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出てくるもの:作用の波面・特性曲線・量子力学の古典極限

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第13章 Hamilton–Jacobi 方程式
目次
  1. 波面と運動
  2. 特性曲線
  3. Schrödinger 方程式の古典極限
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第13章 §1.13.5 ★★★ SS を波の位相とみなすと、運動は波面に垂直な線になる。Schrödinger 方程式に ψ=AeiS/ℏ\psi=A\mathrm{e}^{\mathrm{i} S/\hbar} を入れて ℏ→0\hbar\to0 とすると Hamilton–Jacobi 方程式が残る

波面と運動

3次元の粒子 H=∣p∣2/(2m)+V(r)H=\lvert \bm{p}\rvert ^2/(2m)+V(\bm{r}) で、時間に依らない Hamilton–Jacobi 方程式は

∣∇W(r)∣2=2m(E−V(r))(1.13.19)\lvert \nabla W(\bm{r})\rvert ^2=2m\bigl(E-V(\bm{r})\bigr)\tag{1.13.19}

である。W(r)=一定W(\bm{r})=\text{一定} の面の族を考えると、運動量 p=∇W\bm{p}=\nabla W はこの面に垂直で、速度 r˙=p/m\dot{\bm{r}}=\bm{p}/m も同じ向きを持つ。したがって、同じ完全解から出る経路の族は、WW の等値面に直交する線の族になる。時間を含めた S=W−EtS=W-Et の等値面 W(r)=Et+一定W(\bm{r})=E t+\text{一定} は、時間とともに面の法線の向きに速さ E/∣∇W∣=E/pE/\lvert \nabla W\rvert =E/p で進む。これは粒子の速さ p/mp/m とは別の量で、波の位相が進む速さにあたる。

屈折率 n(r)n(\bm{r}) の媒質の中の光では、光の位相を決める関数 S(r)\mathcal S(\bm{r}) が ∣∇S∣2=n(r)2\lvert \nabla\mathcal S\rvert ^2=n(\bm{r})^2 を満たし(アイコナール方程式)、光線は S\mathcal S の等値面に直交する。式 (1.13.19) はその n2n^2 を 2m(E−V)2m(E-V) に置き換えた形で、粒子の経路と光線が同じ形の方程式で記述される。光の側の話は 第2部第10章 で扱う。

特性曲線

逆に、Hamilton–Jacobi 方程式の解 S(q,t)S(q,t) が1つ与えられたとき、p=∂S/∂qp=\partial S/\partial q を各点に割り当てた「運動量の場」ができる。各点で q˙i=∂H/∂pi∣p=∂S/∂q\dot q_i=\partial H/\partial p_i\big|_{p=\partial S/\partial q} に従って進む曲線を引くと、その上で pi=∂S/∂qip_i=\partial S/\partial q_i は

p˙i=∂2S∂t ∂qi+∑j∂2S∂qj ∂qiq˙j=−∂H∂qi\dot p_i=\frac{\partial^2S}{\partial t\,\partial q_i}+\sum_j\frac{\partial^2S}{\partial q_j\,\partial q_i}\dot q_j=-\frac{\partial H}{\partial q_i}

を満たす。最後の等号は、Jacobi の定理の証明と同じく、式 (1.13.2) を qiq_i で微分した式を使った。つまりこの曲線は Hamilton 方程式の解である。1階の偏微分方程式の解を、ある常微分方程式の解曲線の族として組み立てる方法を特性曲線の方法と呼び、Hamilton–Jacobi 方程式の特性曲線は運動の経路そのものである。Hamilton 方程式と Hamilton–Jacobi 方程式は、同じ内容を常微分方程式の側と偏微分方程式の側から書いたものである。

運動量の場ができるのは、解 SS を1つ選ぶことで、経路の族を1つ選んだからである。Lagrangian を偏微分するときは、同じ点を違う速度で通る経路が無数にあるので、速度を位置と時刻から独立な変数として扱った(第1部第4章)。経路の族を1つに決めると、各点 (q,t)(q,t) を通る経路が1本に絞られ、速度もその点で1つに決まる。解析力学の中で速度を位置と時刻の関数とみなしてよいのはこの場面だけで、その関数は q˙=∂H/∂p∣p=∂S/∂q\dot q=\partial H/\partial p\big|_{p=\partial S/\partial q} である。

原点から出る自由粒子の速度の場

1次元の自由粒子で、時刻 00 に原点を出る経路の族の作用は S(q,t)=mq2/(2t)S(q,t)=mq^2/(2t) である(例題 1.13.5)。運動量の場は p=∂S/∂q=mq/tp=\partial S/\partial q=mq/t で、速度の場は q˙=q/t\dot q=q/t になる。この式を常微分方程式として解くと、q=vtq=vt(vv は定数)という原点を出る等速運動の族が出る。

各点 (q,t)(q,t) を通るのは速さ v=q/tv=q/t の1本だけなので、速度は位置と時刻の関数になる。同じ点を通る別の速さの経路(たとえば時刻 00 に別の点を出たもの)は、この族には入っていない。

解の族と波面の考え方は、詳しくは基礎理論『物理のための微分幾何入門』第14章 §14.5 で扱う。

特性曲線どうしが交わると、交点では運動量の値が2つ以上必要になり、SS は1価の関数として定義できなくなる。図 1.13.3 は一様な重力の中で原点から同じ速さで投げた粒子の経路の族で、経路は包絡線より外側の点を通らず、包絡線の内側の各点には2本の経路が通る。経路の族の包絡線を、光学での呼び名にならって火線(コースティック)と呼ぶ。1.13.2節の共役点は、1次元でこれが1点に縮んだものである。

図

図 1.13.3 一様な重力の中で原点から速さ v0v_0 で投げた粒子の経路(投げる角度の正接 0.4,0.8,1.25,1.8,3.00.4,0.8,1.25,1.8,3.0。厳密な放物線なので点線)と、その包絡線(破線)。包絡線の内側の点には2本の経路が通り、そこでは原点を出る経路の作用 SS が2つの値を持つ

Schrödinger 方程式の古典極限

1次元の Schrödinger 方程式 iℏ ∂tψ=−ℏ22m∂q2ψ+V(q)ψ\mathrm{i}\hbar\,\partial_t\psi=-\frac{\hbar^2}{2m}\partial_q^2\psi+V(q)\psi に、実数の振幅 A(q,t)A(q,t) と実数の位相 S(q,t)S(q,t) を使ってψ=A eiS/ℏ\psi=A\,\mathrm{e}^{\mathrm{i} S/\hbar} を入れる。eiS/ℏ\mathrm{e}^{\mathrm{i} S/\hbar} で割って実部と虚部に分けると、次の2式と同値になる(どちらも近似を含まない)。

∂S∂t+12m(∂S∂q)2+V(q)=ℏ22m1A∂2A∂q2,∂A2∂t+∂∂q(A2 1m∂S∂q)=0.\begin{align*}&\frac{\partial S}{\partial t}+\frac{1}{2m}\Bigl(\frac{\partial S}{\partial q}\Bigr)^2+V(q)=\frac{\hbar^2}{2m}\frac{1}{A}\frac{\partial^2A}{\partial q^2},\tag{1.13.20}\\&\frac{\partial A^2}{\partial t}+\frac{\partial }{\partial q}\Bigl(A^2\,\frac{1}{m}\frac{\partial S}{\partial q}\Bigr)=0 .\tag{1.13.21}\end{align*}

式 (1.13.20) は右辺を除けば Hamilton–Jacobi 方程式そのもので、右辺だけが ℏ2\hbar^2 を含む。式 (1.13.21) は確率密度 A2=∣ψ∣2A^2=\lvert \psi\rvert ^2 の連続の式で、確率が速度 (1/m)∂S/∂q(1/m)\partial S/\partial q、すなわち古典的な経路の速度で運ばれることを表す。右辺を落とせば、SS は Hamilton–Jacobi 方程式の解、A2A^2 はその特性曲線(古典的な経路の族)に沿って運ばれる密度になる。WKB 近似の主要項はこの形で、波動関数の位相は Hamilton の主関数、量子力学の古典極限は Hamilton–Jacobi 方程式である。

右辺を落としてよい条件を時間に依らない場合で見積もる。AA を一定とした ψ=eiW/ℏe−iEt/ℏ\psi=\mathrm{e}^{\mathrm{i} W/\hbar}\mathrm{e}^{-\mathrm{i} Et/\hbar} を入れると、余りは

12m(dWdq)2+V−E=iℏ2md2Wdq2\frac{1}{2m}\Bigl(\frac{\mathrm{d} W}{\mathrm{d} q}\Bigr)^2+V-E=\frac{\mathrm{i}\hbar}{2m}\frac{\mathrm{d}^2W}{\mathrm{d} q^2}

で、左辺の各項(大きさ p2/2mp^2/2m 程度)に比べて右辺が小さい条件は ∣ℏ dp/dq∣≪p2\lvert \hbar\,\mathrm{d} p/\mathrm{d} q\rvert \ll p^2、すなわち

∣ddq(ℏp(q))∣≪1(1.13.22)\Bigl|\frac{\mathrm{d} }{\mathrm{d} q}\Bigl(\frac{\hbar}{p(q)}\Bigr)\Bigr|\ll1\tag{1.13.22}

である。ℏ/p\hbar/p は局所的な de Broglie 波長を 2π2\pi で割ったもので、それが1波長の間にほとんど変わらないことを要求している。転回点では p→0p\to0 なのでこの条件は必ず破れ、Hamilton–Jacobi 方程式による記述はそこで使えない。転回点での扱いと接続の公式は 第4部第7章 で扱う。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの ℏ/S→0\hbar/S\to0(作用が ℏ\hbar に比べて大きい。局所的には ∣d(ℏ/p)/dq∣≪1\lvert \mathrm{d}(\hbar/p)/\mathrm{d} q\rvert \ll1) | 証明 条件付き(ポテンシャルが滑らかで転回点が孤立) | 行き先 近似の数理 第7章

例題 1.13.5 点から出る自由粒子では古典極限が厳密になる ★★

オリジナル1次元の自由粒子(V=0V=0)で、時刻 00 に原点を出る経路の作用は、例題 1.13.1 の a=0a=0 の場合 S(q,t)=mq2/(2t)S(q,t)=mq^2/(2t)(t>0t>0)である。

  1. (1) AA を定数とした ψ=eiS/ℏ\psi=\mathrm{e}^{\mathrm{i} S/\hbar} では、Schrödinger 方程式がどれだけ満たされないかを求めよ。
  2. (2) 連続の式 (1.13.21) を満たす A(t)A(t) を、qq によらない形で求めよ。
  3. (3) (2) の AA を使った ψ=A eiS/ℏ\psi=A\,\mathrm{e}^{\mathrm{i} S/\hbar} が Schrödinger 方程式の厳密解であることを示し、その理由を式 (1.13.20) から説明せよ。
解答

(1) ψ=eimq2/(2ℏt)\psi=\mathrm{e}^{\mathrm{i} mq^2/(2\hbar t)} を直接微分すると iℏ ∂tψ=mq22t2ψ\mathrm{i}\hbar\,\partial_t\psi=\frac{mq^2}{2t^2}\psi、ℏ22m∂q2ψ=(iℏ2t−mq22t2)ψ\frac{\hbar^2}{2m}\partial_q^2\psi=\bigl(\frac{\mathrm{i}\hbar}{2t}-\frac{mq^2}{2t^2}\bigr)\psi なので

iℏ ∂tψ+ℏ22m∂q2ψ=iℏ2tψ≠0\mathrm{i}\hbar\,\partial_t\psi+\frac{\hbar^2}{2m}\partial_q^2\psi=\frac{\mathrm{i}\hbar}{2t}\psi\neq0

で、ψ=eiS/ℏ\psi=\mathrm{e}^{\mathrm{i} S/\hbar} は解ではない。SS が Hamilton–Jacobi 方程式を満たすので実部は打ち消し合い、余りは iℏ ∂q2S/(2m)=iℏ/(2t)\mathrm{i}\hbar\,\partial_q^2S/(2m)=\mathrm{i}\hbar/(2t) の1項だけである。これは AA を一定としたために連続の式 (1.13.21) が満たされないことに対応する。

(2) 1m∂qS=q/t\frac1m\partial_qS=q/t なので、A2=ρ(t)A^2=\rho(t) と置くと式 (1.13.21) は ρ˙+ρ/t=0\dot\rho+\rho/t=0 で、ρ∝1/t\rho\propto1/t、A∝t−1/2A\propto t^{-1/2} となる。確率の広がる幅が tt に比例して伸びるので、密度は 1/t1/t で薄まる。

(3) ψ=t−1/2eimq2/(2ℏt)\psi=t^{-1/2}\mathrm{e}^{\mathrm{i} mq^2/(2\hbar t)} で、∂tψ=(−12t−imq22ℏt2)ψ\partial_t\psi=\bigl(-\frac{1}{2t}-\frac{\mathrm{i} mq^2}{2\hbar t^2}\bigr)\psi、∂q2ψ=(imℏt−m2q2ℏ2t2)ψ\partial_q^2\psi=\bigl(\frac{\mathrm{i} m}{\hbar t}-\frac{m^2q^2}{\hbar^2t^2}\bigr)\psi なので

iℏ ∂tψ+ℏ22m∂q2ψ=(−iℏ2t+mq22t2+iℏ2t−mq22t2)ψ=0.\mathrm{i}\hbar\,\partial_t\psi+\frac{\hbar^2}{2m}\partial_q^2\psi=\Bigl(-\frac{\mathrm{i}\hbar}{2t}+\frac{mq^2}{2t^2}+\frac{\mathrm{i}\hbar}{2t}-\frac{mq^2}{2t^2}\Bigr)\psi=0 .

式 (1.13.20) の右辺は ∂q2A=0\partial_q^2A=0 なので消え、SS が Hamilton–Jacobi 方程式の解、AA が連続の式の解であれば、2式とも近似なしに成り立つ。この ψ\psi は、自由粒子の時間発展の核(第4部第8章の経路積分で出る)と定数倍を除いて同じ形である。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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