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何を削ったか:この巻の近似の札の一覧

2026年10月15日21分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第6章 終章:トポロジカル物質への入口と、この巻で削ったもの
目次
  1. この章で削ったもの
  2. 巻全体の札
  3. 第V巻の表と並べる
  4. 木下の層

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部 第6章 §5.6.4 ★★★ 固体の近似は B 型が多く、その多くがギャップを前提にする。巻の出発点の「原子が格子に並ぶ」ことは未解決で、遠くにある Hall 伝導度の量子化は定理になっている

この章で削ったもの

この章の H^\hat H は、実在の物質の多くの軌道から2つだけを残し、隣どうしの飛び移りだけを残した tight-binding 模型である。電子どうしの相互作用と乱れも書いていない。それでも Chern 数と端の準位の数は、模型の細部によらない量として出てきた。削ったものを戻しても、ギャップが閉じない限り整数は変わらないからである。ただし「戻してもギャップが閉じない」ことは整数の側からは保証されない。相互作用を戻したときに整数がそもそも定義できるか、乱れを戻したときにギャップの代わりに何が要るかは、それぞれ定理の前提として確かめる必要がある。

近似の裏付け

型 A(射影) | 小さいもの 各サイトの2つの軌道が張る部分空間(隣どうしのホッピングだけを残す) | 証明 条件付き(局在軌道への射影は深い井戸の極限で証明済み。2つの軌道で足りるかは物質ごとに要確認) | 行き先 近似の数理 第4章・近似の数理 第12章

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 電場 →0\to0 の線形応答と、試料の大きさ →∞\to\infty | 証明 証明済み(ギャップがあること。相互作用なしは Thouless–Kohmoto–Nightingale–den Nijs 1982・Avron–Seiler–Simon 1983、Fermi 準位が局在した状態の領域にある乱れた系は Bellissard–van Elst–Schulz-Baldes 1994、ギャップのある相互作用する系は Hastings–Michalakis 2015。線形応答そのものの正当化はギャップのある多体系で Bachmann–De Roeck–Fraas 2018) | 行き先 近似の数理 第13章

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 板の幅 Ny→∞N_y\to\infty(2つの端の状態の重なり ∣φ∣Ny\lvert \varphi\rvert ^{N_y} を捨てる) | 証明 証明済み(相互作用なし・バルクのギャップがある場合に端の量子数とバルクの Chern 数が等しい。Hatsugai 1993、Kellendonk–Richter–Schulz-Baldes 2002) | 行き先 近似の数理 第12章

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの スピンの zz 成分を混ぜる項/ギャップ →0\to0(↑ と ↓ をブロックに分ける) | 証明 条件付き(Z2\mathbb{Z}_2 の不変量は時間反転とギャップだけで定義でき、zz 成分の保存は要らない〔Kane–Mele 2005〕。相互作用と乱れのある端で交点が守られる範囲は要確認) | 行き先 近似の数理 第13章

もう1つ、この章で分かった削り方の限界がある。第2部では、バンドを原子の近くに局在した軌道の重ね合わせとして書いた(tight-binding)。バンドの状態を逆に局在した関数で書き直したものが Wannier 関数で、C−≠0C_-\ne0 のバンドは、指数関数的に局在した Wannier 関数では書けない(C. Brouder, G. Panati, M. Calandra, C. Mourougane and N. Marzari (2007), Phys. Rev. Lett. 98, 046402 が、2・3次元で指数関数的に局在した Wannier 関数があることと Chern 数が 00 であることが同値だと示した)。QWZ 模型は2つの局在軌道から作った模型なのに、その下のバンドだけを取り出すと局在軌道1つでは表すことができない。tight-binding の A 型(射影)の近似が使える範囲には、ギャップのほかに「Chern 数が 00」という条件が加わる。

巻全体の札

表 5.6.1 は、この巻の各章に置いた札を、近似ごとにまとめたものである。章の番号は「部-章」で書いた(例:2-3 は第2部第3章)。各行は、その章に置いた札に合わせた。証明の状況の欄は要約なので、前提の正確な形は各章の札と第V巻の章で確かめてほしい。

表 5.6.1 この巻の近似と、その数学的な裏付けの状況
近似(章)型小さいもの・部分空間証明の状況破れる所
Born–Oppenheimer(1-1, 2-8, 2-10, 3-1, 3-3)B(m/M)1/4(m/M)^{1/4}条件付き(有限個の核で電子の準位にギャップ。結晶・金属への拡張は要確認)金属・円錐交差
原子が格子に並ぶ・調和近似・非調和の展開(1-2, 1-3, 3-1, 3-2, 3-3)B振幅/格子間隔・kBT/Ebk_{\mathrm B} T/E_{\mathrm b}条件付き(結晶を仮定した漸近展開。結晶が基底状態になること自体は未解決)融解・量子固体(He)・解離
準調和近似(3-2)BkBT/Ebk_{\mathrm B} T/E_{\mathrm b}条件付き(熱膨張は最低次で一致、比熱の TT の1次は不一致)高温
フォノンの Boltzmann 方程式(3-2)B非調和の結合の強さ未解決(形式的な導出のみ。Fourier の法則の導出が未解決)低次元・弾道的な熱輸送
1回散乱・1フォノン・分極率(1-3, 3-3)B散乱の強さ・2W2W・ℏΩ/(Egap−ℏωi)\hbar\Omega/(E_{\mathrm{gap}}-\hbar\omega_{\mathrm i})1フォノンは条件付き、1回散乱(Born)と Placzek は要確認動力学的回折・共鳴 Raman
原子の密度の重ね合わせ・数個のばね(1-3, 3-1)C—C 型=内部の評価なし結合の電荷・長距離の力
tight-binding・LCAO・Hückel(1-1, 2-1〜2-3, 2-6, 2-8, 2-9, 5-6)A/B局在軌道の空間/e−κ0d\mathrm{e}^{-\kappa_0 d}射影(A)は条件付き(前の係数・実在の距離での誤差は要確認。LCAO の上界は証明済み)。深い井戸の極限(B, 2-1)は指数の速さまで証明済み(Simon 1984・Helffer–Sjöstrand 1984)原子が近い金属・C≠0C\ne0 のバンド
平面波の打ち切り(2-4, 2-5, 2-10)A平面波の空間証明済み(上界・単調・収束。速さは VV の滑らかさで決まる)内殻の尖った軌道
Bloch の定理(2-4)厳密—証明済み(Floquet–Bloch 分解)乱れ・準結晶
ほぼ自由な電子(2-5, 4-1)B∣VG∣/ε(0)\lvert V_G\rvert /\varepsilon ^{(0)}条件付き(縮退から離れた k\bm{k} で正則摂動、境界は 2×22\times2。4-1 は Fermi 面が域の境界から離れていること)遷移金属の dd 帯
周期境界・熱力学極限(1-2, 2-3, 2-6, 2-7, 4-1)B1/N1/N証明済み(積分した状態密度は境界条件によらない〔近似の数理 第12章〕。Coulomb 系は Lieb–Lebowitz 1972、ジェリウムは Lieb–Narnhofer 1975)表面・端の性質
k 点の和(2-10)B1/Nk1/N_k条件付き(ギャップがあれば指数収束)金属
1電子近似・交換相関・擬ポテンシャル(1-1, 2-2, 2-4, 2-5, 2-7, 2-9, 2-10, 4-6)C—C 型=内部の評価なしMott 絶縁体・バンドギャップ問題・励起子
Dirac コーンへの線形化(2-9)Bqaqa証明済み(模型の中の Taylor 展開)Dirac 点から離れた所
有効質量近似(2-9, 4-5, 4-6, 4-9)B格子間隔/外場の長さ条件付き(単純・非退化な端。Allaire–Piatnitski 2005)。Coulomb の不純物準位(4-5)と励起子(4-6)は要確認縮退した端・急な界面
半古典運動・Peierls 置換(2-9, 4-2, 4-4, 5-5)B外場の変化の遅さ条件付き(孤立したバンドの族。Panati–Spohn–Teufel 2003)Dirac 点・Zener 破壊
Onsager の量子化(4-4)B1/ν1/\nu要確認低い Landau 準位
非縮退近似・放物線近似(2-7)Be−(εc−μ)/kBT\mathrm{e}^{-(\varepsilon _{\mathrm c}-\mu)/ k_{\mathrm B} T}条件付き(誤差を直接評価できる)縮退半導体
Sommerfeld 展開(4-1, 4-3)BkBT/εFk_{\mathrm B} T/\varepsilon _{\mathrm F}自由電子は証明済み、一般の σ(ε)\sigma(\varepsilon ) は条件付き(μ\mu のまわり数 kBTk_{\mathrm B} T で滑らか)バンドの端・van Hove 特異点
線形 Boltzmann 方程式(4-2)B乱れの弱さ(van Hove 極限)条件付き(弱い乱れの1粒子。Erdős–Yau 2000)強い乱れ(Anderson 局在)
局所平衡・勾配の1次の線形応答(4-3)Bℓ∣∇T∣/T\ell\lvert \nabla T\rvert /T条件付き(局所平衡の微視的な導出は要確認)急な勾配
緩和時間・一定の準位の幅・再結合の寿命・一定の移動度(3-2, 4-2, 4-3, 4-4, 4-5, 4-9)C—C 型=内部の評価なし非弾性散乱が主な温度域
黄金律(4-6, 4-7, 4-8)B結合の強さ条件付き(有限準位+浴の弱結合極限は Davies 1974〔近似の数理 第14章〕。連続のバンド間吸収・Bardeen の3次元の誤差は要確認)強結合・断熱の領域
Tersoff–Hamann・Landauer(4-7)A/B探針の ss 軌道/相互作用なしTersoff–Hamann は要確認、Landauer は条件付き(Kubo と一致。Fisher–Lee 1981)pp・dd の探針・相互作用の強い接合
振動を古典的に・無記憶の乱歩(4-8)Bℏωv/kBT\hbar\omega_{\mathrm v}/ k_{\mathrm B} T・kET/ωvk_{\mathrm{ET}}/\omega_{\mathrm v}前者は条件付き、後者は要確認低温・速い跳び移り
空乏近似・低注入・Poisson–Boltzmann・緩やかなチャネル(4-5, 4-9)BλD/x\lambda_{\mathrm D}/x・δp/ND\delta p/N_{\mathrm D}空乏近似と低注入は条件付き、Poisson–Boltzmann の平均場と緩やかなチャネルは要確認高注入・ピンチオフ
Peierls 転移(2-8)B格子を古典的に止める・U/tU/t条件付き(Kennedy–Lieb 1987。量子揺らぎ・電子の相互作用・鎖どうしの結合は要確認)相互作用の強い鎖
RPA・高密度・Thomas–Fermi(4-1, 5-1)Brsr_{\mathrm s}・q/kFq/k_{\mathrm F}RPA と高密度の極限は要確認、Thomas–Fermi は RPA の中で証明済み低密度
Fermi 液体(5-1)BFermi 面の近く条件付き(特別な形の Fermi 面の2次元。Feldman–Knörrer–Trubowitz 2004。一般には未解決)1次元・強相関
配置への射影・LS 結合(5-2)A/B1つの配置・スピン軌道の強さ条件付き(配置間相互作用で項の順序が保たれるかは要確認)重い元素(jjjj 結合)
Hubbard から Heisenberg・超交換(1-1, 5-2)Bt/Ut/U・tpd/Δctt_{\mathrm{pd}}/\Delta_{\mathrm{ct}}条件付き(有限の系で縮退摂動。熱力学極限は要確認)UU が帯の幅と同程度
DM 相互作用(5-2)Bスピン軌道/tt要確認—
Weiss 平均場・Maier–Saupe(4-8, 5-3)B到達距離 →∞\to\infty条件付き(Kac 極限で厳密〔Lebowitz–Penrose 1966〕。量子 Heisenberg は要確認。2次元の連続対称性では誤り〔Mermin–Wagner〕)低次元・臨界点の近く
線形スピン波(5-3)BkBT/(∣J∣S)k_{\mathrm B} T/(\lvert J\rvert S)条件付き(3次元強磁性の自由エネルギーの主要項は Correggi–Giuliani–Seiringer 2015)高温・低次元
対の平均場・BCS から GL(5-4)B1/N1/N・(Tc−T)/Tc(T_{\mathrm c}-T)/T_{\mathrm c}条件付き(簡約 BCS では熱力学極限で厳密〔近似の数理 第13章〕、GL は Frank–Hainzl–Seiringer–Solovej 2012)。弱結合の極限とゆらぎの補正の範囲は要確認低次元・強結合
引力を殻の中の定数に(5-4)C—C 型=内部の評価なし強結合(Eliashberg)
Wannier 関数で書く(5-5)AWannier 関数の空間証明済み(d≤3d\le3 で指数局在 ⇔ Chern 数 0。Brouder ら 2007)C≠0C\ne0 のバンド
異常 Hall 効果の3つの寄与への分け方(5-5)Bℏ/(εFτ)\hbar/(\varepsilon _{\mathrm F}\tau)要確認強い乱れ
Hall 伝導度の量子化・バルクと端の対応(4-4, 5-5, 5-6)B電場 →0\to0・Ny→∞N_y\to\infty証明済み(ギャップ、または Fermi 準位で状態が局在)ギャップ(移動度ギャップ)が閉じる所
Z2\mathbb{Z}_2・スピンのブロック分け(5-6)Bスピンを混ぜる項条件付き(相互作用・乱れのある端は要確認)時間反転を破る摂動

第V巻の表と並べる

第V巻の終章(近似の数理 第11章)は、原子・分子・流体の近似を同じ形の表にまとめた。2つの表を並べて読むと、3つの違いが見える。

第一に、原子と分子では A 型が中心だったのに対し、固体では B 型が中心である。第V巻の表の上半分は LCAO・Hartree–Fock・CI という射影で、上界と単調性と収束が一般的な定理で保証されていた。固体でも tight-binding と平面波の打ち切りは A 型だが、表 5.6.1 の行の多くは、質量比・外場の遅さ・乱れの弱さ・kBT/εFk_{\mathrm B} T/\varepsilon _{\mathrm F}・t/Ut/U を 00 に送る B 型である。固体は原子が 102310^{23} 個ある系なので、全部を部分空間に射影するより、小さいパラメータで階層を分けるほうが扱いやすい。

第二に、固体の B 型の定理の多くは、ギャップがあることを前提にしている。Born–Oppenheimer は電子の準位のギャップを、半古典運動はバンドのギャップを、Wannier 関数の局在と Hall 伝導度の量子化はバルクのギャップを前提にする。この前提が崩れる所が、表の右の列にそろって現れる(金属、Dirac 点、トポロジカル相転移)。第V巻の Born–Oppenheimer が円錐交差で破れたのと同じ形の破れが、固体ではバンドの交差として何度も現れる。次の例題は、ギャップが小さくなると半古典運動(B 型)がどの程度破れるかを数で示す。

第三に、証明の難しさと物理の直観の順序が食い違う。巻の出発点である「原子核が格子に並んで止まっている」こと(第1部)は、表では「条件付き」としたが、その条件である「基底状態が結晶になること」自体が証明されていない。熱伝導の Fourier の法則も、一般の Fermi 液体も未解決である。一方、巻の最後に来た Hall 伝導度の量子化は、相互作用と乱れがあってもギャップさえあれば成り立つ定理になっている。直観に近い近似ほど証明が易しいわけではない。Chern 数のように整数で書ける量は、小さな誤差で値を変えることができないので、エネルギーのような連続の量より強い主張を証明することができる。

図

図 5.6.3 Dirac 型のバンドの交差(ギャップ 2M2M)を、電場 E=106 V m−1E=10^6\,\mathrm{V\,m^{-1}} で加速された電子(v=5×105 m s−1v=5\times10^5\,\mathrm{m\,s^{-1}})が通るとき、上のバンドへ移る確率。点線は Landau–Zener の式 (5.6.12)、丸は2準位の Schrödinger 方程式を数値で解いた値(有限の時間で切ったための振動が数 % 残る)。

例題 5.6.4 ギャップが小さいと半古典運動はどれだけ破れるか ★★★

オリジナルバンドのギャップの近くを h(k)=ℏvk σx+Mσzh(k)=\hbar vk\,\sigma_x+M\sigma_z(ギャップ 2M2M)で表す。一様な電場 EE の中で、電子の波数は ℏk˙=−eE\hbar\dot k=-eE に従って時間に比例して変わる(半古典運動)。時刻 t→−∞t\to-\infty に下のバンドにいた電子が、t→+∞t\to+\infty で上のバンドへ移っている確率は、Landau–Zener の公式

P=exp⁡(−πM2ℏv eE)(5.6.12)P=\exp\Bigl(-\frac{\pi M^2}{\hbar v\,eE}\Bigr)\tag{5.6.12}

で与えられる。

  1. (1) hh の対角成分の差が時間に比例して変わる速さ α\alpha(ℏvk=αt\hbar vk=\alpha t とおいたときの α\alpha)を vv, ee, EE で書き、式 (5.6.12) が Landau–Zener の標準形 exp⁡(−πM2/(ℏα))\exp(-\pi M^2/(\hbar\alpha)) と同じであることを確かめよ。
  2. (2) v=5×105 m s−1v=5\times10^5\,\mathrm{m\,s^{-1}}, E=106 V m−1E=10^6\,\mathrm{V\,m^{-1}} のとき、ℏv eE\hbar v\,eE を eV2\mathrm{eV^2} で求め、M=50M=50, 3030, 10 meV10\,\mathrm{meV} のそれぞれで PP を求めよ。
  3. (3) P=1/2P=1/2 になる MM を求め、半古典運動(バンドの間の移り変わりを捨てる B 型の近似)が使える条件を、ギャップと電場の言葉で述べよ。
解答

(1) ℏk=−eEt\hbar k=-eEt なので ℏvk=−veEt\hbar vk=-veEt、α=−veE\alpha=-veE で ∣α∣=veE\lvert \alpha\rvert =veE である。h=αt σx+Mσzh=\alpha t\,\sigma_x+M\sigma_z は σx\sigma_x の固有状態(エネルギー ±αt\pm\alpha t)を MM で結ぶ2準位の Landau–Zener の問題で、上のバンドへ移る確率(σx\sigma_x の固有状態のまま通り抜ける確率)は exp⁡(−πM2/(ℏ∣α∣))=exp⁡(−πM2/(ℏveE))\exp(-\pi M^2/(\hbar\lvert \alpha\rvert ))=\exp(-\pi M^2/(\hbar veE)) である。ℏ\hbar を通して時間とエネルギーをつないでいるので、分母の ℏv eE\hbar v\,eE はエネルギーの2乗の次元を持つ。

(2) ℏv=1.0546×10−34×5×105/(1.602×10−19)=3.29×10−10 eV m\hbar v=1.0546\times10^{-34}\times5\times10^5/(1.602\times10^{-19})=3.29\times10^{-10}\,\mathrm{eV\,m}、eE=106 eV m−1eE=10^6\,\mathrm{eV\,m^{-1}} なので ℏv eE=3.29×10−4 eV2\hbar v\,eE=3.29\times10^{-4}\,\mathrm{eV^2}。M=50 meVM=50\,\mathrm{meV} では πM2/(ℏveE)=π×2.5×10−3/3.29×10−4=23.9\pi M^2/(\hbar veE)=\pi\times2.5\times10^{-3}/3.29\times10^{-4}=23.9 で P=4×10−11P=4\times10^{-11}。M=30 meVM=30\,\mathrm{meV} では P=1.86×10−4P=1.86\times10^{-4}、M=10 meVM=10\,\mathrm{meV} では P=0.385P=0.385 である(図 5.6.3)。

(3) πM2/(ℏveE)=ln⁡2\pi M^2/(\hbar veE)=\ln2 から M=ℏveEln⁡2/π=8.5 meVM=\sqrt{\hbar veE\ln2/\pi}=8.5\,\mathrm{meV}。半古典運動では電子はいつも同じバンドにとどまるとするので、P≪1P\ll1 が条件で、πM2≫ℏv eE\pi M^2\gg\hbar v\,eE である。電子がギャップの近くの波数の幅 M/(ℏv)M/(\hbar v) を通り抜ける時間は τpass=M/(veE)\tau_{\mathrm{pass}}=M/(veE) で、条件はこの間に位相 Mτpass/ℏM\tau_{\mathrm{pass}}/\hbar が 11 より十分大きく回ること、つまり電子がゆっくり通ることと言い換えられる。ギャップが 100 meV100\,\mathrm{meV} あれば 106 V m−110^6\,\mathrm{V\,m^{-1}} の電場でも移り変わりは無視できるが、ギャップが 10 meV10\,\mathrm{meV} の桁まで閉じると、同じ電場で電子の4割近くが上のバンドへ移る。表 5.6.1 の半古典運動の行が「孤立したバンドの族」(ほかのバンドからギャップで隔たったバンド)を前提にしていたのは、この移り変わりを 00 とみなすためで、その誤差が PP である。PP は M→0M\to0 で 11 に近づき、ギャップが閉じる所で B 型の近似はまったく使えなくなる。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

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