この章のまとめ
AI 生成・木下が未勉強
解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第2部 第19章 §2.19.7 ★★★ Kerr 解の から が決まり、Noether の保存量と面積定理が熱力学と同じ形の4法則を与える
この章では、定常なブラックホールを Kerr 解 (2.19.1) として選び、その地平面に付随する3つの量、面積 (式 (2.19.4))、角速度 (式 (2.19.6))、表面重力 (式 (2.19.11))を求めた。表面重力は、地平面の Killing ベクトルの「加速度」として幾何で定義され、Schwarzschild では地平面のすぐ外で物を支える力を遠方で測った値になり、地平面の近くの計量を Rindler の形にしたときの加速度でもある。
4法則のうち第零法則は Kerr では が によらないことで直接確かめられ、一般には優勢エネルギー条件のもとで成り立つ。第一法則は、質量を面積と角運動量の関数 (Christodoulou の式)として書けば、その偏微分として出てくる。試験粒子を落とす過程では、Killing ベクトルに Noether を当てた保存量 、 と、粒子が地平面を越える条件 から、面積が減らないことが分かる。これを一般の過程に広げたのが Hawking の面積定理(第二法則)で、そこから Penrose 過程で取り出せる回転のエネルギーの上限 と、合体で放射できるエネルギーの上限が出る。第三法則は前提に敏感で、他の3つより弱い。
熱力学と並べると 、 の対応になるが、古典論では比例係数が決まらない。 を入れた Hawking の計算が を与え、 が決まる。この先は第5部第12章(Hawking 放射)と相対エントロピーから情報と物理を組み立てる 第7部第1章(一般化第二法則と情報)へ続く。
要点
- Kerr 解は で決まり、、、、。
- 第一法則 は の全微分、Smarr の公式は の 次の同次性。
- 粒子が地平面を越える条件 が と同じ。取り出せる回転のエネルギーは まで。
- を入れると 、。
総合問題 スピン 0.6 のブラックホールの4法則を一通り使う ★★★
オリジナル質量 、スピン ()の Kerr ブラックホールを考える。答えは を単位にしてよい。
- (1) 、地平面の面積 、地平面の角速度 を求めよ。(使う道具:2.19.1節)
- (2) 赤道面と極で、静止した観測者がいられる最小の半径を求めよ。その理由を と固有時の関係で述べよ。(使う道具:2.19.1節/第2部第11章の重力による時計の遅れ)
- (3) 表面重力 を求め、同じ質量の Schwarzschild の値との比を答えよ。 のとき、Hawking 温度 はいくらか(同じ質量の Schwarzschild では )。(使う道具:2.19.2節・2.19.5節)
- (4) エネルギー 、角運動量 の試験粒子を落とす。この粒子が地平面を越えられることを確かめ、第一法則から を求めよ。厳密に計算し直した値と比べよ。(使う道具:2.19.3節/第2部第12章の Killing ベクトルの保存量)
- (5) Penrose 過程で取り出しうる回転のエネルギーの上限を の割合で求めよ。また Smarr の公式の2項をそれぞれ求めよ。(使う道具:2.19.4節・2.19.6節)
- (6) (4) の過程でブラックホールのエントロピー がどれだけ増えるかを、 を使って で求めよ。(使う道具:2.19.5節/第3部第4章の )
解答
(1) なので 、。(Schwarzschild の の 0.9 倍)。 から 。
(2) 静止した観測者の固有時は なので、 の所にしかいられない。 のエルゴ面は式 (2.19.5) で、赤道()では 、極()では 。静止できる最小の半径は赤道で (その内側は地平面の外でもエルゴ領域)、極で地平面 である。
(3) 式 (2.19.11) から 。Schwarzschild の との比は 。 は に比例するので 。回転すると同じ質量でも冷たくなる。
(4) なので、条件 (2.19.20) を満たし、地平面を越えられる。第一法則 (2.19.19) から
新しい質量 、角運動量 ()の Kerr 解で面積を計算し直すと で、2% の違いがある。 が の6分の1しかない(大きな2つの量の差)ので、 の大きさの2次の項が相対的に目立つ。新しいスピンは で、地平面は残る。
(5) 式 (2.19.22) から で、上限は 、つまり の 5.1%。Smarr の公式の2項は 、 で、和は 。
(6) と 、 から
このブラックホールのエントロピーは なので、相対変化は で (4) の と一致する。 が に比例するので当然の一致で、第一法則を と読むと、粒子が持ち込んだエネルギーのうち、回転の仕事 に回らなかった分が「熱」としてエントロピーを増やしている。
木下の勉強ステータス
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