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何を削ったか

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第2部 第10章 実際のバンド計算:密度汎関数理論

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第2部 第10章 §2.10.5 ★★ 原子核を止め、交換相関を汎関数で閉じ、内殻を擬ポテンシャルで消し、基底と k\bm{k} 点を有限で打ち切った。厳密な書き換えと近似の境目を札で分ける

この章の計算は、式 (2.10.1) の全体のハミルトニアンから出発して、次のものを削るか置き換えて得た。どれが厳密な書き換えで、どれが近似かを分けておく。

第一に、原子核を止めた。原子核の運動を量子力学で扱わず、その位置をパラメータにした。これは第1部第1章で全体のハミルトニアンから最初に削ったもので、格子振動は第3部で戻す。

第二に、交換相関を近似の汎関数で閉じた。Kohn–Sham の書き換えそのものは、汎関数微分の存在と、正しい密度が相互作用のない電子の密度として実現できるという仮定のもとで厳密である(近似の数理 第9章)。近似は ExcE_{\mathrm{xc}} の形を LDA・GGA・混成のどれかに選んだ所だけにある。さらに、Kohn–Sham の固有値をバンド(準粒子のエネルギー)として読むことは、厳密な汎関数でも成り立たない読み替えで、2.10.4節で見た Δxc\Delta_{\mathrm{xc}} を落としている。バンド図の形は多くの場合よく合うが、ギャップの値は別の扱い(GW など)が要る。

第三に、近似の汎関数は電子が自分自身と反発する分を正確には打ち消さない。厳密な汎関数では電子1個の系で EH+Exc=0E_{\mathrm H}+E_{\mathrm{xc}}=0 だったが(例題 2.10.6)、LDA ではこれが成り立たない(例題 2.10.8)。この自己相互作用の消え残りは、局在した dd 電子や ff 電子を持つ物質で大きく、そうした物質では LDA の解では電子が広がりすぎ、本来は絶縁体のもの(Mott 絶縁体)が金属と出ることがある。第2部第7章で削った電子の相関は、この形で計算の結果に現れる。

第四に、内殻の電子を固定し、原子で作った擬ポテンシャルに置き換えた。第五に、基底をカットオフ以下の平面波に、Brillouin 域の積分を有限個の k\bm{k} 点の和に打ち切った。この2つは数値計算の離散化で、カットオフと k\bm{k} 点を増やせば系統的に収束を確かめられる(2.10.2節)。最後に、この章ではスピンを区別しない(非偏極の)汎関数だけを扱った。磁性体ではスピンごとの密度を変数にした汎関数を使うが、それは第5部の磁性の章で扱う。

例題 2.10.8 水素原子での LDA の自己相互作用 ★★

オリジナル水素原子の 1s1s の密度 n(r)=e−2r/a0/(πa03)n(r)=\mathrm{e}^{-2r/a_0}/(\pi a_0^3) を使い、Hartree 単位(a0=1a_0=1、エネルギーは Ha)で計算する。

  1. (1) Hartree エネルギーは EH=516 HaE_{\mathrm H}=\frac5{16}\,\mathrm{Ha} である。eV に直せ。
  2. (2) 電子1個は完全にスピン偏極しているので、交換はスピン偏極の LDA で Ex=−21/3Cx∫n4/3 d3rE_{\mathrm x}=-2^{1/3}C_{\mathrm x}\int n^{4/3}\,\mathrm{d}^3r(Cx=34(3/π)1/3=0.7386C_{\mathrm x}=\frac34(3/\pi)^{1/3}=0.7386)となる。∫n4/3d3r\int n^{4/3}\mathrm{d}^3r を求め、ExE_{\mathrm x} を計算せよ。
  3. (3) 厳密な交換は −EH-E_{\mathrm H} である。LDA の交換の消え残り EH+ExE_{\mathrm H}+E_{\mathrm x} を eV で求めよ。
解答

(1) 516×27.21=8.50 eV\frac5{16}\times27.21=8.50\,\mathrm{eV}。

(2) ∫n4/3d3r=π−4/3∫0∞4πr2e−8r/3dr=4π−1/3⋅2(38)3=2764π−1/3=0.2881\int n^{4/3}\mathrm{d}^3r=\pi^{-4/3}\int_0^\infty4\pi r^2\mathrm{e}^{-8r/3}\mathrm{d} r=4\pi^{-1/3}\cdot2\Bigl(\frac38\Bigr)^3=\frac{27}{64}\pi^{-1/3}=0.2881。Ex=−21/3×0.7386×0.2881=−0.2680 Ha=−7.29 eVE_{\mathrm x}=-2^{1/3}\times0.7386\times0.2881=-0.2680\,\mathrm{Ha}=-7.29\,\mathrm{eV}。

(3) 厳密な値 −0.3125 Ha-0.3125\,\mathrm{Ha} に対して LDA は −0.2680 Ha-0.2680\,\mathrm{Ha} で、EH+Ex=0.0445 Ha=1.21 eVE_{\mathrm H}+E_{\mathrm x}=0.0445\,\mathrm{Ha}=1.21\,\mathrm{eV} が打ち消されずに残る。電子は自分自身の作る電荷の雲からこれだけの反発を受け、軌道は外へ広がり、固有値は浅くなる。混成汎関数の厳密交換は、この消え残りの一部(PBE0 なら4分の1の重みの分)を取り除く。消え残りは局在した軌道ほど大きいので、広がった ss・pp 電子の半導体より、局在した dd 電子の酸化物で問題になる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの (m/M)1/4→0(m/M)^{1/4}\to0(原子核を止める Born–Oppenheimer 近似) | 証明 条件付き(電子の状態がギャップで孤立していること。第V巻第7章の範囲で証明されている。金属のように電子の励起にギャップが無い系での前提の扱いは要確認) | 行き先 近似の数理 第7章

近似の裏付け

型 C(閉じる) | 小さいもの 交換相関エネルギーを、密度・勾配・厳密交換の一部の関数(LDA・GGA・混成)で置き換える(小さいパラメータなし) | 証明 C 型=内部の評価なし(LDA はゆっくり変わる密度の極限で厳密な汎関数の主要項に一致する。Kohn–Sham の固有値をバンドと読むことは厳密な汎関数でも Δxc\Delta_{\mathrm{xc}} だけずれる) | 行き先 近似の数理 第9章

近似の裏付け

型 C(閉じる) | 小さいもの 内殻の電子を固定し、原子で作った擬ポテンシャルで置き換える(小さいパラメータなし) | 証明 C 型=内部の評価なし(ノルム保存型は参照のエネルギーのまわりで散乱の性質が1次まで原子と一致することを作り方で保証する〔Hamann–Schlüter–Chiang 1979〕。固体の中での移植性は個別に確かめる) | 行き先 近似の数理 第9章

近似の裏付け

型 A(射影) | 小さいもの 運動エネルギーがカットオフ EcutE_{\mathrm{cut}} 以下の平面波が張る部分空間 | 証明 証明済み(汎関数と擬ポテンシャルを固定すれば Kohn–Sham のエネルギーの最小化は変分なので、全エネルギーはカットオフについて上から単調に収束する。収束の速さは擬ポテンシャルの滑らかさで決まる) | 行き先 近似の数理 第4章

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 1/Nk→01/N_k\to0(Brillouin 域の積分を等間隔の k\bm{k} 点の和にする) | 証明 条件付き(ギャップがあると被積分関数が k\bm{k} について周期的で解析的になり、和の誤差は指数関数的に減る。金属では Fermi 面の跳びのため Nk−2N_k^{-2} 程度に遅くなる。例題 2.10.4 で数値で確認) | 行き先 近似の数理 第4章・近似の数理 第12章

木下の勉強ステータス

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