解答
(1) ωB=cdx∧dy に X=Xx∂x+Xy∂y を入れると ιXωB=c(Xxdy−Xydx)。これを df=fxdx+fydy と比べてXf=c1(fy∂x−fx∂y)。したがって Xx=−c1∂y、Xy=c1∂x。括弧は {f,g}=ωB(Xf,Xg)=c(XfxXgy−XfyXgx) で、{x,y}=c(0⋅0−(−c1)(c1))=c1。c=−eB で {x,y}=−1/(eB) となり、案内中心の括弧と一致する。案内中心の2つの座標は互いに共役な正準変数で、その「平面」が独立した相空間になる。
(2) dθ=2c(dx∧dy−dy∧dx)=cdx∧dy=ωB。θ(Xx)=2c(xdy(Xx)−ydx(Xx))=2c⋅x⋅(−c1)=−2x、θ(Xy)=2c(−y⋅c1)=−2y。よって
Qpre(x)=ciℏ∂y−2x+x=2x+ciℏ∂y,Qpre(y)=2y−ciℏ∂x.
交換子は [2x,−ciℏ∂x]=2ciℏ と [ciℏ∂y,2y]=2ciℏ の和で iℏ/c=iℏ{x,y}。命題 10.3.2 の (P3) どおりである。
(3) 対称ゲージ A=(−By/2,Bx/2) で πx=−iℏ∂x+2eBy、πy=−iℏ∂y−2eBx。x+πy/(eB)=x−eBiℏ∂y−2x=2x+ciℏ∂y(c=−eB)で Qpre(x) に一致し、同様に y−πx/(eB)=2y+eBiℏ∂x=Qpre(y)。交換子は、Qpre(x)=x+πy/(eB) の形を使うと[Qpre(x),πy]=[x,πy]=[x,−iℏ∂y−2eBx]=0、[Qpre(x),πx]=[x,πx]+[πy,πx]/(eB)=iℏ+(−iℏeB)/(eB)=0。y についても同様である。例題 10.3.2 で見たとおり [πx,πy]=iℏeB は運動(サイクロトロン運動)の自由度を表し、前量子化の Qpre(x),Qpre(y) はそれと交換する別の自由度、すなわち案内中心を表す。平面の上の関数の空間 L2(R2) が「サイクロトロン運動 ⊗ 案内中心」に分かれることは、定理 10.3.6 の L2(Ru)⊗L2(Rv) の分解と同じ構造である。
(4) トーラス全体の積分は ∫ωB=cA で、整数条件 (10.3.12) は ∣c∣A/(2πℏ)=eBA/h∈Z。B=1T、A=10−12m2 では eBA/h=10−12/(4.136×10−15)=241.8 で整数でない。N=242 にするには B=242h/(eA)=1.0008T とすればよい。周期的に閉じた試料を貫く磁束は磁束量子 h/e の整数倍でなければならない、という条件である。
(5) Landau 準位の縮退度は単位面積あたり eB/h(解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第6章)で、面積 A では eBA/h=N となり一致する。1T では eB/h=1/(4.136×10−15Wb)×1T=2.418×1014m−2。案内中心の相空間(面積 A)を前量子化して偏極すると、相空間の面積 ∣c∣A を 2πℏ で割った数 N だけの状態が残る。これが1つの Landau 準位の縮退であり、前量子化の整数条件が状態の数そのものを決めていることになる。偏極した空間の次元が N であること(トーラス上の正則な切断の数え上げ)は第4章で扱う。