この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部 第7章 §4.7.7 ★★★ トンネル電流は「両側の状態密度 × 障壁の中の波動関数の尾の重なりの2乗」。STM はそれを局所状態密度の地図にし、透過率が大きくなれば Landauer 公式の になる
この章では、2つの電極と薄い障壁の1電子の を選んだ。障壁の中で Fermi 準位の電子の波動関数は 、 で減り、透過率は の程度で、仕事関数が 4〜5 eV なら で約1桁変わる。
当てた道具は Bardeen の方法で、左右の電極を別々に解いた状態の間の行列要素は、障壁の中の面の上の積分 (4.7.6) になる。黄金律で数えると電流は式 (4.7.7)、伝導度は両側の状態密度と の積 (4.7.8) で、1次元の障壁では厚い障壁の極限の厳密な透過率と一致した。
出てきたものの第一は Tersoff–Hamann の結果 (4.7.11) で、探針を s 軌道とみなすと伝導度は探針の中心での試料の局所状態密度に比例する。定電流像はその等高面、 はそのエネルギー依存 (4.7.13) で、短い周期の凹凸は で消え、エネルギーの分解能は である。第二は Landauer 公式 (4.7.15) で、透過率がそのまま を単位にした伝導度になり、完全に通す通り道でも接触抵抗 が残る。分子1個の接合では電極を自己エネルギー (4.7.17) に置き換えて透過率 (4.7.18) を計算でき、準位1つなら Breit–Wigner 型の山 (4.7.19) になる。
削ったものは、電子どうしの相互作用(鏡像力・帯電)・非弾性トンネル・電極の互いの変形と行列要素の1次・探針の軌道の形・位相の乱れで、札は3枚貼った。
この章で使える式
- 障壁の中の減衰:、
- Bardeen:、
- Tersoff–Hamann:、
- Landauer:、、
- 分子の接合:、
総合問題 ベンゼン1個の接合:つなぐ場所で伝導度が変わる ★★★
オリジナル半分詰まりの2本の半無限の鎖(ホッピング 、)の端を、ベンゼンの環の2つの炭素に でつなぐ。ベンゼンは Hückel の6員環(サイトのエネルギー 0、隣どうしのホッピング )とし、左の鎖はサイト1に、右の鎖はサイト につなぐ。 をオルト、 をメタ、 をパラと呼ぶ。
- (1) ベンゼンの準位を求め、電極につなぐ前の分子だけの について、 を で求めよ。(使う道具:第2部第2章・第2部第3章の Hückel の環)
- (2) 結合が弱いとき である。3つのつなぎ方の透過率と、パラの伝導度と抵抗を求めよ。メタで透過率が 0 になる理由を、準位ごとの寄与の打ち消し合いとして説明せよ。(使う道具:4.7.4節の式 (4.7.18)・式 (4.7.15))
- (3) 自己エネルギーを入れた厳密な で、メタの が によらず厳密に 0 であることを、逆行列の余因子の形から示せ。パラの厳密な を求めよ。(使う道具:4.7.4節)
- (4) 今度は分子の準位1つ が基板に強く()、STM の探針に弱く()つながっているとする。 で と書けることを示せ。 は基板につながって幅を持った分子の準位の状態密度である。 の の山の電圧と高さを求め、4.7.3節の Tersoff–Hamann の結果と比べよ。(使う道具:4.7.3節・4.7.4節)
- (5) 第4部第2章の総合問題では、不純物のある1次元の鎖(輸送の平均自由行程 、長さ )の抵抗を Boltzmann 方程式で と求めた。この鎖の両端を溜めにつないだときの抵抗を式 (4.7.16) で求め、Boltzmann 方程式の値との差が何かを述べよ。(使う道具:4.7.4節・第4部第2章)
解答
(1) ( は環の隣り合いの行列)の固有状態は ()、準位は で、 である。6個の 電子が下の3つを埋め、HOMO が 、LUMO が で、電極の Fermi 準位 はその真ん中にある。固有状態で展開すると
で、オルト()は 、メタ()は 、パラ()は である。
(2) で 。オルトとパラは 、メタは 0 である。パラの伝導度は 、抵抗は である。メタで 0 になるのは、(1) の和で、 と (一番下と一番上の準位)の寄与が と で打ち消し、2重に縮退した HOMO と LUMO の寄与もそれぞれ で打ち消すからである。各準位の寄与は、サイト1とサイト の振幅の積 を分母 で割ったものである。メタでは、この積の位相が準位ごとに回り、エネルギーの符号が逆の準位どうしの寄与が同じ大きさで逆の符号になる。電子は分子の中を複数の準位を経由して通り、その振幅の和が干渉で 0 になる。
(3) は行列 の逆行列の 成分で、 に等しい。1行目と3列目を取り除くと、 が入っている 成分と 成分はどちらも消えるので、この小行列式は を含まず、分子だけの値と同じである。分子だけでは (準位に 0 が無い)なのに だったので、この小行列式は 0 である。 なので、 が によらず厳密に成り立つ。パラは数値で逆行列を計算して で、弱結合の近似 より 小さい。
(4) 式 (4.7.19) で 、、 を に繰り込むと
(分母の を落とした)。 では なので、山は (試料の空いた準位)にあり、高さは、近似の とほぼ同じで、半値全幅は である。微分伝導度は、探針の結合 を比例の係数とした分子の状態密度 に等しい。これは Tersoff–Hamann の結果 (4.7.11) の「探針の性質の定数 × 試料の局所状態密度」と同じ形で、係数は弱い側の結合で、状態密度の幅は強い側の結合で決まる。
(5) 1次元では散乱は後ろ向き()だけで、輸送の緩和時間は後方散乱の時間の半分 だった(第4部第2章)。長さ の間に後ろへ散乱される確率は 、 である。式 (4.7.16) で、長さ ごとの薄い散乱体の を足すと で、
である。第2項は で、Boltzmann 方程式の値と一致する。差の は接触抵抗で、鎖の中の電場で測る抵抗(4端子の抵抗)には入らず、溜めの間の電圧で測る抵抗(2端子の抵抗)に入る。Boltzmann 方程式は導体の内部の一様な電場への応答を計算したので、接触の分を含まない。この足し算は、散乱体の間で電子の位相が乱れることを仮定していて、位相を保った長い1次元の鎖では局在で成り立たない(4.7.5節)。
木下の勉強ステータス
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