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この章のまとめ

2026年10月15日7分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第3部 第5章 Bell の不等式

AI 生成・木下が未勉強

相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第3部 第5章 §3.5.7 ★★★ 箱を局所の集合と比べ、CHSH・Tsirelson・DLD_{\mathcal L} の3つの数で非局所性を測る

この章では、2人の観測者の入力と出力の条件付き分布(箱)p(ab ∣ xy)p(ab\,|\,xy) を、局所的な隠れた変数の模型が出せる箱の集合 L\mathcal L と比べた。L\mathcal L は16個の決定的な戦略の凸包であり(命題 3.5.1)、その頂点で S=±2S=\pm2 となることから CHSH 不等式 ∣S∣≤2\lvert S\rvert \le2 が出た(定理 3.5.2)。量子の箱は ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle を適切な向きで測ると S=22S=2\sqrt2 に達し、量子力学の中では 222\sqrt2 が上限である(定理 3.5.3)。2量子ビットの状態で達成できる最大の SS は相関行列の固有値で決まり(定理 3.5.4)、Werner 状態では 22V2\sqrt2V である。

相対エントロピーで測ると、等方的な箱と L\mathcal L の距離は db(ω ∥ 3/4)d_{\mathrm b}(\omega\,\|\,3/4) になる(定理 3.5.5)。証明には、勝ち負けへの粗視化でのデータ処理不等式と、結合凸性の2つだけを使った。量子の上限で 0.03210.0321 nat、PR 箱で ln⁡(4/3)\ln(4/3) で、nn 回の試行で局所の模型が量子の統計を真似できる確率はe−nDL\mathrm{e}^{-nD_{\mathcal L}} 程度である。局所の雑音を通すと DLD_{\mathcal L} は増えない。

CHSH 不等式の破れは、装置を信用しなくてもエンタングルメントの存在を示し(命題 3.5.6)、盗聴者の情報の上限を決める(式 (3.5.21))。一方で、エンタングルしていても CHSH 不等式を破らない状態があり、エンタングルメントと非局所性は別の量である。量子の箱は信号を送らないので、この相関で通信はできない。次の章(第3部第6章)では、同じ ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle に古典の通信を足すと、量子状態の転送(テレポーテーション)や1量子ビットで2ビットを送ること(超高密度符号)ができることを、資源の勘定として扱う。

総合問題 Werner 状態の Bell 実験と鍵 ★★★

オリジナルWerner 状態 ρ^V=V∣Φ+⟩⟨Φ+∣+(1−V)1/4\hat\rho_V=V| \Phi^+ \rangle \langle \Phi^+ |+(1-V)\mathbf 1/4 を V=0.9V=0.9 で用意し、CHSH の実験を行う。

  1. (1) 向きを最適に選んだときの SS を求め、CHSH 不等式を破ることを確かめよ。(使う道具:3.5.3 節の定理 3.5.4)
  2. (2) ρ^V\hat\rho_V の固有値と von Neumann エントロピー S(ρ^AB)S(\hat\rho_{AB})、条件付きエントロピー S(A ∣ B)S(A\,|\,B) を求めよ。S(A ∣ B)<0S(A\,|\,B)<0 となる VV の範囲の下端は 0.74760.7476 である。これと、エンタングルする下端 1/31/3、CHSH を破る下端 1/21/\sqrt2 の大小を比べよ。(使う道具:第3部第2章・第3部第4章・3.5.5 節)
  3. (3) (1) の箱の DLD_{\mathcal L} を求め、第2種の誤りの確率を 10−610^{-6} にするのに要る試行の回数を見積もれ。(使う道具:3.5.4 節・第1部第8章)
  4. (4) 検出器が Alice と Bob の両方で確率 ε=0.03\varepsilon =0.03 で結果を取り違えるとき、SS と DLD_{\mathcal L} を求め、DLD_{\mathcal L} が (3) より小さいことを説明せよ。(使う道具:3.5.4 節・第1部第4章)
  5. (5) 雑音の無い (1) の箱で鍵を作る。Q=(1−V)/2Q=(1-V)/2 として、Eve の Holevo 量の上限と鍵の量の下限を求め、4つの境目(エンタングルする・CHSH を破る・S(A∣B)<0S(A|B)<0・鍵が取れる)を VV の小さい順に並べよ。(使う道具:3.5.5 節・第1部第6章)
解答

(1) 例題 3.5.3 から Smax⁡=22V=22×0.9=2.546>2S_{\max}=2\sqrt2V=2\sqrt2\times0.9=2.546>2 で、CHSH 不等式を破る。

(2) ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle の方向に固有値 V+(1−V)/4=(1+3V)/4=0.925V+(1-V)/4=(1+3V)/4=0.925、それに直交する3次元に (1−V)/4=0.025(1-V)/4=0.025 が3重。

S(ρ^AB)=−0.925ln⁡0.925−3×0.025ln⁡0.025=0.0721+0.2767=0.3488 nat.S(\hat\rho_{AB})=-0.925\ln0.925-3\times0.025\ln0.025=0.0721+0.2767=0.3488\ \text{nat}.

ρ^B=1/2\hat\rho_B=\mathbf 1/2 なので S(B)=ln⁡2S(B)=\ln2、S(A ∣ B)=S(ρ^AB)−S(B)=0.3488−0.6931=−0.3444S(A\,|\,B)=S(\hat\rho_{AB})-S(B)=0.3488-0.6931=-0.3444 nat で負である。境目を並べると 1/3<1/2=0.7071<0.74761/3<1/\sqrt2=0.7071<0.7476 となる。CHSH を破る範囲 V>0.7071V>0.7071 の中に、S(A ∣ B)≥0S(A\,|\,B)\ge0 の範囲 0.7071<V≤0.74760.7071<V\le0.7476 がある。条件付きエントロピーが負であることは CHSH の破れの必要条件でも十分条件でもない。

(3) ω=12+2.5468=0.8182\omega=\frac12+\frac{2.546}8=0.8182。DL=db(0.8182 ∥ 0.75)=0.01330D_{\mathcal L}=d_{\mathrm b}(0.8182\,\|\,0.75)=0.01330 nat。n≈ln⁡(106)/0.01330=13.82/0.01330≈1039n\approx\ln(10^6)/0.01330=13.82/0.01330\approx1039 回。純粋な ∣Φ+⟩| \Phi^+ \rangle の 431 回(例題 3.5.4)の約2.4倍で、VV を 11 から 0.90.9 に下げただけで試行の回数は2倍以上になる。

(4) (1−2ε)2=0.942=0.8836(1-2\varepsilon )^2=0.94^2=0.8836 なので S=0.8836×2.546=2.249S=0.8836\times2.546=2.249、ω=0.7812\omega=0.7812、DL=db(0.7812 ∥ 0.75)=0.00267D_{\mathcal L}=d_{\mathrm b}(0.7812\,\|\,0.75)=0.00267 nat。取り違えは各自の手元の結果に確率行列を当てる操作で、局所の箱を局所の箱に写す。データ処理不等式から、式 (3.5.19) のとおり DLD_{\mathcal L} は増えない。実際に 0.00267<0.013300.00267<0.01330 である。

(5) Q=0.05Q=0.05、hb(0.05)=0.1985h_{\mathrm b}(0.05)=0.1985 nat。(S/2)2−1=1.62−1=0.62(S/2)^2-1=1.62-1=0.62、0.62=0.7874\sqrt{0.62}=0.7874、(1+0.7874)/2=0.8937(1+0.7874)/2=0.8937、χE≤hb(0.8937)=0.3387\chi_E\le h_{\mathrm b}(0.8937)=0.3387 nat。r≥0.6931−0.1985−0.3387=0.1559r\ge0.6931-0.1985-0.3387=0.1559 nat。鍵が取れる下端は 3.5.5 節の V=0.857V=0.857 なので、4つの境目は

13⏟エンタングル<0.7071⏟CHSH<0.7476⏟S(A∣B)<0<0.857⏟鍵\underbrace{\tfrac13}_{\text{エンタングル}}<\underbrace{0.7071}_{\text{CHSH}}<\underbrace{0.7476}_{S(A|B)<0}<\underbrace{0.857}_{\text{鍵}}

の順で、V=0.9V=0.9 はすべての境目を超えている。デバイス独立な鍵は、CHSH をわずかに破るだけでは取れず、χE\chi_E を ln⁡2−hb(Q)\ln2-h_{\mathrm b}(Q) より小さくするだけの破れが要る。

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