この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第10部 第6章 §10.6.7 ★★★ 同じ相空間から、偏極つきの Hilbert 空間を作る道と、関数の積を変形する道が出る。両者は Toeplitz 作用素と同値変換でつながり、それぞれ偏極・整数条件と、収束・表現という別の限界を持つ
変形量子化は「関数の積を の冪級数で結合的に変形し、1次の反対称部分を Poisson 括弧にする」という要請だけを出発点に置く。入力は Poisson 構造だけで、線束も偏極も整数条件も要らない。Groenewold の矛盾は、括弧の一致を最低次に限ることで避けられる。 積は同値変換の分だけ選べ、平面では Moyal 積・正規順序の積・反正規順序の積が熱の方程式の形の変換 、 で移り合った。同値な 積の選択は、正準量子化の並べ方の曖昧さと同じものである。
共通例題①は、Moyal 積で時間発展の 指数関数を解き、その Fourier 展開の周波数として 、係数として を得た。正規順序の積で同じ関数を扱うとスペクトルが にずれ、これは幾何学的量子化で半形式を付けない場合と同じずれだった。
正則偏極の Hilbert 空間に関数を掛けて射影し直す Toeplitz 作用素は、偏極を保たない関数にも演算子を与え、その積の記号は反正規順序の 積だった。Toeplitz 作用素は Gauss 関数で平均した関数の Weyl 量子化に等しく、逆に Weyl 量子化は Toeplitz 作用素で書ける。これが「幾何学的量子化 ↔ 位相空間」の橋の両向きである。
限界は2つの道で別々に現れた。幾何学的量子化は偏極を要し、球面には実偏極が無く、Kähler 構造を持たないシンプレクティック多様体には正則偏極が無い。整数条件を満たさない では Hilbert 空間を作ることができない。偏極が非線形になると答えが変わり、4次の摂動では鉛直の偏極と軌道の偏極の準位が だけずれた。変形量子化はどの相空間でも 積を与えるが、級数は形式的で、状態や Hilbert 空間の表現は別に作る必要がある。
総合問題 トーラスの 積と、整数条件の行き先 ★★★
オリジナルトーラス に (、)を入れる。トーラスの上の関数は ()の重ね合わせで書ける。、 とする。
- (1) (使う道具:10.6.2節・第5部第3章) の Moyal 積は である。 を求め、 の 積がまた の定数倍になることを示せ。
- (2) (使う道具:10.6.1節・10.6.5節) を示し、 を で表せ。この 積が のどんな値でも定義されることを述べよ。
- (3) (使う道具:10.6.5節/第10部第3章・第10部第4章)( は正の整数)のとき、 の行列 と巡回置換 (、添字は を法とする)が同じ関係を満たすことを確かめ、 が第10部の幾何学的量子化のトーラスの状態の数 と一致することを示せ。また が無理数なら、この関係を満たす有限次元の行列が無いことを示せ。
- (4) (使う道具:10.6.6節・第5部第2章) の表現で、 について を確かめ、トレースと の対応(6節の辞書)を述べよ。
- (5) (使う道具:第10部第3章の総合問題・解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第6章) の案内中心の平面として、、 の と を求めよ。このとき幾何学的量子化と変形量子化はそれぞれ何を与えるか。 にするための も求めよ。
解答
(1) 指数関数に微分を当てると 、(左)、、(右)になるので、指数の中身は という数で、
、 と置けば、 は位相 を掛けた である。周期関数どうしの 積がまた周期関数になるので、 積はトーラスの上で閉じる。
(2) は で位相 、 は で 。比を取って
位相は の任意の値で意味を持ち、結合律も指数の中身が双線形であることから成り立つ。したがってこの 積は整数条件なしに定義される( が無理数のときは非可換トーラスと呼ばれる代数になる)。1節の要請の (F3) は、 が と最低次で一致することにあたる。
(3) 、 なので で、 の関係を満たす。 も成り立つ。 は と同じで、これは そのものである。第10部第3章の整数条件が満たされ、第10部第4章で偏極した切断の空間の次元がちょうど になったことと一致する。無理数の で 次元の行列 (可逆)が を満たすとすると、両辺の行列式を取って 、すなわち で、 が整数になり矛盾する。幾何学的量子化の整数条件は、変形量子化の側では「有限次元の表現があるか」という条件として現れる( の有理数一般でも 次元の表現はあるが、幾何学的量子化の線束が存在するのは が整数のときだけである)。
(4) は なら対角成分を持たずトレース0、 なら で、トレースは 。 では 。右辺は 。一致する。有限次元の表現のトレースが位相空間の積分 に対応することは、第5部第2章のトレースの公式 のトーラス版で、 が状態の数である。 では両者が食い違い、有限次元の表現は と を区別しない。表現は代数の一部の情報しか写さない。
(5) 、。 が整数でないので、幾何学的量子化では前量子化の線束が存在せず、Hilbert 空間が作れない(第10部第3章の総合問題と同じ結論)。変形量子化では の 積がそのまま定義されるが、有限次元の表現は無く、「状態の数」は定まらない。 にするには で、このときは両方の道が 次元の同じ表現(時計と移動の行列)を与え、Landau 準位の縮退度 と一致する。
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