tecktom.com

この章のまとめ

2026年10月15日9分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第5部 第3章 磁性 II:Heisenberg 模型・Weiss 平均場・スピン波

AI 生成・木下が未勉強

ハミルトニアンの選び方で固体を考える 第5部 第3章 §5.3.7 ★★★ Heisenberg 模型に平均場を当てると転移温度と帯磁率の全体の形が、スピン波を当てると低温の正確な形が出る。削ったのは軌道・異方性・遍歴性・相関・マグノンの相互作用で、帯磁率・中性子・低温の磁化で確かめる

この章では、第5部第2章で出した交換相互作用を受けて、格子点ごとのスピン SS と隣どうしの J Si⋅SjJ\,\bm{S}_i\cdot\bm{S}_j だけを残した Heisenberg 模型 (5.3.1) を選んだ。全スピンが保存するので、強磁性の基底状態はすべてのスピンがそろった状態として厳密に分かるが、反強磁性の Néel 状態はスピンの交換の項のために固有状態でなく、その差は 1/S1/S の大きさである。

1つめの道具の Weiss の平均場は、ほかのスピンを平均値で置き換えて、1個のスピンが分子場の中で Brillouin 関数に従う自己無撞着方程式 (5.3.7) を与えた。そこから強磁性の kBTc=z∣J∣S(S+1)/3k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}=z\lvert J\rvert S(S+1)/3 と Curie–Weiss の法則、副格子を2つ用意して反強磁性の TNT_{\mathrm N} と C/(T+θ)C/(T+\theta)、秩序の下の χ⊥\chi_\perp(一定)と χ∥\chi_\parallel(0 へ落ちる)が出た。2つめの道具のスピン波は、そろった状態からのずれを Bose 粒子で数え、強磁性で ℏω∝k2\hbar\omega\propto k^2、反強磁性で ℏω∝k\hbar\omega\propto k のマグノンを与えた。強磁性の磁化は Bloch の T3/2T^{3/2} 則で減り、平均場の指数関数的な減りより桁違いに大きい。2次元では熱のマグノンの数が発散して有限温度の秩序が消え(Mermin–Wagner の定理)、反強磁性では T=0T=0 でも零点の揺らぎが副格子の磁化を縮める。

削ったものは、軌道・異方性・遍歴性(模型そのもの)、隣どうしの相関(平均場)、マグノンどうしの相互作用(線形スピン波)で、平均場とスピン波はどちらも B 型の極限として条件付きの裏付けがある。次の第5部第4章では、引力で結ばれた電子の対に同じ平均場の考え方を当てて、超伝導の BCS 理論を作る。

総合問題 半分詰まった Hubbard 模型から反強磁性体の目安まで ★★★

オリジナル単純立方格子(格子定数 a=0.4 nma=0.4\,\mathrm{nm})の各原子に軌道が1つずつあり、電子が原子1個あたり1個(半分詰め)入っている。隣への飛び移りを t=0.25 eVt=0.25\,\mathrm{eV}、同じ原子の上の2電子の反発を U=5 eVU=5\,\mathrm{eV} とする。

  1. (1) 原子2個・電子2個の Hubbard 模型の交換相互作用 JJ について、第5部第2章の厳密な式で V=K=0V=K=0 と置いた J=−U/2+U2/4+4t2J=-U/2+\sqrt{U^2/4+4t^2} と、第1部第1章の J=4t2/UJ=4t^2/U を、この tt と UU で求めて比べよ。(使う道具:第5部第2章の2サイトの厳密な JJ・第1部第1章の Heisenberg 模型)
  2. (2) (1) の JJ を使い、S=1/2S=1/2 の Heisenberg 模型の平均場で TNT_{\mathrm N} と θ\theta を求めよ。また T<TNT<T_{\mathrm N} の χ⊥\chi_\perp を 1 mol あたりで求めよ。(使う道具:5.3.3節)
  3. (3) 反強磁性のマグノンの、小さい kk での速さ vv と、マグノンの帯の上端のエネルギーを求めよ。(使う道具:5.3.4節の式 (5.3.23))
  4. (4) 零点の揺らぎで縮んだ副格子の磁化を求めよ。同じ物質が層状で、層の中の正方格子の結合だけが残ったとすると、T=0T=0 と T>0T>0 でそれぞれ何が言えるか。(使う道具:5.3.4節の例題 5.3.5)
  5. (5) スピンの zz 成分どうしだけを結合した Ising 型 J∑SizSjzJ\sum S_i^zS_j^z に替えると、平均場の TNT_{\mathrm N} は変わるか。解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部第7章の s=±1s=\pm1 の Ising 模型の Weiss の結果と比べ、平均場では区別できない Heisenberg 型と Ising 型の違いが、どの量に現れるかを述べよ。(使う道具:解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部第7章・5.3.2節・5.3.4節)
解答

(1) 原子2個・電子2個の Hubbard 模型は第1部第1章の総合問題で厳密に解き、t≪Ut\ll U で一重項と三重項の差が J=4t2/UJ=4t^2/U になることを示した。第5部第2章はこれに隣の原子との Coulomb の項 VV・KK を足した厳密な形を与えたので、そこで V=K=0V=K=0 と置けば厳密な J=−U/2+U2/4+4t2J=-U/2+\sqrt{U^2/4+4t^2} が得られる。t=0.25 eVt=0.25\,\mathrm{eV}、U=5 eVU=5\,\mathrm{eV} では 4t2=0.25 eV24t^2=0.25\,\mathrm{eV^2} で、厳密な値は J=−2.5 eV+6.5 eV=49.5 meVJ=-2.5\,\mathrm{eV}+\sqrt{6.5}\,\mathrm{eV}=49.5\,\mathrm{meV}、近似の値は J=4t2/U=4×0.0625/5 eV=50 meVJ=4t^2/U=4\times0.0625/5\,\mathrm{eV}=50\,\mathrm{meV} である。両者の差は 1%1\% で、t/U=0.05t/U=0.05 が十分小さいので2次の摂動がよく合う。以下の小問では J=50 meVJ=50\,\mathrm{meV} を使う。この 1%1\% の差は、平均場が揺らぎを捨てることによる誤差((2) の末尾)よりずっと小さい。

(2) 式 (5.3.15) から kBTN=zJS(S+1)/3=6×50×34/3 meV=75 meVk_{\mathrm B} T_{\mathrm N}=zJS(S+1)/3=6\times50\times\frac34/3\,\mathrm{meV}=75\,\mathrm{meV} で、TN=θ=870 KT_{\mathrm N}=\theta=870\,\mathrm K。式 (5.3.17) を1 mol あたりにして χ⊥=μ0NAg2μB2/(2zJ)=2.71×10−9 m3 mol−1\chi_\perp=\mu_0N_{\mathrm A}g^2\mu_{\mathrm B}^2/(2zJ)=2.71\times10^{-9}\,\mathrm{m^3\,mol^{-1}}。平均場は揺らぎを捨てるので、実際の TNT_{\mathrm N} はこれより低い。

(3) 小さい kk で ℏω≈23 JSka\hbar\omega\approx2\sqrt3\,JSka なので ℏv=23 JSa=2×1.732×50×0.5×0.4 meV nm=34.6 meV nm\hbar v=2\sqrt3\,JSa=2\times1.732\times50\times0.5\times0.4\,\mathrm{meV\,nm}=34.6\,\mathrm{meV\,nm}、v=ℏv/ℏ=5.26×104 m s−1v=\hbar v/\hbar=5.26\times10^4\,\mathrm{m\,s^{-1}} で、固体の音速の約10倍である。帯の上端は γk=0\gamma_{\bm{k}}=0 の面で ℏω=zJS=0.15 eV\hbar\omega=zJS=0.15\,\mathrm{eV} になる。

(4) 単純立方では ΔS=0.078\Delta S=0.078 で、副格子の磁化は ⟨Sz⟩=0.422\langle S^z \rangle =0.422(完全な値の 84%)。中性子の磁気の Bragg 反射の強さはこの2乗に比例する。層の中の正方格子だけなら、T=0T=0 では ΔS=0.197\Delta S=0.197 で秩序は残り(0.303)、T>0T>0 では熱のマグノンの数が ∫d2k kBT/(ℏvk)2\int\mathrm{d}^2k\, k_{\mathrm B} T/(\hbar vk)^2 の形で対数発散するので、Mermin–Wagner の定理のとおり秩序は消える。実際の層状の物質では、層の間のわずかな結合や異方性がこの発散を止め、物質は有限の TNT_{\mathrm N} を持つ。

(5) 平均場の1次の式に入るのは ⟨(Sz)2⟩=S(S+1)/3\langle (S^z)^2 \rangle =S(S+1)/3 だけで、これは Ising 型でも Heisenberg 型でも同じなので、平均場の TNT_{\mathrm N} は変わらない。S=1/2S=1/2 では S(S+1)/3=S2=1/4S(S+1)/3=S^2=1/4 なので、s=±1s=\pm1 の Ising 模型 JI∑sisjJ_{\mathrm I}\sum s_is_j に JI=J/4J_{\mathrm I}=J/4 と対応させると、解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第3部第7章の kBTc=zJI=zJ/4k_{\mathrm B} T_{\mathrm c}=zJ_{\mathrm I}=zJ/4 と一致する。違いは平均場が捨てた揺らぎに現れる。Ising 型ではスピンを倒すのに有限のエネルギーがかかり、マグノンにギャップがあるので、2次元でも有限温度の秩序がある(正方格子の Onsager の解)。Heisenberg 型では k→0k\to0 でエネルギーが 0 に下がるマグノンがあり、低温の磁化は T3/2T^{3/2}(3次元の強磁性)で減り、2次元では有限温度の秩序が無い。

ほかの巻では

木下の勉強ステータス

木下はまだこの記事を勉強していません。

AI(Claude)が書いた教材を、木下が勉強しながら公開しています。式と数値は検算していますが、誤りが残っているかもしれません。誤りのご指摘・削除のご依頼をいただければ直します。 連絡先:support@tecktom.com

← AI生成教科書『虎の巻』の記事一覧へ