解答
(1) 運動方程式 x¨=−ω2x の、端の条件を満たす解は xcl(s)=[xisinω(t−s)+xfsinωs]/sinωt である(sinωt=0 なので一意)。作用は、運動方程式を使って Scl=2m[xx˙]0t と書け、
Scl(xf,t;xi)=2sinωtmω[(xf2+xi2)cosωt−2xfxi]
となる。
(2) V′′=mω2 なので Jacobi 方程式は f¨=−ω2f で、f(t)=sinωt/ω である。−∂2Scl/∂xf∂xi=mω/sinωt=m/f(t) と合う。f は ωs=π,2π,… で 0 になるので ν=⌊ωt/π⌋ である。Van Vleck の公式は
K=2πiℏ1sinωtmω1/2exp(ℏiScl−2iπ⌊πωt⌋)
である。一方 Mehler 核の前因子 mω/(2πiℏsinωt) を t→t−i0 でつなぐと、ωt=nπ の近くで sinω(t−i0)=sinωt−i0⋅ωcosnπ となる。n が奇数なら sinωt は正から負へ変わりながら虚部 +0 の側(上半平面)を通り、n が偶数なら負から正へ変わりながら虚部 −0 の側(下半平面)を通る。どちらの場合も sinω(t−i0) は 0 のまわりを反時計回りに半周するので、偏角が π 増え、1/sin の偏角は π 減る。平方根の位相はその半分の −π/2 だけ変わり、n 回越えると e−iπn/2 が付く。これは上の式の e−iπν/2 に等しい(ωt=1,4,7,11 で数値でも確かめた)。
(3) ∂tScl+(∂xfScl)2/(2m)+21mω2xf2=0 が成り立つことは直接の計算で確かめられる(verify)。前因子の2乗 D=mω/sinωt は xf によらないので、連続の式は ∂tD+D∂xfv=0 となる。v=∂xfScl/m=ω(xfcosωt−xi)/sinωt から ∂xfv=ωcotωt、∂tD=−mω2cosωt/sin2ωt=−Dωcotωt で、成り立つ。前因子 A が xf によらないので、式 (3.4.19) の右辺 2mℏ2(∂x2A/A)K は 0 で、K は Schrödinger 方程式を厳密に満たす。作用が2次式であることの帰結である。
(4) 対角 xf=xi=x では Scl=sinωtmωx2(cosωt−1)=−mωx2tan2ωt である。0<ωt<π では
Z(t)=2πiℏsinωtmω∫dxe−imωx2tan(ωt/2)/ℏ=2πiℏsinωtmωimωtan(ωt/2)πℏ
で、sinωttan(ωt/2)=2sin2(ωt/2) を使うと Z(t)=2isin(ωt/2)1 を得る。x の積分は tan(ωt/2)>0 の Fresnel 積分で、位相 e−iπ/4 を持つ。π<ωt<2π では K の位相 e−iπ/2 と、tan(ωt/2)<0 になった Fresnel 積分の位相の変化 e+iπ/2 が打ち消し、同じ式がそのまま成り立つ(t に負の虚部を与えた数値積分で確かめた)。q=e−iωt(t に負の小さな虚部を与えて ∣q∣<1)とおくと
Z(t)=1−e−iωte−iωt/2=n=0∑∞e−iω(n+21)t
なので、準位は En=ℏω(n+21) で、どれも縮退していない。共通例題①の正答と同じである。
(5) 跡の x の積分の停留点は x=0(原点に静止した周期軌道)で、そのまわりの軌道は1周期 2π/ω の間に焦点を2つ通り、位相 e−iπ=−1 を受け取る。(4) の Z(t) は t が1周期進むと sin(ωt/2) の符号が変わって −1 倍になり、分子 e−iωt/2 のこの −1 が焦点の位相そのものである。これがなければ準位は ℏωn になり、零点エネルギー ℏω/2 は現れない。WKB の Bohr–Sommerfeld の条件 J=(n+21)ℏ の 21 と同じものを、経路の側の焦点の数え方から得たことになる。
87Rb では、最初の焦点は π/ω=1/(2×50)s=10ms である。m=86.909×1.6605×10−27kg=1.443×10−25kg なので、基底状態の幅は 1.055×10−34/(2×1.443×10−25×314.2)m=1.08μm である。罠の中のある点から出た原子の波は 10 ms 後に反対側の鏡像の点に集まり、その時刻の伝播関数は e−iπ/2δ(xf+xi) になる。