert \le\lVert u'\rVert /\pi から κ∥u∥2≤(κ/π2)∥u′∥2\kappa\lVert u\rVert ^2\le(\kappa/\pi^2)\lVert u'\rVert ^2 で、右の不等式が出る。aκa_\kappa は対称な双線形形式で、左の不等式から aκ(u,u)=0a_\kappa(u,u)=0 なら u′=0u'=0、境界条件から u=0u=0 なので内積である。二つの不等式により、そのノルムは H01H^1_0 の内積 ⟨u, v⟩a=∫u′v′\langle u,\,v\rangle _a=\int u'v' のノルムと同等なので、H01(0,1)H^1_0(0,1) は aκa_\kappa についても完備なヒルベルト空間である。右辺 ℓ(v)=∫01v dx\ell(v)=\int_0^1v\,\mathrm{d} x は ∣ℓ(v)∣≤∥v∥≤∥v′∥/π≤aκ(v,v)1/2/π\lvert \ell(v)\rvert \le\lVert v\rVert \le\lVert v'\rVert /\pi\le a_\kappa(v,v)^{1/2}/\pi を満たす有界線形汎関数なので、Riesz の表現定理(定理 2.18)により aκ(u,v)=ℓ(v)a_\kappa(u,v)=\ell(v) を満たす uu がただ一つ存在する。

(2)(第2章 §変分法の直接法、第1章 A 型)∫01(πcos⁡πx)2dx=π2/2\int_0^1(\pi\cos\pi x)^2\mathrm{d} x=\pi^2/2、∫01sin⁡2πx dx=1/2\int_0^1\sin^2\pi x\,\mathrm{d} x=1/2、∫01sin⁡πx dx=2/π\int_0^1\sin\pi x\,\mathrm{d} x=2/\pi より

Jκ(asin⁡πx)=π2+κ4a2−2πa.J_\kappa(a\sin\pi x)=\frac{\pi^2+\kappa}{4}a^2-\frac2\pi a.

aa で微分して 00 とおくと a=4π(π2+κ)a=\dfrac{4}{\pi(\pi^2+\kappa)}、最小値は −4π2(π2+κ)-\dfrac{4}{\pi^2(\pi^2+\kappa)} である。κ=0\kappa=0 では例題 2.8 の a=4/π3a=4/\pi^3、−4/π4-4/\pi^4 に戻る。κ=1\kappa=1 では最小値は約 −0.037286-0.037286 である。

(3)(第2章 §変分法の直接法)κ>0\kappa>0 で

uκ(x)=1κ(1−cosh⁡(κ (x−12))cosh⁡(κ/2))u_\kappa(x)=\frac1\kappa\left(1-\frac{\cosh\bigl(\sqrt\kappa\,(x-\tfrac12)\bigr)}{\cosh(\sqrt\kappa/2)}\right)

とおくと、−uκ′′=cosh⁡(κ(x−12))/cosh⁡(κ/2)-u_\kappa''=\cosh(\sqrt\kappa(x-\frac12))/\cosh(\sqrt\kappa/2)、κuκ=1−cosh⁡(κ(x−12))/cosh⁡(κ/2)\kappa u_\kappa=1-\cosh(\sqrt\kappa(x-\frac12))/\cosh(\sqrt\kappa/2) で和は 11、x=0,1x=0,1 で 00 になる。弱形式で v=uκv=u_\kappa とおくと aκ(uκ,uκ)=∫uκa_\kappa(u_\kappa,u_\kappa)=\int u_\kappa なので Jκ(uκ)=−12∫01uκ dxJ_\kappa(u_\kappa)=-\frac12\int_0^1u_\kappa\,\mathrm{d} x で、

∫01uκ dx=1κ−2κ3/2tanh⁡κ2.\int_0^1u_\kappa\,\mathrm{d} x=\frac1\kappa-\frac{2}{\kappa^{3/2}}\tanh\frac{\sqrt\kappa}2.

κ=1\kappa=1 では ∫u1=1−2tanh⁡12≈0.075766\int u_1=1-2\tanh\frac12\approx0.075766、J1(u1)≈−0.037883J_1(u_1)\approx-0.037883 で、試行関数の値 −0.037286-0.037286 のほうが約 5.97×10−45.97\times10^{-4} 高い(相対誤差 1.6%1.6\%)。差の式は次のように出る。任意の vv について

Jκ(v)−Jκ(uκ)=12aκ(v,v)−12aκ(uκ,uκ)−ℓ(v−uκ),J_\kappa(v)-J_\kappa(u_\kappa)=\frac12a_\kappa(v,v)-\frac12a_\kappa(u_\kappa,u_\kappa)-\ell(v-u_\kappa),

で、弱形式 ℓ(v−uκ)=aκ(uκ,v−uκ)\ell(v-u_\kappa)=a_\kappa(u_\kappa,v-u_\kappa) を代入して整理すると 12aκ(v−uκ,v−uκ)\frac12a_\kappa(v-u_\kappa,v-u_\kappa) になる。これは (2.7) の内積を aκa_\kappa に替えたものそのもので、v≠uκv\ne u_\kappa なら正である。κ=1\kappa=1 で 12a1(v−u1,v−u1)\frac12a_1(v-u_1,v-u_1) を直接積分した値も 5.97×10−45.97\times10^{-4} に一致する(検算スクリプト)。

(4)(第2章 §Grönwall の不等式とデータへの連続依存、§偏微分方程式へ)u0u_0 の弱形式は ∫u0′v′=ℓ(v)\int u_0'v'=\ell(v) である。uκu_\kappa の弱形式から引くと ∫w′v′+κ∫uκv=0\int w'v'+\kappa\int u_\kappa v=0、uκ=w+u0u_\kappa=w+u_0 を代入して

∫01(w′v′+κwv) dx=−κ∫01u0v dx\int_0^1(w'v'+\kappa wv)\,\mathrm{d} x=-\kappa\int_0^1u_0v\,\mathrm{d} x

を得る。ww は「残差 −κu0-\kappa u_0 を外力とする同じ型の方程式」の解である。v=wv=w とおき、Cauchy–Schwarz と Poincaré 不等式を使うと

∥w′∥2≤∥w′∥2+κ∥w∥2=−κ∫01u0w dx≤κ∥u0∥∥w∥≤κ∥u0∥π∥w′∥\lVert w'\rVert ^2\le\lVert w'\rVert ^2+\kappa\lVert w\rVert ^2=-\kappa\int_0^1u_0w\,\mathrm{d} x\le\kappa\lVert u_0\rVert \lVert w\rVert \le\frac{\kappa\lVert u_0\rVert }\pi\lVert w'\rVert

で、∥w′∥≤κ∥u0∥/π\lVert w'\rVert \le\kappa\lVert u_0\rVert /\pi である。∥u0∥2=14∫01x2(1−x)2dx=1120\lVert u_0\rVert ^2=\frac14\int_0^1x^2(1-x)^2\mathrm{d} x=\frac1{120} なので上界は κ/(π120)\kappa/(\pi\sqrt{120}) で、κ=1\kappa=1 では約 0.02910.0291 になる。実際の値は ∥w′∥≈0.0264\lVert w'\rVert \approx0.0264 で、上界は実際の値の約 1.11.1 倍に収まっている(検算スクリプト)。評価の形は定理 2.6 と同じく「残差の大きさ κ∥u0∥\kappa\lVert u_0\rVert」×「増幅率 1/π1/\pi」で、増幅率を与えているのが Poincaré 不等式である。

(5)(第1章 §近似の3つの型)(2) は解を1次元の部分空間 span⁡{sin⁡πx}\operatorname{span}\{\sin\pi x\} の中で探す A 型(射影)の近似である。(3) で示したとおり、試行関数は aκa_\kappa の内積で測った uκu_\kappa の最良近似になり、エネルギーは必ず上界で、誤差はエネルギーノルムの2乗で決まる。小さいパラメータは要らず、保証するのは部分空間が解をどれだけ表せるかである。(4) は κ\kappa を含む問題の族の κ→0\kappa\to0 の極限問題の解 u0u_0 を使う B 型(極限)の近似で、誤差は κ\kappa に比例し、保証するのは κ\kappa が小さいことである。

κ=10\kappa=10 では、(4) の上界は 10/(π120)≈0.29110/(\pi\sqrt{120})\approx0.291 で、u0u_0 自身の大きさ ∥u0′∥=∫01(12−x)2dx=1/12≈0.289\lVert u_0'\rVert =\sqrt{\int_0^1(\frac12-x)^2\mathrm{d} x}=1/\sqrt{12}\approx0.289 を超えてしまい、評価は何も言わない。実際の ∥w′∥\lVert w'\rVert も約 0.1440.144 で、∥u0′∥\lVert u_0'\rVert の半分に達しているので、u0u_0 は u10u_{10} の近似として役に立たない。一方 (2) の近似は κ=10\kappa=10 でも最小値 −4/(π2(π2+10))≈−0.020397-4/(\pi^2(\pi^2+10))\approx-0.020397 が厳密値 J10(u10)≈−0.020946J_{10}(u_{10})\approx-0.020946 に対して相対誤差 2.6%2.6\% で、なお有効である(検算スクリプト)。A 型の近似は「解が部分空間で表せるか」という形の情報にしか依らないので κ\kappa の大きさを問わず、B 型の近似は「パラメータが小さいか」にしか依らないので部分空間の選び方を問わない。保証の出どころが違うので、同じ問題でも使える範囲が違う。どちらにも誤差の保証があるので、C 型(閉じる)に当たる近似はこの問題には現れない。

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