解答
(1) (n⋅σ)2=1 を使うと
(102+n⋅σ)2=104+4n⋅σ+1=21+0.4n⋅σ=21(1+0.8n⋅σ)=ρ^β.
n⋅σ の固有値 ±1 に対して (2±1)/10 はともに正なので、これが正の平方根である(固有値 3/10=0.9、1/10=0.1)。ρ^β1/2 は逆行列をもつので Aρ^β1/2=0 なら A=0、Nωβ={0}、dimHωβ=4。GNS 空間は M2(C) そのもので、ξβ=ρ^β1/2 である。
(2) RP′ は左からの積と交換し、RP′2=RP′、⟨X,YP′⟩HS=⟨XP′,Y⟩HS なので可換子環の射影である。λ=∥ξβP′∥2=Tr(P′ρ^βP′)=Tr(ρ^βP′)=21(1+rx)=0.74。成分の状態はω1(A)=Tr(ρ^β1/2P′ρ^β1/2A)/0.74 である。ρ^β1/2=c0+c1n⋅σ(c0=2/10、c1=1/10)、m=(1,0,0) として、Pauli 行列の積の規則から
ρ^β1/2(1+m⋅σ)ρ^β1/2=ρ^β+c02m⋅σ+2c0c1(n⋅m)+c12(2(n⋅m)n⋅σ−m⋅σ)
で、n⋅m=0.6、c02=0.4、c0c1=0.2、c12=0.1 を入れると 1.48⋅1+(0.52n+0.3m)⋅σ=1.48⋅1+(0.612,0,0.416)⋅σ。2で割ると ρ^β1/2P′ρ^β1/2=0.74⋅1+(0.306,0,0.208)⋅σ となり、規格化した状態の Bloch ベクトルはr1=(0.612,0,0.416)/0.74=(153/185,0,104/185)。1532+1042=1852 なので ∣r1∣=1 で純粋状態である。1−P′ の側は m=(−1,0,0) を入れて同じ計算をし、重み 0.26、r2=(−0.132,0,0.224)/0.26=(−33/65,0,56/65)、332+562=652 でやはり純粋である。確かに 0.74r1+0.26r2=(0.612−0.132,0,0.416+0.224)=(0.48,0,0.64)=r。固有分解は重み 0.9,0.1 で Bloch ベクトル ±n だったので、これとは別の分け方である。P′ を n 方向の射影 Pn=21(1+n⋅σ) に替えると、ρ^β1/2Pnρ^β1/2=ρ^βPn=0.9Pn となり固有分解が出る。
(3) Utπ(A)ξβ=π(αt(A))ξβ=eiH^t/ℏAe−iH^t/ℏρ^β1/2。ρ^β は H^ の関数なので e−iH^t/ℏ と交換し、右辺は eiH^t/ℏ(Aρ^β1/2)e−iH^t/ℏ。つまり UtX=eiH^t/ℏXe−iH^t/ℏ で、生成子は L^X=H^X−XH^。(8.2.6) で C2⊗C2 に移すと L^=H^⊗1−1⊗H^T。H^ の固有値は ∓ℏΩ′/2 なので、L^ の固有値はその差 {0,0,+ℏΩ′,−ℏΩ′} である。L^ξβ=H^ρ^β1/2−ρ^β1/2H^=0 で、巡回ベクトルは固有値 0 の固有ベクトルの1つになっている。下に有界でない −ℏΩ′ が現れるのは、表現が可約(混合状態)だからである。
(4) ∥η∥2=ωβ(σx2)=1 で、ベクトル状態は ⟨η,π(A)η⟩=ωβ(σxAσx)。σxσxσx=σx、σxσyσx=−σy、σxσzσx=−σz なのでBloch ベクトルは (rx,−ry,−rz)=(0.48,0,−0.64)。これは r を x 軸のまわりに角度 π 回したもので、同じ GNS 空間のベクトルが別の状態を表している。
(5) n=(0.6,0,0.8) は y 成分が 0 なので ∣±n⟩ は実ベクトルにとれ、∣±n⟩=∣±n⟩。(8.2.7) からΦ(ρ^β1/2)=0.9∣+n⟩⊗∣+n⟩+0.1∣−n⟩⊗∣−n⟩。2つ目の因子のユニタリ V^=∣0⟩⟨+n∣+∣1⟩⟨−n∣ で (1⊗V^)Φ(ρ^β1/2)=∣Ψβ⟩ となる。1⊗V^ は π(A)=A⊗1 と交換するので、2つの3つ組 (C2⊗C2,A⊗1,Φ(ρ^β1/2)) と (C2⊗C2,A⊗1,∣Ψβ⟩) を結ぶユニタリになっている。定理 8.2.1 の一意性が保証するユニタリがこれであり、前の章で手で選んだ浄化は GNS 表現と同じものである。