tecktom.com

何を削ったか

2026年10月15日12分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第4部 第9章 MOS 構造とトランジスタの原理

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第4部 第9章 §4.9.5 ★★ 有効質量のバンド・平均の場の静電ポテンシャル・空乏近似・緩やかなチャネル・一定の移動度の5つを使った。三角形の井戸の量子化は、局所の Boltzmann 因子の近似を反転層で直したもので、しきい値を数十 mV ずらす

この章の計算は、選んだ H^\hat H (4.9.1) と Poisson 方程式 (4.9.2) の自己無撞着の問題を、さらにいくつかの近似で簡単にしたものである。削ったものを順に並べる。

有効質量のバンド。式 (4.9.1) は、結晶の周期ポテンシャルを伝導帯の底の放物線に置き換え、外のポテンシャルが格子間隔よりゆっくり変わるとした。空乏層の電位(0.1 μm0.1\,\mathrm{\mu m} の長さで変わる)はこの前提を満たすが、反転層の三角形の井戸の幅(⟨x⟩1=2 nm\langle x \rangle _1=2\,\mathrm{nm})は Si の格子定数 0.543 nm0.543\,\mathrm{nm} の4倍ほどしかない。しかも x=0x=0 の酸化膜との境目は原子1層の幅で変わる急な壁で、ゆっくり変わる外場ではない。サブバンドの準位の値は、谷の質量と壁の条件 ζ(0)=0\zeta(0)=0 を通してこの近似に依存する。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 格子定数と外のポテンシャルの変化の長さの比 a/ℓ→0a/\ell\to0(注目するバンドがほかのバンドからギャップで離れている) | 証明 条件付き(ゆっくり変わる外場については、孤立したバンドの有効な運動を Panati, Spohn, Teufel(2003)、Communications in Mathematical Physics 242、547 が示している。酸化膜との急な界面は前提の外で、界面の扱いは要確認) | 行き先 近似の数理 第9章・近似の数理 第12章

平均の場の静電ポテンシャル。式 (4.9.2) は、電子・正孔・イオンの電荷を連続な密度に均し、電子が感じるポテンシャルをその平均で決めた(Hartree の近似)。削ったのは、電子どうしの交換と相関、そして個々のアクセプターの位置で揺らぐ電位である。例題 4.9.1 で見たとおり、λD\lambda_{\mathrm D} の立方体にはアクセプターが1個も入らないことが多い。ゲートの寸法がアクセプターの間隔に近づくと、ゲートの下に入るアクセプターの数が素子ごとに揺らぎ、しきい値電圧がばらつく。この揺らぎは、均した電荷の式 (4.9.10) の外にある。また、式 (4.9.3) は局所の電位で決まる Boltzmann 因子を使ったので、電子が縮退する強い反転(例題 4.9.7 の μ−ε1=13.6 meV\mu-\varepsilon _1=13.6\,\mathrm{meV} は kBTk_{\mathrm B} T と同じ程度)や、電位の変化が電子の波長より速い反転層の中では、そのままでは使うことができない。反転層の中を正しく扱うには、4.9.4節の Schrödinger 方程式と Poisson 方程式を連立させて解く。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの Debye の長さに入る電荷の数 NAλD3→∞N_{\mathrm A}\lambda_{\mathrm D}^3\to\infty(平均の場の極限)と、電位の変化の長さに対する電子の波長の比 →0\to0(局所の Boltzmann 因子) | 証明 要確認(多体の Coulomb 系から Hartree の方程式が出ることは、フェルミオンの平均場極限の結果があるが、ドープした半導体の Poisson–Boltzmann 方程式の形での前提は確かめていない。例題 4.9.1 の Si では NAλD3=0.22N_{\mathrm A}\lambda_{\mathrm D}^3=0.22 で、小さいパラメータは小さくない) | 行き先 近似の数理 第6章・近似の数理 第13章

空乏近似。式 (4.9.9) は、空乏層の中の正孔を 00、外を中性と分け、その間の遷移の幅を 00 にした。厳密な第一積分 (4.9.7) と比べると、空乏の領域で∣Qs∣/∣Qs∣空乏近似≃1−kBT/(eϕs)\lvert Q_{\mathrm s}\rvert /\lvert Q_{\mathrm s}\rvert _{\text{空乏近似}}\simeq\sqrt{1- k_{\mathrm B} T/(e\phi_{\mathrm s})} で、誤差は kBT/(eϕs)k_{\mathrm B} T/(e\phi_{\mathrm s}) の大きさである(例題 4.9.8)。これは、小さいパラメータ λD/xd\lambda_{\mathrm D}/x_{\mathrm d} の前の微分方程式で、内側(空乏層)と外側(中性のバルク)の解を薄い遷移層でつなぐ構造で、境界層の問題と同じ形をしている。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの kBT/(eϕs)→0k_{\mathrm B} T/(e\phi_{\mathrm s})\to0(遷移の幅 λD\lambda_{\mathrm D} と空乏層の厚さ xdx_{\mathrm d} の比の2乗) | 証明 条件付き(ϕs\phi_{\mathrm s} が kBT/ek_{\mathrm B} T/e より十分大きく、反転の電子が無視できること。第一積分 (4.9.7) が明示的なので誤差は直接計算でき、相対誤差は kBT/(2eϕs)k_{\mathrm B} T/(2e\phi_{\mathrm s}) の大きさ。例題 4.9.8) | 行き先 近似の数理 第7章

緩やかなチャネルと一定の移動度。式 (4.9.11) は、2次元の Poisson 方程式(縦の xx とチャネルに沿った yy)を、各 yy での1次元の問題に分けた。yy 方向の電位の変化が xx 方向よりずっとゆっくりなら正しいが、ピンチオフの点の近くでは Qn→0Q_{\mathrm n}\to0 で電位が yy 方向に急に変わり、前提が破れる。飽和の先で電流が一定とした議論は、この破れた所を空乏層として別に扱ったものである。実際の素子では、ピンチオフの点が VDV_{\mathrm D} とともにソースへ寄ってチャネルが短くなり、飽和の電流が少し増える(チャネル長の変調)。電流の式では、移動度 μe\mu_{\mathrm e} を電場によらない定数とした(第4部第2章の緩和時間近似)。チャネルに沿った電場が強いと電子の速さは飽和し、表面に垂直な強い電場は界面での散乱を増やして移動度を下げる。

近似の裏付け

型 B(極限) | 小さいもの 酸化膜と空乏層の厚さとゲートの長さの比 xd,max/L→0x_{\mathrm{d,max}}/L\to0(緩やかなチャネル) | 証明 要確認(ピンチオフの点の近くで前提が破れる。2次元の Poisson 方程式から1次元の問題への還元の誤差の評価は確かめていない) | 行き先 近似の数理 第7章

近似の裏付け

型 C(閉じる) | 小さいもの 電子の運動を移動度 μe\mu_{\mathrm e} が一定のドリフトと拡散で閉じる(小さいパラメータなし) | 証明 C 型=内部の評価なし | 行き先 近似の数理 第8章

量子化によるしきい値のずれ。4.9.2節のしきい値は、表面の伝導帯の底で電子の数が NAN_{\mathrm A} になる条件から決めた。三角形の井戸に閉じ込められた電子は、伝導帯の底より ε1\varepsilon _1 だけ上にしか入れないので、同じ数の電子を集めるにはバンドを ε1/e\varepsilon _1/e ほど余計に曲げる必要がある。これは局所の Boltzmann 因子の近似を反転層で直したときに出る差である(例題 4.9.9)。

例題 4.9.8 空乏近似の誤差 ★★

オリジナル空乏の領域(1≪us1\ll u_{\mathrm s}、電子の項は無視できる)で、厳密な電荷と空乏近似の電荷の比が (e−us+us−1)/us\sqrt{(\mathrm{e}^{-u_{\mathrm s}}+u_{\mathrm s}-1)/u_{\mathrm s}} になることを示し、例題 4.9.1 の Si で ϕs=ϕB\phi_{\mathrm s}=\phi_{\mathrm B} のときの値を求めよ。比が 11 から 1%1\% 以内になるのは ϕs\phi_{\mathrm s} がいくら以上のときか。

解答

電子の項を落とすと、式 (4.9.8) は ∣Qs∣=2ε0εrskBTp0e−us+us−1\lvert Q_{\mathrm s}\rvert =\sqrt{2\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm{rs}} k_{\mathrm B} Tp_0}\sqrt{\mathrm{e}^{-u_{\mathrm s}}+u_{\mathrm s}-1} である。空乏近似は2ε0εrseNAϕs=2ε0εrskBTNAus\sqrt{2\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm{rs}}eN_{\mathrm A}\phi_{\mathrm s}}=\sqrt{2\varepsilon_0\varepsilon_{\mathrm{rs}} k_{\mathrm B} TN_{\mathrm A}}\sqrt{u_{\mathrm s}} で、p0=NAp_0=N_{\mathrm A} とすれば比は (e−us+us−1)/us\sqrt{(\mathrm{e}^{-u_{\mathrm s}}+u_{\mathrm s}-1)/u_{\mathrm s}} になる。

ϕs=ϕB=0.417 V\phi_{\mathrm s}=\phi_{\mathrm B}=0.417\,\mathrm V では us=16.12u_{\mathrm s}=16.12 で、比は 15.12/16.12=0.968\sqrt{15.12/16.12}=0.968 である。空乏近似は 3%3\% 大きく見積もる。us≫1u_{\mathrm s}\gg1 で比は 1−1/us≃1−1/(2us)\sqrt{1-1/u_{\mathrm s}}\simeq1-1/(2u_{\mathrm s}) なので、1%1\% 以内には us≥50u_{\mathrm s}\ge50、すなわち ϕs≥50×0.02585=1.29 V\phi_{\mathrm s}\ge50\times0.02585=1.29\,\mathrm V が要る。しかしそれより前に 2ϕB=0.833 V2\phi_{\mathrm B}=0.833\,\mathrm V で反転が始まり、電子の電荷が −1-1 を埋め合わせる(4.9.2節)。空乏近似が反転の始まりで厳密な値に一致するのは、2つの誤差が打ち消し合うからである。

例題 4.9.9 量子化でしきい値はどれだけずれるか ★

オリジナル例題 4.9.6 の ε1=51.6 meV\varepsilon _1=51.6\,\mathrm{meV} を使う。反転の条件を「三角形の井戸のいちばん下の準位 ε1\varepsilon _1 を基準にして、表面の電子の数が NAN_{\mathrm A} になる」と読み替えると、表面の電位はおよそ 2ϕB+ε1/e2\phi_{\mathrm B}+\varepsilon _1/e になる。このときしきい値電圧はどれだけずれるか。η\eta は例題 4.9.5 の値を使え。

解答

表面の電位を Δϕs=ε1/e=0.0516 V\Delta\phi_{\mathrm s}=\varepsilon _1/e=0.0516\,\mathrm V だけ余計に上げると、空乏層の電荷も増え、式 (4.9.15) によりゲートの電圧は η\eta 倍だけ多く要る。したがって ΔVth≃η ε1/e=1.289×0.0516=0.0665 V\Delta V_{\mathrm{th}}\simeq\eta\,\varepsilon _1/e=1.289\times0.0516=0.0665\,\mathrm V で、しきい値は 67 mV67\,\mathrm{mV} ほど上がる。

ε1\varepsilon _1 は Es2/3E_{\mathrm s}^{2/3} に比例するので、アクセプターを増やして表面の電場を強くすると、このずれは大きくなる。VthV_{\mathrm{th}} を数十 mV の精度で設計するには、局所の Boltzmann 因子の近似を外し、Schrödinger 方程式と Poisson 方程式を連立させる必要がある。

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ