この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
光学と量子エレクトロニクス 第26章 §26.7 ★★★ Doppler のずれで散乱力を摩擦に変え、反跳の揺らぎとつり合わせると Doppler 限界、副準位と偏光の勾配を入れると偏光勾配冷却と反跳限界、Zeeman のずれを足すと磁気光学トラップになる。総合問題は原子線の減速からトラップと冷却までの1台の装置
要点
- 動く原子が見る離調は 。向かい合う赤く離調した2本の光の散乱力を足すと、遅い原子には摩擦 が働き、 は式 (26.4)(26.1節)。
- 光子の吸収と放出のでたらめな反跳は運動量の拡散 を起こし、温度は 。最小は , の Doppler 限界 (命題 26.1)。
- 基底状態の副準位の光シフトが偏光の勾配で場所ごとに違うと、光ポンピングが原子を坂の上から谷へ落とし、温度は の程度まで下がる。下限は反跳温度 の程度(26.3節)。
- 磁場の勾配と円偏光の選び方で、Zeeman のずれが位置に比例して離調を変え、復元力 , が加わる。これが磁気光学トラップで、ふつう過減衰(26.4節)。
- 半古典の扱いの条件は 。温度は飛行時間法 で測る(26.5節)。
この章は、第25章の散乱力の式1つに Doppler のずれを入れることから始めた。摩擦も、温度の下限も、トラップの復元力も、同じ Lorentz 形の散乱の速さ の傾きと値から出た。摩擦と拡散の比が温度になること、摩擦と復元力の比が磁場の勾配と波数だけで決まることは、どちらもこの共通の出どころの帰結である。2準位原子の模型が予言を外したのは、基底状態の縮退という、模型が最初に捨てた自由度の所だった。そこで現れた光シフトの坂は、第25章の双極子力のポテンシャルを副準位ごとに分けたものである。冷えた原子は、第27章(第27章)で光格子と光ピンセットに並べられ、第28章(第28章)の原子時計と第29章(第29章)の原子干渉計の出発点になる。原子が遅いほど観測の時間を長く取れ、Doppler 幅(第24章)も小さくなるからである。
総合問題 1台の装置で原子を止め、集め、冷やす ★★★
オリジナル の D2 線(, , )を使い、オーブンから出た速さ の原子線を減速し、磁気光学トラップに集め、光の糖蜜で冷やす。励起状態の磁気モーメントの実効値は とする。
- (1) 散乱の速さの最大値と、そのときの減速度 を求めよ。(使う道具:第25章の散乱力・26.1節)
- (2) 余裕を見て減速度を に保つ Zeeman 減速器を作る。長さ を求め、原子がどこでも共鳴を保つための磁場の形 を、 での値 を数値で求めて書け。ただし で磁場が0になり、そこで原子が止まるように光の離調を選ぶとする。(使う道具:26.1節の Doppler のずれ・26.4節の Zeeman のずれ)
- (3) 磁気光学トラップを , , で動かす。中心からずれた原子が戻る遅い緩和の時間 を求めよ。(使う道具:26.4節)
- (4) (3) の条件での Doppler 冷却の温度と、等分配から出る雲の広がりを求めよ。(使う道具:26.2節・26.4節)
- (5) 磁場を切り、linlin の光で , にすると、温度は の程度まで下がるとする。その温度の雲(はじめの広がり )を解放したときの 後の広がりを、(4) の温度のままだった場合と比べよ。(使う道具:26.3節・26.5節の飛行時間法)
解答
(1) 散乱の速さは で最大 になる(第25章)。減速度は で、26.1 の例題と同じである。
(2) 減速度 で止まるまでの長さは である。一定の減速度なので、位置 での速さは である。原子は正面から来る光( 向き)を吸収するので、原子が見る離調は である。 の遷移を使うと、磁場 で遷移周波数が だけ上がるので、共鳴の条件は
である。 で , とするには を選べばよく、
となる。実際の装置では、減速器の出口の原子が磁気光学トラップの光と共鳴しないよう、離調と磁場の向きを変えて磁場の形に一定の値を足すが、根の形は同じである。
(3) 26.5 の例題から , で、過減衰である。過減衰が強い()とき、 を無視した が遅い運動を表し、緩和の時間は である。ここでは なので無視は粗く、 とおいた特性方程式 の小さいほうの根を正確に解くと 、時間は になる。
(4) 26.5 の例題の (3) と同じで、、広がり である。この温度は、強い光()と大きめの離調のため Doppler 限界の 倍になっている。
(5) 26.4 の例題から である。式 (26.16) で、この温度では、 のままなら である。偏光勾配冷却をした雲は の間ほとんど広がらず、Doppler 冷却だけの雲は面積で約3倍に広がる。原子時計や原子干渉計で観測の時間を長く取れるかどうかは、この差で決まる。
木下の勉強ステータス
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