橋:半形式と Weyl 順序・停留位相の Maslov・スピンの代数
AI 生成・木下が未勉強
量子力学の様々な構成方法 第10部 第5章 §10.5.6 ★★★ 半形式つきの幾何学的量子化は、偏極を保つ2次以下の関数の上で Weyl 量子化と一致する。半形式の符号の反転は停留位相の焦点の位相 と WKB の接続の に、球面の整数条件は角運動量の代数の に当たる
この章の結果は、同値性の地図の橋「幾何学的量子化 ↔ 経路積分・WKB」(前量子化の整数条件=Bohr–Sommerfeld 条件、スピンの量子化=球面の整数条件)と、「幾何学的量子化 ↔ 表示の選択」のうち半形式補正の部分にあたる。計画の表の置き場は第10部の中盤で、ここで次の3つを示した。
Weyl 量子化との一致(両向き)
命題 10.5.7(半形式つきの量子化と Weyl 量子化 ★★★)
1自由度で、次が成り立つ。
- (i) (幾何学的量子化 → Weyl)鉛直の偏極を保つ 、正則偏極を保つ の半形式つきの演算子は、それぞれの表示での Weyl 量子化 に一致する。
- (ii) (Weyl → 幾何学的量子化)逆に、これらの関数の Weyl 量子化は、対応する偏極の半形式つきの切断の空間を保ち、その上で式 (10.5.2) の作用と一致する。
証明
(i) 鉛直の偏極では式 (10.5.3) が で、第10部第1章で示した と一致する。正則偏極では2節で示したとおり、1次の項は 、 のまま、 が になり、これは の Weyl 量子化である。(ii) Weyl 量子化 は位置表示の関数を位置表示の関数に送る1階の微分演算子で、(i) と同じ式なので作用が一致する。正則偏極の側も、 が正則関数を正則関数に送り、(i) と同じ式である。
偏極を保つ2次以下の関数については、零点や Weyl 順序の を「順序の約束」として外から持ち込む必要がなく、半形式という幾何の構造から出てくる。第2部第2章の順序の曖昧さ(第2部第2章)への幾何学的量子化の答えは、この範囲では「Weyl 順序」である。2次を超える関数には偏極を保たないものが多く、そこでは第10部第6章の変形量子化と比べる(第10部第6章)。
経路積分・WKB・流体との対応
| 量 | 幾何学的量子化(この章) | ほかの部 |
| 前因子の大きさ | 半形式の対の絶対値 、 | Van Vleck の行列式(第3部第4章)、Madelung の振幅(第7部第2章) |
| 位相 | 半形式の平方根が転回点で枝を移る | 停留位相の焦点ごとの (第3部第4章) |
| 軌道の半形式のホロノミー | WKB の接続公式の と定在波の整合(第7部第2章) | |
| 零点 | 正則偏極の半形式補正 | Weyl 順序(第5部)、Mehler 核と虚時間(第3部) |
表の1行目について、第3部第4章で示した「Van Vleck の行列式の2乗が連続の式を満たす」ことは、半形式の対の絶対値の2乗が流れに沿って運ばれる密度であることと同じ内容である。WKB では振幅 を確率の流れの保存から決め(第7部第2章)、幾何学的量子化ではそれを半形式の対の大きさとして決めている。3行目の対応は命題 10.5.5 で示した。経路積分の閉じた軌道の和で束縛状態を出す方法(M. C. Gutzwiller の跡公式)でも、各軌道に Maslov 指数の位相が付き、1自由度では同じ条件 (10.5.9) に帰着する(第3部第4章)。
スピンの代数との対応
行列力学では、角運動量の交換関係と正値性から と を代数だけで出した(第2部第4章)。5節の球面の量子化はその表現を、 が微分演算子として働く関数の空間として具体的に作った。2つの対応は次のとおりである。
- は、行列力学では最高と最低の状態がそろう条件、幾何学的量子化では線束の整数条件(南極で切断が滑らか)である。
- 最高の状態 は定数関数 、最低の状態は にあたる。
- 第二量子化の Holstein–Primakoff 表示(第6部第4章)で部分空間が閉じるのに が整数であることが要る事情も、同じ整数条件の別の現れである。
例題 10.5.6 第10部の3段階で共通例題①を並べる ★★★
オリジナル第10部第3章(前量子化)・第4章(偏極)・この章(半形式つき)の3段階で、調和振動子の
- (1) スペクトルと各準位の縮退、
- (2) 分配関数 (収束するかどうかを含む)、
- (3) 実偏極(Bohr–Sommerfeld の葉)で数えた準位と正則偏極の準位の関係
をまとめ、正答(補足の表)と一致するのはどの段階かを答えよ。
解答
(1) 前量子化:(負の値も含む)、各準位が無限に縮退(第10部第3章)。偏極:()、縮退なし(第10部第4章)。半形式つき:、縮退なし(命題 10.5.3)。
(2) 前量子化:負の準位が無限にあり各準位の縮退も無限なので、 は発散する。偏極: で、正答の 倍。半形式つき: で正答と一致する。
(3) 前量子化の葉の条件は (第10部第3章の例題)で、偏極した正則な空間の とそろう。半形式つきでは葉の条件が (式 (10.5.9))で、正則偏極の とそろう。どの段階でも実偏極と正則偏極は同じ準位を与え、正答に一致するのは半形式つきの段階だけである。平均の占有数 は、偏極と半形式つきの2段階で正答に一致する。
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