この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第4部 第6章 §4.6.7 ★★★ 密度行列の時間発展は2本の経路の積分で、環境は影響汎関数 にまとまる。振動子の熱浴では雑音と散逸の2つの核で厳密に決まり、高温で Caldeira–Leggett 方程式、2次の系では量子の揺動散逸定理と古典の Langevin 方程式が出る。Markov でない環境・強い結合・初めの相関・高温の方程式の正値性が第4部の限界である
密度行列の時間発展は、 から来る前向きの経路と から来る後ろ向きの経路の2本の経路積分に書くことができる。重心 と差 に分けると作用の差は とポテンシャルの差の奇数次になり、2次の系では について厳密に1次である。系と環境の全体の経路積分から環境の経路を先に積分すると、Feynman–Vernon の影響汎関数 が残る。 は環境に残った2本の経路の記録の重なりで、その絶対値の減りがデコヒーレンス、位相が摩擦などの力を表す。
環境が熱平衡の振動子の集まりで線形に結合する Caldeira–Leggett 模型では、影響汎関数は雑音の核 と散逸の核 で厳密に決まり、両方がスペクトル密度 から作られる。Ohm 型・高温では時間について局所的になって Caldeira–Leggett の主方程式が出て、位置の重ね合わせは摩擦の速さの 倍の速さで干渉を失う。2次の系では雑音を Gauss の力に書き直すと重心が古典の Langevin 方程式に厳密に従い、共通例題①の定常の は量子の揺動散逸定理で決まる。結合が弱い極限で第4部第4章の熱平衡に戻り、強い結合では Gibbs 状態から外れる。共通例題②の純粋な位相緩和は厳密に解け、高温では Lindblad 方程式の 、温度 0 では冪の減衰になる。
高温の主方程式は Lindblad 形でないので熱波長より狭い状態の正値性を壊し、Diósi の項を足すと Lindblad 形になる。初めの相関・強い結合・記憶のある環境は CPTP 写像の半群の外にあり、そこでは影響汎関数か大きな系の状態ベクトルに戻る。影響汎関数は基準の大きな閉じた系から作られ、Gauss 型なら振動子の熱浴で必ず実現できるので、「経路積分 × 密度行列」の橋は両向きに架かる。
総合問題 抵抗でつないだ LC 共振器を、影響汎関数・主方程式・揺動散逸定理の3つで読む ★★★
オリジナル共振の周波数 、特性インピーダンス の LC 回路に、抵抗 を並列につなぐ。座標は節点の磁束 、共役な運動量は電荷 とする。
- (1) ・ を求め、この回路が質量 、 の Ohm 型の Caldeira–Leggett 模型であることを示して、、、共振の鋭さ を求めよ。(使う道具:この章の第4.6.3節・第2部第5章 の回路の量子化)
- (2) で高温の極限が使えることを で確かめ、雑音の核から抵抗の雑音電流の片側スペクトル を出せ。(使う道具:この章の第4.6.3節・解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部第9章 の揺動散逸定理)
- (3) で、磁束が ()だけ違う2つの状態の重ね合わせが干渉を失う速さ を求め、 と比べよ。(使う道具:この章の (4.6.17)・第4.6.2節)
- (4) で、定常の を を単位に、(a) 第4部第4章の熱平衡、(b) 揺動散逸定理 (4.6.20)、(c) 高温の主方程式の定常解、の3通りで求めて比べよ。(使う道具:この章の第4.6.4節・第4部第4章)
- (5) で回路が基底状態にあるとき、高温の主方程式 (4.6.15) での不確定性の行列式の変化 を を単位に求め、Diósi の項を足すとどうなるかを述べよ。この温度でどの扱いを使うべきか。(使う道具:この章の第4.6.5節・第4部第5章 の GKSL の定理)
解答
(1) 、 から 、。節点の方程式 を質量 の粒子の と比べると 、、 で、抵抗の役は記憶の核 、すなわち の Ohm 型の熱浴である。、、。第2部第5章の量子化 は、この対応で粒子の になる。
(2) なので、共振の周波数の付近では が使える(抵抗の遮断はさらに高いとする)。雑音の核は で、 の相関は 。両側のパワースペクトルが なので、正の周波数だけの片側スペクトルは で、Johnson–Nyquist の雑音電流である。
(3) (4.6.17) で なので 。、 で。 の 倍である。 の比()が の桁なので、散逸と同じ桁の速さで干渉が消える。磁束の差が大きい状態の重ね合わせほど、 に比例して速く消える。
(4) 、。粒子の は回路では である。(a) 熱平衡:。(b) (4.6.20) を で数値積分すると 。差は 0.04% で、結合が弱いので命題 4.6.2 (a) のとおり熱平衡とほぼ一致する。(c) 高温の主方程式の定常解は 、この単位で で、零点の揺らぎを持たないために3割小さい。この温度では高温の主方程式を使うことはできない。
(5) 基底状態では 、、。(4.6.23) は で、(4.6.15) の解は不確定性の関係を破り、密度演算子でなくなる。これは (4.6.15) が Lindblad 形でないこと(GKSL の定理の外にあること)の現れである。Diósi の項は を足して にし、正値性は守るが、定常の値は (c) と同じ古典の値のままで (4) の厳密な値を再現しない。・ では、雑音の核 を のまま使う影響汎関数(第4.6.4節)か、結合が弱いことを使って第4部第5章の熱浴の Lindblad 方程式(共振の周波数での を使うもの)を使うべきである。後者は弱結合・永年近似の Lindblad 方程式で、定常状態が (a) の熱平衡になり、(b) と 0.04% の範囲で一致する。
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