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出てくるもの(2):平均場近似は試す分布を狭めた変分原理

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第2章 Gibbs の変分原理
目次
  1. 独立な分布に限る
  2. 相転移と対称性の破れ
  3. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第2部 第2章 §2.2.4 ★★★ 試す分布を独立な分布に限ると平均場近似になる。得られる自由エネルギーは厳密な値の上界で、誤差は kBTk_{\mathrm B} T と最も近い独立な分布までの相対エントロピーの積

独立な分布に限る

NN 個のスピン sj=±1s_j=\pm1 が最近接の対 ⟨jk⟩\langle jk\rangle どうし結合した Ising 模型

E(s)=−J0∑⟨jk⟩sjsk−h∑jsj(J0>0)(2.2.12)E(s)=-J_0\sum_{\langle jk\rangle}s_js_k-h\sum_js_j\qquad(J_0>0)\tag{2.2.12}

を考える。J0J_0 は結合の強さ、hh は磁場に磁気モーメントを掛けたエネルギーである。1固体の巻(ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部第3章)は量子のスピンで H^=J∑S^i⋅S^j\hat H=J\sum\hat{\bm{S}}_i\cdot\hat{\bm{S}}_j と書き、強磁性は J<0J<0 である。この章の J0>0J_0>0(強磁性)は向こうの −J>0-J>0 にあたる。同じ Weiss の平均場を古典の Ising 模型で組んだのが 解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部第7章である。下の脚注へ各スピンには zz 個の最近接がいるとする。Gibbs 分布は 2N2^N 個の状態の上の分布で、NN が大きいと ZZ を直接計算できない。そこで、試す分布を各スピンが独立な分布

qm(s)=∏j=1N1+msj2(−1≤m≤1)(2.2.13)q_m(s)=\prod_{j=1}^N\frac{1+ms_j}{2}\qquad(-1\le m\le1)\tag{2.2.13}

に限る。qmq_m のもとで各スピンの平均は mm、異なるスピンは独立なので ⟨sjsk⟩=m2\langle s_js_k \rangle =m^2 である。式 (2.2.2) から、1スピンあたり

F[qm]N=−zJ02m2−hm−kBT hb(1+m2)(2.2.14)\frac{F[q_m]}{N}=-\frac{zJ_0}{2}m^2-hm- k_{\mathrm B} T\,h_{\mathrm b}\Bigl(\frac{1+m}{2}\Bigr)\tag{2.2.14}

を得る(対の数は Nz/2Nz/2、hbh_{\mathrm b} は二値エントロピー)。mm で微分して 00 とおくと、ddmhb(1+m2)=−artanh⁡m\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} m}h_{\mathrm b}\bigl(\frac{1+m}2\bigr)=-\operatorname{artanh}m から

m=tanh⁡(β(zJ0m+h))(2.2.15)m=\tanh\bigl(\beta(zJ_0m+h)\bigr)\tag{2.2.15}

が出る。これは各スピンが周りのスピンの平均から zJ0mzJ_0m の有効な磁場を受けるとした Weiss の平均場の式である。

Gibbs の変分原理から、独立な分布の中でどれを選んでも F[qm]≥FeqF[q_m]\ge F_{\mathrm{eq}} で、

FMF≔min⁡mF[qm]=Feq+kBTmin⁡mD(qm ∥ peq)(2.2.16)F_{\mathrm{MF}}\coloneqq\min_mF[q_m]=F_{\mathrm{eq}}+ k_{\mathrm B} T\min_mD(q_m\,\|\,p_{\mathrm{eq}})\tag{2.2.16}

が成り立つ。平均場近似の自由エネルギーは厳密な値の上界で、誤差は kBTk_{\mathrm B} T と「Gibbs 分布から最も近い独立な分布までの相対エントロピー」の積に等しい。平均場近似は、試す分布の空間を独立な分布という部分集合に狭め、その中で最良のものを選ぶ操作である。第V巻の言葉では A 型(射影)の近似にあたる。

相対エントロピーの向き

式 (2.2.16) で最小にしているのは D(q ∥ peq)D(q\,\|\,p_{\mathrm{eq}}) で、動かす分布 qq が1番目の引数にある。序章の最尤推定は D(p^ ∥ qθ)D(\hat p\,\|\,q_\theta) を最小にし、動かす分布が2番目の引数にあった。DD は非対称なので、2つの最小化は別の答えを出す。1番目の引数で最小にすると、qq は peqp_{\mathrm{eq}} が小さい所に確率を置くことを強く嫌い、peqp_{\mathrm{eq}} の山の1つに寄る。低温で Gibbs 分布が「全部上向き」と「全部下向き」の2つの山を持つとき、平均場近似の分布がどちらか一方の山を選んで m≠0m\ne0 となるのはこのためである。

相転移と対称性の破れ

h=0h=0 のとき、kBTc=zJ0k_{\mathrm B}T_{\mathrm c}=zJ_0 とおくと、式 (2.2.14) を m=0m=0 のまわりで展開して(2.2.6節)F[qm]/N=−kBTln⁡2+12kB(T−Tc)m2+O(m4)F[q_m]/N=- k_{\mathrm B} T\ln2+\frac12 k_{\mathrm B}(T-T_{\mathrm c})m^2+\mathcal{O}(m^4) となる。T>TcT>T_{\mathrm c} では m=0m=0 が最小、T<TcT<T_{\mathrm c} では m=0m=0 が極大になり、±m∗\pm m^* の2つの最小が現れる(図 2.2.3)。2.2.2節で示したとおり、全部の分布の上の F[p]F[p] は凸で最小がただ1つなので、厳密な Gibbs 分布は h=0h=0 で上下対称のままである。最小が2つに分かれるのは、独立な分布の族が凸集合でないためで、q+m∗q_{+m^*} と q−m∗q_{-m^*} を混ぜた分布は独立な分布の族に入らない。有限の系では、2つの最小の対称な混合が FF をさらに下げる(総合問題で確かめる)。系が大きい極限で、2つの山の間の行き来が起きなくなることが、物理の対称性の破れにあたる。

図

図 2.2.3 h=0h=0 の Ising 模型の平均場の自由エネルギー (2.2.14)(1スピンあたり、m=0m=0 の値を引いたもの。kBTc=zJ0k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}=zJ_0)。T<TcT<T_{\mathrm c} では m=0m=0 が極大になり、m∗≈±0.71m^*\approx\pm0.71 に2つの最小が現れる。どの曲線も厳密な自由エネルギーの上界を与える近似で、実線で描いた。

例題 2.2.4 1次元の Ising 鎖で平均場の誤差を測る ★★

オリジナル1次元の Ising 鎖(z=2z=2)で h=0h=0、βJ0=1\beta J_0=1 とする。N→∞N\to\infty の厳密な自由エネルギーは1スピンあたり −kBTln⁡(2cosh⁡βJ0)- k_{\mathrm B} T\ln(2\cosh\beta J_0) である。

  1. (1) 平均場の式 (2.2.15) の m>0m>0 の解を数値で求め、FMF/NF_{\mathrm{MF}}/N を kBTk_{\mathrm B} T 単位で求めよ。
  2. (2) 厳密な値と比べ、1スピンあたりの min⁡mD(qm ∥ peq)/N\min_mD(q_m\,\|\,p_{\mathrm{eq}})/N を求めよ。平均場近似はこの系について何を誤っているか。
解答

(1) m=tanh⁡(2m)m=\tanh(2m) を反復か二分法で解くと m∗≈0.9575m^*\approx0.9575。式 (2.2.14) に z=2z=2 を入れるとFMF/N=−βJ0m∗2kBT−kBT hb(1+m∗2)F_{\mathrm{MF}}/N=-\beta J_0m^{*2} k_{\mathrm B} T- k_{\mathrm B} T\,h_{\mathrm b}\bigl(\frac{1+m^*}{2}\bigr) で、m∗2≈0.9168m^{*2}\approx0.9168、hb(0.9788)≈0.1029h_{\mathrm b}(0.9788)\approx0.1029 から FMF/N≈−1.0197 kBTF_{\mathrm{MF}}/N\approx-1.0197\, k_{\mathrm B} T。m=0m=0 の解は −ln⁡2≈−0.693-\ln2\approx-0.693 で、それより低い。

(2) 厳密な値は −ln⁡(2cosh⁡1)≈−1.1269-\ln(2\cosh1)\approx-1.1269 で、平均場の値は上界になっている。式 (2.2.16) から1スピンあたり D/N≈−1.0197+1.1269=0.1073D/N\approx-1.0197+1.1269=0.1073 nat である。平均場近似は Tc=2J0/kBT_{\mathrm c}=2J_0/ k_{\mathrm B} を予言し、βJ0=1\beta J_0=1(T=Tc/2T=T_{\mathrm c}/2)で磁化 0.960.96 を持つとする。実際の1次元鎖は有限温度で相転移を起こさず、磁化は 00 である。独立な分布はスピンどうしの相関 ⟨sjsj+1⟩−⟨sj⟩⟨sj+1⟩\langle s_js_{j+1} \rangle -\langle s_j \rangle \langle s_{j+1} \rangle を表せないので、厳密な分布が持つ「隣どうしはそろうが全体としての向きは決まらない」という構造を、「全体が一方を向く」という構造で代用している。1スピンあたり 0.1070.107 nat はその代用の値である。

近似の裏付け

型 A(射影) | 小さいもの 試す分布を独立な分布(積の形)の族に限る | 証明 条件付き(得られる自由エネルギーが厳密な値の上界であることは非負性から証明済み。上界との差が1粒子あたり 00 に近づくのは、各スピンが多数の相手と弱く結合する極限〔完全グラフの Curie–Weiss 模型など〕で、短距離の結合の低次元では近づかない) | 行き先 近似の数理 第6章

ほかの巻では

1 固体の巻(ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部第3章)は量子のスピンで H^=J∑S^i⋅S^j\hat H=J\sum\hat{\bm{S}}_i\cdot\hat{\bm{S}}_j と書き、強磁性は J<0J<0 である。この章の J0>0J_0>0(強磁性)は向こうの −J>0-J>0 にあたる。同じ Weiss の平均場を古典の Ising 模型で組んだのが 解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部第7章である。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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