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この章のまとめ

2026年10月15日11分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第20章 Einstein の A・B 係数

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第20章 §20.7 ★★★ 熱平衡が係数の比を、行列要素が係数の大きさを決め、断面積に読み替えると吸収と利得が同じ式で書かれる。総合問題は共鳴の光で照らした原子の飽和

要点

  • 光を u(ω)u(\omega)、原子を占有数 N1N_1, N2N_2 で書くと、吸収 B12uB_{12}u・誘導放出 B21uB_{21}u・自然放出 A21A_{21} の3つの速さで式 (20.2) が閉じる。
  • 熱平衡の詳細つり合いを Boltzmann 分布と Planck の式に合わせると g1B12=g2B21g_1B_{12}=g_2B_{21}, A21=ℏω03π2c3B21A_{21}=\frac{\hbar\omega_0^3}{\pi^2c^3}B_{21}(命題 20.1)。誘導放出を落とすと Wien の式しか出ない。
  • 広がった光の確率を足すと W=π∣d⋅e∣2u/(ε0ℏ2)W=\pi\lvert \bm{d}\cdot\bm{e}\rvert ^2u/(\varepsilon_0\hbar^2)、向きと縮退の平均で B12=πS12/(3ε0ℏ2g1)B_{12}=\pi S_{12}/(3\varepsilon_0\hbar^2g_1), A21=ω03S12/(3πε0ℏc3g2)=3(g1/g2)f12γclA_{21}=\omega_0^3S_{12}/(3\pi\varepsilon_0\hbar c^3g_2)=3(g_1/g_2)f_{12}\gamma_{\mathrm{cl}}。
  • 断面積は σ21=λ24A21S(ω)\sigma_{21}=\frac{\lambda^2}{4}A_{21}\mathcal S(\omega)、自然幅の共鳴で λ2/(2π)\lambda^2/(2\pi)(向きのそろった直線偏光で 3λ2/(2π)3\lambda^2/(2\pi))。吸収係数 αabs=g2σ21(N1/g1−N2/g2)\alpha_{\mathrm{abs}}=g_2\sigma_{21}(N_1/g_1-N_2/g_2) は反転分布で負になる。
  • 放射率/吸収係数=黒体の放射輝度(Kirchhoff の法則)。積分した吸収と寿命の比較が係数の関係の実験による確認になる。

この章は、第18章と第19章のコヒーレントな2準位の言葉と、第21章以降のレーザーの速さの言葉の間をつないだ。Einstein の議論は原子の中身を何も使わずに係数の比を決め、行列要素の計算では、その比を確かめたうえで係数の大きさが決まった。そして断面積への読み替えで、吸収・誘導放出・利得・Kirchhoff の法則が同じ A21S(ω)A_{21}\mathcal S(\omega) で書けた。第21章では、式 (20.21) の符号を変えるために準位を3つ・4つに増やし(第21章)、第22章でその利得を共振器の損失とつり合わせる(第22章)。第25章の散乱力は、この章の断面積と飽和の式を光子の運動量に掛けたものになる(第25章)。

総合問題 共鳴の光で照らした原子の飽和 ★★★

オリジナル波長 λ=780 nm\lambda=780\,\mathrm{nm}、自然放出の速さ A21=Γ=3.8×107 s−1A_{21}=\Gamma=3.8\times10^{7}\,\mathrm{s^{-1}} の遷移を持つ原子を、縮退の無い2準位(g1=g2=1g_1=g_2=1)として扱う。双極子の行列要素 deg\bm{d}_{eg} は1つの向きにそろい、光はその向きの直線偏光で、角周波数は ωL\omega_{\mathrm L}(離調 Δ=ωL−ω0\Delta=\omega_{\mathrm L}-\omega_0)、強度は II とする。上の準位は自然放出だけで減衰する。

  1. (1) (使う道具:20.2節・第1章の熱の光子数)等方的な放射に対する B21B_{21} を求めよ。室温 300 K300\,\mathrm K の熱放射が起こす誘導放出の速さは、自然放出の速さの何倍か。
  2. (2) (使う道具:20.3節・解析力学から様々な理論分野を組み立てる 第4部第12章)A21A_{21} から ∣deg∣\lvert \bm{d}_{eg}\rvert を求め、ea0ea_0 を単位にして答えよ。
  3. (3) (使う道具:20.4節)共鳴での吸収断面積を求めよ。原子が温度 300 K300\,\mathrm K の気体(質量 M=87 uM=87\,\mathrm u)で、Doppler 幅が自然幅よりはるかに広いとき、線の中心での断面積は何倍に小さくなるか。
  4. (4) (使う道具:20.1節・20.4節)静止した原子について、速さの方程式で定常の ρee=N2/N\rho_{ee}=N_2/N を W=σ12(ωL)I/(ℏωL)W=\sigma_{12}(\omega_{\mathrm L})I/(\hbar\omega_{\mathrm L}) で書け。共鳴で ρee\rho_{ee} が最大値 12\frac12 の半分になる強度(飽和強度)IsI_{\mathrm s} を求め、Is=πhcA21/(3λ3)I_{\mathrm s}=\pi hcA_{21}/(3\lambda^3) を示せ。
  5. (5) (使う道具:第18章・第19章の光 Bloch 方程式)回転座標で H^=−ℏΔ2σz−ℏΩ2σx\hat H=-\frac{\hbar\Delta}{2}\sigma_z-\frac{\hbar\Omega}{2}\sigma_x に自然放出の緩和を加えた方程式

dρeedt=Ω Im⁡ρeg−Γρee,dρegdt=(iΔ−Γ2)ρeg+iΩ2(1−2ρee)\frac{\mathrm{d} \rho_{ee}}{\mathrm{d} t}=\Omega\,\operatorname{Im}\rho_{eg}-\Gamma\rho_{ee},\qquad \frac{\mathrm{d} \rho_{eg}}{\mathrm{d} t}=\Bigl(\mathrm{i}\Delta-\frac\Gamma2\Bigr)\rho_{eg}+\frac{\mathrm{i}\Omega}{2}(1-2\rho_{ee})

の定常解の ρee\rho_{ee} を求め、(4) の速さの方程式の定常解とすべての Ω\Omega, Δ\Delta で一致することを示せ。そのとき W=Ω2/Γ⋅1/(1+4Δ2/Γ2)W=\Omega^2/\Gamma\cdot1/(1+4\Delta^2/\Gamma^2) と I/Is=2Ω2/Γ2I/I_{\mathrm s}=2\Omega^2/\Gamma^2 を使う。過渡の振る舞いはどう違うか。

解答

(1) ω0=2πc/λ=2.415×1015 s−1\omega_0=2\pi c/\lambda=2.415\times10^{15}\,\mathrm{s^{-1}} で、B21=π2c3A21/(ℏω03)=6.80×1021 m3 J−1 s−2B_{21}=\pi^2c^3A_{21}/(\hbar\omega_0^3)=6.80\times10^{21}\,\mathrm{m^3\,J^{-1}\,s^{-2}}。誘導放出/自然放出は nˉph=1/(eℏω0/kBT−1)=1.98×10−27\bar n_{\mathrm{ph}}=1/(\mathrm{e}^{\hbar\omega_0/ k_{\mathrm B} T}-1)=1.98\times10^{-27} 倍で、室温の熱放射は可視光に近いこの遷移にまったく寄与しない(第1章の熱の光子の議論と同じ)。

(2) 式 (20.13) で g2=1g_2=1, S12=∣deg∣2S_{12}=\lvert \bm{d}_{eg}\rvert ^2 として ∣deg∣2=3πε0ℏc3A21/ω03\lvert \bm{d}_{eg}\rvert ^2=3\pi\varepsilon_0\hbar c^3A_{21}/\omega_0^3、∣deg∣=2.98 ea0\lvert \bm{d}_{eg}\rvert =2.98\,ea_0 である。A21A_{21} は1つの双極子がすべての向きへ光を出す速さなので、双極子の向きはここでは平均されていない。

(3) 光の偏光が双極子の向きにそろっているので、∣deg⋅e∣2=∣deg∣2\lvert \bm{d}_{eg}\cdot\bm{e}\rvert ^2=\lvert \bm{d}_{eg}\rvert ^2 で、向きの平均の 13\frac13 が付かない。共鳴の断面積は式 (20.20) の3倍の σ0=3λ2/(2π)=2.90×10−13 m2\sigma_0=3\lambda^2/(2\pi)=2.90\times10^{-13}\,\mathrm{m^2} である。Doppler 幅は式 (20.18) から δωD/2π=511 MHz\delta\omega_{\mathrm D}/2\pi=511\,\mathrm{MHz} で、自然幅 Γ/2π=6.05 MHz\Gamma/2\pi=6.05\,\mathrm{MHz} の約 8585 倍である。断面積は S\mathcal S に比例し、線の中心ではSG(ω0)/SL(ω0)=πΓ2⋅2δωDln⁡2/π=0.0175\mathcal S_{\mathrm G}(\omega_0)/\mathcal S_{\mathrm L}(\omega_0)=\frac{\pi\Gamma}{2}\cdot\frac{2}{\delta\omega_{\mathrm D}}\sqrt{\ln2/\pi}=0.0175 倍、つまり 5.07×10−15 m25.07\times10^{-15}\,\mathrm{m^2} に小さくなる。線の面積は変わらないので、吸収の強さを広い周波数に配り直しただけである。

(4) g1=g2g_1=g_2 なので σ12=σ21\sigma_{12}=\sigma_{21} で、吸収と誘導放出の速さはどちらも WW である。式 (20.2) は dρeedt=W(1−ρee)−Wρee−Γρee\frac{\mathrm{d} \rho_{ee}}{\mathrm{d} t}=W(1-\rho_{ee})-W\rho_{ee}-\Gamma\rho_{ee} になり、定常解は

ρee=WΓ+2W=12 2W/Γ1+2W/Γ\rho_{ee}=\frac{W}{\Gamma+2W}=\frac12\,\frac{2W/\Gamma}{1+2W/\Gamma}

である。強度を上げると ρee→12\rho_{ee}\to\frac12 に近づき、それを超えない(2準位では反転分布を作れない。第21章)。ρee=14\rho_{ee}=\frac14 になるのは 2W/Γ=12W/\Gamma=1 のときで、共鳴の W=σ0I/(ℏω0)W=\sigma_0I/(\hbar\omega_0) から

Is=ℏω0Γ2σ0=ℏ(2πc/λ)A212⋅3λ2/(2π)=2π2ℏcA213λ3=πhcA213λ3=16.7 W m−2=1.67 mW cm−2I_{\mathrm s}=\frac{\hbar\omega_0\Gamma}{2\sigma_0}=\frac{\hbar(2\pi c/\lambda)A_{21}}{2\cdot3\lambda^2/(2\pi)}=\frac{2\pi^2\hbar cA_{21}}{3\lambda^3}=\frac{\pi hcA_{21}}{3\lambda^3}=16.7\,\mathrm{W\,m^{-2}}=1.67\,\mathrm{mW\,cm^{-2}}

を得る。

(5) 定常で dρegdt=0\frac{\mathrm{d} \rho_{eg}}{\mathrm{d} t}=0 から ρeg=−iΩ(1−2ρee)/2iΔ−Γ/2\rho_{eg}=-\frac{\mathrm{i}\Omega(1-2\rho_{ee})/2}{\mathrm{i}\Delta-\Gamma/2}、その虚部は Im⁡ρeg=Ω2(1−2ρee)Γ/2Δ2+Γ2/4\operatorname{Im}\rho_{eg}=\frac{\Omega}{2}(1-2\rho_{ee})\frac{\Gamma/2}{\Delta^2+\Gamma^2/4} である。これを ΩIm⁡ρeg=Γρee\Omega\operatorname{Im}\rho_{eg}=\Gamma\rho_{ee} に入れて解くと

ρee=Ω2/4Δ2+Γ2/4+Ω2/2.\rho_{ee}=\frac{\Omega^2/4}{\Delta^2+\Gamma^2/4+\Omega^2/2}.

一方、(4) の W/(Γ+2W)W/(\Gamma+2W) に W=Ω2Γ11+4Δ2/Γ2=Ω24ΓΔ2+Γ2/4W=\frac{\Omega^2}{\Gamma}\frac{1}{1+4\Delta^2/\Gamma^2}=\frac{\Omega^2}{4}\frac{\Gamma}{\Delta^2+\Gamma^2/4} を入れると、分子と分母に (Δ2+Γ2/4)/Γ(\Delta^2+\Gamma^2/4)/\Gamma を掛けて同じ式になる。2つの定常解はすべての Ω\Omega, Δ\Delta で一致する。この WW が (4) の断面積の式と同じであることは、σ12=σ0/(1+4Δ2/Γ2)\sigma_{12}=\sigma_0/(1+4\Delta^2/\Gamma^2), I=12cε0E02I=\frac12c\varepsilon_0E_0^2, Ω=∣deg∣E0/ℏ\Omega=\lvert \bm{d}_{eg}\rvert E_0/\hbar と (2) の ∣deg∣2\lvert \bm{d}_{eg}\rvert ^2 からσ0I/(ℏω0)=Ω2/Γ\sigma_0I/(\hbar\omega_0)=\Omega^2/\Gamma が出ることで確かめられる。同じく I/Is=2W0/Γ=2Ω2/Γ2I/I_{\mathrm s}=2W_0/\Gamma=2\Omega^2/\Gamma^2(W0W_0 は共鳴の WW)で、定常解はρee=12I/Is1+I/Is+4Δ2/Γ2\rho_{ee}=\frac12\frac{I/I_{\mathrm s}}{1+I/I_{\mathrm s}+4\Delta^2/\Gamma^2} と書ける。分母の I/IsI/I_{\mathrm s} のために、強い光では共鳴の幅が Γ1+I/Is\Gamma\sqrt{1+I/I_{\mathrm s}} に広がる(パワー広がり)。

過渡の振る舞いは違う。速さの方程式では ρee\rho_{ee} が時定数 1/(Γ+2W)1/(\Gamma+2W) で単調に定常値へ近づくのに対し、光 Bloch 方程式では、コヒーレンスが育つまでの立ち上がりが t2t^2 で遅れ、Ω≳Γ\Omega\gtrsim\Gamma のときは Rabi 振動で振れながら近づく(図 20.4)。定常の値だけを使う量(散乱される光子の数 Γρee\Gamma\rho_{ee}、第25章の散乱力)は速さの方程式で正しく計算でき、光を当て始めた直後の振る舞いは光 Bloch 方程式が要る。

木下の勉強ステータス

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