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出てくるもの1:準位が帯になり、状態密度で数える

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第3章 原子 N 個の輪:準位が帯になる
目次
  1. 準位の間隔と帯の幅
  2. 状態密度
  3. 電子を詰める
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第3章 §2.3.3 ★★★ N→∞N\to\infty で準位は幅 4t4t の区間を密に埋め、数え方は状態密度 Dsite(ε)D_{\mathrm{site}}(\varepsilon ) になる。電子を半分詰めると、帯の中ほどまで埋まった金属の状態ができる

準位の間隔と帯の幅

式 (2.3.8) から帯の性質を読み取る。第一に、固有値は k=0k=0 の εa−2t\varepsilon _{\mathrm a}-2t から k=π/ak=\pi/a の εa+2t\varepsilon _{\mathrm a}+2t までにあり、帯の幅は

Wb≔ε(π/a)−ε(0)=4t(2.3.10)W_{\mathrm b}\coloneqq\varepsilon (\pi/a)-\varepsilon (0)=4t\tag{2.3.10}

で NN によらない(WbW_{\mathrm b} は記法の正本に無い記号で、仕事 WW と分けるため添字 b を付けた)。帯の幅は原子の数でなく、隣の原子とのつながりの強さ tt と隣の数(1次元では2)で決まる。

第二に、kk は間隔 2π/(Na)2\pi/(Na) で並ぶので、隣り合う kk の準位の差は ∣dε/dk∣⋅2π/(Na)=2t∣sin⁡ka∣⋅2π/N\lvert \mathrm{d}\varepsilon /\mathrm{d} k\rvert \cdot2\pi/(Na)=2t\lvert \sin ka\rvert \cdot2\pi/N である。±k\pm k の縮退を除いた異なる準位の間隔もこれと同じ大きさで、帯の中央(ka=π/2ka=\pi/2)で最大の 4πt/N4\pi t/N、帯の底と天井では sin⁡ka→0\sin ka\to0 なので小さくなる。帯の底の付近では ε(k)−ε(0)≈ta2k2\varepsilon (k)-\varepsilon (0)\approx ta^2k^2 なので、底から1番目の準位までの間隔は t(2π/N)2=4π2t/N2t(2\pi/N)^2=4\pi^2t/N^2 で、N−2N^{-2} で狭くなる。どちらにしても N→∞N\to\infty で間隔は 00 になり、準位は区間 [εa−2t,εa+2t][\varepsilon _{\mathrm a}-2t,\varepsilon _{\mathrm a}+2t] を連続に埋める。

状態密度

準位が十分に詰まると、1つ1つの準位を数える代わりに「エネルギー ε\varepsilon のまわりの幅 dε\mathrm{d}\varepsilon に準位がいくつあるか」で数える方が便利になる。この章では状態密度を、原子1個あたり・スピンの向き1つあたりで

Dsite(ε)≔1N∑ν=0N−1δ(ε−ε(kν))(2.3.11)D_{\mathrm{site}}(\varepsilon )\coloneqq\frac1N\sum_{\nu=0}^{N-1}\delta\bigl(\varepsilon -\varepsilon (k_\nu)\bigr)\tag{2.3.11}

と定める。これは1原子・1スピンあたりの状態密度で、正本の D(ε)D(\varepsilon )(単位体積・両スピン)とは Dsite=(vc/2)DD_{\mathrm{site}}=(v_{\mathrm c}/2)D の関係にある(第2部第6章)。1次元の輪では原子1個あたりで数える方が NN を比べやすい。N→∞N\to\infty では kk の和を積分に置き換える。kk は間隔 2π/(Na)2\pi/(Na) で並ぶので、∑ν→Na2π∫−π/aπ/adk\sum_\nu\to\frac{Na}{2\pi}\int_{-\pi/a}^{\pi/a}\mathrm{d} k であり、

Dsite(ε)=a2π∫−π/aπ/aδ(ε−ε(k)) dk.D_{\mathrm{site}}(\varepsilon )=\frac{a}{2\pi}\int_{-\pi/a}^{\pi/a}\delta\bigl(\varepsilon -\varepsilon (k)\bigr)\,\mathrm{d} k .

ε(k)=ε\varepsilon (k)=\varepsilon を満たす kk は ±kε\pm k_{\varepsilon } の2つあり、デルタ関数の公式 δ(f(k))=∑δ(k−ki)/∣f′(ki)∣\delta(f(k))=\sum\delta(k-k_i)/\lvert f'(k_i)\rvert で積分すると、∣dε/dk∣=2ta∣sin⁡ka∣=a4t2−(ε−εa)2\lvert \mathrm{d}\varepsilon /\mathrm{d} k\rvert =2ta\lvert \sin ka\rvert =a\sqrt{4t^2-(\varepsilon -\varepsilon _{\mathrm a})^2} を使って

Dsite(ε)=a2π⋅22ta∣sin⁡kεa∣=1π4t2−(ε−εa)2(∣ε−εa∣<2t)(2.3.12)D_{\mathrm{site}}(\varepsilon )=\frac{a}{2\pi}\cdot\frac{2}{2ta\lvert \sin k_{\varepsilon } a\rvert }=\frac{1}{\pi\sqrt{4t^2-(\varepsilon -\varepsilon _{\mathrm a})^2}}\qquad(\lvert \varepsilon -\varepsilon _{\mathrm a}\rvert <2t)\tag{2.3.12}

を得る。帯の外では Dsite(ε)=0D_{\mathrm{site}}(\varepsilon )=0 である。全体を積分すると ∫Dsite dε=1π[arcsin⁡(x/2t)]−2t2t=1\int D_{\mathrm{site}}\,\mathrm{d}\varepsilon =\frac1\pi[\arcsin(x/2t)]_{-2t}^{2t}=1 で、原子1個あたり1つ(スピン1つあたり)の状態があることと合う。

図

図 2.3.2 輪の状態密度。柱は N=3000N=3000 の輪の固有値を幅 0.125t0.125t の区間ごとに数え、N×0.125tN\times0.125t で割ったもの。点線は N→∞N\to\infty の式 (2.3.12)(厳密)である。帯の端で Dsite(ε)D_{\mathrm{site}}(\varepsilon ) が発散するのは、端で ε(k)\varepsilon (k) が平らになり(dε/dk=0\mathrm{d}\varepsilon /\mathrm{d} k=0)、狭いエネルギーに多くの kk が集まるからである。

帯の端の発散(図 2.3.2)は、1次元の帯に必ず現れる。ε(k)\varepsilon (k) が極値を取る所では、kk が変わってもエネルギーがほとんど変わらないので、そのエネルギーのまわりに準位が溜まる。発散は (ε−εedge)−1/2(\varepsilon -\varepsilon _{\mathrm{edge}})^{-1/2} の形で、積分すると有限なので状態の数は有限である。この種の特異点は van Hove 特異点と呼ばれ、2次元・3次元での形は第2部第6章で扱う。

状態密度の使い方の例として、帯の中央の幅 2t2t、つまり ∣ε−εa∣<t\lvert \varepsilon -\varepsilon _{\mathrm a}\rvert <t にある準位の割合を求めると∫−ttDsite dε=2πarcsin⁡12=13\int_{-t}^{t}D_{\mathrm{site}}\,\mathrm{d}\varepsilon =\frac2\pi\arcsin\frac12=\frac13 である。帯の幅の半分の区間に、準位は3分の1しか無い。N=1000N=1000 の輪で実際に数えると、この区間の準位は 334334 個である。

電子を詰める

原子1個が電子1個を出す場合(π電子の炭素や、価電子1個のアルカリ金属の模型)を考える。電子は Pauli の原理に従い、各 kk の準位にスピンの上下で2個まで入る。電子は NN 個、準位は NN 個なので、帯のちょうど半分が埋まる。基底状態では低い方から埋めるので、−π/(2a)<k≤π/(2a)-\pi/(2a)<k\le\pi/(2a) の準位が埋まり、最後に埋まる準位のエネルギー(Fermi 準位)は ε(π/2a)=εa\varepsilon (\pi/2a)=\varepsilon _{\mathrm a}、帯の真ん中である。

N→∞N\to\infty での全エネルギーを原子1個あたりで求めると、

EN−εa=2⋅a2π∫−π/2aπ/2a(−2tcos⁡ka)dk=−4tπ≈−1.273 t(2.3.13)\frac{E}{N}-\varepsilon _{\mathrm a}=2\cdot\frac{a}{2\pi}\int_{-\pi/2a}^{\pi/2a}\bigl(-2t\cos ka\bigr)\mathrm{d} k=-\frac{4t}{\pi}\approx-1.273\,t\tag{2.3.13}

である(先頭の 22 はスピン)。原子を2個ずつ孤立した2量体に組んだ場合は、1原子あたり −t-t であった(第2部第1章)。輪全体に電子を広げると、1原子あたり 0.273t0.273t だけさらにエネルギーが下がる。電子が狭い範囲に閉じ込められず全体に広がると運動エネルギーが下がる、という第1部第1章の6個の輪の例題の結論が、N→∞N\to\infty でも成り立っている。

埋まった準位と空の準位の境目に注目すると、いちばん上の埋まった準位(HOMO)といちばん下の空の準位(LUMO)の差は、帯の中央の準位間隔 4πt/N4\pi t/N と同じ程度で、N→∞N\to\infty で 00 になる。電子は無限に小さいエネルギーで空の準位へ移れるので、わずかな電場で電流が流れる。半分埋まった帯は金属を表す。バンドの埋まり方で金属・絶縁体が分かれることは第2部第7章で一般に述べ、この半分埋まった1次元の金属が実際には格子を歪めて絶縁体になること(Peierls 転移)は第2部第8章で扱う。

例題 2.3.3 有限の輪の全エネルギーと 4n+24n+2 ★★★

オリジナルεa=0\varepsilon _{\mathrm a}=0 の NN 個の輪に電子 NN 個を詰めた基底状態(NN は偶数)を考える。

  1. (1) N=4n+2N=4n+2(n=1,2,…n=1,2,\dots)のとき、埋まる準位は ν=−n,…,n\nu=-n,\dots,n である。全エネルギーが E=−4t/sin⁡(π/N)E=-4t/\sin(\pi/N) になることを示せ。
  2. (2) N=4nN=4n のとき、ν=±n\nu=\pm n の2つの準位はエネルギー 00 で縮退し、そこに電子が2個入る。全エネルギーが E=−4tcot⁡(π/N)E=-4t\cot(\pi/N) になることを示せ。
  3. (3) 1原子あたりのエネルギー E/NE/N を N=4,6,8,10N=4,6,8,10 で求め、N→∞N\to\infty の −4t/π-4t/\pi にどちら側から近づくかを、1/N21/N^2 の項まで展開して答えよ。
解答

(1) 埋まる準位それぞれに電子が2個入るので、E=2∑ν=−nn(−2t)cos⁡(2πν/N)E=2\sum_{\nu=-n}^{n}(-2t)\cos(2\pi\nu/N)。和の公式 ∑ν=−nncos⁡(νθ)=sin⁡((2n+1)θ/2)/sin⁡(θ/2)\sum_{\nu=-n}^{n}\cos(\nu\theta)=\sin\bigl((2n+1)\theta/2\bigr)/\sin(\theta/2) を θ=2π/N\theta=2\pi/N で使うと、(2n+1)π/N=π/2(2n+1)\pi/N=\pi/2 なので分子は 11 で、E=−4t/sin⁡(π/N)E=-4t/\sin(\pi/N) となる。

(2) エネルギー 00 の2つの準位は全エネルギーに寄与しないので、E=−4t∑ν=−(n−1)n−1cos⁡(2πν/N)=−4t sin⁡((2n−1)π/N)/sin⁡(π/N)E=-4t\sum_{\nu=-(n-1)}^{n-1}\cos(2\pi\nu/N)=-4t\,\sin\bigl((2n-1)\pi/N\bigr)/\sin(\pi/N)。(2n−1)π/N=π/2−π/N(2n-1)\pi/N=\pi/2-\pi/N なので分子は cos⁡(π/N)\cos(\pi/N) で、E=−4tcot⁡(π/N)E=-4t\cot(\pi/N) となる。2個の電子を縮退した2つの準位にどう入れるか(スピンの向き)は、電子間の相互作用を入れないこの模型では決まらない。

(3) N=4N=4:E/N=−4tcot⁡(π/4)/4=−tE/N=-4t\cot(\pi/4)/4=-t。N=6N=6:−4t/(6sin⁡30∘)=−1.333t-4t/(6\sin30^\circ)=-1.333t。N=8N=8:−4tcot⁡(22.5∘)/8=−1.207t-4t\cot(22.5^\circ)/8=-1.207t。N=10N=10:−4t/(10sin⁡18∘)=−1.294t-4t/(10\sin18^\circ)=-1.294t。展開は Nsin⁡(π/N)=π−π3/(6N2)+⋯N\sin(\pi/N)=\pi-\pi^3/(6N^2)+\cdots、Ntan⁡(π/N)=π+π3/(3N2)+⋯N\tan(\pi/N)=\pi+\pi^3/(3N^2)+\cdots から

EN∣4n+2=−4tπ(1+π26N2+⋯ ),EN∣4n=−4tπ(1−π23N2+⋯ )\frac EN\Big|_{4n+2}=-\frac{4t}{\pi}\Bigl(1+\frac{\pi^2}{6N^2}+\cdots\Bigr),\qquad \frac EN\Big|_{4n}=-\frac{4t}{\pi}\Bigl(1-\frac{\pi^2}{3N^2}+\cdots\Bigr)

である。4n+24n+2 個の輪は −4t/π-4t/\pi より低い側から、4n4n 個の輪は高い側から近づく。4n+24n+2 個の輪ではいちばん上の埋まった準位までがちょうど閉じた殻になり、4n4n 個の輪では半端に埋まった縮退準位が残るためである。化学で「4n+24n+2 個の π電子の環は安定(芳香族)」と言う Hückel 則そのものは、第2部第2章で準位の閉殻として見た(ベンゼン N=6N=6 と、正方形の形を保てないシクロブタジエン N=4N=4)。ここではそれが全エネルギーの 1/N21/N^2 の差として現れる。どちらの差も 1/N21/N^2 で消えるので、大きな NN の帯には効果が残らない。

木下の勉強ステータス

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