解答
(1) ばねは壁と原子1の間から原子 N−1 と N の間までの N 本で、
L=j=1∑N21mu˙j2−j=0∑N−121K(uj+1−uj)2,u0≡0.
内部の原子 j=1,…,N−1 は両側にばねがあるので、第2節と同じく mu¨j=K(uj+1+uj−1−2uj)(j=1 では u0=0 を入れる)。原子 N は左のばねだけなので mu¨N=−K(uN−uN−1)。これは mu¨N=K(uN+1+uN−1−2uN) で uN+1=uN としたものに等しい。架空のばね (N,N+1) の伸び uN+1−uN が 0、つまり自由端では端の原子を右へ引く力が無い、という条件である。
(2) sin(jθ) は j=0 で 0 なので壁の条件を満たす。内部の方程式に入れると、第3節と同じ計算で sin((j+1)θ)+sin((j−1)θ)−2sin(jθ)=−4sin2(θ/2)sin(jθ) からmω2=4Ksin2(θ/2)。残る条件は (1) の uN+1=uN で、
sin((N+1)θ)−sin(Nθ)=2cos2(2N+1)θsin2θ=0.
sin(θ/2)=0 は全部の uj が 0 になるので除くと、cos((2N+1)θ/2)=0 から
θl=2N+1(2l−1)π,ωl=2mKsin2(2N+1)(2l−1)π(l=1,…,N).
l=N+1,… は θ が π を越え、l=1,…,N のどれかと同じ原子の運動になる(第3節の Brillouin 域と同じ理由)。
(3) N=2 の運動方程式は mu¨1=K(u2−2u1)、mu¨2=K(u1−u2) で、力の定数行列は K(2−1−11)。固有方程式 (2−λ)(1−λ)−1=λ2−3λ+1=0 から λ=(3∓5)/2=0.382, 2.618 で、mω2=λK。(2) の式では 4sin2(π/10)=2(1−cos(π/5))=(3−5)/2、4sin2(3π/10)=2(1−cos(3π/5))=(3+5)/2(cos(π/5)=(1+5)/4、cos(3π/5)=(1−5)/4)で一致する。
(4) K/m=Y/ρ/a=v/a、a=ℓ/(N+21) から、sin の引数 2(2N+1)(2l−1)π=4ℓ(2l−1)πa は N→∞ で 0 に近づき、
ωl=a2vsin4ℓ(2l−1)πa ⟶ 2ℓ(2l−1)πv.
弦の作用の変分は、第5節の計算で x についての部分積分の端の項を残して
δS=∫dt∫0ℓ(−ρ∂t2u+Y∂x2u)δudx−∫dt[Y∂xuδu]x=0x=ℓ.
左端では δu=0。右端の δu(ℓ,t) は任意なので、波動方程式に加えて ∂xu(ℓ,t)=0 が要る。これが自由端の自然境界条件で、(1) の uN+1=uN(隣との差が 0)の連続版である。u=sin(kx)cosωt は u(0)=0 を満たし、∂xu(ℓ)=kcos(kℓ)=0 から k=(2l−1)π/(2ℓ)、ω=vk=(2l−1)πv/(2ℓ) で、極限の ωl と一致する。自由端は最後の原子より半格子だけ外にあるとみなすのがよく、ℓ=(N+21)a と取ったのはそのためである。
(5) N=8 では 2N+1=17。ωl と弦の値 (2l−1)πv/(2ℓ) の比は、xl=(2l−1)π/17 として sin(xl/2)/(xl/2) である。l=1 で x1=0.1848、比は 0.99858。l=8 で x8=15π/17、比は 0.709。l=1 のずれ 1−0.99858=0.00142 は、式 (2.4.16) の (ka)2/24 に ka=x1 を入れた (π/17)2/24=0.00142 と一致する。いちばん長い波長のモードは原子8個でも弦とほぼ同じだが、いちばん短いモードは弦の値の 7 割しかない。連続の極限が近似として使えるのは、波長が格子定数より十分長いモードに限られる(検算 scripts/verify_ch2-04.py)。