解答
(1) Euler–Lagrange 方程式は mq¨=−mg。q(0)=q0, q(t)=q を満たす解は
q(τ)=q0+(q−q0)tτ+2gτ(t−τ)(0≤τ≤t)
である(q¨=−g で、τ=0,t で第3項が消える)。q˙(τ)=(q−q0)/t+2g(t−2τ) を L=21mq˙2−mgq に入れて τ について 0 から t まで積分すると、∫0t21mq˙2dτ=2tm(q−q0)2+24mg2t3(交差項は ∫0t(t−2τ)dτ=0 で消える)、∫0tmgqdτ=mg[2(q+q0)t+12gt3] なので
S=2tm(q−q0)2−2mgt(q+q0)−24mg2t3.
q0=q=0, t=T(高さ 0 から投げ上げて高さ 0 に戻る運動)とおくと S=−mg2T3/24 で、第1部第1章の例題 1.1.1 の S(0) と一致する。
(2) ∂S/∂q=m(q−q0)/t−mgt/2 は経路の終点の運動量 mq˙(t)=m(q−q0)/t−mgt/2 に等しい。∂S/∂q0=−m(q−q0)/t−mgt/2=−mq˙(0)=−p0 である。∂S/∂t=−2t2m(q−q0)2−2mg(q+q0)−8mg2t2 と、2m1(∂S/∂q)2=2t2m(q−q0)2−2mg(q−q0)+8mg2t2 を足すと−mgq が残り、mgq を足して 0 になる。Hamilton–Jacobi 方程式が成り立つ。
(3) 2m1(dW/dq)2+mgq=E から dW/dq=2m(E−mgq) で、積分して
W(q,E)=−3mg22m(E−mgq)3/2
(q で微分すると 2m(E−mgq)1/2 に戻る)。∂W/∂E=−mg2m(E−mgq)1/2=−mgp なので、式 (1.13.9) は −p/(mg)=t+β1、すなわち p=−mg(t+β1) である(p>0 の枝なので t<−β1)。E=p2/(2m)+mgq を q について解いて
q(t)=mgE−2g(t+β1)2.
最高点の高さ E/(mg) に時刻 −β1 に達する放物運動である。
(4) Q=−p/(mg)−t, P=p2/(2m)+mgq なので
{Q,P}=∂q∂Q∂p∂P−∂p∂Q∂q∂P=0⋅mp−(−mg1)mg=1.
F2=W(q,P)−Pt では p=∂F2/∂q=∂W/∂q を H に入れると H=P となり、K=H+∂F2/∂t=P−P=0 である。Q と P はどちらも運動の定数で、−Q=β1 が最高点に達する時刻にあたる。
(5) p=mv で dp/dq=−m2g/p((3) の p2=2m(E−mgq) を微分した)なので
dqdpℏ=p2ℏdqdp=p3ℏm2g=mv3ℏg.
中性子で v=1ms−1 なら 1.675×10−27×11.055×10−34×9.81≈6.2×10−7 で、条件は十分に満たされる。左辺が 1 になる速さは v∗=(ℏg/m)1/3≈8.5×10−3ms−1 で、最高点からの高さに直すと v∗2/(2g)≈3.7×10−6m である。最高点(転回点)から数 μm の範囲では Hamilton–Jacobi 方程式による記述が使えず、そこでは波動関数を Schrödinger 方程式で直接扱う必要がある(第4部第7章)。
(6) Φ′(E)=∂W/∂E(q)−∂W/∂E(q0)−t=(p0−p)/(mg)−t なので、停留の条件は p0−p=mgt で、これは (1) の経路で運動量が時間 t の間に mgt 減ることと同じである。数値では m=g=1 で p=2(E−83), p0=2E、2E−2E−43=21 を解いて E=21(p0=1, p=21)。そのとき
Φ=W(83,21)−W(0,21)−21⋅21=−241+31−41=241
(W(q,E)=−322(E−q)3/2 で、(1/8)3/2=1/(162), (1/2)3/2=1/(22) を使った)。(1) の式からも S=1(3/8)2−2(1/2)(3/8)−24(1/2)3=649−323−1921=241 で、一致する。S=W−Et のうち E を消して時刻 t を変数にする操作は、−∂Φ/∂E=0 の停留点で値をとる Legendre 変換で、E と t が互いに共役な変数の組になっている。