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取り出すモードと物質のモデル:定在波の格子と集光ビームのピンセット

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第27章 光格子と光ピンセット
目次
  1. 定在波のポテンシャル
  2. 格子の反跳エネルギー
  3. 集光ビームのピンセット
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第27章 §27.1 ★★★ 向かい合う2本の光の定在波は強度を 4I1cos⁡2kz4I_1\cos^2kz と半波長ごとに変え、赤い離調の原子は周期 λL/2\lambda_{\mathrm L}/2 の格子のポテンシャルを感じる。深さの目盛りは格子の反跳エネルギー ERE_{\mathrm R}

第25章(第25章)で、遠く離調した光の中の原子は、強度に比例するポテンシャル Udip∝−Re⁡α(ωL) I(r)U_{\mathrm{dip}}\propto-\operatorname{Re}\alpha(\omega_{\mathrm L})\,I(\bm{r}) を感じることを示した。第26章(第26章)で冷やした原子は、温度が μK\mu\mathrm K の程度まで下がっているので、深さが μK\mu\mathrm K から mK\mathrm{mK} のこのポテンシャルに捕まえておくことができる。この章では、光の強度の分布を設計して、ポテンシャルの形そのものを作る。

取り出す光のモードは2種類である。1つは向かい合う2本の平面波を重ねた定在波で、強度が半波長ごとに周期的に変わるので、原子は周期ポテンシャルを感じる。これを光格子と呼ぶ。もう1つは、レンズで直径 1 μm1\,\mu\mathrm m の程度まで絞ったガウスビームで、焦点に原子を1個だけ捕まえる。これを光ピンセットと呼ぶ。物質のモデルは、第25章と同じく2準位原子に重心の運動を足したものだが、内部の状態は遠い離調で消去し、重心は量子力学の粒子として扱う。結合は双極子力のポテンシャル V(r)V(\bm{r}) だけである。原子どうしの結合として、同じ井戸に入った2個の原子の衝突と、遠く離れた Rydberg 状態の原子どうしの van der Waals 相互作用を足す。

結論を先に書く。光格子の中の原子は、固体の中の電子と同じ Bloch の定理に従い、エネルギーはバンドに分かれる。格子が深いと最低バンドは隣の井戸へのトンネル tht_{\mathrm h} だけで書け、同じ井戸の2個の原子の衝突のエネルギー UU と合わせて Bose–Hubbard 模型になる。比 U/thU/t_{\mathrm h} は光の強さだけで e2s\mathrm{e}^{2\sqrt{s}} の程度で変えられ(ss は格子の深さを反跳エネルギーで割ったもの)、ある値を越えると原子は井戸ごとに1個ずつ止まる Mott 絶縁体になる。光ピンセットでは、光で誘起された衝突が原子を2個ずつ追い出すので、各ピンセットの原子の数は0か1になり、空いた所を詰め直すと原子を1個ずつ並べた列ができる。並べた原子を Rydberg 状態へ励起すると、近くの2個は同時に励起されない(Rydberg 遮断)。この遮断を使って、2量子ビットの制御位相ゲートを組むことができる。

27.1節で定在波と集光ビームのポテンシャルを作り、27.2節で周期ポテンシャルに Bloch の定理を当ててバンドとトンネルを出す。27.3節と27.4節が「出てくるもの」で、前者は Bose–Hubbard 模型と Mott 転移、後者は原子1個ずつの列と Rydberg 遮断のゲートである。27.5節で置いた近似と測る量を述べ、27.6節で固体物理の Bloch 電子と量子計算の回路の式と並べ、27.7節でまとめる。

定在波のポテンシャル

角周波数 ωL\omega_{\mathrm L}、波数 k=ωL/ck=\omega_{\mathrm L}/c の平面波を2本、+z+z と −z-z の向きに同じ偏光と同じ振幅 E0E_0 で重ねる。電場は

E(z,t)=E0cos⁡(kz−ωLt)+E0cos⁡(−kz−ωLt)=2E0cos⁡kz cos⁡ωLt(27.1)E(z,t)=E_0\cos(kz-\omega_{\mathrm L}t)+E_0\cos(-kz-\omega_{\mathrm L}t)=2E_0\cos kz\,\cos\omega_{\mathrm L}t\tag{27.1}

で、振幅 2E0cos⁡kz2E_0\cos kz の定在波になる。強度は振幅の2乗に比例するので、1本の強度を I1I_1 とすると、定在波の強度は I(z)=4I1cos⁡2kzI(z)=4I_1\cos^2kz である。腹(cos⁡kz=±1\cos kz=\pm1)の強度は2本の強度の和 2I12I_1 でなく、その2倍の 4I14I_1 になる。2本の電場が同じ向きに振動して振幅が足し合わされるからである。節(cos⁡kz=0\cos kz=0)では2本の電場が打ち消し合い、強度は0になる。2本の偏光が直交していると電場は足し合わされず、強度は場所によらず 2I12I_1 で、格子はできない。

遠い離調では、双極子力のポテンシャルは強度に比例し(第25章の Grimm たちの式。反回転の項も含める)、

Udip(z)=−3πc22ω03(Γω0−ωL+Γω0+ωL)I(z)U_{\mathrm{dip}}(z)=-\frac{3\pi c^2}{2\omega_0^3}\Bigl(\frac{\Gamma}{\omega_0-\omega_{\mathrm L}}+\frac{\Gamma}{\omega_0+\omega_{\mathrm L}}\Bigr)I(z)

である。ω0\omega_0 は遷移の角周波数、Γ\Gamma は自然放出の速さである。赤い離調(ωL<ω0\omega_{\mathrm L}<\omega_0、Δ<0\Delta<0)では括弧の中が正なので、強度の大きい所ほどポテンシャルが低い。この章では、Hubbard 模型の相互作用に UU を取っておくため、光が作る重心のポテンシャルを VV と書く。定在波のポテンシャルは

V(z)=−V0cos⁡2kz=−V0+V0sin⁡2kz,V0=4∣U1∣(27.2)V(z)=-V_0\cos^2kz=-V_0+V_0\sin^2kz,\qquad V_0=4\lvert U_1\rvert\tag{27.2}

で、U1U_1 は強度 I1I_1 の1本だけが作るポテンシャルである。周期は cos⁡2kz\cos^2kz の周期 π/k\pi/k、すなわち格子定数

a=λL2a=\frac{\lambda_{\mathrm L}}{2}

である。赤い離調では原子は腹に集まり、青い離調では節に集まる。式 (27.2) の2つの形は定数 −V0-V_0 だけ違い、この定数はエネルギーの原点を動かすだけなので、27.2節では V0sin⁡2kzV_0\sin^2kz の形を使う。

3次元の格子は、xx・yy・zz の3組の定在波を重ねて作る。3組の周波数をわずかにずらしておくと、異なる組の電場の干渉は速く振動して時間平均で消え、ポテンシャルは各方向の和

V(r)=−V0(cos⁡2kx+cos⁡2ky+cos⁡2kz)V(\bm{r})=-V_0\bigl(\cos^2kx+\cos^2ky+\cos^2kz\bigr)

になる。原子は格子定数 aa の単純立方格子の各点(腹)の近くに閉じ込められる。

格子の反跳エネルギー

格子の深さの目盛りには、格子の光の光子1個の運動量 ℏk\hbar k を受けた原子の運動エネルギー

ER=ℏ2k22m(27.3)E_{\mathrm R}=\frac{\hbar^2k^2}{2m}\tag{27.3}

を使う。これを格子の反跳エネルギーと呼ぶ。第25章の反跳エネルギー ErecE_{\mathrm{rec}} と同じ形だが、波数は原子の共鳴の光でなく格子の光のものである。ERE_{\mathrm R} は、波長 2a2a の自由粒子の運動エネルギーにあたり、27.2節で見るとおり、格子のバンドの幅とバンドの隙間を測る自然な単位になる。格子の深さを

s=V0ERs=\frac{V_0}{E_{\mathrm R}}

と無次元で書く。87Rb{}^{87}\mathrm{Rb}(m=1.443×10−25 kgm=1.443\times10^{-25}\,\mathrm{kg})を波長 λL=1064 nm\lambda_{\mathrm L}=1064\,\mathrm{nm} の格子に入れると、a=532 nma=532\,\mathrm{nm}、ER/h=2.03 kHzE_{\mathrm R}/h=2.03\,\mathrm{kHz}、ER/kB=97.3 nKE_{\mathrm R}/ k_{\mathrm B}=97.3\,\mathrm{nK} である。第26章の偏光勾配冷却の温度(μK\mu\mathrm K の程度)は ERE_{\mathrm R} の数十倍あり、格子のバンドの構造を見るには、さらに蒸発冷却で Bose–Einstein 凝縮の温度まで冷やす必要がある。

集光ビームのピンセット

ビームを1本だけ、焦点の半径 w0w_0 が 1 μm1\,\mu\mathrm m の程度になるまで絞ると、強度は焦点で最大になり、どの向きに離れても下がる。ポテンシャルは第4章(第4章)のガウスビームの強度をそのまま写して

V(ρ,z)=−Vt1+z2/zR2exp⁡(−2ρ2w02(1+z2/zR2)),zR=πw02λL(27.4)V(\rho,z)=-\frac{V_{\mathrm t}}{1+z^2/z_{\mathrm R}^2}\exp\Bigl(-\frac{2\rho^2}{w_0^2(1+z^2/z_{\mathrm R}^2)}\Bigr),\qquad z_{\mathrm R}=\frac{\pi w_0^2}{\lambda_{\mathrm L}}\tag{27.4}

になる(ρ\rho は軸からの距離、VtV_{\mathrm t} は焦点の深さ)。焦点の近くで2次まで展開した捕獲の周波数は第25章で求めた。1本のビームを音響光学素子で角度の違う何本ものビームに分けるか、空間光変調器で位相の模様を付けてから集光すると、焦点を数十個から数百個、好きな配置に並べることができる。各焦点が1個ずつの原子の置き場になる。格子は全部の井戸が同じ深さで隣どうしのトンネルが起こる系を作り、ピンセットは井戸の位置を1つずつ選べてトンネルの起こらない系を作る。前者が27.3節の多体系、後者が27.4節の量子ビットの列になる。

図

図 27.1 左:向かい合う2本の光の定在波が作るポテンシャル V(z)=−V0cos⁡2kzV(z)=-V_0\cos^2kz。赤い離調では原子は強度の腹(ポテンシャルの谷)に捕まり、谷の間隔は λL/2\lambda_{\mathrm L}/2。右:集光ビームを2次元に並べたピンセットの列。各焦点(赤い円)の原子は0個か1個で、Rydberg 状態に励起した原子の周りの半径 RbR_{\mathrm b} の中では、もう1個の原子は Rydberg 状態に励起されない(27.4節)。

例題 27.1 1064 nm1064\,\mathrm{nm} の光格子の深さ ★★

オリジナル87Rb{}^{87}\mathrm{Rb} の D2 線(λ0=780.24 nm\lambda_0=780.24\,\mathrm{nm}、Γ/2π=6.067 MHz\Gamma/2\pi=6.067\,\mathrm{MHz})だけを2準位として残し、波長 1064 nm1064\,\mathrm{nm} の光で格子を作る。1本のビームのパワーは P=50 mWP=50\,\mathrm{mW}、焦点の半径は w0=100 μmw_0=100\,\mu\mathrm m で、2本を焦点で重ねて定在波にする。

  1. (1) 1本のビームの中心の強度 I1=2P/(πw02)I_1=2P/(\pi w_0^2) と、定在波の腹の強度を求めよ。
  2. (2) Grimm たちの式で、強度あたりのポテンシャルは Udip/I=−2.06×10−36 J/(W m−2)U_{\mathrm{dip}}/I=-2.06\times10^{-36}\,\mathrm{J/(W\,m^{-2})} である。格子の深さ V0V_0 を kBk_{\mathrm B} と hh で割った値で求め、s=V0/ERs=V_0/E_{\mathrm R} を求めよ。
  3. (3) 2本の偏光を直交させると、ポテンシャルはどうなるか。
解答

(1) I1=2×0.050/(π×(1.00×10−4)2)=3.18×106 W m−2I_1=2\times0.050/(\pi\times(1.00\times10^{-4})^2)=3.18\times10^{6}\,\mathrm{W\,m^{-2}} である。腹の強度は 4I1=1.27×107 W m−24I_1=1.27\times10^{7}\,\mathrm{W\,m^{-2}} である。

(2) 1本だけのポテンシャルは U1=−2.06×10−36×3.18×106 J=−6.55×10−30 JU_1=-2.06\times10^{-36}\times3.18\times10^{6}\,\mathrm J=-6.55\times10^{-30}\,\mathrm J、U1/kB=−0.474 μKU_1/ k_{\mathrm B}=-0.474\,\mu\mathrm K である。格子の深さはその4倍で、V0/kB=1.90 μKV_0/ k_{\mathrm B}=1.90\,\mu\mathrm K、V0/h=39.5 kHzV_0/h=39.5\,\mathrm{kHz} になる。ER/kB=97.3 nKE_{\mathrm R}/ k_{\mathrm B}=97.3\,\mathrm{nK} で割ると s=19.5s=19.5 である。波長 1064 nm1064\,\mathrm{nm} は D2 線から大きく離れているので、ポテンシャルは μK\mu\mathrm K の程度と浅い。それでも、Bose–Einstein 凝縮の温度(100 nK100\,\mathrm{nK} の程度)の原子にとっては ERE_{\mathrm R} の20倍の深い井戸である。

(3) 直交する偏光の電場は足し合わされず、強度は場所によらず 2I12I_1 になる。ポテンシャルは一様に 2U12U_1(−0.948 μK-0.948\,\mu\mathrm K)だけ下がり、周期的な部分は消える。格子は2本の光の干渉で作られていて、干渉が無ければ格子は無い。

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