解答
(1) 時刻 t に輪は、z 軸と、xy 面内で x 軸から角度 Ωt の向きとが張る鉛直面の中にある。拘束はΦ1=∣r∣2−R2=0 と Φ2=−xsinΩt+ycosΩt=0(その鉛直面の中にあること)の2本で、独立である。N=1, k=2 で自由度は f=1。Φ2 が t を含むので、拘束は時間による。
(2) r=R(sinθcosΩt, sinθsinΩt, −cosθ)。Φ1=Φ2=0 はどの θ, t でも成り立ち、∂r/∂θ の長さは R で 0 にならない。∂r/∂θ=R(cosθcosΩt,cosθsinΩt,sinθ)、∂r/∂t=RΩ(−sinθsinΩt,sinθcosΩt,0) で、r˙=(∂r/∂θ)θ˙+∂r/∂t である。∂r˙/∂θ˙=∂r/∂θ は式の形から明らか。運動に沿った微分は dtd∂θ∂r=Rθ˙(−sinθcosΩt,−sinθsinΩt,cosθ)+RΩcosθ(−sinΩt,cosΩt,0) で、r˙ を θ˙ と t を止めて θ で微分したものと成分ごとに一致する。
(3) ∂r/∂θ と ∂r/∂t は内積が R2Ω(−cosθsinθcosΩtsinΩt+cosθsinθsinΩtcosΩt)=0 で直交するので T1=0。∣∂r/∂θ∣2=R2, ∣∂r/∂t∣2=R2Ω2sin2θ から
T=2mR2(θ˙2+Ω2sin2θ),T2=2mR2θ˙2,T1=0,T0=2mR2Ω2sin2θ.
(4) Qθ=(0,0,−mg)⋅∂r/∂θ=−mgRsinθ。位置エネルギー V=mgz=−mgRcosθ から −∂V/∂θ=−mgRsinθ で一致する。
(5) 輪の力は(摩擦が無いので)輪の接線 ∂r/∂θ に垂直で、理想的な拘束である。式 (1.2.22) に ∂T/∂θ˙=mR2θ˙, ∂T/∂θ=mR2Ω2sinθcosθ を入れて
mR2θ¨−mR2Ω2sinθcosθ=−mgRsinθ,すなわちθ¨=sinθ(Ω2cosθ−Rg)=:F(θ).
平衡点は F(θ)=0 の点で、θ=0(最下点)、θ=π(最上点)、そして Ω2>g/R のときに限り cosθ∗=g/(RΩ2) を満たす θ=±θ∗ である。平衡点 θe のまわりで θ=θe+ξ とおき、ξ の1次まで残すと ξ¨=F′(θe)ξ で、F′<0 なら角振動数 −F′ の振動、F′>0 なら指数関数的に離れる(近似の数理 第2章の相空間での線形化)。F′(0)=Ω2−g/R、F′(π)=Ω2+g/R>0、F′(θ∗)=cosθ∗(Ω2cosθ∗−g/R)−Ω2sin2θ∗=−Ω2sin2θ∗ である。よって最上点はいつも不安定、最下点は Ω2<g/R で安定で Ω2>g/R で不安定、±θ∗ は存在すれば安定である(図 1.2.3)。数値では g/R≈7.00rads−1<Ω なので最下点は不安定で、cosθ∗=9.81/(0.2×100)=0.4905、θ∗≈60.6∘。小さな振動の角振動数は Ωsinθ∗≈8.71rads−1 である。
(6) dtd(T+V)=mR2θ˙θ¨+mR2Ω2sinθcosθθ˙+mgRsinθθ˙。運動方程式 mR2θ¨=mR2Ω2sinθcosθ−mgRsinθ を入れると
dtd(T+V)=2mR2Ω2sinθcosθθ˙=dtd(mR2Ω2sin2θ)=dtd(2T0).
拘束が時間によるので、輪の力は仮想仕事はしないが実際の運動には仕事をし、そのため T+V は保存しない(例題 1.2.5 と同じ事情)。上の式を移項すると dtd(T+V−2T0)=0、すなわち
T2−T0+V=2mR2θ˙2−2mR2Ω2sin2θ−mgRcosθ
が保存する。これは θ˙ の2次の項に、「有効な位置エネルギー」V−T0 を足した形で、(5) の平衡点はこの有効な位置エネルギーの停留点、安定な平衡点はその極小点である。極小点のまわりでは保存量の等高線が閉じるので、線形化に頼らずに安定性が言える。時間による拘束でも T2−T0+V のような保存量が見つかる理由は、L が時刻を直接含まないことにあり、第1部第10章の Noether の定理(時間の並進)で扱う。