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この章のまとめ

2026年10月17日8分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第8部 第3章 Stone–von Neumann の定理の外側:無限自由度の CCR と CAR

AI 生成・木下が未勉強

量子力学の様々な構成方法 第8部 第3章 §8.3.7 ★★ 有限自由度では表現が1つ、無限自由度では状態ごとに表現が分かれる。分かれる理由は巨視的な平均が数になること

この章では、交換関係を Weyl の関係 W(z1)W(z2)=eis(z1,z2)/(2ℏ)W(z1+z2)W(z_1)W(z_2)=\mathrm{e}^{\mathrm{i}\mathsf s(z_1,z_2)/(2\hbar)}W(z_1+z_2) に直して CCR 代数を作り、その表現が1つか複数かを調べた。代数のノルムでは W(z)W(z) どうしが常に距離 22 だけ離れているので、x^\hat x や p^\hat p は代数に入らず、表現の側に正則性を課して作り直す。自由度が有限なら、Weyl 演算子の Gauss 平均 PP が真空への射影になり、その性質は Weyl の関係だけから出る。どの正則な表現にも PP の像として基底状態を与えるベクトルがあり、そこから Schrödinger 表現が作り直せるので、正則な表現は Schrödinger 表現の直和に限る(Stone–von Neumann の定理)。共通例題①では、Schrödinger・Fock・Bargmann の3つの表示がこの1つの表現の書き方の違いで、振動数を変えると真空が同じ表現の中で a^′=cosh⁡r a^+sinh⁡r a^†\hat a'=\cosh r\,\hat a+\sinh r\,\hat a^\dagger と動くことを見た。

自由度が無限になると、振動数を全部変えた真空との重なりは (cosh⁡r)−N/2→0(\cosh r)^{-N/2}\to0 になり、新しい真空は元の Fock 空間に入らない。証明の要は、積状態の GNS 表現で標本平均 1N∑kAk\frac1N\sum_kA_k が数 φ1(A)\varphi_1(A) に強収束するという大数の法則の形の補題で、この数が違う状態は別の表現に住み、互いの正規状態にもならない。フェルミ粒子では CAR 代数が最初から有界で、有限個のモードでは行列代数 M2n(C)M_{2^n}(\mathbb{C}) になるが、無限個では空の状態と満ちた状態、スピン鎖の上向きと横向きが別の表現に住む。自由場(共通例題③)では、質量を変えた真空の重なりが e−c~Vκ3\mathrm{e}^{-\tilde cV\kappa^3} と体積で指数関数的に減ることを見た。

残した問題は2つある。熱平衡状態を密度行列 e−βH^/Z\mathrm{e}^{-\beta\hat H}/Z を使わずに無限系で定義すること(第8部第4章の KMS 条件)と、強磁性・超伝導のように物性で実際に別の表現が現れる例(第8部第5章)である。総合問題では、共通例題①を無限個並べた系の振動数を変える操作を、この章の道具を全部使って調べる。

総合問題 振動子の鎖の振動数を一斉に変える ★★★

オリジナル共通例題①の振動子(質量 mm、角周波数 ω\omega)を番号 k=1,2,…k=1,2,\dots で並べ、全部の振動子の角周波数を一斉に ω′=4ω\omega'=4\omega に変える。ω\omega の真空を φω\varphi_\omega、ω′\omega' の真空を φω′\varphi_{\omega'} とし、どちらも各番号の基底状態の積状態とする。

  1. (1) 振動子1個について、a^′\hat a' を a^\hat a、a^†\hat a^\dagger で表し、∣⟨0∣0′⟩∣\lvert \langle 0 | 0' \rangle \rvert と ⟨0′∣a^†a^∣0′⟩\langle 0' | \hat a^\dagger\hat a | 0' \rangle を求めよ。(使う道具:第8.3.3節、第2部第4章の a^\hat a・a^†\hat a^\dagger)
  2. (2) NN 個の振動子での重なりが 10−310^{-3} を切る最小の NN を求め、N→∞N\to\infty の極限を述べよ。(使う道具:第8.3.4節)
  3. (3) 各番号の V(b)V(b)(b=mℏωb=\sqrt{m\hbar\omega})の平均 MNM_N を使い、φω\varphi_\omega と φω′\varphi_{\omega'} の GNS 表現がユニタリ同値でないことを示せ。N=100N=100 での MNM_N のゆらぎ ∥(MN−c)ξ∥\lVert (M_N-c)\xi\rVert も求めよ。(使う道具:補題 8.3.4・定理 8.3.5、第8部第2章の GNS 構成と特性関数)
  4. (4) φω′\varphi_{\omega'} に含まれる ω\omega の量子の総数を NN 個の振動子で求め、Shale の条件と照らして、一斉に変える Bogoliubov 変換がユニタリで実装できない理由を述べよ。(使う道具:第8.3.4節、第6部第2章の Fock 空間)
  5. (5) 振動子1個の熱平衡状態 φβ\varphi_\beta(βℏω=ln⁡2\beta\hbar\omega=\ln2)について、真空の射影の期待値 φβ(P)\varphi_\beta(P) と φβ(V(b))\varphi_\beta(V(b)) を求めよ。振動子1個の熱平衡は ω\omega の表現の正規状態だが、全部の番号を同じ温度にした積状態は φω\varphi_\omega の表現の正規状態でないことを、(3) と同じ方法で示せ。(使う道具:第8.3.2節の例題、第4部第4章の熱平衡、第8部第4章への予告)
解答

(1) (8.3.9) で r=12ln⁡4=ln⁡2r=\tfrac12\ln4=\ln2 なので a^′=54a^+34a^†\hat a'=\tfrac54\hat a+\tfrac34\hat a^\dagger(cosh⁡2r−sinh⁡2r=2516−916=1\cosh^2r-\sinh^2r=\tfrac{25}{16}-\tfrac9{16}=1 で交換関係が保たれる)。(8.3.10) から ∣⟨0∣0′⟩∣=(4/5)1/2=2/5=0.894\lvert \langle 0 | 0' \rangle \rvert =(4/5)^{1/2}=2/\sqrt5=0.894、(8.3.11) から ⟨0′∣a^†a^∣0′⟩=sinh⁡2r=9/16\langle 0' | \hat a^\dagger\hat a | 0' \rangle =\sinh^2r=9/16。

(2) 積状態なので重なりは1個の NN 乗で (4/5)N/2(4/5)^{N/2}。N>2ln⁡103/ln⁡(5/4)=61.9N>2\ln10^3/\ln(5/4)=61.9 から最小の N=62N=62((4/5)31=9.9×10−4(4/5)^{31}=9.9\times10^{-4})。N→∞N\to\infty で 00 に行くので、φω′\varphi_{\omega'} を表す単位ベクトルは ω\omega の Fock 空間の中に無い。

(3) 第8.3.4節の例題と同じく c=φω(V(b))=e−1/4=0.779c=\varphi_\omega(V(b))=\mathrm{e}^{-1/4}=0.779、c′=φω′(V(b))=e−1/16=0.939c'=\varphi_{\omega'}(V(b))=\mathrm{e}^{-1/16}=0.939。補題 8.3.4 により φω\varphi_\omega の表現で MN→c 1M_N\to c\,1、φω′\varphi_{\omega'} の表現で MN→c′ 1M_N\to c'\,1 に強収束し、c≠c′c\ne c' なので定理 8.3.5 によりユニタリ同値でない。ゆらぎは (8.3.15) から (1−c2)/N=0.393/100=0.063\sqrt{(1-c^2)/N}=\sqrt{0.393/100}=0.063 で、差 0.1610.161 より小さい。NN が増えるとゆらぎは 1/N1/\sqrt N で減る。

(4) 各番号で sinh⁡2r=9/16\sinh^2r=9/16 なので、NN 個で 9N/169N/16(N=62N=62 なら 34.934.9)。N→∞N\to\infty で発散する。Shale の条件は ∑ksinh⁡2rk<∞\sum_k\sinh^2r_k<\infty なので満たされず、一斉の Bogoliubov 変換を ω\omega の Fock 空間のユニタリで実装することはできない。仮に実装できたとすると、φω′\varphi_{\omega'} は Fock 空間のベクトル U∣0⟩U| 0 \rangle で書け、その全粒子数 ⟨∑ka^k†a^k⟩\langle \sum_k\hat a_k^\dagger\hat a_k \rangle は有限のはずだが、上の計算では無限大になる。有限個の振動子に限れば、総数は有限で、(1) の変換は前の章までの言葉どおりユニタリで書くことができる。

(5) 第8.3.2節の例題から φβ(P)=1−e−βℏω=1/2\varphi_\beta(P)=1-\mathrm{e}^{-\beta\hbar\omega}=1/2。coth⁡(βℏω/2)=(2+1)/(2−1)=3\coth(\beta\hbar\omega/2)=(2+1)/(2-1)=3 なのでφβ(V(b))=exp⁡(−3⋅b2/(4mℏω))=e−3/4=0.472\varphi_\beta(V(b))=\exp(-3\cdot b^2/(4m\hbar\omega))=\mathrm{e}^{-3/4}=0.472。振動子1個なら φβ\varphi_\beta は密度行列 ρ^β\hat\rho_\beta で書けるので正規状態である(PP の期待値 1/21/2 は基底状態の占有確率)。全部の番号を同じ温度にした積状態では、MNM_N の極限が 0.4720.472 で、φω\varphi_\omega の表現の極限 0.7790.779 と違う。定理 8.3.5 の後半により、この積状態は φω\varphi_\omega の表現のどの密度行列でも書くことはできない。無限系の熱平衡を e−βH^/Z\mathrm{e}^{-\beta\hat H}/Z で定義できない理由がここにあり、状態と時間発展だけで熱平衡を定める KMS 条件(第8部第4章)が必要になる。

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