解答
(1) エネルギーは (+,+) と (−,−) で −J0、(+,−) と (−,+) で +J0 なので、Z=2e2+2e−2=4cosh2≈15.049。
peq=4cosh21(e2,e−2,e−2,e2)≈(0.4910,0.0090,0.0090,0.4910),Feq=−kBTln(4cosh2)≈−2.7113kBT.
peq の対数は E の1次式なので、式 (2.2.8) で pβ∗=peq とおけば、同じ平均エネルギーの任意の p について H(peq)−H(p)=D(p∥peq)≥0 となる。平均エネルギーを決めたときエントロピーは peq で最大で、これは前の章の最大エントロピー原理の結論と同じである。
(2) qm のもとで ⟨s1s2⟩=m2、2つのスピンは独立なので H(qm)=2hb(21+m) で、
F[qm]=−J0m2−2kBThb(21+m).
m で微分すると −2J0m+2kBTartanhm=0 で、m=tanh(βJ0m) を得る。これは式 (2.2.15) で z=1、h=0 とした式である。m=tanh(2m) の m>0 の解は m∗≈0.9575。J0=2kBT を使うと FMF=−2m∗2kBT−2kBThb(0.9788)≈(−1.8336−0.2057)kBT=−2.0393kBT。m=0 の値 −2ln2kBT≈−1.386kBT より低いが、Feq より高い。式 (2.2.16) から D(qm∗∥peq)=(−2.0393+2.7113)≈0.672 nat。各成分から直接 ∑qln(q/peq) を計算しても同じ値になる。
(3) qm∗ の平均エネルギーは −J0m∗2≈−0.9168J0。Gibbs 分布の平均エネルギーは −J0tanh(β′J0) なので、tanh(β∗J0)=m∗2 から β∗J0=artanh(0.9168)≈1.569(T∗≈1.275T)。H(pβ∗)−H(qm∗)≈0.6604、D(pβ∗∥peq)≈0.0115 で、和は 0.6719 となり (2) と一致する。平均場の誤差のほとんど(約98 %)は温度の違いではなく、同じ平均エネルギーでのエントロピーの不足である。
(4) q−m∗ は qm∗ の (+,+) と (−,−) を入れ替えた分布なので、
qˉ(+,+)=qˉ(−,−)=8(1+m∗)2+(1−m∗)2=41+m∗2≈0.4792,qˉ(+,−)=qˉ(−,+)=82(1−m∗)(1+m∗)=41−m∗2≈0.0208.
qˉ はエネルギーの等しい状態に等しい確率を置くので、エネルギーだけの関数で、平均エネルギーは −J0m∗2 である。2つの値をとるエネルギーの関数は必ず e−β′E の形に書けるので、qˉ はこの平均エネルギーを持つ Gibbs 分布 pβ∗ に等しい。平均エネルギーは混ぜても変わらないので、自由エネルギーの変化は −kBT[H(qˉ)−H(qm∗)]=−kBTD(qm∗∥pβ∗)≈−0.660kBT で、F[qˉ]≈−2.6997kBT となる。混ぜた後の残りの誤差 F[qˉ]−Feq=kBTD(pβ∗∥peq)≈0.0115kBT は温度の違いの分だけである。平均場の解が対称性を破ったことによる誤差は、混ぜれば消える。混合で下がった量 0.660 は ln2≈0.693 より小さい。q+m∗ と q−m∗ は (+,−) と (−,+) に同じ確率を置き、互いに重なっているからである。
(5) Var(E)=J02(1−tanh2(βJ0))=J02/cosh22≈0.0707J02、C/kB=β2Var(E)=4/cosh22≈0.283。δβJ0=0.2 で2次の近似は 21×0.0707×0.04≈0.00141、式 (2.2.17) の厳密な値は lncosh2.2−lncosh2−0.2tanh2≈0.00125 で、比は 0.88 である。仕事の上限は式 (2.2.11) から kBTD(qm∗∥peq)≈0.672kBT である。平均場の解がもし本当に系の状態であれば、その平衡からのずれは仕事として 0.672kBT まで取り出せる。平均場近似の誤差と、その分布から取り出せる仕事の上限が、同じ相対エントロピーで測られている。