この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第17章 §2.17.7 ★★★ 固有時の作用・座標によらない量・光で作る座標の3つで、地平面は因果の境界、特異点は 、軌道の特別な半径は と と読める
Schwarzschild 計量の で計量の成分が や無限大になるのは、座標 の選び方による。固有時の作用 (2.17.1) から出る保存量で落下を解くと、固有時は有限なのに座標時間は対数的に発散する。Kretschmann スカラー は で有限で、発散するのは だけである。内向きの光を目盛りにした Eddington–Finkelstein 座標では計量は で正則で、地平面の内側では光円錐が内側に倒れて、 が時間の役をする。地平面の内側にいられる固有時は を超えない。回転する Kerr 解では、出られなくなる面 の外に、静止できなくなる面 が分かれて現れ、その間のエルゴ領域では回転の向きに回るしかない。
両方の光を目盛りにした Kruskal 座標では、時空全体が4つの領域の1枚の図になり、時刻の並進はブーストになる。 で縮めた Penrose 図では、地平面が「 に届く世界線を持つ点の境界」として見え、特異点は未来の時刻を表す水平な線になる。地平面の近くは表面重力 を加速度とする Rindler 時空と一致する。
軌道では、第2部第16章の有効ポテンシャルの の項が、小さい で遠心力による斥力を上回る。光の円軌道(光子球)は 、安定な円軌道は より外にしか無く、影の半径は である。M87 の観測された環の大きさはこの値と合う。
表面重力 と地平面の面積は、第2部第19章でブラックホール力学の4法則に現れる。地平面の近くが Rindler 時空であることは、第5部第12章で、加速する観測者が真空を温度 の熱浴として見る Unruh 効果を経て、Hawking 温度 を導くときに使う。Kruskal 図の I と III の2つの外部と、そこにまたがる状態は、相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第7部第2章でブラックホールの情報問題を扱うときに使う(地平面をまたぐ真空をモードの対の熱場二重状態として書く)。
この章の道具
- 選ぶ :、保存量 、。動径の式 。
- 座標によらない量:。地平面の潮汐 。
- 光で作る座標:、。。
- Kruskal:、、。
- Kerr:地平面 、エルゴ面 。
- 特別な半径:光子球 、最内安定円軌道 ()、影 。
- 地平面の近く:Rindler 時空、加速度 。
総合問題 遠方から落ちる観測者が送る光 ★★★
オリジナル質量 の Schwarzschild ブラックホールに、遠方で静止していた観測者 A がまっすぐ落ちていく。A は自分の固有時で一定の振動数 の光を外向きに送り続け、遠方に静止した観測者 B がそれを受け取る。
- (1) (使う道具:第2部第12章・2.17.1節)Killing ベクトルの保存量から、A の と を で表せ。
- (2) (使う道具:2.17.1節)A が から まで落ちる固有時と、 から まで落ちる固有時を、 について数値で求めよ。
- (3) (使う道具:2.17.3節)A の世界線に沿って Eddington–Finkelstein の時刻 の変化率 を求め、 で有限であることを示せ。
- (4) (使う道具:第2部第11章・2.17.2節)B が受け取る振動数と A が出した振動数の比 を、A が光を出した位置 の関数として求めよ。それが、静止した光源の重力赤方偏移と、遠ざかる光源の Doppler 効果の積になっていることを示し、 と での値を求めよ。
- (5) (使う道具:2.17.6節)(4) で使った「遠ざかる速さ」は、位置 に静止した観測者が測る A の速さである。それが で、Newton の自由落下の速さ と同じ式であることを示せ。
解答
(1) 遠方で静止していたので 、まっすぐ落ちるので 。(2.17.3) から 、(2.17.4) から ((2.17.5))。
(2) (2.17.6) で、、 である。:。:。後者は例題 2.17.3 の上限 より短く、遠方から落ちてきた A は地平面を速さを持って横切るぶん、内側で過ごす時間が短い。
(3) を で微分すると 。 で約分すると
で、 で と有限である。 では発散した A の世界線が、 では地平面を有限の値で横切る。
(4) 外向きの光の波数 の時間成分 は、Killing ベクトル の保存量なので光線に沿って一定で、遠方の B が測る振動数は である。外向きの光の条件 から ( の成分で書いた)。A が測る振動数は ()なので、(1) を入れて
静止した光源の重力赤方偏移は 第2部第11章のとおり 、速さ で遠ざかる光源の Doppler 因子は で、 とすると
と一致する。 で 、 で 。地平面に近づくと比は に向かい、B に届く光は限りなく赤くなる。例題 2.17.5 の指数関数的な引き延ばしと合わせると、B が見る A は赤く暗くなりながら地平面の手前で止まって見える。
(5) 位置 に静止した観測者の正規直交系では、時間の目盛りが 、動径の目盛りが なので、その観測者が測る A の速さは
は、Newton 力学で無限遠から静止状態で落ちた物体の速さ(脱出速度)と同じ式で、 で に達する。ただし には静止した観測者がいられない(固有加速度が発散する)ので、「地平面で光速に達する」は静止観測者の極限としての言い方である。
木下の勉強ステータス
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