解答
(1) 平衡で各モードは ⟨∣cn∣2⟩=ℏ/(m(ωn2+ω2))。⟨x(τ)2⟩=(βℏ)−1∑n⟨∣cn∣2⟩(ei(ωn−ωn′)τ の交差項は平均で 0)なので
⟨x(τ)2⟩=mβ1n=−∞∑∞ωn2+ω21.
ωn=2πn/(βℏ)、a=βℏω/(2π) と置くと和は (βℏ/2π)2∑n1/(n2+a2) で、公式 ∑n1/(n2+a2)=(π/a)coth(πa) を使うと
n∑ωn2+ω21⟨x2⟩=(2πβℏ)2βℏω2π2coth2βℏω=2ωβℏcoth2βℏω,=2mωℏcoth2βℏω=σg2coth2βℏω.
Parisi–Wu の方法は熱平衡の答えを正しく出す。これは虚時間の経路積分が混合状態 e−βH^ をそのまま扱えるからで、実時間の道筋は何も主張していない。
(2) 定常分散は ν/γ なので γ=ν/(σg2coth)=ωtanh(βℏω/2)。v=0、u=−γx で a=−uu′−νu′′=−γ2x。T>0 では tanh<1 で γ<ω なので a=−ω2x。命題 7.5.4 の具体例である。
(3) ρ は分散 s2=ν/γ のガウス分布で、2m⟨u2⟩=2mγ2s2=2mνγ、⟨V⟩=2mω2s2=2γmνω2。mν=ℏ/2 なので
E=4ℏ(γ+γω2)=4ℏω(tanh2βℏω+coth2βℏω)=2ℏωcoth(βℏω)
(tanhx+cothx=2coth2x)。熱平衡は ℏω(nˉ+21)=2ℏωcoth(βℏω/2) で、T>0 では coth(βℏω)<coth(βℏω/2) なので小さい。たとえば βℏω=1 で 0.657ℏω と 1.082ℏω。位置の分布を合わせても、運動量の広がり(浸透速度)が足りない。
(4) X=Xc+ξ で、P(α) のもとで Xc=2σgReα の分散は 2nˉσg2、ξ の分散は σg2、独立なので和は σg2(1+2nˉ)=σg2coth(βℏω/2)。成分のエネルギーは v=Pc/m、u=−ωξ からEα=2mPc2+2mω2σg2+2mω2(Xc2+σg2)=2mPc2+2mω2Xc2+2ℏω=ℏω(∣α∣2+21)(mω2σg2=ℏω/2)。⟨∣α∣2⟩P=nˉ なので平均は ℏω(nˉ+21) で、熱平衡と一致する。1つの過程では合わなかった分布とエネルギーが、過程の混合では両方合う。
(5) ℏ→0 で σg2=ℏ/(2mω)→0 なので揺れ ξ の幅は 0 になり、道筋は X=Xc(t) の決定論的な古典の振動に近づく。振幅の分散は 2nˉσg2→(2kBT/ℏω)⋅ℏ/(2mω)=kBT/(mω2) で、Xc と Pc/(mω) は独立なガウス分布なので、(Xc,Pc) の分布は exp[−(Pc2/2m+mω2Xc2/2)/kBT] に比例する Boltzmann 分布になる。(A) の固有状態の混合では、どれほど ℏ が小さくても各成分は定常で節に区切られた過程のままで、古典の振動は現れない(第7部第4章の総合問題の Bohm の軌道と同じ結論)。