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この章のまとめ

2026年10月15日10分で読めますAI生成教科書『虎の巻』第25章 光の力

AI 生成・木下が未勉強

光学と量子エレクトロニクス 第25章 §25.7 ★★★ 光の力は位相の勾配による散乱力(吸収・α′′\alpha'')と振幅の勾配による双極子力(屈折・α′\alpha')の2つ。総合問題は 1064 nm1064\,\mathrm{nm} の光ピンセットに Rb 原子を1個捕まえ、深さ・周波数・加熱・観測の限界を出す

要点

  • 光の場を E=∣E∣eiφ\mathcal E=\lvert \mathcal E\rvert \mathrm{e}^{\mathrm{i}\varphi} と書くと、誘起された双極子に働く力は 14α′∇∣E∣2+12α′′∣E∣2∇φ\frac14\alpha'\nabla\lvert \mathcal E\rvert ^2+\frac12\alpha''\lvert \mathcal E\rvert ^2\nabla\varphi(式 (25.8))。原子1個の反跳は vrec=ℏk/mv_{\mathrm{rec}}=\hbar k/m。
  • 散乱力は ℏk Γρee=ℏkΓ2s01+s0+(2Δ/Γ)2\hbar\bm{k}\,\Gamma\rho_{ee}=\hbar\bm{k}\frac{\Gamma}{2}\frac{s_0}{1+s_0+(2\Delta/\Gamma)^2}(式 (25.15))。弱い光で σ0I/c\sigma_0I/c(σ0=3λ02/2π\sigma_0=3\lambda_0^2/2\pi)、強い光で ℏkΓ/2\hbar k\Gamma/2 に飽和する。動く原子では Δ→Δ−k⋅v\Delta\to\Delta-\bm{k}\cdot\bm{v}。
  • 双極子力のポテンシャルは (ℏΔ/2)ln⁡(1+s)(\hbar\Delta/2)\ln(1+s)(式 (25.19))、遠い離調で ℏΩ2/(4Δ)=−14α′∣E∣2\hbar\Omega^2/(4\Delta)=-\frac14\alpha'\lvert \mathcal E\rvert ^2(光シフト)。赤い離調で引き寄せ、青い離調で押し出す。
  • 散乱と深さの比は ℏΓsc/∣U∣=Γ/∣Δ∣\hbar\Gamma_{\mathrm{sc}}/\lvert U\rvert =\Gamma/\lvert \Delta\rvert で、原子は遠い離調の強い光で捕まえる。反共鳴の項は式 (25.22)。

この章で得た2つの力は、どちらも1つの分極率 α(ω)\alpha(\omega) の実部と虚部である。第11章で屈折率と吸収係数を決めたのと同じ2つの量が、原子1個の運動を決める。散乱力が原子の速さに依ることは、第26章(第26章)で Doppler 冷却と磁気光学トラップになる。双極子力のポテンシャルは、第27章(第27章)で定在波の光格子と原子1個ずつの光ピンセットになり、第28章(第28章)の光格子時計では、光シフトが基底状態と励起状態で等しくなる波長(魔法波長)を選んで時計の周波数をずらさない。この章で捨てた力のゆらぎ(自然放出の向きのでたらめさ)は、冷却で到達できる温度の下限として第26章で戻ってくる。

総合問題 光ピンセットに Rb 原子を1個捕まえる ★★★

オリジナル87{}^{87}Rb 原子(m=1.443×10−25 kgm=1.443\times10^{-25}\,\mathrm{kg})を、遷移の波長 λ0=780.24 nm\lambda_0=780.24\,\mathrm{nm}・Γ=2π×6.067 MHz\Gamma=2\pi\times6.067\,\mathrm{MHz} の2準位原子とみなす。波長 λL=1064 nm\lambda_{\mathrm L}=1064\,\mathrm{nm}・パワー P=5 mWP=5\,\mathrm{mW} の光を、ビーム半径 w0=0.8 μmw_0=0.8\,\mu\mathrm m に絞った焦点(中心の強度 I0=2P/(πw02)I_0=2P/(\pi w_0^2))に原子を1個捕まえる。

  1. (1) 1064 nm1064\,\mathrm{nm} と 780 nm780\,\mathrm{nm} の光子の反跳速度を求め、その比が波長の比で決まることを確かめよ。(使う道具:25.1節)
  2. (2) 焦点の中心の深さ U0U_0 を、反共鳴の項を残した式 (25.22) と回転波近似の両方で求め、U0/kBU_0/ k_{\mathrm B} と U0/hU_0/h で答えよ。(使う道具:25.4節・第1章 の2準位の分極率・第11章 の分極率と屈折率)
  3. (3) Rayleigh 長 zRz_{\mathrm R} と、動径・軸方向の捕獲の周波数を求めよ。(使う道具:25.5節の式 (25.23)・第4章 のガウスビーム)
  4. (4) 焦点の中心の散乱の速さ Γsc\Gamma_{\mathrm{sc}} と加熱の速さ 2ErecΓsc2E_{\mathrm{rec}}\Gamma_{\mathrm{sc}} を求め、原子が深さ ∣U0∣\lvert U_0\rvert まで温まる時間を見積もれ。その時間が PP と w0w_0 に依らないことを示せ。(使う道具:25.4節・25.5節)
  5. (5) 原子を写すために、共鳴の 780 nm780\,\mathrm{nm} の光(s0=1s_0=1)を1方向から当てる。散乱力で原子が深さ ∣U0∣\lvert U_0\rvert に相当する運動エネルギーを得るまでの光子の数と時間を見積もり、このあいだ Doppler のずれを無視してよいことを確かめよ。(使う道具:25.3節・第19章 の光 Bloch 方程式の定常解)
解答

(1) 780 nm780\,\mathrm{nm} では vrec=5.88 mm/sv_{\mathrm{rec}}=5.88\,\mathrm{mm/s}(例題 25.1)、1064 nm1064\,\mathrm{nm} では vrec=h/(mλL)=4.32 mm/sv_{\mathrm{rec}}=h/(m\lambda_{\mathrm L})=4.32\,\mathrm{mm/s}、Erec/kB=97.3 nKE_{\mathrm{rec}}/ k_{\mathrm B}=97.3\,\mathrm{nK} である。vrec=h/(mλ)v_{\mathrm{rec}}=h/(m\lambda) なので比は 780.24/1064=0.733780.24/1064=0.733 で、波長の比だけで決まる。

(2) I0=2×5×10−3/(π×(0.8×10−6)2)=4.97×109 W m−2I_0=2\times5\times10^{-3}/(\pi\times(0.8\times10^{-6})^2)=4.97\times10^9\,\mathrm{W\,m^{-2}}。括弧の中は例題 25.4 と同じ 6.83×10−86.83\times10^{-8} なので、深さは強度に比例してU0=−1.02×10−26 JU_0=-1.02\times10^{-26}\,\mathrm J、U0/kB=−0.741 mKU_0/ k_{\mathrm B}=-0.741\,\mathrm{mK}、U0/h=−15.4 MHzU_0/h=-15.4\,\mathrm{MHz} である。回転波近似では −0.642 mK-0.642\,\mathrm{mK}。深さは第1章の −14α′∣E∣2-\frac14\alpha'\lvert \mathcal E\rvert ^2 そのもので、α′>0\alpha'>0(赤い離調で第11章の n>1n>1 の側)なので原子は焦点に引き寄せられる。数 mW\mathrm{mW} の光でも、1 μm1\,\mu\mathrm m まで絞れば深さは mK に達する。

(3) zR=πw02/λL=π×(0.8×10−6)2/(1064×10−9)=1.89 μmz_{\mathrm R}=\pi w_0^2/\lambda_{\mathrm L}=\pi\times(0.8\times10^{-6})^2/(1064\times10^{-9})=1.89\,\mu\mathrm m。式 (25.23) からωρ/(2π)=12π4×1.02×10−26/(1.443×10−25×(0.8×10−6)2)=106 kHz\omega_\rho/(2\pi)=\frac{1}{2\pi}\sqrt{4\times1.02\times10^{-26}/(1.443\times10^{-25}\times(0.8\times10^{-6})^2)}=106\,\mathrm{kHz}、ωz/(2π)=31.7 kHz\omega_z/(2\pi)=31.7\,\mathrm{kHz} である。例題 25.5 の 50 μm50\,\mu\mathrm m のトラップより2桁速く振動する。ℏωρ/kB=5.1 μK\hbar\omega_\rho/ k_{\mathrm B}=5.1\,\mu\mathrm K なので、μK\mu\mathrm K まで冷やした原子は振動の量子数が数個の状態にあり、捕獲そのものを量子の調和振動子として扱う必要が出てくる(第27章)。

(4) 式 (25.22) から Γsc=2.61 s−1\Gamma_{\mathrm{sc}}=2.61\,\mathrm{s^{-1}}、加熱は 2ErecΓsc/kB=2×97.3 nK×2.61 s−1=0.509 μK/s2E_{\mathrm{rec}}\Gamma_{\mathrm{sc}}/ k_{\mathrm B}=2\times97.3\,\mathrm{nK}\times2.61\,\mathrm{s^{-1}}=0.509\,\mu\mathrm K/\mathrm s で、深さ 741 μK741\,\mu\mathrm K まで温まる時間は 741/0.509=1.46×103 s741/0.509=1.46\times10^3\,\mathrm s である。U0U_0 と Γsc\Gamma_{\mathrm{sc}} はどちらも I0I_0 に比例するので、時間 ∣U0∣/(2ErecΓsc)\lvert U_0\rvert /(2E_{\mathrm{rec}}\Gamma_{\mathrm{sc}}) では I0I_0(つまり PP と w0w_0)が消え、離調(波長)だけで決まる。例題 25.5 の大きなトラップでも同じ 1.46×103 s1.46\times10^3\,\mathrm s になる。式 (25.21) のとおり、散乱による加熱で捕獲の時間を延ばすには離調を大きくするしかない。

(5) 深さに相当する速さは v=2∣U0∣/m=0.376 m/sv=\sqrt{2\lvert U_0\rvert /m}=0.376\,\mathrm{m/s} で、反跳 v/vrec=0.376/(5.88×10−3)=64v/v_{\mathrm{rec}}=0.376/(5.88\times10^{-3})=64 回分である。s0=1s_0=1 の共鳴の散乱の速さは式 (25.14) から Γρee=Γ/4=9.53×106 s−1\Gamma\rho_{ee}=\Gamma/4=9.53\times10^6\,\mathrm{s^{-1}} なので、6464 個の光子は 6.7 μs6.7\,\mu\mathrm s で散乱される。このときの Doppler のずれは kv/Γ=0.079kv/\Gamma=0.079 で、原子は共鳴から外れないので、散乱力はずっと最大に近いまま働く。1方向からの光では、原子は 7 μs7\,\mu\mathrm s でピンセットから押し出され、写すのに足りる数の光子を出す前に失われる。実際には向かい合う光で散乱力を打ち消し、同時に冷却(第26章)をかけながら写す。

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