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出てくるもの(1):回路を解析力学に直す

2026年10月16日14分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第1部 第15章 運動方程式から L と H を組む
目次
  1. LC 回路:電荷と磁束が互いに共役
  2. 結合した LC 回路と基準モード
  3. Josephson 接合:非線形の振動子
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第1部 第15章 §1.15.3 ★★★ LC 回路では電荷が座標、磁束が正準運動量になる。Josephson 接合を足すと非線形の振動子になり、小振動の振動数と非調和性が出る

この節と次の2節では、インダクタンスを LindL_{\mathrm{ind}} と書く(Lagrangian の LL と区別するため)。

LC 回路:電荷と磁束が互いに共役

インダクタンス LindL_{\mathrm{ind}} のコイルと容量 CC のコンデンサを直列にした回路で、コンデンサの電荷を qq とすると電流は q˙\dot q である。閉路に沿った電圧の和が 00 という Kirchhoff の電圧則は

Lindq¨+qC=0(1.15.10)L_{\mathrm{ind}}\ddot q+\frac{q}{C}=0\tag{1.15.10}

で、ばねにつないだ質点と同じ形をしている。1自由度で q¨\ddot q の係数は定数、q˙\dot q を含まないので条件 (1.15.8) はそのまま成り立ち、

L=12Lindq˙2−q22C(1.15.11)L=\frac12L_{\mathrm{ind}}\dot q^2-\frac{q^2}{2C}\tag{1.15.11}

の Euler–Lagrange 方程式が式 (1.15.10) になる。コイルに蓄えられるエネルギー 12LindI2\frac12L_{\mathrm{ind}}I^2 が運動エネルギー、コンデンサのエネルギー q2/(2C)q^2/(2C) がポテンシャルの役をする。正準運動量は

p=∂L∂q˙=Lindq˙=LindI=Φ(1.15.12)p=\frac{\partial L}{\partial \dot q}=L_{\mathrm{ind}}\dot q=L_{\mathrm{ind}}I=\Phi\tag{1.15.12}

で、コイルを貫く磁束(鎖交磁束)Φ\Phi である。H=Φ2/(2Lind)+q2/(2C)H=\Phi^2/(2L_{\mathrm{ind}})+q^2/(2C) は回路の全エネルギーで、Poisson 括弧は {q,Φ}=1\{q,\Phi\}=1、Hamilton 方程式q˙=Φ/Lind\dot q=\Phi/L_{\mathrm{ind}}, Φ˙=−q/C\dot\Phi=-q/C の後者はコイルの両端の電圧 Φ˙\dot\Phi がコンデンサの電圧と釣り合うという式である。角振動数は ω0=1/LindC\omega_0=1/\sqrt{L_{\mathrm{ind}}C}。

座標の選び方はこれだけではない。回路の節点(導線の交わる点)ごとに、その点の電圧の時間積分 Φn=∫Vn dt\Phi_n=\int V_n\,\mathrm{d} t(節点の磁束)を座標にとる方法もある。LC 回路では、コンデンサの両端の電圧が Φ˙n\dot\Phi_n になり、L=12CΦ˙n2−Φn2/(2Lind)L=\frac12C\dot\Phi_n^2-\Phi_n^2/(2L_{\mathrm{ind}}) の Euler–Lagrange 方程式が電流則(節点に流れ込む電流の和が 00)になる。このとき質量の役は CC、正準運動量は CΦ˙n=qC\dot\Phi_n=q である。2つの記述は (q,Φ)↦(Φ,−q)(q,\Phi)\mapsto(\Phi,-q) の入れ替えで移り合い、これは母関数 F1=qQF_1=qQ の正準変換である(第1部第12章)。電荷を座標にすると Kirchhoff の電流則が初めから満たされ(閉路の電荷は節点で保存する)、電圧則が運動方程式になる。節点の磁束を座標にすると逆に電圧則が初めから満たされ、電流則が運動方程式になる。どちらを選ぶかは、エネルギーがどちらの変数の簡単な関数かで決める。非線形のコイル(Josephson 接合)があれば磁束、非線形のコンデンサがあれば電荷を座標にとる。

結合した LC 回路と基準モード

同じ L0L_0, CC の LC 回路を2つ並べ、相互インダクタンス MM で結ぶ。2つのコイルの磁束は Φ1=L0q˙1+Mq˙2\Phi_1=L_0\dot q_1+M\dot q_2, Φ2=Mq˙1+L0q˙2\Phi_2=M\dot q_1+L_0\dot q_2 で、

L=12(L0q˙12+2Mq˙1q˙2+L0q˙22)−q12+q222C(1.15.13)L=\frac12\bigl(L_0\dot q_1^2+2M\dot q_1\dot q_2+L_0\dot q_2^2\bigr)-\frac{q_1^2+q_2^2}{2C}\tag{1.15.13}

とおけば、Euler–Lagrange 方程式 L0q¨1+Mq¨2+q1/C=0L_0\ddot q_1+M\ddot q_2+q_1/C=0 などが2つの閉路の電圧則になる。運動エネルギーの係数の行列(インダクタンス行列)(L0MML0)\begin{pmatrix}L_0&M\\M&L_0\end{pmatrix} が質量行列、diag(1/C,1/C)\mathrm{diag}(1/C,1/C) が剛性行列で、det⁡(K−ω2Mmat)=0\det(K-\omega^2M_{\mathrm{mat}})=0 を解くと基準モードの角振動数

ω±=1(L0±M)C(1.15.14)\omega_\pm=\frac{1}{\sqrt{(L_0\pm M)C}}\tag{1.15.14}

が出る(第2部第1章の小振動の手順)。ω+\omega_+ は q1=q2q_1=q_2(同じ向きに流れる)、ω−\omega_- は q1=−q2q_1=-q_2 のモードである。Legendre 変換ができる条件はインダクタンス行列が正定値であること、つまり L02>M2L_0^2>M^2(結合係数 M/L0M/L_0 が 11 より小さい)で、実際のコイルではいつも満たされる。

例題 1.15.4 2つの LC 回路の基準モード ★★

オリジナルL0=10 nHL_0=10\,\mathrm{nH}, C=1 pFC=1\,\mathrm{pF}, M=1 nHM=1\,\mathrm{nH} の結合した LC 回路について、

  1. (1) 結合が無いときの周波数 ω0/2π\omega_0/2\pi を求めよ。
  2. (2) 2つの基準モードの周波数を求め、その差が結合 MM のおよそ何倍に比例するかを M≪L0M\ll L_0 で調べよ。
解答

(1) ω0=1/10−8×10−12=1.000×1010 s−1\omega_0=1/\sqrt{10^{-8}\times10^{-12}}=1.000\times10^{10}\,\mathrm{s^{-1}}、ω0/2π=1.592 GHz\omega_0/2\pi=1.592\,\mathrm{GHz}。

(2) 式 (1.15.14) から ω+=1/11×10−21=9.535×109 s−1\omega_+=1/\sqrt{11\times10^{-21}}=9.535\times10^{9}\,\mathrm{s^{-1}}(1.518 GHz1.518\,\mathrm{GHz})、ω−=1/9×10−21=1.054×1010 s−1\omega_-=1/\sqrt{9\times10^{-21}}=1.054\times10^{10}\,\mathrm{s^{-1}}(1.678 GHz1.678\,\mathrm{GHz})。M≪L0M\ll L_0 で展開すると ω±≈ω0(1∓M/(2L0))\omega_\pm\approx\omega_0(1\mp M/(2L_0)) なので、差は ω0M/L0\omega_0M/L_0 で MM に比例する。数値では 1.000×109 s−11.000\times10^{9}\,\mathrm{s^{-1}} の予想に対して 1.006×109 s−11.006\times10^{9}\,\mathrm{s^{-1}} である。2つの回路のどちらかだけに電流を流し始めると、エネルギーは差の周波数 (ω−−ω+)/2π=160 MHz(\omega_--\omega_+)/2\pi=160\,\mathrm{MHz} で2つの回路の間を行き来する。

Josephson 接合:非線形の振動子

2つの超伝導体を薄い絶縁層で隔てた Josephson 接合では、接合を流れる電流 II と両端の電圧 VV が、超伝導の位相差 φ\varphi を通して

I=Icsin⁡φ,V=Φ02πφ˙,Φ0=h2e=2.068×10−15 Wb(1.15.15)I=I_{\mathrm c}\sin\varphi,\qquad V=\frac{\Phi_0}{2\pi}\dot\varphi,\qquad \Phi_0=\frac{h}{2e}=2.068\times10^{-15}\,\mathrm{Wb}\tag{1.15.15}

で結ばれる(Josephson(1962)1B. D. Josephson(1962)、Phys. Lett. 1、251–253。下の脚注へ。IcI_{\mathrm c} は臨界電流、Φ0\Phi_0 は磁束量子)。第2式から φ=2πΦ/Φ0\varphi=2\pi\Phi/\Phi_0 で、Φ\Phi は節点の磁束である。接合と並列に容量 CC(接合自身の容量を含む)がある回路で電流則を書くと

CΦ¨+Icsin⁡2πΦΦ0=0.(1.15.16)C\ddot\Phi+I_{\mathrm c}\sin\frac{2\pi\Phi}{\Phi_0}=0 .\tag{1.15.16}

これも1自由度で条件 (1.15.8) を満たし、LL は

L=12CΦ˙2+EJcos⁡2πΦΦ0,EJ=IcΦ02π(1.15.17)L=\frac12C\dot\Phi^2+E_{\mathrm J}\cos\frac{2\pi\Phi}{\Phi_0},\qquad E_{\mathrm J}=\frac{I_{\mathrm c}\Phi_0}{2\pi}\tag{1.15.17}

である。磁束を座標にとったので、正準運動量は CΦ˙=qC\dot\Phi=q(コンデンサの電荷)で、

H=q22C−EJcos⁡φ=4ECn2−EJcos⁡φ,EC=e22C,n=q2e.(1.15.18)H=\frac{q^2}{2C}-E_{\mathrm J}\cos\varphi=4E_{\mathrm C}n^2-E_{\mathrm J}\cos\varphi,\qquad E_{\mathrm C}=\frac{e^2}{2C},\quad n=\frac{q}{2e}.\tag{1.15.18}

nn は接合を越えた Cooper 対の数、ECE_{\mathrm C} は電子1個ぶんの帯電エネルギーである。式 (1.15.18) は振り子の HH と同じ形で、φ\varphi が振れの角、C(Φ0/2π)2C(\Phi_0/2\pi)^2 が慣性モーメントにあたる。

φ=0\varphi=0 のまわりで −EJcos⁡φ=−EJ+12EJφ2−124EJφ4+⋯-E_{\mathrm J}\cos\varphi=-E_{\mathrm J}+\frac12E_{\mathrm J}\varphi^2-\frac1{24}E_{\mathrm J}\varphi^4+\cdots と展開すると(図 1.15.2)、2次の項から小振動の角振動数(プラズマ振動数)

ωp=2πIcΦ0C=8EJECℏ(1.15.19)\omega_{\mathrm p}=\sqrt{\frac{2\pi I_{\mathrm c}}{\Phi_0C}}=\frac{\sqrt{8E_{\mathrm J}E_{\mathrm C}}}{\hbar}\tag{1.15.19}

が出る。2次までの接合は線形のインダクタンス LJ=Φ0/(2πIc)L_{\mathrm J}=\Phi_0/(2\pi I_{\mathrm c}) と同じで、ωp=1/LJC\omega_{\mathrm p}=1/\sqrt{L_{\mathrm J}C} である。

図

図 1.15.2 Josephson 接合のポテンシャル U=EJ(1−cos⁡φ)U=E_{\mathrm J}(1-\cos\varphi)(点線・厳密)と、2次で打ち切った調和振動子のポテンシャル(実線・近似)。振幅が大きいほど点線が実線より下に来るので、復元力が弱くなり振動数が下がる

振動数が振幅でどう下がるかは、作用角変数で表すと見通しがよい(第1部第14章)。慣性モーメントを I=C(Φ0/2π)2I=C(\Phi_0/2\pi)^2 と書き、4次の項 −EJφ4/24-E_{\mathrm J}\varphi^4/24 を調和振動子の作用角変数 φ=2J/(Iωp)sin⁡θ\varphi=\sqrt{2J/(I\omega_{\mathrm p})}\sin\theta で1周期平均すると、sin⁡4θ‾=3/8\overline{\sin^4\theta}=3/8 から HH の補正は −J2/(16I)-J^2/(16I) になり、

H(J)≈ωpJ−J216I,ω(J)=dHdJ≈ωp−J8I(1.15.20)H(J)\approx\omega_{\mathrm p}J-\frac{J^2}{16I},\qquad \omega(J)=\frac{\mathrm{d} H}{\mathrm{d} J}\approx\omega_{\mathrm p}-\frac{J}{8I}\tag{1.15.20}

を得る。振り子の周期を厳密に数値積分した値と比べると、振幅 0.2 rad0.2\,\mathrm{rad} で相対誤差は 0.2%0.2\%、振幅 0.1 rad0.1\,\mathrm{rad} で 0.05%0.05\% で、振幅の2乗で小さくなる。I=Cℏ2/(4e2)=ℏ2/(8EC)I=C\hbar^2/(4e^2)=\hbar^2/(8E_{\mathrm C}) なので、Bohr–Sommerfeld の量子化 J=(n+12)ℏJ=(n+\frac12)\hbar(第1部第14章)を入れると、隣り合う準位の間隔は

En+1−En≈ℏωp−(n+1)EC(1.15.21)E_{n+1}-E_n\approx\hbar\omega_{\mathrm p}-(n+1)E_{\mathrm C}\tag{1.15.21}

で、間隔は1段ごとに ECE_{\mathrm C} ずつ狭くなる。量子力学で4次の項を1次の摂動として扱った結果と間隔が一致し2J. Koch ほか(2007)、Phys. Rev. A 76、042319。下の脚注へ、EJ≫ECE_{\mathrm J}\gg E_{\mathrm C} のこの回路はトランズモンと呼ばれる。間隔が等しくないので、0→10\to1 の遷移の周波数で駆動しても 1→21\to2 へは進みにくく、最低の2準位を量子ビットとして使える。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 振幅 ∣φ∣→0\lvert \varphi\rvert \to0(cos⁡φ\cos\varphi を2次で打ち切る) | 証明 条件付き(ポテンシャルの極小が非退化。軌道が極小の近くに留まることは HH の保存を Lyapunov 関数として言える) | 行き先 近似の数理 第2章

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの EC/EJ→0E_{\mathrm C}/E_{\mathrm J}\to0(4次の項を1次まで、作用変数で平均) | 証明 要確認(古典の1周期平均は平均化定理の範囲。量子の準位の展開が漸近展開として正当化される前提は原論文で確かめていない) | 行き先 近似の数理 第7章

例題 1.15.5 トランズモンの準位 ★★

オリジナルEJ/h=20 GHzE_{\mathrm J}/h=20\,\mathrm{GHz}, EC/h=0.25 GHzE_{\mathrm C}/h=0.25\,\mathrm{GHz} の回路について、

  1. (1) プラズマ振動数 ωp/2π\omega_{\mathrm p}/2\pi を求めよ。
  2. (2) 式 (1.15.21) から、0→10\to1 と 1→21\to2 の遷移の周波数を求めよ。
  3. (3) 線形の LC 回路で同じことをすると何が困るか。
解答

(1) ℏωp=8EJEC\hbar\omega_{\mathrm p}=\sqrt{8E_{\mathrm J}E_{\mathrm C}} を hh で割って ωp/2π=8×20×0.25 GHz=40 GHz=6.325 GHz\omega_{\mathrm p}/2\pi=\sqrt{8\times20\times0.25}\,\mathrm{GHz}=\sqrt{40}\,\mathrm{GHz}=6.325\,\mathrm{GHz}。EJ/EC=80E_{\mathrm J}/E_{\mathrm C}=80 でトランズモンの領域にある。

(2) n=0n=0 で 6.325−0.25=6.075 GHz6.325-0.25=6.075\,\mathrm{GHz}、n=1n=1 で 6.325−0.50=5.825 GHz6.325-0.50=5.825\,\mathrm{GHz}。2つの遷移は 250 MHz250\,\mathrm{MHz} 離れている。

(3) 線形の LC 回路では準位が等間隔 ℏω0\hbar\omega_0 に並ぶので、0→10\to1 の周波数で駆動すると 1→21\to2, 2→3,…2\to3,\dots も同じ周波数で共鳴し、最低の2準位だけを取り出すことができない。非線形の項 −EJφ4/24-E_{\mathrm J}\varphi^4/24 が間隔をずらし、2準位に限ることを可能にしている。

量子化そのものは第4部の規則に従う。{q,Φ}=1\{q,\Phi\}=1 から [q^,Φ^]=iℏ[\hat q,\hat\Phi]=\mathrm{i}\hbar(第4部第1章)、LC 回路のエネルギー準位は ℏω0(n+12)\hbar\omega_0(n+\frac12)(第4部第4章)で、電荷と磁束は位置と運動量と同じ不確定性関係を持つ。その数値は1.15.6節で見る。

1 B. D. Josephson(1962)、Phys. Lett. 1、251–253。

2 J. Koch ほか(2007)、Phys. Rev. A 76、042319。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

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